2019年4月23日 ひるおび!

2019年4月23日 ひるおび!

ひるおび!、2019年4月23日放送回の検証報告です。

今回の報告では、大阪維新の会と官邸との関係について報道された部分について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

では、さっそく放送内容をみていきましょう。

司会:恵俊彰 氏
アシスタント:福江愛 アナウンサー
コメンテーター
田崎史郎 氏
伊藤惇夫 氏
八代英輝 氏

<大阪維新と官邸(自民党)の関係について>
0:21~ 『自民党 大阪補選でも敗北 快進撃続く維新の会』
【VTR】
・大阪補選で、維新の会の躍進に対し自民党は二敗
伊藤氏:官邸としては維新と決定的な対立構造にはなりたくないというのがあるんでしょうね。与野党の対決法案では維新が必ず助け船を出してますから、安部政権にとっては非常に貴重な存在なんですよね。

0:36~ 『維新と官邸 接近いつから? 首相・官房長官との関係は』
【パネル説明】
・2012年2月開催の民間教育団体が主催するシンポジウムにて安倍元総理(当時)と松井一郎大阪府知事(当時)が同席。これをきっかけに松井氏から接触(田崎氏の取材)。
・2012年4月 橋下大阪市長(当時)、松井氏、安倍元総理の会談が実現。
橋本氏「安部さんにこの(大阪維新の)会を預けたい」
安部元総理「総理経験者として離党することは難しい」
・2012年9月 安倍晋三自民党総裁就任および国政政党「日本維新の会」設立

【コメンテーターの発言】(一部抜粋)
伊藤氏:この一連の背景には松井さんと菅さんの関係があるんですよ。この二人の関係がものすごく密接で、かなり前から。こういうおぜん立ても恐らく二人がつながりながらやったと思います。安部さんが辞めた直後から菅さんもそうだし、今総務会長やってる加藤勝信さんもそうですけど、もう辞めて一年後くらいからもう一度安部さんをってずっと言い続けてましたから。そういう流れの中でこういう問題が起きてきたと考えていいと思うし、菅さんはですね、もし安部さんが総裁選に出ないなら維新と組む、あるいは維新に移るというところまで考えていたらしいですね。安部さんが総裁選に出たからその話はなくなったけども、それくらいの親しさと覚悟があって、自分が行けば安部さんついてくるんじゃないのという思いも菅さんは実は持ってたんじゃないかと思います。

0:50~
伊藤氏:(松井氏は安部元首相が維新の会に)本当に来るとは実は思ってなかったみたいですよ。それから連携をきちっとつくりあげる。誘ったとしても来るとは思ってなかったと思うんですよね。結果的には、維新って今上半身と下半身が別のモノのようになっているんですよね。国政政党の維新の会は非常に自民党に協力的。大阪維新と自民党は地元で決定的に喧嘩している。非常に複雑な政党ではありますよね。 

恵氏:思ったようにはなってきてるんですかね?

伊藤氏:少なくとも国政レベルでは勢力がどんどん低下している。少なくとも地元の部分ではまた元気復活といいうか、以前にもまして大阪は維新の会で埋め尽くされようとしてますから。そこは思惑通りだと思いますけどね

恵氏:(衆議院議席数の円グラフを差して)補選後の維新12議席は、2012年(の54議席から)ずいぶん減少していますけど。

八代氏:ですから国政レベルでの維新は離合集散を繰り返してしまって、かつてあの方あの方といろんな方をいれてしまって大失敗をしたわけですよね。そこでやっぱり地方政党としての純粋な部分がなくなってしまったように見えたのが失速した原因なのかと思います。今回の件(補選での勝利)で、また国政レベルでも力を取り戻しつつあるのかなと。

0:56~『大阪都構想に賛成?反対? 官邸と大阪府連でねじれ』
【パネル説明】
・維新の会発行のチラシにて、安倍首相の発言を引用し自民党は大阪都構想を支持しているという旨の内容を掲載。
安部首相「大阪都構想でありますが、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするものであり、その目的は重要であると認識しています」
→大阪選出自民衆院議員が「総理の名前を悪用している」として、官邸にチラシを見せると「イラストも含めてひどい」という返答。

【コメンテーターの発言】(一部抜粋)
伊藤氏:(首相の発言は)大阪都構想を認めるための法改正を国会でやって、それを推進したのが安倍政権だからっていうのが本来の意味なんですよ。それがセットになってるんですよね。

恵氏:お墨付きをもらったなと。

田崎氏:おそらく発言は議事録にのってるやつでしょう。だから完全にアウトかというとそうでもなくて、うまく使ったなと。

1:02~『橋本氏が政界引退後も維新が躍進できたワケ』
【パネル説明】(要約)
・大阪都構想の住民投票は僅差で否決。橋下氏は重く受け止めるとして政界引退を表明。
・松井氏「維新は橋下さんが一人で作ってきたので、存在感が低下するのでは…」
→しかし、知事・市長選でW当選。反対の民意は上書きされたとして、再度、都構想の住民投票の実施を目指すことを表明。

【コメンテーターによる発言】(一部抜粋)
伊藤氏:橋下さんがいなくなった空白をですね、松井さんが埋めたってことだと思うんですよ。政界では 松井さんは親分肌で、信頼を集めてるところがある。松井さんを軸にまとまっていこうということでくずれなかったんだと思います。

大谷氏:こんど維新が補選で通ったのは、これは大阪(市民)が都構想いこうよという意味で一票入れたわけじゃないんですよ。だから、必ずしも都構想が焦点になっているのかと。

恵氏:そこが複雑なんですよね。

伊藤氏:大阪は僕毎週行ってるんですけど、大阪の人と話してると都構想にそんなに関心持ってないんですよね。だからさっき大谷さんがおっしゃっていたようにそれ以外の部分の維新に対する支持というのがあって、インバウンドが今急速に増えていて、大阪の街自体が元気になっている。万博もある、IRもある。なんかこう期待感があるんでしょうけど、大阪に本社を置いていた企業が流出しているという状況は変わってないんですよ。だからつかの間の元気かもしれないんですよね。それが維新が今後本当に大阪を経営していく場合にですね、そういうところまで踏み込んで大阪をもう一度本当の意味での活気を取り戻すかどうかがこれからの課題だと思います。

1:07~『維新の躍進を支えた官邸との蜜月関係』
【パネル説明】
・維新と組む官邸側のメリット:憲法改正を実現させるための「貴重な改憲勢力」
→与野党側の対決法案でも、維新の会は内閣不信任決議案を除く、共謀罪法案・カジノ法案・入管難民法改正案で賛成票

【コメンテーターの発言】(一部抜粋)
伊藤氏:改憲に関して言うと、公明党がのってくれれば別にいらないんですけど、公明党に対する牽制。維新は賛成してくれてるよと。もし本当に公明党が反対だったら外してもいいよ、という牽制の意味がある。ただ維新について僕がいつも疑問に思っているのは、内閣不信任決議案についていつも反対票を投じてるんですよね。内閣不信任決議案に反対票を投じるってことはイコール政権与党を全面的に信任するってことになりますから、個別の法案の問題よりもっと重いんですよ。与党を全面的に信任する野党なんてこんな論理矛盾はない。ですから国政政党の維新派はどこにいるんだろうといつも疑問ですけどね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の点です。

まず、報道の際には正しい情報を適切な根拠の元に伝える必要がありますが、政治的な報道をする際には、一般的に我々がこういった報道番組から政治についての情報を手に入れることが多いことを考えると、不確実・不明確な情報を流したり、公平さを欠く報道は望ましくありません。

今回のひるおび! の報道では時間を多く取り、多角的に論じていますが、一部論拠が不鮮明なコメントが続きました。

例えば、伊藤氏の
「大阪は僕毎週行ってるんですけど、大阪の人と話してると都構想にそんなに関心持ってないんですよね。」

同じく伊藤氏、
「結果的には、維新って今上半身と下半身が別のモノのようになっているんですよね。国政政党の維新の会は非常に自民党に協力的。大阪維新と自民党は地元で決定的に喧嘩している」
「ただ維新について僕がいつも疑問に思っているのは、内閣不信任決議案についていつも反対票を投じてるんですよね。内閣不信任決議案に反対票を投じるってことはイコール政権与党を全面的に信任するってことになりますから、個別の法案の問題よりもっと重いんですよ。与党を全面的に信任する野党なんてこんな論理矛盾はない。ですから国政政党の維新派はどこにいるんだろうといつも疑問ですけどね。」

前者のコメントについては、いったい大阪のどのような人と話していたのか不鮮明です。大阪の中でも特定の地域や年齢層にとって関心ある問題であることは世論調査で賛成・反対に票を投じている人がいることから明白です。

また、後者に関して言えば、確かに国政で維新の会は与党の政策を支持しつつ、一方の大阪では自民党の北川候補に対して対抗馬を擁立し、市長選に続くW勝利を収めるに至りました。しかしながら、大阪の地方政党として立ち上がり、大阪都構想を掲げる維新の会が大阪で候補を擁立しないことは不自然です。

更に言えば、今回当選した藤田氏は与党が擁立した北川候補と対立しましたが、その主張は与党への対立というより、対立候補への牽制、つまりは俗的に言えば、「たまたま強敵となる候補が北川氏だった」ことによるもので、野党であるから批判しているとは見切れない側面もあります。この論も類推と言われるかもしれませんが、維新が野党共闘に積極的に協力していなかった事実は存在するので、一つの考え方ではあります。とすれば、維新の会の方向性が中央と周縁で別になってしまっているのではなく、むしろ与党が維新の会に対しての接し方を決めかねているという見方もできます。

こう見ると維新の会は地方、中央ともに、与党野党という枠組みを超え、自らの意思に基づいて政治に参画しているとも言えるかもしれません。

何れにせよ、このような発言が事実とされるのは安易であり、更にこれが政治についての話題であること、参議院選が控えていることも考えれば、軽率だった可能性はあります。
以上の内容が第二項「政治的に公平であること」、第三項「報道は事実を曲げないですること」に反している可能性があります。

これは視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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