2018年12月7日 ワイド!スクランブル

2018年12月7日 ワイド!スクランブル

ワイド!スクランブル 第1部、2018年12月7日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・改正水道法について報道された部分
以上について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

最初に検証するのは、改正水道法について報道された部分となります。
では、さっそく放送内容をみていきましょう。

大下 容子アナウンサー(以下、大下アナ):続いては、改正水道法がきのう、衆議院本会議で賛成多数で成立しました。これによって地方自治体は水道事業を民間に委託できるようになります。私たちのライフラインは料金含めどのように変わっていくのでしょうか。

【VTR】
(概要)衆議院本会議で与党と日本維新の会などの賛成で改正水道法が可決・成立した。これにより水道事業の在り方が大きく変わると言われているが一体、どうなるというのか。
改正水道法は自治体が水道施設を持ったまま運営権だけを民間に売却するコンセッション方式の導入が柱となっている。水道の供給について一部民営化するとの内容に野党側は疑問を呈してきた。
【VTR終】

佐々木 亮太(以下、佐々木アナ):こだわりのニュースを独自の切り口で深堀りしていきます。スクランブル1です。ちょっと声が聞き苦しいかもしれませんがすみません。ライフラインの中でも今日は最も重要なものの1つとして水を扱っていきます。改正水道法でどう変わるのかということですがまずこちら、ご覧ください。標準家庭の月額に相当する20立方当たりの水道料金ですが、水道料金が高い自治体ご覧のように北海道が高いんですね。
そして、水道料金が安いほうはひと月、赤穂市が853円。比べてみますとトップの夕張と比べておよそ8倍。それだけ差があるということなんですね。なぜ、ここまで料金の差が出てきてしまったのかそれぞれ自治体に聞いてみました。まず夕張です。とにかく広いと。しかも夕張は山間部にあるので8000人を超える人口に対して総延長もこんなに長い水道管が必要ですよと。一方、赤穂です。全国で一番水道料金が安いんですが街自体がそもそもコンパクトなんですと。そして端から端までが4kmなのでしかも、市の中心を流れる千種川が清流なので上水道にかかるコストは非常に低いですよと。

小松 靖アナウンサー(以下、小松アナ):当然、地理的条件がずいぶんと違うわけですからそれが料金に反映されるのはわかりやすいですね。

佐々木アナ:ポイントは2つですね。人口減少による水道使用量の減少と
水道管など施設の老朽化が挙げられるということなんです。そして、その問題を解決すべく今回の改正案のポイント2つです。まずは、それまで各市町村でリーダーシップを取っていたのが全部、都道府県大きな行政でまとめましょうと。そして、もう1つが官民連携ということでコンセッション方式というふうに呼ばれますが、これ、自治体が公共施設の所有権は持ったまま運営権を民間の事業者に売却するという。メリットとしては民営化によって他社との比較ができる。そうすると、サービスなどが向上するんじゃないかというそういうことが挙げられます。

小松アナ:ハイブリッドという形ですよね。広域連携というのはまとめられるところはまとめるという、効率化というこの2つ。2大特徴ということですよね。

佐々木アナ:そういうことになりますね。この下ですねこのコンセッション方式を巡って与野党が激しい論議を繰り広げたわけですが、実は世界的に見るとこうです。例えば、フランスのパリ。だいぶ前からやったんですね。水メジャーと呼ばれる3社あるんですがそのうちの2社とコンセッション契約を結んで25年の契約期間で度々値上げしまして水道料金が2.5倍上昇したと。こういった問題を受けて再び公営化したわけです。イギリスの調査団によりますと世界37か国235の水道事業がもう再び公営化している状態にあると。では、先ほど聞いた自治体2つ。今回の話どうですかと聞いたところ特に感想はありませんと夕張。2012年から一部の事業を民間委託しているので選択肢が増えたかなという感じと。一番水道料金が安い兵庫の赤穂は今のところ考えていないしすぐに何か対応するわけではないということでした。

脳科学者・中野信子(以下、中野氏):これだけ見ると水道料金が高いのは
民間委託しているからなのかと思っちゃうんですけど。そうでもないんですかね?

大下アナ:柳澤さんどうなんでしょうか?

元NHK解説委員・柳澤秀夫(以下、柳澤氏):今、そういう批判がありましたよね。結局、効率性を優先すればサービスよりも値段をどうやって維持するか収益をどうやって確保するかということになるので、民間になっちゃうと結果的に高くなってしまうんではないかというやり取りが国会でも野党側からありましたからね。ただ、その地域の実情人口がどのぐらいいるのか、そのインフラがどのぐらい変えなきゃいけない状況にあるのかという地域の特徴によって変わってくると思うので、その辺はたぶん今回、政府も言っているのは選択肢が増えるわけですよと。みんなこれで民営化しろというわけではないということなんですが地域、地域が突きつけられた今回の法改正をどういうふうに自分の地域にとって
有利に利用するかということを問われることになると
思うんですね。

大下アナ:やっぱり水道料金を払う人が少なくて、広い地域は大変なわけですね。それはおなじなわけですよね?

テレビディレクター・デーブ・スペクター(以下、デーブ氏):割合が合わなくなるんですよ。だから節約が必要だけではなくて劣化している水道管などがインフラ古くなっているからこのままでは維持ができないということなんですよね。高速道路や空港、色んなところが民間に委託していてうまくいっている例がほとんどないんです。本来、国がやってくれる自治体がやってくれるのが一番安心なんですけども実際的には世の中、変わってきているから特に人口が減っているという面があって採算合わないですよね。

大下アナ:ただ、世界37か国が再公営化していると聞くと中野さん、ちょっと不安になってしまうところもありますよね。

中野氏:パリ、めちゃくちゃ高かったんですよ。水道の歴史もすごく長いんですけど本当に265%上昇というふうに先ほど指摘がありましたが本当に高くて、みんなちびちび水を使うような本当にケチなのでフランス人って。フランスの方聞いてるとごめんなさい。

柳澤氏:民間に運営権を渡したときに例えば大きい災害が起きたときに復旧しなきゃいけないとか。その間の水の供給を誰がどのようにサービスするのかということも水質の問題も含めて水道法改正を受けまして現在の日本の水道事業をどのように立て直しを図っていけばいいんでしょうか。

小松アナ:佐々木さん急にのどの調子が悪くなったのでちょっと私代わりに読みますので何かあったら補足してください。専門家に聞きました。日本と世界の水問題に詳しい水ジャーナリスト橋本淳司さんは先ほど言ったコンセッションというのは、要は公設民営っていうわけですね。コンセッションというのは経済成長を促すために内閣府が提案したもので水道状況が良好な自治体それから規模の大きな自治体でしか機能しないんですよと。そうすると、これに当てはまってこないものがたくさんあります。どうしたらいいのかこちらです。それはいわば過疎地の自治体など比較的小規模な自治体です。そこは小規模な新しい水道の仕組みを作ると橋本さんは提唱されています。1つ目、ダウンサイジング。小さくしていくということですね。今の水道事業は高度経済成長期に作られたものなので浄水場などの施設を減らして効率化していくというこういうプラン。2つ目、対策。水との関係を見直す。水の奇麗なところでは湧き水、伏流水、これも地下水の一種ですね。それから井戸水などを利用して簡単な浄水装置と殺菌だけにするという簡便化を図るという考え方もできるというこういう提唱をされています。

大下アナ:柳澤さん全国一律ということではなくて各自治体が広さとか人口に合ったやり方をするということでしょうか。

柳澤氏:無理なことをすればますます混乱を起こすだけですからね。だから、それぞれの自治体が今抱えている問題をとにかく整理したうえで本当に自分たちにとっていい方法はどれなのかということを考えていくしかないと思うんですよ。そのときにやっぱり一番考えてほしいなと思うのはサービスを受ける住民が本当に日常的に使う水をとてつもなく高い値段で使うようになってしまえばこれはまったく本末転倒ということになってしまいますからあくまでも公共サービスなんだということをベースにしてこれからどういうふうに向かえばいいのかという仕組みを作ってほしいなと思うんですけどね。

大下アナ: 水って絶対必要だから高くなっても買わざるを得ないってことに…。

柳澤氏:水無しでって生活が成り立たないでしょ。

デーブ氏:アメリカのデトロイトのミシガン州で汚水が大変な問題になった映画の一部でも大きくなっているんですけど、ただ、電車と同じで今、ローカル線もやっていけないところがあるんですよ。赤字経営は無理だからローカル線が残念だけどなくなっているのもあるんですよね。人口が少ないから。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の点です。
1、全体を通して片方の立場の意見しか出てこない
上記の点について解説します。

1、全体を通して片方の立場の意見しか出てこない
①今回の放送では、この問題について全体を通して改正水道法による水道事業の民営化には反対するという立場に立った意見のみが出てきました。

以下は、海外の状況を踏まえた発言になります。

佐々木アナ:例えば、フランスのパリ。だいぶ前からやったんですね。水メジャーと呼ばれる3社あるんですがそのうちの2社とコンセッション契約を結んで25年の契約期間で度々値上げしまして水道料金が2.5倍上昇したと。こういった問題を受けて再び公営化したわけです。イギリスの調査団によりますと世界37か国235の水道事業がもう再び公営化している状態にあると。

このように水道事業を民営化した事によって、どんな不利益を被ったのかを説明しています。水道民営化によってどのようなメリットが得られるのかに関しては、ほとんど触れられることなく議論が進みました。例えば総務省自治財政局『地方公営企業年間』によれば、日本の水道事業のおよそ9割が黒字経営を達成しています。新たに参入する業者も出てくるとは思いますが、基本的に現段階で水道事業を行っている会社が事業拡大をすると思われます。
また、2017年3月15日に行われた参議院予算委員会において、山本太郎参議院議員の「改正水道法が施行された場合、民間の水道会社が水道代を決めることができるのか」という政府への質問に対して、総務省職員は「PFI法に基づき、各市町村が定めた条例における範囲内でのみ水道代を決めることができる」といった内容の回答をしました。このように水道代が突然急騰するということは考えにくいものであると思われます。
次に他の国の失敗ケースを述べていましたが、そもそも地形・気候が全く違う国との比較に意味はあるかは疑問です。また、番組内では報道されていませんが、既に日本では水メジャーのヴェオリア・ジャパンが静岡県浜松市の水道事業に関して運営をしております。ここで行われている水道事業に関しての問題点を調査しましたが、現時点では特に報道されておりません。

以上のことから、今回の放送内容は改正水道法による水道事業の民営化に反対という立場に立ってのみ報道が行われた可能性が高く、その場合は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では一定の立場に偏った内容だけを報道した
恐れがあります。これは、視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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