2019年5月28日 Nスタ

2019年5月28日 Nスタ

Nスタ、2019年5月28日放送回の検証報告です。
今回の報告では、川崎市で起きた殺傷事件について報道された部分について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

最初に検証するのは、○○について報道された部分となります。
では、さっそく放送内容をみていきましょう。

川崎殺傷事件 記者会見映像
【冒頭部分】
アナウンサー:学校側の会見が始まりました。

カリタス学園斎藤哲郎理事長: これから今朝、小学校のスクールバス乗り場付近で起きた、大変痛ましい事件についてご説明いたします。(中略)
今回の出来事によりまして、カリタス小学校の児童18名が被害に遭い、そのうち一人が残念ながら、亡くなりました。また、子どもを送ってきていた保護者の方々の中で、お二人の方が被害に遭い、お一人がやはり命を落としました。本当に、このなんとも言えない蛮行によって、落ち度のない子ども達と、愛情深く子どもを育んでこられた保護者の方々が、こうした被害に遭ったことを、怒りのやり場もないくらいの気持ちであり、本当に痛恨の極みです。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、怪我をされた方々の1日も早い回復と、また、ご家族の皆さまの痛みに寄り添いながら、この事態を何とか乗り切っていきたいと思っています。また、残された生徒たち、保護者の方々につきまして、その現場にいた子ども達も沢山おります。心の傷を深く受けていると思います。これからの子ども達の安全確保はもとより、この深い心の傷を負った子ども達の心のケアに万全を尽くしたいと考えています。そのための体制につきましては、専門家の方々のご意見も伺い始めております。県の私学振興課、あるいは県の教育委員会の担当部署の方々にも、ご意見をいただいております。
私の話の最後になりますが、皆さまに、できましたらお願いがございます。子ども達、そして保護者、本当に深い心の傷を負っておりますので、できることなら子ども達への直接のご取材といったものは、お控えいただければありがたく思います。本当に子ども達、そして子ども達のことを心配する保護者の皆様の気持ちを、ご一緒に考えていただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。(省略)

司会:(省略)

内藤貞子校長:校長の内藤でございます。保護者の皆さまの心配事は、無事に学校行って、無事に帰ってきてくれるかなっていうことを、入学させたときは、そういうふうに思いながら毎日見送り、そして迎えてくださっているんだと思います。本日、本当にこのように痛ましい事件が起きましたこと、大変悲しく、そしてつらく思っております。

事件の状況につきまして申し上げます。
毎日、登戸の多摩川口から、本校ではスクールバスを出しています。ピストン輸送で、7時25分から8本出しています。本日5本目までは普通に運行していました。6本目のバスに子ども達が乗り込んだ時に、男が学校方面のコンビニあたりから、両手に刃物を持ってきて、そして、並んでいる子どもたちを次々に切りつけました。このときに教頭が対応しています。
詳しいことは、このあと教頭に話してもらいます。

倭文覚教頭:教頭の倭文と申します。私は毎朝、子たち達をスクールバス停で学校に送っている、そんなことを送っている、今日の朝も同じでした。
5番目のバスを学校に送り、次の6番バスがバス停に到着をしたその時、私は子供達の先頭の位置におりまして、そこから6人ほどの児童を6番目のバスに乗せたその時ですけれども、列の後方の方で子供達の叫び声が聞こえてきました。私の位置からだとその様子が見えないので、状況がよくわかるように一度車道の方に私は出て、列の後方の方に移動しました。その時私の目の前に、犯人が両手に長い包丁らしき物を持って、無言で児童に刃物を振りながら、スクールバスの乗り場の方に走っていく姿を確認し、私はすぐその犯人のあとを追いかけていくようにした時に、そこから先の児童には被害を加えずに走っていくところを、今度は本校のスクールバスの運転手がバスから降りてきて、犯人のあとを追いました。私はその姿を見届けて、犯人よりも子供達の方に行こうと思って、携帯電話で110番をしながら、子供達の傷の様子、被害の状況を確認しながら列の後方に向かって行きました。ちょうどそれが7時45分、警察のほうにパトカーと救急車の手配と現場の状況を説明をしました。そして7時51分に、学校の方に同じく携帯で一報を入れました。連絡が取れたので、次に私は怪我をしている児童のところで、泣いている子どもと怪我をしている子と、複数おりましたので、怪我をしていない元気な子ども達をスクールバスに乗せようと、「元気な子は先生についてきなさい」と言って、怪我をしている子は動かさない方がいいだろうと思って、その場に怪我をしている子どもたちは残して、歩ける子どもたち、怪我をしていない子供たちを全員スクールバスに。20人ほどいたと思います。詳しい人数までは覚えておりませんが。それで、まだ後方の方に倒れている児童もいたので、次はそっちの方の児童がどういう状況かを確認しにいきました。コンビニが近くにありまして、そちらの方に逃げている子供達もいたので、コンビニの中はどうなっているのだろうということで、一旦私はコンビニの方に向かっていくと、コンビニの中にも複数の本校の児童が逃げておりました。奥の方に怪我をしている児童がおり、それ以外に、その3倍くらいの児童がコンビニの中に逃げておりました。コンビニの中と路上とスクールバスの手前の怪我をしている子供達を見ながら、一番重症かなと私が思った児童のところにそのままいて、救急車、救急隊、警察の到着を待ちました。私の対応と子供達のその場の様子は以上です。

内藤貞子校長:被害の状況ですけども、そこに並んだ子供達は全員被害に遭いましたけど、被害に遭った子供達の中で、いろいろなところを傷つけられ、病院に搬送されました。多摩病院、聖マリアンナ病院、新百合ヶ丘総合病院、日本医科大学などに緊急搬送されました。この中で一名は、手当の甲斐もなく亡くなりました。保護者も一名、命を落としました。心よりご冥福をお祈りいたします。事件後、すぐに現場に9人の教員が出向きました。カウンセラーの教員、そして中・高、幼稚園の教員も駆けつけて、子供達の側で対応いたしました。それぞれの病院に、教員が付き添っていきました。また、登戸駅では、駅に戻った児童、そして登校してきた児童を集めて、教員が付き添い、学校まで引率しました。学校では子供達の出欠を確認し、被害にあった子供達の状況を確認しました。学校に着いている子供につきましては、保護者に無事を知らせるように指示をいたしまして、連絡をとり、その後、一斉に保護者に引き取りを依頼しました。学校としての当面の対応は、小学校・幼稚園は5月31日まで休校、中学校・高等学校は明日休校、そして6月にあります6年生の宿泊行事は中止としました。今後、登下校の教員による見守り体制を強化いたします。また、警備員も増員して強化をして行きます。一番心配なのが、子供達の心のケアです。小学校のカウンセラー2名に加えて中・高からも派遣していただき、また外部の方の力も借ります。一つは神奈川県の学校緊急支援チームと、川崎市からは精神保健センターからの支援もいただきます。学校医の岡野先生にも入っていただき、協力していただく予定です。本校で研究に協力してくださっている心理学専門の先生にも来ていただきます。色々な方の協力をお願いして、子供達の安全のケアをしていくつもりです。また、この心のケアにつきましては、小学校だけではなく、幼稚園の園児や中・高の生徒に対しても、学園として同じ体制で対応していく予定です。また、保護者の方々も、ケアが必要な方も多いと思いますので、そういうことも含めて、学校として受けていきたいというふうに考えております。カリタス小学校は、保護者の方々の、本当に、絶大なる理解と協力を得て、成り立っていますが、子供達の命あっての教育です。今日保護者会で、保護者の皆様にも色々な提案をしていただきました。これらのことも考えながら、学校として、でき得る限りのことを尽くして、これからも子供達を守っていきたいというふうに考えております。私からのお話は以上です。

【質疑応答】
司会:学校からのご説明は以上でございます。皆様から、もしご質問があれば、可能な範囲でお答えをいたしたいと思います。会社のお名前とご自身のお名前を名乗っていただいてご質問いただきたいと思います。

記者:産経新聞のタマザキと申します。この度お亡くなりになられた栗林さんなんですけれども、どのようなお子さんだったのか、先生がご存知の範囲で教えていただけると大変ありがたいです。よろしくお願いします。

内藤校長:はい。私は、毎朝、学校の前で立っていますけれども、「おはよう」って声を掛けたときは、彼女は本当に笑顔いっぱいで「おはようございます!」っていうふうに返してくれるお子さんでした。本当に、信じられません。今日も、元気のいい挨拶が聞けるかなというふうに思っていました。

記者:朝日学生新聞社のヤギと申します。差し支えなければ怪我をされた児童の男女の別と学年の別っていうのを教えていただけないでしょうか。

内藤校長:ここにはちょっと持ってきておりませんけれども、低学年の子どもたちが多かったです。男の子がいませんでした。全員女の子です。女の子、1年生が十数名でしたね。14名かな。

記者:TBSのフジモリと申します。教頭先生に伺います。事件当時、現場に居合わせて、お辛い中で大変恐縮なんですが、犯人が襲い掛かってきた様子、先ほど少しお話いただきました。今思い返してみて、何か犯人が声をあげていたり、その他動きでしたり様子について、今、覚えていらっしゃることはありますか。

倭文教頭:先ほどもお伝えしたように、彼は何も話をするでもなく、叫び声をあげるでもなく、怒鳴り散らしてもいず、無言でした。だから子どもたちも、気がつかないんですよね。子どもたちの視線は、犯人を後ろに背負いながら、スクールバス停のバスを見ているから、後ろから走りながら切りつけてきている犯人は視界には入っていないですね。でも、キャーという叫び声とか、痛いっていうことで、それぞれ振り向いたそこを、犯人はまた切りつけていったんだというふうに思います。ですから、もうちょっと怒鳴りながら、大声を上げてやってきたらば、子どもたちも三々五々、キャーと逃げることができたと思うんですが、走りながら切りつけてくるっていう、そのやり方が、大勢の子どもたちを巻き添えにしたのかなというふうに思います。

記者:ありがとうございます。

記者:テレビ神奈川のヤマモトと申します。先ほど行われました保護者会についてなんですけれども、学校側からはどのような説明があったんでしょうか。また先ほど提案っていう言葉があったと思うんですけれども、保護者方からはどのような話が出たんしょうか。教えていただけますでしょうか。

内藤校長:本校の子どもたちは、スクールバスに乗るのに、駅からずっと教師が引率して歩いて整列して歩き、そしてスクールバス停のところで待っていますので、少し待っている時間があるんですね。そこを短くしてほしいっていう、そういう声がありました。また、事故対応の後の子どもたちの心のケアのプログラムを考えていただきたいというふうにおっしゃっていました。その他、今、スクールバスが、登戸からしか出ていませんけれども、他の駅からもスクールバスを出して、分散されたほうがいいのではないかっていうことや、後、本日子どもたちが学校に着いたかどうかが、やはり少し電話連絡など対応していまして、少し遅めになったんですね。その点で、不安があったので、その辺のシステムを考えていただきたいっていうことが出ました。
それと、一番保護者の方がお願いとして出されていたのが、報道関係者の皆様にお願いします。これは、保護者からです。子どもたちの写真を撮ったり、それから子供たちにインタビューをしないでほしいっていうことが、出されていましたので、これは・・・(音量減少)

ナレーター:そういったマスコミに対する声も肝に銘じて、私達も放送してまいります。学校関係者、校長、教頭、理事長、大変お辛い状況の中、会見対応してくださいました。教頭は毎朝、子供たちを見送っていたと。確保された男は叫ぶこともなく無言で刃物を切りつけてきたという話もありました。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の点です。

今回の事件は、子供が被害者となった大変痛ましい事件です。
会見では学校側が事情を説明したのちに、学校側に特に子供たちへの過度な取材を避けるように配慮するように求めました。しかしながら問題となったのは、テレビ神奈川の貴社の質問に対して、保護者から再度子供への取材や写真撮影を自粛するよう求めたのだと予測できますが、そこで音声が絞られました。
確かに同じ内容はその前に述べられているものの、意図的にマスコミにとって不都合な場所を選んで音声を絞ったと考えることも可能です。事実、その後どのような発言が続いたのかは分からずじまいでした。

今回の放送では一定の立場に偏った内容だけを報道した可能性があり、これが放送法第2章第3条「報道は事実を曲げないですること」に違反する可能性があり、視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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