2020年6月29日 サンデーモーニング(後編)

2020年6月29日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年6月28日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 河合夫妻買収事件について報道された部分
② 沖縄の追悼式典の話題からイージス・アショアについて報道された部分
③ 専門家会議廃止について報道された部分
 以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 専門家会議廃止について報道された部分

となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
24日、新型コロナの専門家会議が突然の廃止となりました。
新型コロナウイルス対策について話し合う政府の専門会議が24日、会見を行いました。専門家会議・脇田座長「あたかも専門家会議が政策を決定しているような印象を与えていたのではないかと考えております。」と述べ、政府と専門家の役割分担を明確にするよう求めました。
これとほぼ同時間帯に西村大臣が会見を行い専門家会議を廃止すると発表しました。突然の発表に会見中だった尾身副座長は「大臣がそういう発表をされたんですか?私はそれは知りません。」と述べました。西村大臣、専門家会議のメンバーの意見を聞いて廃止を決定したと説明していますが、専門家側との認識のずれが生じているのではないかとの指摘も出てます。

【コメンテーター発言内容】
松原氏(要約):(黒板を使っての解説)
専門家会議が廃止になって、今度は新たに分科会に衣替えするということです。政府の説明では、もともと今の体制は緊急時に作ったものであって法律に基づいていなかったんだと。そして今、特措法に基づいて、法律に基づいた形の位置づけとして分科会にすると説明している。有識者会議と分科会の住み分けはまだはっきりしていない、よく分からないというのが本当のところなんですね。専門家会議と政府、両者の間にギクシャクした面があるのは否めないと思います。
例えば3月、無症状者の感染があるということを専門家会議は提言に入れたかった。ところが政府からしたら、無症状の人から感染なんてどうにも対策の打ちようがないと。パニックになるんじゃないかということで、政府の意向で削除されたと一部報道で伝えられているんですね。
この間の会見で専門会議のメンバーは専門家はもう提言に徹すると。 そしてその代わり政府は政策を決定して責任を取ってくれと言ってるんですね。
分科会が形がい化するんじゃないかという心配があると思うんです。私もさんざん、審議会や専門家会議などを取材したがが、往々にして官僚がお膳立てをして結論を決めて誘導していくということが起きるわけです。そして自分たちの意に沿う専門家ばかりを集めると。
この分科会も議事録は作らないということで、名前を入れた議事概要を作るということのようなんで結局どんな議論をしたかはよく分からないままなんですね。
結局、専門家の方が表に出ずにこれから裏に回るとしたら、彼らがどういう思いでどういう見解をし、政府はどういうところを参考にして政策を決めたかというのが、ブラックボックスになるんじゃないか、そこが私はとても懸念されるところだと思ってます。

田中(秀)氏(全文):専門家の人たちは今まで政治的な配慮をしてこなかったんですね、だから信用できたんだね、変な言い方だけど。それは政治の側から見ればある種面子をつぶされるような話だからこういうことになったんでしょうけれども、とにかく今までどおり専門家の人たちは率直に国民と向き合う形でやってもらいたいですよね。ここまで信頼をわれわれして、言うことを聞いてきたわけだから。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(要約抜粋): この間の会見で専門会議のメンバーは専門家はもう提言に徹すると。 そしてその代わり政府は政策を決定して責任を取ってくれと言ってるんですね。
分科会が形がい化するんじゃないかという心配があると思うんです。私もさんざん、審議会や専門家会議などを取材したがが、往々にして官僚がお膳立てをして結論を決めて誘導していくということが起きるわけです。そして自分たちの意に沿う専門家ばかりを集めると。
この分科会も議事録は作らないということで、名前を入れた議事概要を作るということのようなんで結局どんな議論をしたかはよく分からないままなんですね。
結局、専門家の方が表に出ずにこれから裏に回るとしたら、彼らがどういう思いでどういう見解をし、政府はどういうところを参考にして政策を決めたかというのが、ブラックボックスになるんじゃないか、そこが私はとても懸念されるところだと思ってます。

要旨をまとめると、
・専門家会議メンバーは専門家は提言に徹し、政策決定やその責任は政府がとるよう求めている。
・分科会が形骸化するのでは。
・専門家会議などでは、往々にして官僚がお膳立てをして結論を決めて誘導していくため、自分たちの意に沿う専門家ばかりを集めている。
・分科会では議事録を作らないということなので、政府の政策決定がブラックボックスになりかねない。

というものです。

しかしながら、
・松原氏の「専門家会議などでは、往々にして官僚がお膳立てをして結論を決めて誘導していくため、自分たちの意に沿う専門家ばかりを集めている」という主張には明確な根拠が示されておらず、信憑性に疑問が残る。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実をまげないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「専門家会議が廃止され、分科会へとなることによって政府の政策決定がブラックボックスになりかねない」という立場に立った意見のみが出てきました。

松原氏(要約抜粋): この分科会も議事録は作らないということで、名前を入れた議事概要を作るということのようなんで結局どんな議論をしたかはよく分からないままなんですね。
結局、専門家の方が表に出ずにこれから裏に回るとしたら、彼らがどういう思いでどういう見解をし、政府はどういうところを参考にして政策を決めたかというのが、ブラックボックスになるんじゃないか、そこが私はとても懸念されるところだと思ってます。

など、こうした姿勢が顕著にみられる発言もありました。

ですがこの問題に関しては「分科会でも議事概要が作成され、議事の内容は公開されるため、分科会になったからといって政府の政策決定がブラックボックスになることはない」などといった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 河合夫妻買収事件について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

② 沖縄の追悼式典の話題からイージス・アショアについて報道された部分
については、中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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