2020年5月5日 とくダネ!

2020年5月5日 とくダネ!

5月5日のとくダネ!のレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・事実と異なる放送であった

まずは放送内容を確認していきます。

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この日の放送では、三浦瑠麗氏(以下三浦氏)の研究所が調査したものとして、自粛生活をどれだけ耐えられると思うのかというアンケート結果の割合が示された円グラフが見られました。
数値の内訳は以下になります。

・5月6日まで : 12.1%
・あと1カ月間 : 32.8%
・あと3カ月間 : 19.8%
・あと半年間 : 8.1%
・あと1年間 : 12.1%
・それ以上必要なだけ : 24.0%

上記の数値を合計すると108.9%となり、ネット上でもこの件について大きな話題となり、三浦氏は放送直後に自身のTwitter上で

「とくダネ!に吉村知事にご出演いただきました。倒産危機や失業の現状と今後さらに経済が悪化する予測を踏まえ、経済対命ではなく「命対命の問題である」というコメントがありました。また、経済再開のための大阪府の「基準」は現時点でのものであり、経済状況を踏まえ随時変更していく可能性もあると。」(今回の円グラフが載っているテレビ画面のキャプチャー画像が添付されていました。)
という発言に続け、

「ちなみにフジテレビが出した円グラフの数字が一部間違っていました。一年耐えられると答えた人は、正しくは3.2%です。」と訂正をしています。

さらに三浦氏は続けて、

「さらにちなみにですが、年代別人口に合わせて割り戻ししていますので、このグラフの下部にある回答者の年代比率は、無視してください。こちらもフジテレビの独自作成の記述です。
ややこしくてすみません。弊社のグラフと報告書をどうぞ。」
(あと1年間と答えた人の割合が3.2%となっている正しい円グラフが添付されていました。)
と発言しており、番組で提示されたグラフは番組が独自で作成したものだと明かしています。

この円グラフの数値は放送中に何度か登場しましたが、この数値について放送内で触れていた部分は以下の通りです。
伊藤アナウンサー:「これは三浦さんの研究所が調査をされたものなんですが自粛生活、どれだけ耐えられますかという質問に対して5月6日までです、12%。あと1カ月、これが一番多くて32.8%という数字皆さん、ぎりぎりという雰囲気なんですが収入源についてもこの調査では聞いたということなんですが派遣、フリーランス、自営業がこれだけ収入が減っている。ダメージを受けているということです。」

また、この日の放送終了間近に番組内で数値に関する訂正がありました。

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【検証部分】
数値に関する訂正があったものの、番組では誤ったグラフが放送されていたのは事実です。円グラフでは数値が大きく表示され、多くの視聴者はパッと見た数値をそのまま受け入れるでしょう。数値だけを見れば国民の3分の1以上がまだ耐えられると考えていると読み取ることができ、印象操作ととらえられかねません。

また、一番の問題と思われるのは、明らかに誤りであるとわかる作成したグラフをろくに確認もせずに放送した番組制作側です。三浦氏がTwitter上で指摘したように、今回の円グラフは三浦氏の研究所が発表したデータをもとにして、番組制作側が独自に作り替えたものです。

そもそも円グラフで合計が100%になっておらず、12.1%は「5月6日まで」と一致していることからも数値は手入力していたと考えられます。誤りを防ぐためには自動計算が望ましいですが、やむを得ず手入力をするのなら、なおさら入力した数値の確認をしっかり行うべきです。それを怠った番組制作側は不特定多数の視聴者が存在するテレビの影響力を過小評価していると言わざるを得ません。

このような放送は下記の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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