2019年2月14日 Nスタ

2019年2月14日 Nスタ

【厚生労働省統計不正問題】
TBSテレビ「Nスタ」2019年2月14日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・厚労省の不正統計問題に際して、首相官邸の関与があったと取り上げられた点
以上、1点について検証を行い、その問題点を探ります。

はじめに、今回の報道内容をお伝えいたします。

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※敬称略

井上貴博(メーンキャスター)
「続いては、統計不正問題について、知恵と皮肉が寄せられています。」

【VTR】
ナレーション1
「統計に対する信頼が揺らいでいます。今日国会で紹介されたのは、総務省のツイッターへの、一般の人達からの書き込みです。」

小川淳也(立憲民主党)
「これ看過できないので紹介させていただきます。『不景気も 統計一つで 好景気』
『合わぬなら 作ってしまえ 偽統計』『成長率 どれだけ盛れるか 腕次第』」

ナレーション1
「総務省は、今月1日から統計の日の標語を募集しています。統計の大切さを呼びかけるためのものですが、そのツイッターへの書き込みは、辛辣なものばかりです」

ナレーション2
「『偽統計 みんなで作れば 怖くない』『統計の 捏造改竄 誰のため』」

ナレーション1
「不正調査問題による影響の大きさを指摘された石田総務大臣は。」

石田総務相
「公的統計の信頼を揺るがす事案が発生したこと、本当に誠に遺憾でございますし、ご迷惑をおかけしていることにお詫び申し上げたい。」

ナレーション1
「ただ、ここに来て、また新たな問題が浮上しています。」

大串博志(立憲民主党)
「私が着目したのは、毎月勤労統計に関するいわゆる“総理官邸の関わり“」

ナレーション1
「毎月勤労統計は、2015年に調査対象の事業所を差し替えましたが、その年の3月に当時総理秘書官だった、財務省の中江関税局長が厚生労働省から事前説明を受けていたことなどが明らかになりました。その際、中江氏は、実態を適切に表すための改善の可能性などについての、問題意識を伝えていたということです。これについて野党側は『賃金に関する数値が高く出るよう調査方法を見直すように求めたのではないか』と追求しました。

大串博志(立憲民主党)
「本当は実質賃金もっと高いはずだろうと、もっと高く出るような方向への改善のために専門家の意見を聞いたほうがいいんじゃないかという問題意識だったんじゃないですか。」

菅義偉官房長官
「統計の人たちは専門家ですから。そこでやってもらうというのは、ある意味で自然のことではないでしょうか。」

ナレーション1
「中江氏に対しても、どのようなやり取りがあったのか、直接質しましたが。」

中江関税局長
「所管外のことについてお答えコメントは差し控えさせていただきたいという風に思います。」

ナレーション1
「現職の総理秘書官でないことなどを理由に、答弁に応じませんでした。野党側は、今後も中江氏を追求する方針で、新たな火種となりそうです。」

【スタジオ】
井上貴博(メーンキャスター) 国山ハセン
「こんばんは。」

井上貴博(メーンキャスター)
「日本の統計に関する、国際的な信用の低下も続いていますね。」

国山ハセン
「そうですね。統計の日で寄せられた標語の、皮肉が多かったわけですが、それだけ不審に思っている人が多いということなのかもしれません。」

井上貴博(メーンキャスター)
「うーん。『成長率 どれだけ盛れるか 腕次第』」

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以上が報道内容になります。
当会が調査を行い問題性があると考えたのは以下の点です。

・今回の統計不正が、首相官邸の関与によるものであると印象付けようとしている点

今回の統計不正問題は、国の基幹たる統計で不正が行われ、統計に対する国民の信頼を傷つけたという点で、許し難いものです。しかし、今回の報道ではそうした点に対する追求よりも、首相官邸が関与しているかのように印象づける報道が目立ちました。

例えば、首相官邸の関与について言及する前から、わざわざナレーションを声の低い男性に変え「統計の 捏造改竄 誰のため」という標語を読み上げるなど、さも今回の不正が誰かのために成されたかのような印象を植え付けています。そうした印象を植え付けた上で、野党議員が無根拠に追求する「首相官邸の関与」を新たな問題として取り上げています。

野党議員が憶測だけで、首相官邸の関与があったとするのに対して、菅義偉官房長官は統計の問題は統計の専門家にやってもらっているという至極まっとうな答弁をします。しかしナレーションで、当時の総理秘書官が現在は所管外であることを理由に答弁を行わず、その点をもって、今後もこの問題が追求され続けるとまとめています。

そしてスタジオに戻り、メーンキャスターが「成長率 どれだけ盛れるか 腕次第」と標語を引用してこの件の報道は終わりました。野党の主張する今回の統計不正が、GDPの算出に影響があったとすることを印象づける終わり方です。この点に関しては、安倍総理が「国内総生産には影響はない。」と述べていますが、今回は報道されていません。

この点も含め報道全体を通して、放送法 4 条(2)政治的に公平であること(3)報道は事実をまげないですること に違反している可能性があります。特にメーンキャスターが、他方の主張のみを述べ、問題に関する報道を終えることは悪質な印象操作にほかなりません。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けてまいります。

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