2020年3月15日 サンデーモーニング(後編)

2020年3月15日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年3月15日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言に関する日本の法改正について報道された部分
② 「風を読む」にてインフォデミックについて報道された部分
③ 森法相の失言について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 「森法相の失言について報道された部分」について報道された部分
となります。
では、放送内容を見ていきましょう。【VTR要約】
3月9日の月曜日です。検察ナンバー2、東京高検検事長の定年延長問題。この日、国会で森法務大臣は政府が定年延長を可能にした理由として社会情勢の変化を挙げたんですが、さらに具体的に示すよう求められると、「東日本大震災の時、検察官は福島県いわき市から逃げた」と発言。この発言を巡り国会は紛糾。森大臣は、その後、個人的な見解を述べたものとして発言を撤回しましたが、野党側はすべての国会審議を拒否しました。そして法務省が検察官が逃げたことや理由もなく釈放したことは事実と異なると野党側に説明。森大臣は謝罪に追い込まれました。

【コメンテーターの発言】

関口宏氏(要約):今もVTRでご紹介しましたように社会情勢の変化とは?と聞かれたのに、中身が何だかそれに答えないで違うことを言い出しちゃった、そんな感じですか?

青木理氏(全文):≫ちょっと言葉は悪いけど、錯乱しちゃったのかなという感じですよね。純司法機関で政治を捜査することもある検察のトップを政治が勝手にするという問題はこの番組で何度もやってきたので、何でこう森さんがここまで頭が混乱したのかという辺りを説明したいんですけど、ちょっと順を追って、たくさん書いてありますけど、分かりやすく説明しますのでついてきてくださいね。あの1月31日に御存知の通り、検事長の定年延長ってのを閣議決定したんですね。でその直後1月31日の直後に、2月3日にえー国会で法務大臣は、検察庁法に検察官の定年は定めてあるんだけれども勤務延長については書いていないので国家公務員法の規定を適用しましたとこういうふうに言ったわけです。ところが2月10日なって野党の立憲民主党の議員ですけれども、1981年に国家公務員法の改正案、定年を導入するときの改正案を議論したときに当時の人事院の局長が、これ検察官には適用しないんだとこういうふうに答弁したことが分かったんです。でこのとき森法務大臣は、それを突きつけられて、これ承知していないと、そのときに承知していなかったというふうに答弁しちゃったんですね。でさらに2月12日には、今度今の人事院の給与局長がこの解釈は今も同じですよと言っちゃったんです。ということはつまり、国家公務員法を検事長に適用するのはできないんじゃないのかという話になっちゃって、さて、恐らく困り果てた政権は2月13日、首相がみずから国会で答弁に立って、法解釈を変更することにしたんです今回、と言ったわけですね。これひょっとすると後づけで言われたから法解釈変更しちゃったんじゃないのということだとまずいんでこれを境目にして、すべてを首相の答弁に合わせる形で各機関が動き始めるんですね。まず法務大臣はこの法解釈変更っていうのはいつやったんだと言われて1月中に政府内でと言いました。しかも人事院の局長、81年の答弁を維持していますよと言った人事院の局長は19日になると、答弁撤回しますとなぜこんなことを言ったのかと言われて、いやいや、言い間違いしてしまいましたというふうに言っちゃった。みんな無理な無理な答弁を重ねてさらに2月20日ぐらいになってくると法務省が文書を国会に出すんですね。この文書が何かというと、ここです。1月中に人事院とか法制局にこういうことをしていいですか、大丈夫ですかということを照会していたんですよという文書を出してきたんです。でも、どう考えてもおかしいのは、こんなことを人事院や法制局でやってたんだったら、2月10日に野党議員から81年答弁を聞かれたときに法務大臣が果たして、承知していないなんて言うかどうか。かつ人事院とちゃんとやってたんだったら、2月12日の段階で人事院の局長がこの解釈を維持していますなんてことを言うだろうか。いやいや、これもうすでに政府内で解釈を変更してますと言うんだったら分かるけどこんなことを言うはずがないんですね。ということになってくると、首相が法解釈を変更しますよと言ったことで後づけで法務大臣も人事院局長も法務省もみんなつじつま合わせのために、無理な答弁をしているんじゃないか。もう1個問題点は、ひょっとするとこの文書、照会していないのだとすればこの文書も果たして本物なんですかという疑問も出てきてしまうんですね。つまり、森友学園、加計学園と同じですけれども、首相がかなり無理な法解釈とか方針変更ということをするもんだから、各役所、司が本当に無理な答弁だったりとかきわきわの答弁だったりとかきわきわの言い訳をするので、大混乱が起きちゃっているので、僕の推測ですが、森さんは答弁にも窮してしまって何か言わなくちゃというときに従前、そういうお考えを持っていたらしいんですけど、そういうことを言い出しちゃったんじゃないのかなというのが推測なんですね。ただ、いずれにしても法解釈変更というのはあまりにも無理がある。かつお気に入りの検事長を検事総長にすることの問題点をこの番組でずっとやってきましたから、いい加減、この検事長の定年延長人事というのは撤回すべきではないのかなという気はします。

関口宏氏(要約):これだけすったもんだしてしまう問題を通そうとしてるわけだから、何かその裏にはこうありたいというものがあるわけですね。

青木理氏(全文):検察トップにも政権に近い人を据えて支配下に収めたいと。

関口宏氏(要約):そういうふうに勘ぐってしまいますね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、青木理氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):ちょっと言葉は悪いけど、錯乱しちゃったのかなという感じですよね。純司法機関で政治を捜査することもある検察のトップを政治が勝手にするという問題はこの番組で何度もやってきたので、何でこう森さんがここまで頭が混乱したのかという辺りを説明したいんですけど、ちょっと順を追って、たくさん書いてありますけど、分かりやすく説明しますのでついてきてくださいね。あの1月31日に御存知の通り、検事長の定年延長ってのを閣議決定したんですね。でその直後1月31日の直後に、2月3日にえー国会で法務大臣は、検察庁法に検察官の定年は定めてあるんだけれども勤務延長については書いていないので国家公務員法の規定を適用しましたとこういうふうに言ったわけです。ところが2月10日なって野党の立憲民主党の議員ですけれども、1981年に国家公務員法の改正案、定年を導入するときの改正案を議論したときに当時の人事院の局長が、これ検察官には適用しないんだとこういうふうに答弁したことが分かったんです。でこのとき森法務大臣は、それを突きつけられて、これ承知していないと、そのときに承知していなかったというふうに答弁しちゃったんですね。でさらに2月12日には、今度今の人事院の給与局長がこの解釈は今も同じですよと言っちゃったんです。ということはつまり、国家公務員法を検事長に適用するのはできないんじゃないのかという話になっちゃって、さて、恐らく困り果てた政権は2月13日、首相がみずから国会で答弁に立って、法解釈を変更することにしたんです今回、と言ったわけですね。これひょっとすると後づけで言われたから法解釈変更しちゃったんじゃないのということだとまずいんでこれを境目にして、すべてを首相の答弁に合わせる形で各機関が動き始めるんですね。まず法務大臣はこの法解釈変更っていうのはいつやったんだと言われて1月中に政府内でと言いました。しかも人事院の局長、81年の答弁を維持していますよと言った人事院の局長は19日になると、答弁撤回しますとなぜこんなことを言ったのかと言われて、いやいや、言い間違いしてしまいましたというふうに言っちゃった。みんな無理な無理な答弁を重ねてさらに2月20日ぐらいになってくると法務省が文書を国会に出すんですね。この文書が何かというと、ここです。1月中に人事院とか法制局にこういうことをしていいですか、大丈夫ですかということを照会していたんですよという文書を出してきたんです。でも、どう考えてもおかしいのは、こんなことを人事院や法制局でやってたんだったら、2月10日に野党議員から81年答弁を聞かれたときに法務大臣が果たして、承知していないなんて言うかどうか。かつ人事院とちゃんとやってたんだったら、2月12日の段階で人事院の局長がこの解釈を維持していますなんてことを言うだろうか。いやいや、これもうすでに政府内で解釈を変更してますと言うんだったら分かるけどこんなことを言うはずがないんですね。ということになってくると、首相が法解釈を変更しますよと言ったことで後づけで法務大臣も人事院局長も法務省もみんなつじつま合わせのために、無理な答弁をしているんじゃないか。もう1個問題点は、ひょっとするとこの文書、照会していないのだとすればこの文書も果たして本物なんですかという疑問も出てきてしまうんですね。つまり、森友学園、加計学園と同じですけれども、首相がかなり無理な法解釈とか方針変更ということをするもんだから、各役所、司が本当に無理な答弁だったりとかきわきわの答弁だったりとかきわきわの言い訳をするので、大混乱が起きちゃっているので、僕の推測ですが、森さんは答弁にも窮してしまって何か言わなくちゃというときに従前、そういうお考えを持っていたらしいんですけど、そういうことを言い出しちゃったんじゃないのかなというのが推測なんですね。ただ、いずれにしても法解釈変更というのはあまりにも無理がある。かつお気に入りの検事長を検事総長にすることの問題点をこの番組でずっとやってきましたから、いい加減、この検事長の定年延長人事というのは撤回すべきではないのかなという気はします。

要旨をまとめると、
・安倍総理の解釈変更発言により、役所や司法が安倍首相に辻褄を合わせるが故に混乱が起きた。
・人事院はそもそも法制局に照会していないのではないのか。森法務大臣は辻褄を合わせないといけないと理解していたものの、答えに窮してしまい失言したのではないのか。いずれにしても法解釈変更にはあまりにも無理がある
・お気に入りの検事長を検事総長にすることの問題性をサンデーモーニングでずっと放送したので,
検事長の定年延長は撤回すべきである。

というものです。

しかしながら、
・なぜ黒川検事長を定年延長させたのか背景分析をせずに、一方的に「役所や司法は安倍首相の発言に辻褄を合わせた」「法解釈変更にはあまりにも無理がある」と主張する青木氏の発言は事実に反する恐れあり、政治的に公平性を欠く。
・「ずっとサンデーモーニングで放送していたから検事長の定年延長は撤回すべき」という青木氏の主張は論理が明らかに飛躍しており根拠の妥当性が乏しく、明らかに事実に反し政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「検事長の定年延長を廃止すべきである」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「公務員の定年延長は世間に受容されるべきできである」「稲田総長が辞職しなかった為、カルロスゴーン担当の黒川氏が任期を延長した」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 緊急事態宣言に関する日本の法改正について報道された部分
については前編の報告を、

② 「風を読む」にてインフォデミックについて報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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