2019年8月26日 あさイチ

2019年8月26日 あさイチ

今回検証するのは、

NHK「あさイチ(8/26放送回)」にて、
「石垣島の水源地付近への自衛隊基地配備」について報道された部分

となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR映像】
(篠山輝信アナ:さあ、そしてですね、地元の方、本当にいろんな思いがあるというふうにお伝えしたんですけれども、先ほどのVTRに出てきたパイン農家の岡崎さんがですね、この自衛隊の配備についてもう一つ不安なことがあるとおっしゃっていました。)

ナレーション:案内してもらったのは、自衛隊の配備予定地から1.5キロほどの場所にある小さな川です。

篠山アナ:本当にきれいですね。水が。きもちいい。

ナレーション:配備予定地の周辺は川などが流れ出る水源地で、石垣島の水道水のおよそ8割を賄っています。

篠山アナ:この花はこれは?

石垣島の住民(岡崎竜雄氏):これは、お祈りしたんじゃないですかね。

篠山アナ:お祈りした人が持ってきて?

住民:私らは水の神様と言っているんですけど。

ナレーション:島の暮らしにとって貴重な水。この辺りは古くから神聖な場所として大切にされてきました。正月などの節目には、地域の住民が祈りを捧げています。岡崎さんは、近くに基地ができることで、この水に影響が出るのではないかと不安を感じています。

住民:すぐ隣の後ろですよ、基地(予定地)は。どうしても必要ならなんであんな、わざわざこんなね、みんなが嫌うところにつくるのか。

篠山アナ:みんなにとって大事な?

住民:大事な場所に作るかなってね。よく考えてほしいさね。

【コメンテーターの発言(要約)】
坂下千里子氏:難しい。確かに水の神様とか、皆さんが大切にされてる場所に、何故あえてっていうのはね、疑問が残りますけど。

博多華丸氏:この水で農作物を作ったりとか。

柳澤秀夫アナ:パイナップル畑もありますしね。

光浦靖子氏:島国。島なんでね。島だから水源が大事。

柳澤アナ:もうこれはかけがえのない、本当に一番まあ、島の生活を支えていく上では本当に柱ですよね。

博多大吉氏:岡崎さんもおっしゃっていましたし、僕らもVTR見ると、なんでここに作ったのかな、作ることになったのかっていうのは、西川さんどうなんでしょう?

西川龍一氏:防衛省はですね、一定の土地の面積があって、島のほぼ中央の高台に位置する地域なので、そのために災害時の救援活動の基盤になり得るなどの理由で選んだとしています。

博多大吉氏:そこが最適な場所だったというふうに言ってるってことですよね。

柳澤アナ:もちろん自衛隊でも周辺に環境を汚染するようなことがないように配慮するという、当然のことだと思うんですけど、ただ一方で、これ沖縄本島での話ですけれども、アメリカ軍基地の中から、基地の中からですよ?汚染物質が周辺に流れ出して、周辺の川を汚染して、水道水に問題が出たっていうケースがまさに今沖縄で問題になってるんですよ。ですからそういうことがあるとやっぱり、石垣の人達にとってみても、ここにもし自衛隊の基地ができたらそんなことになりはしないかなって不安が起きてくるのもちょっとまあ気持ちの上では無理はないかなって気持ちもするんですよね。

近江友里恵アナ:西川さん、地元の方に対して、住民に対してちゃんと説明会とかそういうものは開かれてるんでしょうか。

西川氏:配備計画そのものについての説明会ってのは複数回開かれてるんですよね。ただですね、一方で水源地の近くに基地を作ることで水にどう影響するかという、専門的な調査などは行ってないんですよね。そのあたりがですね、やはり地元の方々にしてみれば、水源地の近くだということで、不安だと。そういうことに十分答えているとはいえないんじゃないかというふうな思いにも繋がってるんじゃないかというふうに思います。

博多大吉氏:いずれ入るんですかね?専門的な調査とか、ちゃんとやってくれるんですよね?

柳澤アナ:一応段取りは踏みますということになってるんで当然そういうものは入ってくると思うんですけれども、ただ、住民の側から、不安になるようなことはしてほしくないな。不安を解消しながらことを進めなければいけないなと思うんですけれどね。

近江アナ:VTRにも、岡崎さんの表情を見てると、ちょっと不安が地元の方に残ってるのかなと。

柳澤アナ:決して作った表情でなく自然な不安な表情だなと。やっぱりもし水になんか影響が出てしまったら、そこで作ってる作物って、もう売れなくなっちゃいますよね。そういう影響の大きさ、広がりを考えるとやっぱり不安になるのも無理はないなと。ですからそういう不安にきちっと答えることをしていかないといけないなと思いますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、VTRの内容に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、VTRの内容に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
今回使用されたVTRには、以下のような内容が含まれています。

ナレーション(抜粋):案内してもらったのは、自衛隊の配備予定地から1.5キロほどの場所にある小さな川です。(中略)配備予定地の周辺は川などが流れ出る水源地で、石垣島の水道水のおよそ8割を賄っています。(中略)島の暮らしにとって貴重な水。この辺りは古くから神聖な場所として大切にされてきました。正月などの節目には、地域の住民が祈りを捧げています。岡崎さんは、近くに基地ができることで、この水に影響が出るのではないかと不安を感じています。

住民:すぐ隣の後ろですよ、基地(予定地)は。どうしても必要ならなんであんな、わざわざこんなね、みんなが嫌うところにつくるのか。

篠山アナ:みんなにとって大事な?

住民:大事な場所に作るかなってね。よく考えてほしいさね。

要旨をまとめると、
・自衛隊の配備予定地の周辺は川などが流れ出る水源地で、石垣島の水源の8割を賄っている。
・地元住民は近くに基地ができることで水質が汚染されるのではないかと懸念している。

というものです。

しかしながら、
・自衛隊の配備予定地の農業用ダムの水源地が石垣島の水源の8割を賄っているという事実は、自衛隊配備による水源汚染の証明にはならない。
・自衛隊施設が周辺水質を汚染するという主張には何ら根拠がなく、また事実に即していない。
・水質汚染を懸念する立場の主張のみを取り上げる姿勢は政治的に公平とは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

2019年9月17日、この報道について当事者である石垣市議会が「報道に誤解を与える内容があった」としてNHKに放送の訂正、検証、再発防止を求める抗議決議を賛成多数で可決しました。

決議では「あたかも自衛隊施設が周辺地域の水質を汚染するとの誤った前提で放送された」と指摘されましたが、これに対して発表されたNHKの声明では、

NHK(声明より抜粋):水源地に自衛隊施設の影響が及ぶことを心配する声があったため、施設予定地からおよそ1.5km離れた於茂登山系のひとつの川を紹介しました。(中略)誤解を招かないように配慮すべきであり、説明が足りなかったと考えています。

など、あくまで「声を拾った、説明が足りなかった」という姿勢であり、謝罪もありませんでした。放送法違反を行い、さらに当事者にその誤りを指摘されたにもかかわらずこうした姿勢を取ることは、非常に悪質だと言わざるを得ません。

以上のことから、今回の報道で使用されたVTRは政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「島国だから水源は大事。アメリカ軍基地のように汚染物質が流れることを考えれば基地をここに作ることは間違っているのではないか」「何かあったらもう作物も売れなくなってしまう」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「米軍基地の話は石垣市の自衛隊配備とは関係ない」「必ず水源が汚染されるというわけではない」「マスメディアが風評被害を引き起こすことの方が問題だ」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告となります。事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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