2020年8月16日 サンデーモーニング(中編)

2020年8月16日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年8月16日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
①「風を読む」にて終戦記念日について報道された部分
②新型コロナの感染拡大について報道された部分
③寿都町の核ごみ処理について報道された部分以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 新型コロナの感染拡大について報道された部分となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR書き起こし】
全国に広がる新型コロナの感染。8月に入ってからの死者は78人。そして重症者はおとといの時点で229人と先月に比べ急増しています。

一方で木曜日、東京都のモニタリング会議の専門家は…
大曲医師「人体に及ぼす影響が変わってくる。いわゆる弱毒化という言葉が使われるけれどもその影響 これは十分あり得ることだと思う」

これは、全国の新規感染者数と重症者死者の数の推移を表すグラフです。4月ごろの感染拡大と比較すると6月中旬以降の感染拡大の局面では重症者や死者は低く抑えられています。その理由として、ウイルスが変異し弱毒化した可能性があると指摘したのです。ウイルスのゲノムの変異を追跡している国立感染症研究所によると1月から2月に中国・武漢系統のウイルスが入り、3月から4月に帰国者らが持ち込む形で欧州系統のウイルスが流行を起こしました。ところが6月中旬から今も続く流行の中心となっているのは欧州系統から変異したとみられるもののゲノムの変異を追跡できない、新たなタイプのウイルスだというのです。感染が収まったとされる時期、実は首都圏では無症状感染者らの間で感染が広がりウイルスが変異。それまでのウイルスは終息していきましたが、一方の、変異した新しいタイプのウイルスは水面下で感染拡大。クラスターが発生し、顕在化しました。その後、地方出張などが要因となって全国に拡散したとみられるのです。

一方で、変異による弱毒化の可能性については…
13日国立感染症研究所・脇田所長「コロナウィルスが弱毒化を起こしやすいウィルスなのかこれはわからない。今現時点で弱毒化している証拠はない。」

今後、感染拡大のスピードが速まると強毒化する可能性さえあると警告を鳴らしています。そして、今回のゲノム分析は水面下で続く無症状感染者らの間の感染を断ち切らない限り、収束に至らないことを物語っています。

【コメンテーター発言内容】
関口氏(全文):何だか、頭がこんがらがってくるね、こういう話を聞くと。複雑化しているわけだ。

橋谷アナ(全文):こちら、変異する新型コロナなんですけれども現時点で3つに分類できると、国立感染症研究所の調査で分かっています。1月から3月に流行した武漢系統のウイルス、こちらは現在は終息したものと見られているんですね。3月中旬から5月にかけて全国で一斉に流行したのが 欧州系統のウイルスです。自粛期間を経ましていったんは終息に向かったかに思われたんですが、6月に再び感染者数が増加しました。そして、現在主流となっているのが欧州系統から国内で変異したウイルスなんですね。これまでのウイルスは変異の形を追跡できましたが今流行しているウイルスは、変異の途中段階のウイルスが発見できていません。感染研は、長期間、軽症・無症状患者が感染を水面下でつないだ可能性があるとしまして、変異をたどれないことが収束させる難しさの要因になるかもしれないとしています。また、後遺症についても世界中で報告が相次いでいます。けん怠感、息苦しさ、関節・胸の痛みなどが報告されています。イギリスのロンドン大学キングスカレッジの調査によりますと400万人を対象に調査したところ、軽症者ほどさまざまな症状が長く続く傾向があるということなんですね。イギリスの別の大学の調査によりますと、退院した成人の10人に1人以上に聴力の悪化や耳鳴りの症状もみられたということでまだまだ、なぞが多いウイルスなんですね。

関口氏(全文):けさは松本先生とつながっております。 何かいろんな複雑な話になってきましたけど複雑化すれば複雑化するほどワクチンの作り方は難しくなるんですか?

松本氏(全文):ウイルスが変異するということはすなわち性質が変わるということを意味しています。もちろんワクチンも影響を受けるかもしれませんけれども例えばPCR検査が検査で引っかかりにくくなったりとか、治療薬に対して効果が低くなってしまったり、いわゆる耐性です。あとはワクチンに対しても性質が変わってしまえば本当はこの抗体が効くはずがくっつかなくて効かなくなるということもありますので大きく性質が変わってしまったらそういった影響が出てくるかもしれませんけれども、今のところ急に弱毒化、強毒化ということも含めて、ウイルスががらっと性質が変わってしまったということは今のところはないと思われます。

関口氏(全文):弱毒化の話が出てきているけれども、はっきりしないし、可能性もある。頭がおかしくなっちゃうな、この話を聞いていると。

姜氏(全文):安倍総理は4月6日にPCR検査を2万件まで引き上げたいとおっしゃったんですが、もちろんPCRをのべつまくなしにやればいいということじゃなくてピンポイントでPCR検査はもっと広げていかなければいけないと思うんですが、全国で今、実態として一日当たりどれぐらいPCR検査をやられているんでしょうか?

松本氏(全文):これはその時の状況とかにもよりますので。実は検査の体制として、数だけが問題ではなくて、今のところは例えば病院でもあるいは診療所でも委託された場所でしか検査をできないですとか、やはりどうしても保健所に相談しないと、そのあと検査が進まないですとか、検査の数だけではなくて、その前に検査にたどり着くまでの過程が今のところスムーズにいっていませんのでそういう意味ではまだ日本は、しっかりと検査が簡単に受けられるところまでは制度上、今、至っていないと思われます。

姜氏(全文):それがあるかぎりは、なかなか収束は難しいですね?

松本氏(全文):別の意味でクラスターを抑えて無症状者まで検査をするやり方はこれはまた別に保健所を含めてやっておられるんですけれどもこれだけ拡大している状況だと、クラスター1つ1つをしっかり追っていく拡大して検査をしていくことまでなかなか及んでいませんので、まだしばらくはそういうふうな、しっかり抑え込む体制まで届くのは結構時間がかかるんじゃないかと思います。

関口氏(全文):姜さん、よろしいですか?

姜氏(全文):ええ。
関口氏(全文):その上に暑さがまだまだ続きますから熱中症とか、またお医者さんたちも見分けるのが大変だと思うしね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、VTRの放送内容に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、松本氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、VTRの放送内容に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
今回の報道のVTR中で、以下のように述べています。

【VTR書き起こし】
全国に広がる新型コロナの感染。8月に入ってからの死者は78人。そして重症者はおとといの時点で229人と先月に比べ急増しています。

一方で木曜日、東京都のモニタリング会議の専門家は…
大曲医師「人体に及ぼす影響が変わってくる。いわゆる弱毒化という言葉が使われるけれどもその影響 これは十分あり得ることだと思う」

これは、全国の新規感染者数と重症者死者の数の推移を表すグラフです。4月ごろの感染拡大と比較すると6月中旬以降の感染拡大の局面では重症者や死者は低く抑えられています。その理由として、ウイルスが変異し弱毒化した可能性があると指摘したのです。ウイルスのゲノムの変異を追跡している国立感染症研究所によると1月から2月に中国・武漢系統のウイルスが入り、3月から4月に帰国者らが持ち込む形で欧州系統のウイルスが流行を起こしました。ところが6月中旬から今も続く流行の中心となっているのは欧州系統から変異したとみられるもののゲノムの変異を追跡できない、新たなタイプのウイルスだというのです。感染が収まったとされる時期、実は首都圏では無症状感染者らの間で感染が広がりウイルスが変異。それまでのウイルスは終息していきましたが、一方の、変異した新しいタイプのウイルスは水面下で感染拡大。クラスターが発生し、顕在化しました。その後、地方出張などが要因となって全国に拡散したとみられるのです。

一方で、変異による弱毒化の可能性については…
13日国立感染症研究所・脇田所長「コロナウィルスが弱毒化を起こしやすいウィルスなのかこれはわからない。今現時点で弱毒化している証拠はない。」

今後、感染拡大のスピードが速まると強毒化する可能性さえあると警告を鳴らしています。そして、今回のゲノム分析は水面下で続く無症状感染者らの間の感染を断ち切らない限り、収束に至らないことを物語っています。

要旨をまとめると、
・4月のころと6月のころではウイルスが違う可能性がある。
・後者の6月のウイルスは欧州由来と考えられ、4月のウイルスよりは弱体化されているものの、水面下で感染が拡大。
・このウイルスの感染拡大が早まると強毒化の恐れがあり、無症状感染者の感染を断ち切らない限りは終息に至らない
というものです。

しかしながら、
・無感染症状者を完全に抑え込むという方向性は、経済的活動や役所への莫大な負担をかける視点が完全にかけており、それらの懸念について報道しないことは。政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回のVTR中の内容は政治的に公平でないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」に違反する恐れがあります。

2、松本氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松本氏は今回の報道で、以下のように述べています。
姜氏(全文):安倍総理は4月6日にPCR検査を2万件まで引き上げたいとおっしゃったんですが、もちろんPCRをのべつまくなしにやればいいということじゃなくてピンポイントでPCR検査はもっと広げていかなければいけないと思うんですが、全国で今、実態として一日当たりどれぐらいPCR検査をやられているんでしょうか?

松本氏(全文):これはその時の状況とかにもよりますので。実は検査の体制として、数だけが問題ではなくて、今のところは例えば病院でもあるいは診療所でも委託された場所でしか検査をできないですとか、やはりどうしても保健所に相談しないと、そのあと検査が進まないですとか、検査の数だけではなくて、その前に検査にたどり着くまでの過程が今のところスムーズにいっていませんのでそういう意味ではまだ日本は、しっかりと検査が簡単に受けられるところまでは制度上、今、至っていないと思われます。

要旨をまとめると、
・(姜氏の一日に何件ほどPCR検査がされているのかという質問に対して)状況にもよるし、限られた場所でしか検査ができない。
・検査にたどり着く過程がスムーズではないので、PCR検査が簡単に受けられる制度には至っていない。

というものです。

しかしながら、
・PCR検査は現在3万5千件ほど行われており、着実に検査数は増えてきており検査体制は整ってきている。そのため、検査を受けられる体制が整っていないという松本氏の主張は明らかに事実に反する。

・また、検査が受けられる場所が限られている、簡単に検査を受けられないと松本氏は主張しているが、コロナ以外の病気にも対応しないといけない医療従事者が限られた医療リソースを有効的に活用するならば、検査を本当に必要な人に制限することが当然である。その為、これらの観点について述べず、あくまでPCR検査を増やすべきという主張しかしないことは政治的公平性を欠く恐れがある。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松本氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

———————————————————————————————————————-
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「PCR検査を増やすべき」「このままだと感染拡大し続ける」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「コロナと共存する方向性を考えていくべきである」「必要以上にコロナウイルスの恐怖をマスコミが煽り続けている」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 寿都町の核ごみ処理について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 「風を読む」にて終戦記念日について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事