2018年3月23日 バイキング

2018年3月23日 バイキング

2018年 3月23日のフジテレビ「バイキング」の報告です。

この日のバイキングは視聴者に間違った印象を与える「印象操作」の疑いがある、悪質な放送を行っていたことから今回、調査対象に加えました。

詳しくお伝えしていきます。

【放送内容】
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ナレーター①「事務所と自民党宮城県連に爆弾を仕掛けた。十数人を殺害する。」
ナレーター②「これは東京都内の2つの新聞社届いたメール。」
自民党・和田政宗参院議員「まあ私の行き過ぎた発言はあるわけですけれども、政治に対するテロですので、これは断じて許されませんので被害届を出すと。」
ナレーター「宮城県選出の自民党和田政宗参院議員は20日夜、宮城県警察本部に被害届を提出しました。ちなみに和田議員と言えば」
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番組は、20に自民党の和田政宗議員に対して脅迫が行われたことを紹介。
和田議員のそれに抗議する発言を伝えた後、先日の予算委員会での和田議員の発言を放送しました。

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ナレーター②「宮城県選出の自民党和田政宗参院議員は20日夜、宮城県警察本部に被害届を提出しました。ちなみに和田議員と言えば19日の予算委員会でこんな発言が」
3月19日の参院予算委の映像を放映し
和田議員「太田理財局長は民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めておりまして、増税派だからアベノミクスをつぶすために安倍政権を貶めるために、意図的に変な答弁してるんじゃないですか。どうですか。」
財務省・太田充理財局長「私は公務員として、お仕えした方に一生懸命お仕えすることが仕事なので、それを言われるとさすがにいくら何でも。そんなつもりは全くありません。それはいくら何でも、それはいくら何でも。ご容赦ください。」
ナレーター②「発言の一部が議事録から削除される騒動に発展しました。警察は被害届を受理し、脅迫の疑いで捜査。これまでに事務所から不審物は見つかっていないとのことです。」
この発言を最後にカメラはスタジオへと戻ります。

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坂上忍氏「まあこれ、脅迫メールというのは言語道断だと思うんですけれども、宮迫さん。まあこの和田議員の言い草も結構なもんだなと思うんだけど。」
宮迫博之氏「まあそうですね。それはいくらなんでもって言ってましたもんね。」
坂上氏「もうなんか伝わるものがあったもんね。それは無いでしょうみたいなね。つっちーさん(共演者の土田晃之氏を指すものと思われる)、それこそテレビで中継されてるわけじゃないですか。で、あの公の席であからさまな官僚いじめとまでは言わないですけど、責任を押し付けるような発言ってそこに何の得があるんだろうって僕は思ったんですけど。」
土田晃之氏「まあそうですね。お互いそれはあるんじゃないですか、テレビだからとか。」
坂上氏「裏で握り合ってるんですか。」
東国原英夫氏「いや、損得で言うと得で言ったら安倍さん、攻めてますよ。自民党さん、僕頑張ってますよ。来年ね、参議院選挙改選なんです、彼は。この1年で頑張らなきゃいけないんですよ。自分の存在価値とか。」
坂上氏「でもあの頑張り方で投票する?」
東国原氏「だからそれは…彼は元NHKさんなんですけどね、ポイントずれてますよね、やっぱり。」
他の共演者「国民を向いてない気がする。」
坂上氏「元NHKなの、これ。あ、これって言っちゃった。これあまりにも」
東国原氏「まあそれは置いといて、そうです。これはね、あのこれバッターっていうんですけど、自分が質問に立った時に、与党。参議院の与党を代表していま自民党ですから。民主党から入ってるんですよね。いま自民党ですから。会派員になったばっかりですから、この1.2年で。で存在感を示したい。味方ですよ、守りますよというのを全面的に前に出すための行き過ぎた発言です。」
坂上氏「あれ典型的な国民向いてない政治家じゃないですか。」
他の出演者「わかりやすすぎて逆に興ざめしますね。国民の方はね」
坂上氏「そう、引く。これは。ただね、和田さんは国会でこんなことも言い放ってるんだって?」
榎並大二郎アナウンサー「はい、こちらです。党や官邸が徹底調査を指示して隠ぺいの扉をこじ開けなければ、財務省内部で完全に隠されていたのかもしれない、と発言しています」
坂上氏「こいつ、何言ってんの?え、石川さん、党や官邸が徹底調査して隠ぺいの扉こじ開けたんですか、これ?」
石川和男氏「違う、まあこれ和田議員がどう思ってるかわかりませんが、私はそうは思いません。これはそうは思いません。」
坂上氏「私もまったく思いません。これもまたあからさまな。」
東国原氏「そういうことです。ポイント稼ぎしかないですわ。」
坂上氏「なんでこんな人を立たせるんですか、あそこに。」
東国原氏「うーん、僕らの味方をしてくれよ、頑張ってくれよ。守ってくれよなんですよ。忖度じゃないですけれども、阿吽の呼吸でそういう言葉が背中を押してるんですよ。」
坂上氏「それにしてはほんとに芝居がへたくそな人だなと思うんですけどね。」
この話題についてのやり取りは、この坂上氏の発言を以って終わりました。

【検証内容】
この放送の問題点としては、以下の2つが挙げられます。
1点目:坂上氏が偏見に基づく発言で和田議員を誹謗中傷していること
2点目:スタジオの出演者の多くが根拠なく推論で発言していること。

1点目:「坂上氏が偏見に基づく発言で和田議員を誹謗中傷している」
坂上氏は和田議員のことを「これ」や「こいつ」という表現で誹謗中傷しました。他人を指す言葉としては失礼な物言いであり、放送局としては不適当であると考えられます。この番組はトークバラエティーではありますが、有権者から選ばれた政治家について触れる以上、最低限の節度は守るべきではないでしょうか?

2点目:「スタジオの出演者の多くが根拠なく推論で発言している」
坂上氏はどのような立場から和田議員のことを「国民の方を向いていない典型的な政治家」と言っているのでしょうか?
坂上氏がどのような観点からそのような発言をしたのか、非常に違和感の残る発言でした。この報道で「官僚への質問のあり方」など、国会内で問題視された部分に論評を加えるのであればまだ理解できるものの、「和田議員は自身の選挙のためにこの発言をした」というスタジオ内での憶測に基づいて、「国民の方を向いていない政治家」と断言したのであれば、和田議員の評価を下げるための印象操作にすぎません。

本来、フジテレビは、和田議員側に発言の真意を確かめたり、国会質問のルールについて確認したりするべきでした。そのうえで、このニュースと和田議員に関する検証を重ね、視聴者にも検証結果を伝え、この日の話題として取り上げていたのであれば、何ら問題はなかったはずです。

しかし、実際の放送の中で触れられたのは、以下の3点だけでした。
①和田議員側が脅迫を受けたこと
②和田議員が国会内で問題とされる発言をしたこと
③過去に和田議員が「党や官邸が徹底調査を指示して隠ぺいの扉をこじ開けなければ、財務省内部で完全に隠されていたのかもしれない」という発言をしたこと

このような表面的な取り上げ方だけでは、政治家としての和田議員を評価したり、ましてや「和田議員は自身の選挙のためにこの発言をした」と解説を加えたりすることはできません。
出演者が和田議員の真意や和田議員の政治姿勢などについてとことん調べたうえで、「和田議員は自身の選挙のためにこの発言をした」「国民の方を向いていない政治家」と発言したりしたのか、あるいは、スタジオで出演者が適当にコメントしたのか、どちらが真相なのかは分かりません。しかし、少なくとも、スタジオ内での踏み込んだコメントについて、視聴者に判断材料を与えないまま放送してしまったことは、放送局として問題であり、「印象操作」といわれても仕方ありません。

なお、今回のレポートでは、出演した東国原氏が、和田議員が以前所属していた政党を「民主党」と発言してしまった(正しくは「みんなの党」)ことについては触れませんでしたが、この容易な発言から読み取れるものも少なからずあると考えています。放送内で発言の訂正がなされたものの、この番組の出演者にはコメントに対する責任感がやや欠けているのではないでしょうか?この番組がトークバラエティーというジャンルに該当するのは理解できます。しかし、報道番組と同じように政治的ニュースに触れている以上、出演者の皆様には、責任感を持ってスタジオ内で発言してほしいものです。

今後も監視を続けます。

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