2020年5月3日 サンデーモーニング(中編)

2020年5月3日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年5月3日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言の全国延長について報道された部分
② 医療現場におけるPCR検査の不足について報道された部分
③「風を読む」にてコロナと世界秩序について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 医療現場におけるPCR検査の不足について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

国会で野党議員から厳しい追求を受けたのは先月6日の安倍総理の感染拡大防止に向けてPCR検査体制1日2万件への倍増発言。ところが4月の検査件数は平日でも7000件前後で目標には程遠い状況です。埼玉県のふじみのクリニックでは、医師が病院が用意した透明のシートから医師が腕だけを出し患者からの検体を採取しています。こうした検査を屋外で行っていて検査を求める人が次々と訪れますが、こうした病院はごくわずかです。PCR検査は感染の実態把握だけではなく、院内感染の予防のためにも必要とされています。院内感染を防ぐ努力が医療現場では続いているが、出産の場での感染リスクが懸念されています。激しい痛みに耐えて分娩する妊婦からは多くの飛沫が飛び散るため、医療関係者らは濃厚接触に長時間さらされます。年間1600人以上の妊婦を診る京都市の足立病院ではフェイスシールドを着用するなどして対策をしているが、リスクの完全な排除は難しいといいます。この病院では4月16日から病院の敷地内でPCR検査を実施していますが、院内感染が起きた場合について院長は「院内感染が発生すると閉院となる。患者が月に150から180人行き場を失う。」などと述べました。
千葉県から岩手県の実家に帰省中、破水した30代の妊婦の受け入れが県内2つの病院に断られたなど、各地で里帰り出産の受け入れを拒否するケースが相次いでいます。こうした事態を受け、京都府などは金曜日に出産間近のすべての妊婦を対象にPCR検査の費用を助成すると発表しました。自治体が独自の取り組みを見せる中、足立病院の澤田院長は国に対し、「簡単な検査ではないと理解しているが、諸外国の検査状況をみているとなぜ日本の検査数が少ないのか、臨床現場の人間としてもわからない。国としては他国にも学ぶべきではないかと思う。」と述べ、より積極的な取り組みを国に求めています。

スタジオでは杉浦アナがフリップを使って解説しました。4月のPCR検査数は1日あたり平均6946件、最大9371件で安倍総理が目標とする一日当たり2万件にはほど遠い現状です。また1000人あたりのPCR検査数は、ドイツの30.4件に比べ日本は1.9件ととても少なく、国立山梨大学の島田学長は、「途上国レベル、今のシステムだけでは隠れた多くの感染者を捉えきれない、そこから第二波の恐れもある。」としました。

【コメンテーター発言内容】
倉持氏(全文):今、医療の全体の臨床の現場ですと、当たり前のことが当たり前になされていないんですね。 PCRがすごく取り上げられているんですけど、私どもからすると、たとえが分かりにくいかもしれないんですが、ごはん食べるときに、お箸とか当たり前に出てくるものなんですね。そこから医療が始まるんですけど、そのお箸がPCRで出てこない状況なんですね。それを出す、出さないとかいう話をずっとやってるんですね。そんなのやってて当たり前の話で、それをもとにお医者さんとかは判断をしてこの方に、よりよい治療をしようと医療現場ではやってるんですけど、その箸がいまだに出てこないんですね。あるいは国は出そうとしていないんですね。出します、出しますと言って出してくれないんですね。ですから医療現場は非常に困っているというのが現状としてあります。

関口氏(全文):僕らみたいな素人が考えると、それはなぜなんですかと聞きたくなっちゃうんですがなぜ出てこないんですか?

倉持氏(全文):結局、やろうとしてないんですね。国がやろうとしていないんですね。結局、そのことが患者さんにとって必要ですし保険適用にもなってるんですけど、やれ機械が高いだ、あるいは人員が増やせないんだ、でも、この2カ月、やっていればそのトレーニングはできているはずなんですね。それから医療だけじゃなくて、ほかのバイオの領域ですとかあるいは大学でも、私、8年間大学院にいてPCRなんかごまんとやりました。ですからトレーニングさえ積めばできるような大学院生とかそういう施設と設備があれば、できる方はすぐ国が本気で取り組めば、やれるはずなんですね。でも、それをこだわってやらせていないという現状があって、実際に今患者さんが増えてきてしまった現場ではそれで混乱しちゃってるんですね。結局、検査ができないので、熱が出た患者さんが医療機関を受診できていないという現状があります。

関口氏(全文):国がそれなりの動きを見せればこの問題は徐々に解消はできるわけですね?

倉持氏(全文):それを本気でやれば、諸外国は全部できているわけですから日本だけできないということはありえないと思うんですね。それを速やかにお箸を出していただいて速やかに、よりよい医療を、先ほどの分娩の場面もそうですけど、毎日毎日起こっていることで、止めるわけにはいかないんですね。 その中で最大限の安全を確保するために最低限必要なものの1つがPCRなんですね。ほかにも方法はありますけど、まだそういったものも積極的に国は取り入れようとしてくれていないんですね。ですからそういう危機感を感じてどんどん現場でトラブルが起きないようにしていただいて、当たり前の医療ができるようにしていただきたいんですね。 検査をする、しないというのは誰が決めるのかというと、患者さんと相談したうえで現場で直接患者を診ている医師が決めるべきことなんです。患者さんを見ていない学者の先生方がやる、やらないを決めることじゃないんですね。

松原氏(全文):われわれも例えば民間の検査会社の方に話を伺ったりすると、確かに国の意思が最も大きいと思うんですね。 この2カ月、無駄にしてしまったことがあると思うんです。それとともに、岡田さんが言うように、クラスターというのを重視しすぎた部分があると思うんですけれども、もう1つ、感染症の備えが日本はものすごく弱くて検査技師も足りない、試薬なんかも不足しているようなんです。民間もまだ使い切ってなくて、多くても4割ぐらいしか使っていない、まだそこも使い切っていない。そこは何とかなると思うんですね。ただ、もし劇的に増えないとすると先ほどお産の話もありましたが、妊婦さんには優先的にPCR検査を回すとかあるいは、これもまさに岡田さんが指摘されてますけど入院するための感染者を確定するための陽性の検査のほうに、より重点を置いた検査体制をとるべきじゃないか。今退院のための陰性の検査を何度もやっていますからそちらではなく、感染者を把握するほうに回したほうがいいんじゃないか。それともう一つは救急救命の方に聞いても、いきなり来て、この方が感染しているかどうか分からないと。そうなると完全防護でやらなきゃいけない。それでも感染のリスクはあるわけですよね。とすると救急救命で来る方、入院する人も優先的にすべきじゃないか。つまりPCR検査全体を増やすという議論と同時にどこに重点的にまず持ってくるか、この議論もとても大事なんじゃないかという気がしますね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、倉持氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、倉持氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
倉持氏は今回の報道で、以下のように述べています。

倉持氏(抜粋):結局、やろうとしてないんですね。国がやろうとしていないんですね。結局、そのことが患者さんにとって必要ですし保険適用にもなってるんですけど、やれ機械が高いだ、あるいは人員が増やせないんだ、でも、この2カ月、やっていればそのトレーニングはできているはずなんですね。それから医療だけじゃなくて、ほかのバイオの領域ですとかあるいは大学でも、私、8年間大学院にいてPCRなんかごまんとやりました。ですからトレーニングさえ積めばできるような大学院生とかそういう施設と設備があれば、できる方はすぐ国が本気で取り組めば、やれるはずなんですね。でも、それをこだわってやらせていないという現状があって、実際に今患者さんが増えてきてしまった現場ではそれで混乱を来しちゃってるんですね。結局、検査ができないので、熱が出た患者さんが医療機関を受診できていないという現状があります。

関口氏(抜粋):国がそれなりの動きを見せればこの問題は徐々に解消はできるわけですね?

倉持氏(抜粋):それを本気でやれば、諸外国は全部できているわけですから日本だけできないということはありえないと思うんですね。それを速やかにお箸を出していただいて速やかに、よりよい医療を、先ほどの分娩の場面もそうですけど、毎日毎日起こっていることで、止めるわけにはいかないんですね。 その中で最大限の安全を確保するために最低限必要なものの1つがPCRなんですね。ほかにも方法はありますけど、まだそういったものも積極的に国は取り入れようとしてくれていないんですね。ですからそういう危機感を感じてどんどん現場でトラブルが起きないようにしていただいて、当たり前の医療ができるようにしていただきたいんですね。 検査をする、しないというのは誰が決めるのかというと、患者さんと相談したうえで現場で直接患者を診ている医師が決めるべきことなんです。患者さんを見ていない学者の先生方がやる、やらないを決めることじゃないんですね。

要旨をまとめると、
・PCR検査は国がやろうとしていないだけで、やろうと思えばできる。大学院生だってトレーニングをすればPCR検査をすることは可能である。
・諸外国はPCR検査をしているのだから、日本ができないはずはない。
・PCR検査を実施するか否かは学者ではなく、現場の医師が判断するべきだ。

というものです。

しかしながら、
・PCR検査を行うことが可能なものは臨床検査技師であり、大学や厚労省が指定する臨床検査技師養成所で学び国家試験に合格した者のみが検査を行うことができる専門的な領域である。その為、「大学院生がトレーニングを積めば、検査を行うことができる」という倉持氏の主張は事実に反する恐れある。
・PCR検査の実施の可否は医師と連携し保健所が判断している。その為、「PCR検査を学者が行っている」という倉持氏の主張は明らかに事実に反する。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での倉持氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):われわれも例えば民間の検査会社の方に話を伺ったりすると、確かに国の意思が最も大きいと思うんですね。 この2カ月、無駄にしてしまったことがあると思うんです。それとともに、岡田さんが言うように、クラスターというのを重視しすぎた部分があると思うんですけれども、もう1つ、感染症の備えが日本はものすごく弱くて検査技師も足りない、試薬なんかも不足しているようなんです。民間もまだ使い切ってなくて、多くても4割ぐらいしか使っていない、まだそこも使い切っていない。そこは何とかなると思うんですね。ただ、もし劇的に増えないとすると先ほどお産の話もありましたが、妊婦さんには優先的にPCR検査を回すとかあるいは、これもまさに岡田さんが指摘されてますけど入院するための感染者を確定するための陽性の検査のほうに、より重点を置いた検査体制をとるべきじゃないか。今退院のための陰性の検査を何度もやっていますからそちらではなく、感染者を把握するほうに回したほうがいいんじゃないか。それともう一つは救急救命の方に聞いても、いきなり来て、この方が感染しているかどうか分からないと。そうなると完全防護でやらなきゃいけない。それでも感染のリスクはあるわけですよね。とすると救急救命で来る方、入院する人も優先的にすべきじゃないか。つまりPCR検査全体を増やすという議論と同時にどこに重点的にまず持ってくるか、この議論もとても大事なんじゃないかという気がしますね。

要旨をまとめると、
・検査は国の意向が最も大きい。政府はこの2か月を無駄にしてしまった。クラスターを重視するあまり、感染症の備えが足りなくて、試薬も不足している。
・民間を活用しきれておらず4割程度しか使っていない。そこはなんとかなる。
・退院の為の陰性を示すPCR検査を実施しているが、感染者を確定するための検査のほうにより重点をおくべきではないか。

というものです。

しかしながら、
・コロナウイルスに感染した疑いのある患者を検査するか否かは、保健所が判断するものであってPCR検査の実施を判断するのは国ではない。その為「PCR検査の実施の少なさは国の意向である」という松原氏の主張は明らかに事実に反する。
・徹底した外出自粛を要請しクラスターを抑えたことによって、感染症を抑止したことに対しては触触れず、政治的に公平ではない。
・「民間を活用しきれば、PCR検査の実施が拡大できる」という松原氏の主張は明白な根拠が乏しく妥当性を欠き、事実に反する恐れがある。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「PCR検査を増加させるべきである」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「PCR検査は必ずしも陽性者を判明できるとは限らず、万能なものではない」「逼迫している保健所の負担を減らすべきである」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの

③ 「風を読む」にてコロナと世界秩序について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 緊急事態宣言の全国延長について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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