2020年7月15日 はまなかあいづTODAY

2020年7月15日 はまなかあいづTODAY

今回は特別レポートとして、NHK福島放送局で放送されている「はまなかあいづTODAY」の特集をお届けします。
「はまなかあいづTODAY」は平日18:10〜19:00に放送されているローカルニュース番組です。
7月15日に福島第一原発のトリチウムを巡る水の処分方法についての特集が放送されました。
そこで登場する処理水の海洋放出に反対する運動団体である“DAPPE”の代表、佐藤大河氏は共産党員です。
この日の放送ではそのような人物の意見をおよそ10分間に渡って紹介していました。
そこで今回は以下の点について検証していきます。

・政治的に公平な放送であったか。

まずは放送内容を見ていきます。
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【スタジオ】
芳賀健太郎アナウンサー(以下芳賀アナ):郡山市である集会が開かれました。

高石桃子アナウンサー(以下高石アナ):テーマとなったのは彼ら福島にとって非常に重要でありながら、議論が深まっていかないと感じている、福島第一原発を巡るあの問題についてでした。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):ビートはじける音楽。ポップなプラカード。一昨日、郡山市で行われたデモ行進です。主催したのは、県内の20代から30代の若者で構成されるグループ“DAPPE”。彼らが訴えるのは“勝手に決めるな”。トリチウムを巡る水の処分方法を決定する政府に、多くの人の声を届けようと活動しています。代表の佐藤大河さん。佐藤さんたちを突き動かしたのは 政府が進める議論への違和感でした。政府主催の意見を聞く会。これまで4回、県内外の関係者から処分方法について意見を聞いています。ところが初回の会合では…

担当者『頂いたご意見についてより正確に理解するために国側から質問があればお願いします。まずは福島会場、いかがでしょうか』

福島代表『……(無言)』

担当者『それでは東京会場いかがでしょうか』

東京(政府側)の代表『……(無言)』

ナレ:そして2回目でも…

担当者『国側から質問があればお願いします』

東京(政府側)の代表『……(無言)』

ナレ:関係者の意見に、国側からの質問はありませんでした。佐藤さんはネットでこの様子を傍聴し、驚きを隠せなかったと言います

DAPPE・佐藤大河代表(以下佐藤代表)『これ本当に何のためにやってるんだろうなと思いましたね。名前の通りに本当に意見を聞くだけなんだなと思いました。 一緒に議論をして、どうやっていい結論を出すのかというものになっていないことに驚きました』

ナレ:政府は2年後にはタンクが満杯になるとして、トリチウムを巡る処分の決定は、先延ばしにできないとしています。若い世代の県民は、この問題をどう考えているのか。佐藤さんは5月から4回、JR郡山駅前でアンケート調査を行いました。国の小委員会が現実的とする海への放出について、賛成か反対かを聞いてみる、回答した73人の内48人が反対。しかし気になったのは、3割を超える23人がどちらと言えないと回答し、その多くが判断するのに十分な情報を知らないと話したことでした。危機感を抱いた佐藤さんたち。この日はオンライン会議でどうすれば若い世代や全国の人に関心を持ってもらえるか、話し合いました。

メンバー①:地道な作業でネットを使いながら学習会を開いたり、草の根運動というかそういうことを僕らがやるべきなのかと思いますね。

メンバー②:若干遠回りかもしれないけど福島県の中での世論を高めることで、全国の人に知ってもらうことが大事かなと。

ナレ:トリチウムを巡る処分の方法について、なぜ議論が必要なのかという活動の意義にまで議論が及びました。

メンバー③:この問題って関係者だけの問題じゃなくて世界的な問題でもあると思うし、ふつうに暮らしているわれわれとにとって密接に関わってくる問題。暮らしについてどう思うかとか、聞く場を持たないまま進めるのはすごくおかしいんじゃないかと思いますね。

メンバー④:未来まで続く問題でもあったから、みんなが自分の問題と思って考えていかないと、またこの事故は起きてしまうとわたしは思うので、みんなで一緒に考えたい。

ナレ:あふれ出てきたのは、自分たちの問題は自分たちで決めたいという想い。そして佐藤さんは…

佐藤さん:この9年間科学的な論争を含めて県民は振り回されてきた。それも被害の一つだなと。原発の問題を考えるのって疲れるところもあると思っていて、積極的に声を上げようとか、そこまで気持ちが向かない人は県内でもかなり多いんじゃないかなと。そこを僕らが発信していく中でいろいろな人を勇気づけながら、たくさんの人に意見を表明してもらいたいなと思う

ナレ:一昨日行われた、初めてのデモ。

佐藤さん:どれくらい人が集まってくれるのかなと、準備を始めてから気にしていたところだったんですが…

メンバー:今のこの選択は、未来への責任を負っているということです。まず知って考えてほしい。そして僕らと一緒に声を上げてほしい。

ナレ:デモには、飛び入りの若者も含めおよそ50人が参加しました。

デモ参加者:全く知らなかったので、ちょっと聞いてみようかなと思いました。少しは勉強できたかな。関心を持てたと思います。

ナレ:福島の復興につながる、より良い選択とは何なのか。1人1人に向き合ってほしいと佐藤さんは訴えます

佐藤さん:足を止めて聞いてくれた若い人もいたので、そこについては取り組みをやって成功だったのかなと思っています。それぞれ考えてもらうきっかけが広がっていったらいいなと思っています。

高石アナ:自分たちの問題としてとらえてほしいという佐藤さんの訴え、印象に残りましたね。。

芳賀アナ:そうですね。この問題を巡っては、今日も県内で動きがありました。いわき市で、3回目となる漁業者への説明会が非公開で行われ、ウニやアワビ漁を行う漁業者などおよそ60人が参加しました。この中で、経済産業省の担当者は、国の小委員会が、基準以下に薄めて、海か大気中に放出する方法が現実的だとした報告書などについて、説明したということです。漁協によります、漁業者からは海への放出に反対する意見が出されたほか、海への放出という結論ありきで議論が進んでいるのではないか、という懸念の声が上がったということです。

参加した漁業者①『タンクがいっぱいになって、どうしようもなくなってからこういった説明会をやっても(受け入れるのは)なかなか難しい』 

参加した漁業者②『いま(漁が)軌道に乗ってきたときに海洋放出すると、また風評被害だとかいろいろな問題が出てくる』

経済産業省・木野正登 廃炉・汚染水対策官『一方的に決めつけたような説明だというご意見がありましたけど、われわれとしてはまだ何も判断していません。処理水の安全性なども含め、消費者も含めて、説明の場を考えていきたいと思っています』

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【スタジオ】
芳賀アナ:処分方法の決定に向けて、国は一般の人たちから意見を広く公募するパブリックコメントの期限を再度延長し今月末まで募集しています。

高石アナ:わたしたちも関心を持ってもらえるように必要な情報を届けていきたいと思います。

【検証部分】
処理水の海洋放出について反対するこの”DAPPE”というグループですが、ホームページに以下のような団体紹介がされています。

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DAPPE(ダッペ:Democracy Action to Protect Peace and Equality)は、この国の平和と、人間が大切にされる社会を守るために行動をする若者のグループです。福島県内の10代から30代のが有志で集まって運営しています。

DAPPEは「戦争法案=安保関連法案」に対して、福島県から反対の声をあげようと2015年6月に結成された「戦争法案に反対する福島県若者有志の会」を前身としたグループです。
《DAPPEのホームページ
https://dappe-fukushima.wixsite.com/dappe/about
》より
(10代から30代【のが】有志となっていますが、原文ママです。)
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さらに代表の佐藤大河氏は以下の共産党系の記事で【日本共産党福島・伊達震災・原発被災者支援センター事務局長、民青同盟県北地区委員長(党県北ボランティアセンター事務局長)】などと紹介されています。

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 「力があればもっといろんなことができた」。日本共産党福島・伊達震災・原発被災者支援センター事務局長の佐藤大河さん(28)は、「3・11]」からの4年間の活動についてそう振り返ります。

《仮設住宅は矛盾集中・・共産党福島・伊達震災・原発被災者支援センター事務局長 佐藤大河さん(28)
http://jcpre.com/?p=7426
より》

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 名古屋市内で「いまの『福島』を考えるトーク集会」が11日開かれ、参加した30人の青年が福島の若者の報告を聞き、何か出来ることはないか、みんなで話し合いました。主催は民青同盟南部地区委員会。

 福島からは民青同盟県北地区委員長の佐藤大河さん(党県北ボランティアセンター事務局長)が駆けつけ、スライドを使って原発事故から3年たった現状を報告しました。

《民青が「いまの『福島』を考えるトーク集会」
http://www.jcp-aichi.jp/2014/0219/7196.html
》より

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しかし、放送では佐藤氏が共産党に非常に近い人物であることには触れられていません。
佐藤氏がどのような人物なのかを十分紹介せずに、佐藤氏の主張を放送し続けることは政治的に公平な放送とはいえず下記の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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