2018年12月17日 news every.

2018年12月17日 news every.

news every.、2018年12月17日放送回の検証報告です。

今回の報告では「東京・青山の児童相談所建設問題」について報道された部分を検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

では、さっそく放送内容をみていきましょう。

藤井アナ:東京・青山の一等地に、児童相談所の施設を建設する計画を巡って、周辺住民が反発しています。

鈴江アナ:週末、説明会が行われましたが、一部の住民が区民を愚弄しているなどと声を上げるなど、大荒れとなりました。

住民:土地の価値を下げないでいただきたいというふうに思っております。

住民:港区民を愚弄するんですか?

ナレーション:強い口調で担当者に詰め寄る東京・港区の住民。これはおととい、港区役所が、3年後に開設する予定の児童相談所について、住民に説明する様子です。建設に反対する住民が、怒りを爆発させたのです。

住民:適切な立地がありませんでした。あなた方のご説明1行だけで、納得をしろというところに無理があるんです。

住民:あそこの5丁目の土地っていうのは、世界に発信していける場所なんですよ。もっと身近な所に作るべきだと思うんですね。

ナレーション:設置する場所に問題があると主張したのです。なぜなのでしょうか。それは。

福永リポーター:ブランドショップなどがある華やかな場所です。こちらに、更地になっている児童相談所の建設予定地があります。

ナレーション:ここは表参道駅に程近く、付近には数々の高級ブランドショップ。東京・港区の南青山にある広さおよそ960坪の一等地なのです。一部の住民らは、街のブランドイメージが傷つくと反対しているのです。建設される建物は4階建てで、総工費はおよそ100億円。相談機関以外にも、シングルマザーやDV被害に遭っている母親が、子どもと一緒に暮らせる入居施設も作られるといいます。港区は、先週、2日間にわたり、住民延べ350人に向けて説明会を実施しましたが、意見が対立。施設に入居する子どもに対しても。

住民:例えばその子どもを保護して連れてきました。それで泣き叫ぶ、そういった場合に、その周りに住んでいらっしゃる方たち、ご近所迷惑とかになると思うんですよね。

住民:入られたお子様が休日なんか外に出ると、あまりにも幸せな家族、着飾った両親、そういう場面と自分の家庭を見たときのそのギャップっていうのをどう思われるかっていうことを、私はすごく心配しております。

ナレーション:港区といえば、高級住宅街があり、区民の所得も全国1位。住民の中には、児童相談所に来る子どもが街になじめるのかと指摘する人もいるのです。また、3人の子育て中だという母親は。

住民:意識の高い公立小学校に入ろうと決めて、億を超える投資をして、こちらに土地を買って、家を南青山に建てました。子どもの習い事もちょっとたくさんしていて、レベルも高いです。もしその子たちがお金がぎりぎりで青南小学校にいらっしゃるとなった場合に、とてもついてはこられないし、とてもつらい思いをされるんではないかなと、むしろちょっとかわいそうではないのかなというふうに思います。

ナレーション:一方、港区は虐待などから児童を守るために、相談所を建設する必要性を強調しています。

港区の担当者:増加する児童虐待から、あしたの未来を支える子どもたちを守るために、できるかぎり早期に施設を整備していきたいというふうに考えてございます。

ナレーション:国の統計では、児童相談所における虐待の相談は、昨年度およそ13万件と、過去最多を更新。各自治体では、新たな児童相談所の設置が急務となっているのです。港区の説明に賛同する住民も。

住民:いい場所を見つけて、子どもたちのためにいい施設を作って運営してほしいと思ってます。でもなんで南青山5丁目なんですかっていう、そこの一点だけです。

ナレーション:子どもたちを守るため必要な児童相談所。反対の声に、行政はどう対応していくのか。今後港区はホームページなどを使い、住民らに説明を続けるとしています。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の3点です。

1、反対派の住民の意見だけが取り沙汰されている点
2、ナレーションの説明に事実誤認が見受けられる点
3、港区側の意見の取り上げが極端に少ない点

それぞれ順を追って解説します。

2、ナレーションの説明に事実誤認が見受けられる点

 引用中の下線部「一部の住民らは、街のブランドイメージが傷つくと反対しているのです。」ということですが、建設反対派の住民らが挙げている反対理由は様々であり、「街のブランドイメージが傷つく」という内容とは全く別の理由を挙げている住民も少なからずいます。このナレーションでは、あたかも取り上げた全ての反対派住民の反対理由を一まとめにしたような述べ方であり、視聴者に事実と異なる解釈を与えかねません。これは放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、住民側の意見に対して、行政側の意見の取り上げが極端に少ない点

 報道では、行政が住民に対して設けた説明会における発言が引用されています。全体を通して、住民側の意見は8回引用されているのに対し、行政側の意見は1回のみの引用に留まっており、明らかに行政側の意見の引用が少なく報道されています。これは放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では事実と異なる内容を報道、及び一定の立場に偏った内容だけを報道した恐れがあります。これは、視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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