2020年3月31日 Nスタ

2020年3月31日 Nスタ

TBS「Nスタ」、2020年3月31日放送回の検証報告です。
今回検証するのは以下の点です。

・様々な観点からの報道がなされていたか

まずは放送内容を見ていきます。
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【スタジオ】
井上貴博アナウンサー(以下井上アナ):東京都の感染者について、その内訳が判明しました。東京都で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者について、78人の感染者のうち、50歳未満が53人と全体のおよそ7割を占めていたことが分かりました。これはあくまでも昨日までの数字と比べて急に若い人が増えたというわけではありません。ですが、1つの事実として今日確認された感染者のうちおよそ7割が50歳未満が占めていたという事実です。

ホラン千秋アナウンサー(以下ホランアナ):ここからはインターパーク倉持呼吸器内科クリニック院長の倉持仁さんにお話を伺います。

小林由未子アナウンサー:重大局面とされている東京。こちらのグラフは東京の感染者数の推移を表しています。この縮尺だと入らないくらい急増しているんです。この縮尺を変えて、改めてグラフで見てみます。爆発的増加となっていて、ある日には、一日で7681人も増加している日もありました。

ホランアナ:このような経過を東京もたどることが倉持さん、あり得るということなんですか?

倉持仁医師(以下倉持医師):ありうるというよりも、必ず起こると思いますので、これはイタリアを見ても、アメリカを見てもそうなんですけど。ですから我々、今のところ、世界で増えてしまったところを見ると感染が次々と広がってしまっていることがあると思うんです。私、医者の立場としてどうやってそれを抑えられるかと考えたときにはとにかく軽症の方を徹底的に隔離するしかないと思うんです。中国もこれをやりました。ですから東京都がニューヨークの、首都圏で考えるとニューヨークが2000万人で東京都は4000万人ですから、その規模で考えると、大至急、10万人規模の隔離をする施設を首都圏に速やかに準備をすると。そして、その中から一定数、重症の患者さんが出てきますから、これを指定医療機関にしっかりと送って、また退院したら速やかにそういった施設に戻すことを徹底してやれば、もしかすると非常事態宣言とかをする必要なく、医療面にだけお金をかけてとにかく必死にやっていただけたらと強く思っています。

ホランアナ:避けることはできないけれども抑えることはできるという認識でいいですか?

倉持医師:そうですね、そういったことを徹底してやることで。あともう1つは院内感染が今、どんどん増えていて医療機関が機能停止に陥りつつ、どんどん感染者が増えてるんですね。そういったことを防ぐためには医療現場に十分なマスクとか防護衣ですね、コロナと戦う財政的な援助を至急入れていただきたい。これは非常事態宣言を出す必要もないですからそういったことを至急、一番要点を置いてやっていただきたい。もう1つは、どうしても家庭内感染が広がってきます。1世帯当たり2.5人の家族がいますから、1人がうつったら絶対うつってしまうんですね。そうやって母数が増えてしまうと重症者が増えてしまって、医療機関では抑えきれなくなりますから、ぜひ大至急、隔離する、徹底的に隔離することが、もしできればこのような増え方はたぶんしないと思うんですね。そこに目を置けば、経済封鎖とか物流を止める必要もないと思うんです。一医者の意見ですけど、そういった観点で至急作っていただきたいと思います。

【記者レポート】(要約)
ニューヨークでは現在、セントラルパークに仮設の病棟を設置するなどして急ピッチで病床の配備を進めているが、5月末までに必要となるベッド数にはまだ2万2000以上足らないと言われている。市民も危機感を持っており、公共交通機関はほとんどの人が利用しておらず、乗客も距離をとって座っている。レストランは閉まっているがデリバリーは続いており、彼らが一番感染リスクが高いということで、彼らの補償を求める声が上がっている。(ニューヨーク・深井慎一郎記者)

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【スタジオ】
井上アナ:倉持さん、先ほど、お話にありましたけど緊急事態宣言などを発表するかどうか政府の判断です、ですが、今のニューヨークのような事態にならないとみているのであれば、その説明も政府にしていただきたいと思いますし、気づいたときに、あのグラフを見ても遅いわけですよね?

倉持医師:ですから、高度な医療機関はそんなに必要ないんですね。しっかり感染を広げないための隔離するための施設をがっちり作ると、それも10万人単位で考えていないと東京、首都圏のサイズを考えたら、絶対間に合いませんから。逆にそれを今できれば、日本はこういうふうにならない可能性が十分あると思いますので、ぜひ国のトップや自治体のトップは最大限の危機感と、それから人命が何より大事なんですね。経済的なことを考えてても、人命が失われたら何にもなりません。ですから、そこに力を置いて今ぜひできることを至急やっていただきたいと思います。

ホランアナ:ちなみにそういった施設を整えても、医師や看護師の皆さんは?

倉持医師:人員は要らないと思います。とにかく元気な方をそこに隔離して、3週間感染を拡大しないようにしていただくんです。そして、その中からピックアップして重症な方を病院に速やかに送るシステム構築だけすればいいんです。そこにお医者さんも人もと、病院を作るつもりになるととてもできません、そうじゃないんですね。8割が軽症の方です。あっても風邪症状です。そしてみんなコロナの患者さんです。そういった方が3週間過ごす施設を造れば何も新しい病院をどんどん作る必要もないですし、人工呼吸器だって、そんなに要らないんですね。

井上アナ:まずは箱とシステム構築。最前線でいるお医者さんの言葉は大変重いと思います。倉持さん、ありがとうございました。

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【検証部分】
今回はインターパーク倉持呼吸器内科クリニック院長の倉持氏が解説に当たっています。
氏いわく、軽症の患者を10万人単位で隔離し、重病者のみ入院させるべきだと主張しています。
さらに、その施設に医療関係者の人員は要らないとも述べています。

どのような施設を想定しているか、発言だけでは具体的に想定することは難しいですが、10万人単位で施設にコロナ感染者を隔離させることは物理的に可能とは思えませんし、施設に医療関係者がいなくても問題がないとする根拠も示されていません。

施設に入れるからには医療従事者が必要になるでしょう。
軽症者とは言え、体が元気な状態であるわけではありませんから、倉持氏の主張が実際に実施された場合、医療崩壊のきっかけにもなりかねません。

オーバーシュート(爆発的患者急増)を警戒しての発言ですが
4月1日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617992.pdf)に以下の記述があります。

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〇 以上の状況から、我が国では、今のところ諸外国のような、オーバーシュート(爆
発的患者急増1)は見られていないが、都市部を中心にクラスター感染が次々と報告さ
れ、感染者数が急増している。そうした中、医療供給体制が逼迫しつつある地域が出
てきており医療供給体制の強化が喫緊の課題となっている。
〇 いわゆる「医療崩壊」は、オーバーシュートが生じてから起こるものと解される向
きもある。しかし、新規感染者数が急増し、クラスター感染が頻繁に報告されている
現状を考えれば、爆発的感染が起こる前に医療供給体制の限度を超える負担がかかり
医療現場が機能不全に陥ることが予想される。

重症者を優先する医療提供体制の構築
○ 今後、新型コロナウイルス感染症の患者が大幅に増えた場合に備え、この感染症に
よる死者を最大限減らすため、新型コロナウイルス感染症やその他の疾患を含めた、
地域の医療提供体制の検討・整備を行うことが必要である。
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医療崩壊はオーバーシュートが起きる前に発生する可能性があります。
そうならないために重症者を優先させる、これが国の方針です。

医療崩壊の事態に陥ってしまって、オーバーシュートになってからでは遅いのです。
このような論点をしっかりと放送する必要があるでしょう。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指し今後も監視を続けて参ります。

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