2019年3月23日 news everyサタデー

2019年3月23日 news everyサタデー

news everyサタデー、2019年3月23日放送回の検証報告です。

今回の報告では、上記の番組の沖縄の遺骨収集における問題点における報道について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

では、さっそく放送内容をみていきましょう。

藤田大介アナ(以下藤田):
終戦から74年を迎えようとしている今も、かつての戦地には多くの戦没者の遺骨が残されたままです。なぜ、収容はなかなか進まないのか。作業の現場を取材すると、多くの問題が浮き彫りとなりました。
アメリカ軍との激戦の地、沖縄。沖縄と硫黄島含む、海外での戦没者は厚生労働省によると、およそ240万人。その半数近い、112万柱の遺骨が、今も収容されないままです。先月、我々は沖縄県糸満市でボランティア団体による遺骨収集に同行しました。

遺骨収容の様子
ガマと呼ばれる沖縄の洞窟の中で危険と戦いながら、多くの遺骨が収容されたことを報道

藤田:
問題は身元の確認です。
この方じゃないかという明確に指し示すようなものや情報がないと鑑定がなかなか出来ていない。
このボランティア団体の理事長を務める赤城衛さんは、政府ができるだけ多くの遺骨のDNA鑑定を行うべきだと主張しています。遺族から戦没者のDNAに関するサンプルを提供してもらい、照合を徹底すれば、より多く身元が判明するというわけです。しかし、厚労省は遺族が鑑定を望んでも遺留品がないと鑑定を行っていません。さらに、

日本青年遺骨収集団 赤木衛理事長(以下赤木):
現場で骨を焼いてしまうということが原因で、そもそも鑑定に回す機会を自ら逸してしまっているっていうのが現状です

藤田:
現在、多くの遺骨が荼毘に付されてしまいます。遺骨は焼かれてしまうとDNAの抽出が難しくなってしまうのです。

赤木:
たった一度しかない人生をこの国の未来のためにかけてくださった方々のために行うべき事業なのにも関わらず、いろんな意味で血の通っていない行政機関のやり方だなという意味では多少憤慨しております。

藤田:
沖縄では、遺骨の一部は遺留品がなくてもDNA鑑定を行っております。厚労省は日本テレビの取材に対し、今後、硫黄島など、他の地域への拡大も検討しているとしています。長年遺骨収集に取り組んできた立憲民主党の阿部議員は取り組みの徹底を求めています。

立憲民主党 阿部知子議員:
あの戦争を国民の記憶の中にインプットしておかないと忘れやすくて、終わったことは忘れたよって言ってはいけないんじゃないかと思うので、やはり国を挙げた事業として遺骨収集にはもっともっとマンパワーを入れて望んでほしい。

藤田:
阿部政権は遺骨収集の予算を増やしていますが、抜本的な取り組みの見直しが求められています。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の点です。

まず、沖縄の戦没者の遺骨収集における本人確認が進んでいないことの理由として、政府が
積極的に本人確認を行えていないことが挙げられています。
しかしながら、それには遺骨が現地で荼毘に付されてしまい、DNA鑑定が難しくなっていることが一つの理由として挙げられており、実際は政府だけの問題ではなく、様々な観点から検討する必要のある問題と言えるでしょう。
それにも関わらず、実際にコメントを残しているのは厚生労働省中心とする政府に対して十分な支援を求めるコメントばかりであり、政府側がどのような意見を持ち、対策を講じているのかわかりにくい報道内容となっていました。

また、実際に調べたところ、厚労省が戦没者遺骨収集推進法に基づく指定法人への指導監督等に関する有識者会議では以下のようなことが説明されています。

・DNA鑑定のための検体が高温多湿な気候、戦闘地域であったこと、長時間が経過していることからそもそもDNAの損壊が著しく、鑑定に使用できる部分が少ない。コストがかかること
・そのような検体で検査を行うことで、偶然の一致により血縁関係の識別の確からしさが同程度になる対象者が複数現れることがあり、血縁関係を特定しにくい。そのため、間違った遺族に手渡される恐れがある。
・遺骨とは行かずとも、遺留品だけでも遺族の手元に届くように工夫していること

などと、実際に抜本的な解決といえるかは別として、鑑定の難しさと、それから生ずる困難を打破し、戦没者のための措置を、少なくともある程度まではとっているといえます。しかしながら政府対応については「予算を増やしている」程度の説明にとどまっており、十分な報道がなされているとは言い難いです。
これは第3項、第4項に違反している可能性があります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では
事実と異なる内容を報道するとともに、一定の立場に偏った内容だけを報道した恐れがあります。

視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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