2018年12月24日 news every.

2018年12月24日 news every.

日本テレビ「news every.」2018年12月24日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・韓国軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射事案について報道された部分
以上、1点について検証を行い、その問題点を探ります。

はじめに、今回の報道内容をお伝えいたします。

————————————————————————————————–

鈴江奈々(日テレアナウンサー)
「まずは、こちらのニュースです。自衛隊機が韓国軍の艦艇からレーダーの照射を受けた問題で、日本と韓国の主張が食い違っています。日本側は抗議していますが、韓国側は今日、威嚇行為は一切なかったと反論しました。ソウルから中継です。越部さん。」

※中継先のソウルに映像が切り替わる

越部憲洋(NNNソウル)
「はい。韓国国防省は今日の会見で、日本側が主張する射撃用レーダーは一切使用していないと反論しました。」

「この問題は先週木曜、海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍の艦艇から射撃用レーダーの照射を受けたとして、日本側が韓国側に非常に危険な行為だと強く抗議しています。韓国国防省は今日の会見で、『射撃用のレーダーは照射しなかった。威嚇行為は一切なかった』と述べ、日本側の主張に反論しました。」

「艦艇には、海上での探索に使われる探索用レーダーと攻撃の前に目標の位置を測定する射撃用レーダーがあります。韓国国防省は、北朝鮮の船が遭難していたことから韓国軍艦艇が探索用レーダーを使用していたとする一方、射撃用レーダーの使用は明確に否定しました。韓国軍艦艇の使ったレーダーの種類が今後の焦点になりそうです。」

「韓国を訪れている外務省の金杉アジア大洋州局長は、日韓局長級協議を行い、先ほど午後4時前に終了しました。この問題についても意見交換を行ったものと見られます。以上、中継でした。」

※中継先からスタジオに切り替わり、そのまま次のトピックへ。

————————————————————————————————-

以上が報道内容になります。
今回の報道で、我々が問題と考えたのは次の点です。

・日本側の主張がほとんど伝えられていない点

今回の「news every.」の報道では、日本側が強く抗議しているという主張しか取り上げられていませんでした。しかし、防衛省のホームページを確認すると、いかに今回の韓国軍の行動が不自然かつ危険なものであったかを説明しています。

韓国側は、探索用レーダーのみを使用したと主張していますが、用いたレーダーはMW-08という捕捉追尾用の三次元レーダーだと言われています。韓国国防省は、このレーダーをあくまでも対水上モードで、遭難船の捜索目的として利用したと言っているのですが、例え捜索目的だとしてもレーダーが航空機に反応した場合には、韓国も採択しているCUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)に従って照射を控えるべきでした。

韓国側の主張にはこうした不自然な点が多々あるのですが、どうして番組内では詳細な防衛省による説明を取り上げなかったのでしょうか。大いに疑問が残ります。

当会の会員からは、25日朝に放送された日本テレビ「zip!」においても、「主張が対立している」といった報道があったという報告を受けております。どうして韓国側の不自然な部分や日本側の主張を具体的に取り上げないのでしょう。

こうした報道は、放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

————————————————————————————————–

防衛省ホームページ
韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(2018年12月22日公表)
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/22a.html

◎概略
・12月20日(木)午後3時頃、能登半島沖において、韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦から、海上自衛隊第4航空群所属P-1(厚木)が、火器管制レーダーを照射された

・海自哨戒機の機材が収集したデータについて、慎重かつ詳細な分析を行い、当該照射が火器管制レーダーによるものと判断

・火器管制レーダーは、攻撃実施前に攻撃目標の精密な方位・距離を測定するために使用するものであり、広範囲の捜索に適するものではなく、遭難船舶を捜索するためには、水上捜索レーダーを使用することが適当

————————————————————————————————–

追記)12月25日、防衛省は新たにプレスリリースを行いました。

————————————————————————————————–

防衛省ホームページ
韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(12月25日公表)
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/25b.html

◎概略
・海自P-1の機材が収集したデータを基に当該駆逐艦から発せられた電波の周波数帯域や電波強度などを解析した結果、海自P-1が、火器管制レーダー特有の電波を、一定時間継続して複数回照射されたことを確認

・海自P-1は、国際法や国内関連法令を遵守し、当該駆逐艦から一定の高度と距離をとって飛行しており、当該駆逐艦の上空を低空で飛行した事実はない

・海自P-1は、国際VHF(156.8MHz)と緊急周波数(121.5MHz及び243MHz)の計3つの周波数を用いて、「韓国海軍艦艇、艦番号971(KOREA SOUTH NAVAL SHIP, HULL NUMBER 971)」と英語で計3回呼びかけ、レーダー照射の意図の確認を試みた

————————————————————————————————–

プレスリリースの中で防衛省は、韓国国防省が主張する海上自衛隊機の低空飛行がなかったことを指摘し、かつ射撃管制レーダーが一定時間継続して複数回照射されたことを改めて主張しています。こうした事実をもとに報道し、また報道されていない部分には取材をするのがジャーナリズムではないでしょうか。

その他 特別レポート等カテゴリの最新記事