2018年12月14日 Nスタ

2018年12月14日 Nスタ

Nスタ、2018年12月14日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・沖縄辺野古埋め立て問題について報道された部分
以上1点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

最初に検証するのは、沖縄辺野古埋め立て問題について報道された部分となります。
では、さっそく放送内容をみていきましょう。

【VTR】

アメリカ軍普天間基地の辺野古移設が大きな節目を迎えました。
只今時刻は10時59分です。いよいよ本格的な埋め立て作業が始まります。
政府は今日午前、名護市辺野古の埋め立て予定地に土砂の投入を開始しました。
御覧ください。トラックから、また、大量の土砂がおとされました。
土砂はキャンプシュワブ近くに接岸した運搬船で運び込まれたもので重機によって次々と海に落とされていきました。

菅官房長官:「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険除去。これを考え合わせたときに辺野古移設が唯一の解決策であるというふうに思う。」

政府は普天間基地返還に関する1996年の日米合意に基づき普天間基地を移設するため、辺野古沿岸部を埋め立て二本のV字滑走路を建設する計画です。
今日始まったのはこの部分の埋め立て作業です。
現場周辺では朝から反対派の市民が抗議活動を繰り広げました。
キャンプシュワブのゲート前です。今日の土砂投入を阻止しようと多くの市民が座り込みの抗議を続けています。

[抗議活動者の演説](省略)

沖縄県の玉城知事は緊急記者会見を開き、作業を強行した国に対し怒りをあらわにしました。

玉城知事:「国は一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民を諦めさせようと躍起になっていますが、このような行為は逆に沖縄県民の強い反発を招き、工事を強行すればするほど県民の怒りはますます燃え上がると認識するべきであります。」

玉城知事は対抗措置として、埋め立て承認撤回の効力回復を求める法的措置を検討しています。
政府側からは沖縄県のこうした動きが基地返還を遅らせているという指摘も。

岩屋防衛相:「一度承認を頂いた埋め立てについて、これが撤回をされたなどという変遷がありました。目標の達成はなかなか難しいところに来ていることは事実。」

岩屋防衛大臣は早ければ2022年度としている普天間基地返還が遅れる可能性を示唆しました。
自民党幹部「いちばん大事なのは普天間の危険性を除去することだ。代替施設の建設に反対してそれが遅れることのほうが沖縄県民にとっても良くない。」
普天間基地の辺野古移設は新たな段階に入りましたが、政府と沖縄県の対立が一層激しいものとなっています。

【VTR終】

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の点です。

1,辺野古埋め立て問題に関して説明が不十分で、かつ一方的な発言が見られる点

それぞれ順を追って解説します。

1,辺野古埋め立て問題に関して説明が不十分で、かつ一方的な発言が見られる点

番組内では、辺野古埋め立てに関する決定があたかも政府が一方的に行うものであるかのような報道がされていました。しかし、これに関しては米軍基地移設問題に関する今までの流れをしっかりと説明をした上で報道すべき内容と言えます。
まず、日米両政府は1996年に普天間基地の返還合意をしています。これの移設先として名護市の辺野古が候補になりました。当時、名護市内では反対の声が多く挙げられ、住民投票では「移設反対」に投票する住民が賛成派を上回りました。また、沖縄県としても、同様の立場を取っており、当時の大田昌秀・沖縄知事も辺野古への移設に反対していました。
政府としては返還合意に基づいて移設事業を進めたいと考えていたため、自民党推薦で稲嶺恵一氏を擁立し、知事選挙で勝利しました。稲嶺知事が就任した後は、辺野古以外にも様々な場所を移設案として検討しましたが、結局のところ2002年に辺野古を埋め立てるという計画で決定しました。
時は流れ2006年になると、辺野古岬にどういった規模と設備を備えた基地を作るのかを具体的に決めた案が作成されました。また、同年11月には基地移設賛成派の仲井真弘多氏が沖縄県知事に当選しました。これもあり、この計画は着々と進められました。
しかし、2008年の沖縄県議会議員選挙では、基地移設反対派が議会の過半数を占めることになりました。その直後の国政選挙でも基地移設反対派が議席を占め、加えて移設先の名護市議会議員選挙でも反対派が過半数を占めることになりました。
2009年になると政権が自民党・公明党から、民主党系連立政権に交代しました。当時の鳩山総理大臣は、アメリカとの基地移設に関する協議で、96年の返還合意に基づかないゼロベースの議論をして県外移設を目標としましたが、それは実現することは出来ませんでした。
2012年に自民党が政権を奪還した後は、再び辺野古への移設を進めることとなりました。
これが現在に至るまでの流れとなります。これを踏まえた上で今回のVTRを見ると、全体的な流れを捉えておらず、断片的な報道がなされているように感じました。
玉城知事は辺野古の埋め立てに関して反対しており、番組内のような発言を繰り返しておりますが、そもそも二国間や国政における合意をその下の管轄である行政長が反対し、それに抵抗することは限界があります。確かに玉城知事は辺野古移設反対を前面に出して当選しましたが、これによって一度承認された移設計画がまた振り出しに戻っていてはいつまで経っても問題の根本解決にはなりません。
こういった背景があることを踏まえずに、知事の意見がもっともであるように見える報道(キャンプシュワブ前の市民による座り込み、玉城知事による「市民の怒り」発言)をするのは不誠実であり、ここで挙げたような議論も含めて報道すべきです。

以上のことから、今回の放送内容は辺野古移設反対派の立場にたってのみ報道が行われた可能性が高く、その場合は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反している恐れがあります。加えて、第3項の「報道は事実を曲げないですること」にも違反している恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では一定の立場に偏った内容だけを報道し、加えて事実と異なる内容を報道した恐れがあります。これは、視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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