2018年2月22日 ニュースウォッチ9

2018年2月22日 ニュースウォッチ9

2018年 2月22日のNHK「ニュースウォッチ9」の報告です。

この日のニュースウォッチ9は視聴者に間違った印象を与える「印象操作」の疑いがある悪質な放送を行っていたとのことで、コミュニティにおいて話題となっていたため、調査いたしました。

問題の放送箇所は、番組が当日の「働き方改革」を巡る国会審議について報じた場面です。

まず、ニュースの流れをお伝えしていきます。

【放送内容】
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アナウンサー①「では、次のニュースです。厚生労働省が行った、労働時間の調査で誤った記入や入力ミスが新たに見つかりました。」
アナウンサー②「確認された誤りは少なくとも117件。働き方改革を巡って今日も国会で激しい論戦が行われました。」

2人のアナウンサーが今国会の大きな争点となっている「働き方改革法案」に関連する、労働時間の調査データに新たな誤りが発見されたことを伝え、VTRがスタートします。
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冒頭、立憲民主党の逢坂誠二議員の質問を放送。
逢坂議員「117件はデータを見て『これはおかしい』と目視で気づくようなものだった。これ以外にもあるかもしれないが精査はいつまでにやるのか。」
加藤勝信厚生労働大臣「野党の指摘で(事業所から聞き取った資料が)厚生労働省の倉庫から出てきた。(中略)まず原データと打ち込みを比較しろと。これは1万数件ありできるだけ速やかに対応していきたい。」
逢坂議員「今は117件だが、もしこれ以上不備・不適切なデータが出ることになれば厚生労働大臣の進退問題にかかわると思う。一刻も早く精査しなければこれ以上審議できない。」
安倍首相「原票と打ち込んだ後のデータは突合させなければいけない。厚生労働省として精査すると大臣は申し上げている。(以下略)」

続いて希望の党の後藤祐一議員の質問に切り替わり、後藤議員が調査のやり直しを訴えたとのテロップも出ました。
後藤議員「過労死を絶対起こさないためには裁量労働制の採用前後で比較するのが一番大事。裁量労働制が入る前と後でどう変わったのか、わからないのになぜ適用拡大の議論ができるのか。総理、ぜひ自主点検でなく再調査を今の話を含めてやる約束いただけないか。」
安倍首相「実際に見なし労働時間が実労働よりも乖離がある場合にはしっかりと適切な指導をしていくことも新しい法案は入れ込んだ。これは今既に行われている裁量労働制全般にも適用されていくのでそういう対応も取ったうえで柔軟な働き方を可能としていきたい。」

その後、ナレーターが裁量労働制の適用業務拡大について、法案の施行時期を当初の2019年4月から2020年4月に遅らせる方向で、政府が与党と調整していることを紹介。法案の提出は今国会に提出する考えであることも併せて紹介されました。

番組は続いて、審議が一時中断し与野党の筆頭理事らが委員長を取り囲む場面を放映。
ある議員が何かの文書を委員長に手渡す場面もその流れの中で併せて放映されました。
ナレーターが「これに対し立憲民主党など野党6党は今の国会への法案の提出を断念するよう迫っていて、今後も激しい論戦が繰り広げられる見通しです。」
とまとめ、このコーナーは終了しました。

【検証部分】
問題は上記の場面での「テロップ&ナレーターの発言」が「使用された映像」と乖離している点です。
ナレーターが発言する際に下に出されたテロップには
「立憲民主党など野党6党
今国会への法案提出 断念するよう迫る」
と書かれていましたし、このコーナーを通して右上のテロップには
「国会論戦「働き方改革」」
関連法案で与野党対立
とありました。

しかし、この際使用された「審議が一時中断し与野党の筆頭理事らが委員長を取り囲む場面」の映像は、ある議員が、別の問題について質問した際のやり取りを撮影した「(働き方改革とは)関係のない映像」だったのです。
詳しく説明していきます。
このやりとりは希望の党の津村啓介議員が質問した際に起きたものでした。
その日津村議員は働き方改革に関する問題だけでなく、地方の交通行政に関する質問も行いました。
しかし、その際質問通告を行いながら、国土交通大臣を国会に呼ぶことをしていませんでした。
そのことについて与野党の筆頭理事が委員長の前に集まって協議を行ったのです。

ニュースウォッチ9はその様子を捉えた映像を、全く関係のない、働き方改革法案について報じる場面で使用したのです。
国会で与野党の筆頭理事が委員長席の前に集まって協議をするのはそれほど珍しい場面ではありません。
この場面は基本的に与野党で意見が対立したり、審議が膠着した際に起きることが多いです。
これを見たときにそのような状況を想定する視聴者は一定数いると思われます。
つまり、この映像を、働き方改革法案についての審議での場面だとして放映すれば、一定数の視聴者は「厚生労働大臣や総理の答弁の不手際」があったものだと推定する可能性があります。

したがって、あるテロップやナレーションが、全く関係のない映像と組み合わさることで、厚生労働大臣と首相の評判を下がるよう、視聴者たちが誘導される可能性があるのです。
そもそも、印象操作の意図が無かったとしても、事実と異なる報道をしていること自体が問題視されるべきであり、放送法第4条3項の「報道は事実をまげないですること。」という条文と著しく乖離しています。

悪質な報道を無くすため、視聴者の会は今後も監視を続けます。

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