2019年2月13日 プライムニュース イブニング

2019年2月13日 プライムニュース イブニング

【桜田大臣「がっかり」発言問題】
フジテレビ「プライムニュース イブニング」2019年2月13日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・桜田義孝五輪担当大臣による「がっかり」発言が取り上げられた点
以上、1点について検証を行い、その問題点を探ります。

はじめに、今回の報道内容をお伝えいたします。

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※敬称略

倉田大誠(メーンキャスター)
「競泳女子日本代表の池江璃花子選手が白血病であることを公表したことについて、“がっかりした“などと述べた桜田オリンピック・パラリンピック担当大臣は、午後の国会で謝罪し、発言を撤回しました。」

【VTR】
桜田大臣
「日本が本当に期待している選手ですから、非常にがっかりしている」
「1人リードする選手がいると、皆その人につられて全体が盛り上がるので、そういった盛り上がりが若干下火にならないかと思って心配しています」

ナレーション
「昨日、このように発言した桜田大臣に野党側は激しく反発し、衆議院予算委員会で追及しました。」

寺田学(立憲民主党)
「大臣にとって、選手って言うのはメダルを取るためだけの駒なのでしょうか。」

桜田大臣
「昨日の私の発言の中で『がっかりしている』、『盛り上がりが若干下火にならないか心配だ』という部分につきましては、配慮を欠いたと思いましてお詫びをし、撤回させていただきたいと思います。」

寺田学(立憲民主党)
「あなたが出来る責任の取り方は直ちに今やめることです。それ以外ない。」

桜田大臣
「職務を全うできるよう努めて参ります。」

ナレーション
「さらに野党側は任命権者である安倍総理大臣に桜田大臣の資質を問い正しました。」

安倍晋三首相
「しっかりと職務を果たして貰いたいと考えております。」

ナレーション
「野党側は桜田大臣の辞任・罷免を求め追及を強めています。」

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以上が報道内容になります。
当会が調査を行い問題性があると考えたのは以下の点です。

・悪質な文言の切り取りが行われている点

この問題について、桜田大臣の発言が配慮を欠いたものであったことに間違いはありません。白血病が判明した選手への発言として、「がっかりした」や「盛り上がりが若干下火にならないか心配」などといった言葉選びは適切ではなかったでしょう。言葉選びの面では確実に桜田大臣に誤りがあり、オリンピックを担当する大臣の立場にあることを考えれば、不適切発言でした。

しかし、「がっかりした」、「盛り上がりが若干下火にならないか心配」などという発言は、記者団からの質問に桜田大臣が返答した一部をマスコミが切り取ったものです。
産経新聞の記事(https://www.sankei.com/politics/news/190214/plt1902140015-n1.html) によると、「がっかりした」という発言の前に池江選手を気遣う言葉があり、大臣の発言全体から言えば、池江選手について「心配している」「頑張ってほしい」という趣旨の発言であったことがうかがえます。

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※産経新聞記事より抜粋

--きょう、競泳の池江選手が自らが白血病であることと、しばらく休養することを発表しました。大臣として、これについての受け止めをお願いします

 「正直なところ、びっくりしましたね。聞いて。本当に。病気のことなので、早く治療に専念していただいて、一日も早く元気な姿に戻ってもらいたいというのが、私の率直な気持ちですね」

 --競泳の中ではですね…

 「本当に、そう、金メダル候補ですからねえ。日本が本当に期待している選手ですからねえ。本当にがっかりしております。やはり、早く治療に専念していただいて、頑張っていただきたい。また元気な姿を見たいですよ。そうですね」

 --大臣はこれまで、池江選手の活躍をどのようにご覧になられてましたか

 「いやあ、日本が誇るべきスポーツの選手だと思いますよね。われわれがほんとに誇りとするものなので。最近水泳が非常に盛り上がっているときでもありますし、オリンピック担当大臣としては、オリンピックで水泳の部分をね、非常に期待している部分があるんですよね。一人リードする選手がいると、みんなその人につられてね、全体が盛り上がりますからね。そういった盛り上がりがね、若干下火にならないかなと思って、ちょっと心配していますよね。ですから、われわれも一生懸命頑張って、いろんな環境整備をやりますけど。とにかく治療に専念して、元気な姿を見せていただいて、また、スポーツ界の花形として、頑張っていただきたいというのが私の考えですね」

 --最後に一言だけ。池江選手にエールを送るとしたらどんな言葉を

 「とにかく治療を最優先にして、元気な姿を見たい。また、頑張っている姿をわれわれは期待してます、ということです」

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上記の通り、桜田大臣は池江選手を気遣う発言を主にしており、「がっかりした」などという発言は全体の内ごく一部でした。それにもかかわらず、さも桜田大臣が池井選手らアスリートを軽視しているかの如く、発言の一部を切り取って報道していました。これは、放送法4条(2)政治的に公平であること(3)報道は事実をまげないですることに違反している可能性があります。

とくに、VTR中で寺田学議員(立憲民主党)が「選手はメダルを取るための駒なのか」という発言をしている姿を併せて報道することによって、桜田大臣が本当にそのような考えを持っているかのような印象操作をしているようにも思えます。

放送時間の都合で発言全体を取り上げられないのはやむを得ませんが、発言の趣旨を誤認させるような報道は視聴者にとって不利益でしかありません。

なお、同日放送された日本テレビ「news zero.」では、桜田大臣が池江選手を気遣う発言も取り上げた上で報道を行っておりました。このように、大臣による発言の趣旨をしっかり視聴者に伝える報道こそが、国民の知る権利を守り、国民一人一人が政治を考える素養になると監視員個人は思います。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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