2018年11月9日 ひるおび!

2018年11月9日 ひるおび!

ひるおび!、2018年11月9日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・トランプ大統領がCNNの記者をホワイトハウス出入り禁止にした報道について
以上について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

最初に検証するのは、○○について報道された部分となります。
では、さっそく放送内容をみていきましょう。

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トランプ大統領が中間選挙を受けて、演説を行った。
その内容について説明がなされた後

ナレーター:
穏やかな雰囲気で進んでいた記者会見でしたが、CNNのジム・アコスタ記者がトランプ大統領に批判的な質問すると、空気が一変します。

CNNジム・アコスタ記者(以下アコスタ):
ロシア疑惑で弾劾される懸念は?

トランプ大統領(以下トランプ):
ロシア疑惑について懸念はない。あれはでっち上げだからだ。もういい、マイクを置け。

ナレーター:
ロシア疑惑を追及され、苛立ちを露わにしたトランプ大統領は、アコスタ記者に罵声を浴びせます。

トランプ:
CNNは君を雇っていることを恥じるべきだ。無礼でひどい人間だ。CNNで働くべきじゃない。
CNNは多くのフェイクニュースを報じているが、君たちは国民の敵だ。

ナレーター:
去年1月の記者会見でも、アコスタ記者は質問を拒否されていました。

アコスタ:
質問させてください。

トランプ:
君に質問はさせない。君たちはフェイクニュースだからだ。

ナレーター:
自身に批判的なCNNの記者と口論をしたトランプ氏について、専門家は。

明治大学政治経済学部 海野素央教授(以下海野):
トランプ大統領のメディア戦略です。メディアと戦っている姿を支持層に見せたかったんです。

ナレーター:
この後、今後のトランプ大統領のメディア戦略について専門家とともに考えます。

その後、スタジオで中間選挙の結果についてコメンテーターたちが話します。
その後、この記者とのやりとりに触れています。

恵俊彰氏(以下恵):
で、その後ちょっとCNN 記者とやり合ってる。ここはかなり激しいバトルになりました。ここちょっとご覧いただきましょう。

アコスタ:
ロシア疑惑について弾劾されるという懸念は?

トランプ:
ロシア疑惑について懸念はない。あれはでっち上げだからだ。
もういい、マイクを置け。
CNNは君を雇っていることを恥じるべきだ。
無礼でひどい人間だ。CNNで働くべきではない。


しばらく続いたんですけども。ロシア疑惑について弾劾されるという、そういう懸念はありますか。いやロシア疑惑について懸念はない。あれはでっち上げだからだ。もういいマイクを置け。CNNは君を雇っていることを恥じるべきだ。無礼でひどい人間だ。CNNで働くべきではない。
もうこの後もずっと前島さん、続きます。

上智大学前島和弘教授(以下前島)
そうですね。そもそもこの記者会見すごく長いんですね。1時間以上やってる。最初に中間選挙について話した後、あとはもうトランプさんの一大トークショーなんですね。ちょうど恵さんが司会で、色んな方がやりとりするような形で笑いあり、真面目な質問あり、怒りありと。まあこんな感じなんですね。


すごかったですもんね。

前島
ここだけ見ると怒りなんですけどね。ただ全体を見るとトランプ劇場の一つなんですね。


これもやっぱり、前島さん。見せたいのでしょうか。

前島
見せたいのもあると思いますし、逆にこれ、アコスタさんはいつものやり方なんですね。いってみれば、いつもこの二人こういうことやりながら、「お前はこないだよかった」とかやりながらそういうやりとりでやってるんですよね。


ある意味名物記者だと。

前島
名物記者ですね。ですので、周りの人もまた出てきたかと見てるところもあり。ですので、メディアってのは基本的に、民主主義を体現して政治の権力者と戦うところがあるんですが、ちょっとアメリカ冷めてるとこがあるんですね。


この国のことは俺に任しとけ、君はCNNで働けみたいなことも言ってましたもんね。で、まあこれに関して、今前島さんに伺いましたけど、いつも通りの対決姿勢で、トランプ流の支持者固めであると。それから海野先生は会見での口論はトランプさんのメディア戦略。メディアと戦っている姿を岩盤支持者に見せつける。これもパフォーマンスであるという見方。

海野
そうですね。これはやはりですね。ジム・アコスタ記者を使ってね、見せしめたんですよ。他のメディアに。こういうことやると、こうなるぞと。そしてですね。政治史を作ったんですよ。だって30人以上手あげたんですよ。指さなきゃいいじゃないですか。手あげても。無視すればいいのに。わざわざ指してる。最初の方に指してるんですよ。つまりそこでショーを作ったんですよ。そして自分は下院を落としてもメディアと戦ってくと。2020年の選挙に向けて、それを岩盤支持層に、示したんですよ。そういう風に計算してるんですよね。それで、昨日お話しさせていただいたんですけど、モンタナ州のビリングスってとこに行ってきました。トランプ大統領の演説なんですよ。そこにね、アコスタ記者がいらっしゃったんですよ。アリーナのブースにいたんですよ。囲まれてて、ちょっとその辺の距離にいたんで、私ね、声出して「ジム・アコスタ!」って言ったんですよ。そしたら、近寄ってきて、私いつもここに日米のバッジしてるんですよ。そしたらそれ見てね、ジム・アコスタ記者がね、「おお、いいバッジしてるね」なんていってね。握手したり話してたりしたら、視線を感じたんですよ。つまり他のトランプ支持者たちは、「お前何話してんだよ。」「お前何アコスタと仲良く話してんだよ」ってことなんですよ。それが9月です。


じゃあこの人はもうトランプ支持者には認知されてるんですか。

海野
敵なんですよ。敵と話したから、何やってんだって感じの視線を感じた。でも、アコスタ記者は嬉しかったんでしょうね。こんなアジア系のジェントルマンが声をかけて。ほんと来てくれましたよ。


そうか、トランプ支持者の中でね。ほんとは嫌われてるはずなのに。アジアの大学の先生が。アコスタ〜なんて言ったから。

コメンテーター溝口紀子氏(以下溝口)
海野先生もある意味敵になっちゃったんじゃないですか。

海野
いや、だから視線感じたので、ほどほどにして。


空気読んだんですね。

海野
いつも読めるので。


でも今先生がおっしゃってることで大事なのはここですよね。やっぱりメディア戦略で、これもショーで見せてんだと。俺に質問あるか、全員手が上がった。CNNの記者とか、自分にとって好意的なとこそうでないとこを見極めて。当てなきゃいいわけですよ。わざわざ当ててるってことはその先の出来事を予想してる。

コメンテーター八代英輝氏(以下八代)
そうですね。ですから他の記者にこういうところがあって取り上げたとなったら深刻な問題だと思うんですけども、アコスタ記者なので、2017年以来、ずっとこういうことを繰り返しているので、一種の様式美のように見えてしまう。まあプロレスのように見えてしまうところがありまして。ただ一つ問題なのは、このやりとりはパフォーマンスの一環としていいんですけども、記者証を取り上げた理由がアシスタントの女の人がマイクを受け取ろうとした時に手を抑えたとか。そういった一種のハラスメントというか暴行というか。それが理由だったので、それが実際あったのか。なかったとしたら、やはりそのやり方は問題だろうと。


これ結局この人ここに出入りできないみたいになっちゃったんですよね。
これちょっとご覧いただきますか。

アコスタ
何で取り上げるんだ?

ホワイトハウス警備員(以下警備員)
そう指示されている。

アコスタ
それなら私にもリポートする権利がある。私はCNNのジム・アコスタです。今ホワイトハウスの前でSPが私の取材証を取り上げようとしています。

警備員
どのくらい通っていたんだい?

アコスタ
私は5年間ホワイトハウスで2人の大統領を取材してきたんだ。


当然だからこうなることもひょっとしたら予想してたのかもしれませんけども、何で取材証取り上げるんだよと。そう指示されてるから。それなら私にもリポートするよ、カメラ回しますよ。というやりとり。これも当然だから、八代さん、計算?

八代
そうですね。ですから後でツイッターでこの警備員が自分の仕事をしただけだっていうフォローも入れてますし。結局このバトルというかやりとりは既存のメディアですね、その代表格と戦ってるところをトランプ大統領は見せることでメリットがあって、一方でCNNも視聴率が上がってるんですよね。これもすごく大注目されていて。


ウィンウィンなんだ。

前島
これなんか、アコスタさんが文句言うのも想定内で。一種なんか安い芝居を見ているような気すらしますよね。

八代
なんかあのトランプ大統領も最初質問来た時に厳しい質問が来るって予想しててもう最初の話しだした時にそらきたよみたいな感じで。もう完全に予測してんですよね。

溝口
なんかすごい茶番に見えてきちゃって。共和党が極右になる一方で、民主党も極左になっちゃって、なんかこう右も左も極端で、海野先生が言ったみたいに、物が自由に言えなくなっちゃってるアメリカが見えますね。


なんか極端なことを言わないと受け入れられない。さっき竹内さんが言ってたみたいな。普通の感覚がどこいったんだみたいなところですよね。

海野
ですから岩盤支持層を見るんですよね、両方。絶対動かない人たちを逃さない。トランプ信者は逃さない。


今日はそこを見ていきましょうか。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の2点です。

1、ロシア疑惑に際してCNNが記事のでっち上げを行ったことを述べず、あたかもトランプ大統領が悪者であるように報道している
2、スタジオ内の議論が一方的で、かつ政治的に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1.ロシア疑惑に際してCNNが記事のでっち上げを行ったことを述べず、あたかもトランプ大統領が悪者であるように報道している

スタジオでは米国トランプ大統領とCNNのアコスタ記者のやり取りを詳細に取り上げています。まずVTR内では以下のようなやり取りがありました。

CNNジム・アコスタ記者(以下アコスタ)
ロシア疑惑で弾劾される懸念は?

トランプ大統領(以下トランプ)
ロシア疑惑について懸念はない。あれはでっち上げだからだ。もういい、マイクを置け。

そもそものこの議論は、「トランプ大統領が、大統領選挙期間にロシアの介入を受けて不正な選挙活動をしていたのではないか」というロシア疑惑に端を発します。
そして、その疑惑を焚き付けたのがCNNでした。CNNは毎日のようにトランプ大統領のロシア疑惑に関する報道を続けました。
しかしながら先日、CNNはロシア疑惑に関する報道を行った記者3人を解雇しました。解雇の理由は前出のロシア疑惑に関する記事を作成した際に、ロシアの投資ファンドが関係しているとした匿名の情報の裏取りを全く行わず、社内の校閲等にファクトチェックされることもなく、あたかも事実のように報道した事によるものです。CNNは特にトランプ政権に対して批判的な報道をすることが多いですが、その中には多分にフェイクニュースが含まれているのです。政治家や公的な機関の人々を隠し撮りし暴露する専門集団“Project Veritas”は自身の持つYouTubeチャンネルでCNNの関係者を隠し撮りした動画を公開しました。この動画に登場するCNNのコメンテーターは「ロシア疑惑は中身がない(=でっち上げ)」と発言し、また番組プロデューサーは「なによりも視聴率が大事だ」と述べています。
このような事があった上で、トランプ大統領は「あれはでっち上げだ」と返答しているのです。
よって、この文脈においてはトランプ大統領が事実を述べているのですが、これに関する言及がスタジオ内で一切されていないのです。

よって、この放送内容は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2,スタジオ内の議論が一方的で、かつ政治的に偏っている
 スタジオでは「ホワイトハウスがアコスタ記者の入館証を取り上げた」ことを2つ目の話題にしています。これに関してコメンテーターの海野氏が、アメリカでアコスタ氏に会って会話をした点が取り上げられ、そしてあたかも彼が良い人間(嘘をつかない人間)であるような印象操作をして、「彼は悪くない、むしろ彼を追放しようとするトランプ大統領が悪い」とするような議論に持っていきました。しかしながら、前述の通りCNNは証拠をでっち上げた記事を報道しているのです。そして、スタジオ全体がそれに肩を持つような意見を述べています。

つまり、今回の報道はCNNの報道姿勢が絶対的に正しいとした上での報道である可能性が高く、その場合は放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では
事実と異なる内容を報道し、政治的に公平でない内容を報道し、また一定の立場に偏った内容だけを報道した恐れがあります。これは、視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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