2018年10月26日 直撃ライブ グッディ!

2018年10月26日 直撃ライブ グッディ!

直撃ライブ グッディ!、2018年10月26日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・シリアに拉致されていた安田さんが解放されたが、それに関して世論では様々な意見があるという報道がされた部分

以上について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

最初に検証するのは、安田さんの行動は自己責任であるとする報道がなされた部分となります。
では、さっそく放送内容をみていきましょう。

 安田さんの自己責任論について論じていた時。
ネットによる100人のアンケートの結果、13パーセントが賛成、52パーセントが反対だった。
そして賛成、反対のそれぞれの二つ、街の人のコメントが読み上げられる。

そこから

安藤優子アナウンサー(以下安藤)
この自己責任論がやっぱり出てくるんだなと思いますけど、行くこと自体に反対っていう方が多いってのは私はちょっとやっぱりびっくりしちゃいますよね。だって、そこに行かなかったら取材なんてできないってのがまず基本なので。もしそこを取材したいと思えばそこにできるだけ近づきたいってのは、取材者としてのやはり本能だと思うんですよね。100パーセントの安全なところでしか取材ができないっていうならば、取材なんてできなくなる。

田村勇人弁護士(以下田村)
やっぱり日本人の教えとしてなるべく人に迷惑をかけないようにってのがあるけれども、なんかインドの教えって、人を許せる大人になりなさいっていうような教え方をするんですって。だからこれを見て確かに自己責任だと僕は思いますけど、行くも行かないも、そこで命を落としたとしてもそれは自己責任なんですけども、でも今回こういろんな人が何かの力で助けられるんだったら助けたいと思うのが僕は人だと思うから。この後お金がかかってるから俺だって税金払ってるとかいうかもしれないけど、木村さんが言ってたみたいにポケットマネーみたいなものだと思うから、僕はこれをどう捉えるかは安田さんがどうかで、返しますというのも自由だし、ジャーナリストとして生きてくのも自由だし。まあ家族はそりゃ反対する権利はある気がしますが、外縁の人間がとやかくいうことじゃないかなっていう気がします。

ジャーナリスト木村太郎さん(以下木村)
行かなきゃいけないって話なんですよ。今から45年前オイルショックが起きた時。日本のスーパーの棚からトイレットペーパーがなくなった。その時日本人が何言ったかってマスコミ何してたんだって。第四次中東戦争を伝えなかったじゃないか。伝えてたんです。だけどほんとに手詰まりになるとこまでは伝えてなかったから。だからあの後のオイルショックが読めなかった。

安藤
中東情勢は知らなかった。

木村
知らなかった。だから僕はそれ見てね。中東の記者になりたい人はって手を上げて中東の特派員になったんですよ。行ってみてわかった。あそこは世界の火薬庫なんですよ。いくらでも爆発する要素がいくらでもある。それはね。こんな小さな火種から起きるんです。で、それは人の憎しみで憎しみが爆発していく。それを知らないとね。中東は読めない。それを探りにいくのが記者の役目、仕事なんすよ。だからこの人が行っちゃったのは何も好奇心から行ったんじゃなくて、日本が知らなきゃいけないことを調べに言ったんですよ。この人に自己責任なんてのは筋違いですよ。謝らしちゃいけない。

安藤
まあやるべきことを安田さんは果たしただけだと。

木村
誰かやんなきゃいけないこと。

三田友梨佳アナウンサー(以下三田)
まあ結果として多額の資金がこう言った組織に流れてしまうという事実はどうなんでしょう。

木村
そういうのは安田さんの責任じゃないでしょ。

安藤
まあそれをやってる側の責任っていうこともね。言えるかもしれませんけど。ただ一方でやっぱメディアの大手なんかはやっぱり会社の人間は安全が第一だから。こういう安田さんのようなフリーのジャーナリストの取材や取材活動の成果に頼らざるをえないところもあるわけで。それを考えると軽率に自己責任を私たちが批判する立場にはほんとにないのかなという風に思いますし。木村さんもそうだと思いますが、行けって言われたら私・・・。

木村
僕はね。もうちょっと若かったら実際シリア内戦取材したかった自分で。そのくらい影響が大きくなってる。今度のカショギ事件もシリア内戦が背景にあるわけですよ。

安藤
やっぱシリアが一体どう出てくるのか。言ってみないとわからないと。

高橋克実さん
グッティじゃなくてほぼスーパーニュースですけど。

安藤
いやいや、そんなことないと思いますよ。
ここまでは安田純平さんの帰国についてお話をいただきました。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の2点です。

1、インターネットアンケートの結果が信頼に値するものではない。
2、自己責任論に関して、片方の立場の意見しかでてこない。

それぞれ順を追って解説します。

1、インターネットアンケートの結果が信頼に値するものではない
①スタジオでフリップを用いて、安田さんの自己責任論に関するアンケートの統計が示されましたが、これの結果が何を指しているのか不明瞭です。具体的には、危険な紛争地帯での取材に関して「賛成」が13%、「反対」が52%と記してあり、残りの「どちらでもない」の割合が明記されていませんでした。計算をすると、35%の人がこれに該当することがわかります。この点で、まず3人に1人が、この問題に関して無関心であることがわかります。
次に、問題だと考えるのはこのアンケートの母数です。これはインターネットをベースにしたアンケートにもかかわらず、回答者が100人しかおりません。
これに関して、フリップには具体的な回答収集方法や時期の明記がなされておりませんでした。インターネットベースのアンケートの信頼性がRDD式世論調査によるものよりも劣る点は、インターネット特有の利便性と匿名性にあります。第一にどのサイトでアンケートを実施したのかが大きく影響します。そのサイトの政治的ポジションにより、そのサイトの閲覧者は大きく偏ります。よって、意見が一方に偏ると考えるのは当然と言えます。次に、ネット空間は匿名性が高いため、同一人物が複数回に及んで回答している可能性が否定できません。RDD式は調査する側が無作為に電話をかけており、この点で同一人物が複数回回答する可能性を著しく低下させています。
よって、今回用いられたアンケートの結果が世論を反映しているかという点では大きな疑問が残り、この放送内容は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2.自己責任論に関して、片方の立場の意見しかでてこない。
番組では、前述のアンケート結果を基に「拘束の可能性がある場所での取材に関して」の議論がされました。
しかしながら、最終的に発言する全員が賛成であるという趣旨の発言になっています。

まず冒頭に

安藤氏(抜粋):行くこと自体に反対っていう方が多いってのは私はちょっとやっぱりびっくりしちゃいますよね。

と発言し、賛成しています。
次に田村氏は

田村氏(抜粋):これを見て確かに自己責任だと僕は思いますけど、行くも行かないも、そこで命を落としたとしてもそれは自己責任なんですけども、でも今回こういろんな人が何かの力で助けられるんだったら助けたいと思うのが僕は人だと思うから。

と発言しております。田村氏は一見すると危険な場所での取材は反対であるかのような発言をしておりますが、最終的には人は互いに助け合うものだとして、立場を明らかにしていません。
また、ジャーナリストと木村氏は職業人として、安田さんの自己責任論を強く否定(危険な紛争地帯での取材を強く賛成)して、自身の経験と重ねながら語りました。
このように、番組内では「拘束の可能性がある場所での取材に関して」の議論がされましたが、これに対する否定的な意見が述べられることがありませんでした。更に、安田さんが解放される条件としてカタールや日本国政府が数億円の身代金を払ったという報道もありましたが、これに関しての議論も安田さんに責任は無いというものでした。

以上のことから、今回の放送内容は「危険な紛争地帯での取材はあって当然である。また、それによって周囲にいかなる迷惑をかけても、当事者に責任はない」という立場に立ってのみ報道が行われた可能性が高く、その場合は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では政治的に公平でない内容を報道し、また一定の立場に偏った内容だけを報道した恐れがあります。

視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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