2020年4月26日 サンデーモーニング(中編)

2020年4月26日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年4月26日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① コロナウイルスの陽性率が示す感染の広がりについて報道された部分
② 「風をよむ」にてコロナとプライバシーについて報道された部分
③ 辺野古移設問題について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 「風をよむ」にてコロナとプライバシーについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
世界中で猛威を振るう新型コロナウィルス、その感染封じ込めに向けた対策に、世界各国で様々なデジタル技術の活用が行われています。
韓国では、街の監視カメラや携帯電話などが感染経路の確認と感染拡大の防止に活用されている。携帯電話のGPS機能とクレジットカードの履歴を元に感染者の移動経路などを10分で把握し、接触者に感染者の行動を緊急速報で届けます。さらに自宅隔離者の無断外出を防ぐため、違反者の行動を把握する電子リストバンドを導入すると発表。この導入に、世論調査では約8割が賛成したという。シンガポールでは、スマホを用いて感染者の2メートル以内にいた人を特定するなど、デジタル技術による監視が感染抑止に功を奏したとされます。アメリカでは、アップルとグーグルが協力し、本人の同意を得た上で、過去2週間の感染者の近くにいたスマホユーザーに警告する技術の開発を発表しました。中国では、警察がドローンを使って市民を監視・警告している。14日、竹本IT担当大臣は、感染経路を追跡するアプリの実証実験を始める方向であることを発表しました。
しかし、AIによって管理された監視社会については懸念の声も上がっています。今月2日、アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体は、デジタル監視技術の活用には、人権が尊重されなければならないなどとする共同声明を発しました。ところが今年3月、世界30カ国を対象に行われた国際的な世論調査で、ウイルスの拡散防止に役立つならばある程度人権を犠牲にしてもかまわないと答えた人は、平均で75%に達しました。非常時には多少の人権抑圧もいたし方なしとの意見が大勢を占める中、疑問を投げかける専門家もいます。イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、非常時を乗り切るために導入された一時的措置である市民の監視が、その後も残されて政府の都合のよいように利用されてしまう懸念を語りました。新型コロナの感染拡大を防ぐために、世界中でプライバシーや人権の制限が強まっています。

【コメンテーター発言内容】
関口氏(要約):難しい問題ですね。監視することによってコロナの抑え込みがある程度うまくいった。でもコロナが収まった後、その体制がそのまま残っていると違うことに利用されてしまう。
世界の哲学者と呼ばれるか方々の番組を見たけれど、コロナが収まった後独裁国家が出てくるのではと心配する人もいました。皆さんはどうお考えになるのでしょうか?

・姜尚中氏(全文):安全が重要なのか監視か人権か、これは古いテーマですよね。ただ、韓国やドイツの場合でいうと社会が強いんですよ。市民運動や住民運動がさまざまなメディアが働いて独裁国家を打ち破ったわけです。ですから、今、大切なことは社会が強ければ、国家も強い、社会と国家のさまざまなゲ-ムの中で初めて個人というものの自由も確保されるんですね。ところが、中国のように国家だけ強くて社会が弱いと大変な監視国家になる。今、大切なことは強い国家、強い社会を選ぶのか、強い国家、弱い社会を選ぶのかあるいは日本のように忖度政治で国家も実は強くない、社会も実は弱い、そうすると、結局そういう社会で法律や人権意識や市民運動がほとんどないような社会になってしまうと、非常に危ういと。ですから私は強い社会を作る、そして強い国家を作るということが最適解を求める一番の方法だと思うんです。

田中氏(要約):私も姜さんのご意見に同感なんですが、もう一つ強い社会を作るときには強い個人が必要なんですね。でも、強い個人というのは曖昧な知識で差別をしたりハラスメントを起こすのではなく、科学的な知識をきちんと持っている、自分のデータもどこにあって何に利用されているかもいつも知っている、それを知ることができる体制も必要なんですね。例えば以前、エドワード・スノーデンがアメリカ国民がほとんど監視されているというメールをチェックできる状態だということを明らかにしました。だとしたらば、自分に関するデータがどこにあって、それは何に使われそうなのかということがチェックできるような仕組みを私たちは求めていかなきゃならない。それがあってこそ危険なときにはほかの人たちと手を組んでそれを阻止することができると思うんです。どういう政治的な泥の中に引き込まれるか分からないので私たちは自分で知識をきちんと持つということがこれから大事になってくると思います。

藪中氏(全文):私は政府を信頼できるかどうかということが非常に大きいと思うんですね。私権の制限を貫くということですから、そういう場合には本当にその政府が信頼できるのかどうかと。今はこれだけ命がかかっていると、生命を守るためということでやっているわけですね、世界は。そういう中で世界の取り組みを見ていますと、まず徹底した検査をするんだと。そうしたうえで、さあ、やはりこれからコロナと付き合うためにはこういう制限もしなきゃいけないんじゃないか、こういう取り組みだと思うんですね。そこで一番目立つのはドイツ、メルケルさんで、私ほどと彼女は言うわけですね、自由のありがたさを知っている者はいないと、それが今みんなで頼まなきゃいけないんだと。こうやって制限をすると、しかし、それは一時的なものですよということ、そういう訴え方が非常に強くて、国民は80%の人が信頼していると。そういうのが非常に大事なことでコロナで悪用して監視をすると、そんなことは絶対にやってはならないと思います。

青木氏(全文):皆さんからいろんな話があって自由か安全かというのは古い議論だとおっしゃられて全くそのとおり、昔からある議論なんですけれどもただそれに加えて今AIとかネットとかスマホとか監視カメラとかGPSとか組み合わさるとあっという間に神の目を持ちかねないわけですね。この流れというのは、どんどん進んでいって不可避なんですよ。そうなってくると、活用できるところはどう活用して、制御するかというところはどう制御するかというのは大真面目に考えなきゃいけない。感染症に関して言うと、防疫当局が情報を持つのはいいんだけど、治安当局に持たせないとかデータを匿名かするとか消すとかしなくてはいけない。日本でも先ほどスノーデンの話も出ましたけど、日本にエックスキースコアって機能を日本に提供していると、これを使うと個人のネットの履歴とか通信状況というのが全部丸裸にできるものを日本に渡して日本は使ってるんじゃないかと言ってるんです。すでにその兆候はあるのでこの情報ツールというものをどう制御してどう活用するかを国会でもメディアでも大真面目に議論しなきゃいけない局面だなと。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、藪中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
4、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

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1、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
姜尚中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

姜尚中氏(抜粋):安全が重要なのか監視か人権か、これは古いテーマですよね。ただ、韓国やドイツの場合でいうと社会が強いんですよ。市民運動や住民運動がさまざまなメディアが働いて独裁国家を打ち破ったわけです。ですから、今、大切なことは社会が強ければ、国家も強い、社会と国家のさまざまなゲ-ムの中で初めて個人というものの自由も確保されるんですね。ところが、中国のように国家だけ強くて社会が弱いと大変な監視国家になる。今、大切なことは強い国家、強い社会を選ぶのか、強い国家、弱い社会を選ぶのかあるいは日本のように忖度政治で国家も実は強くない、社会も実は弱い、そうすると、結局そういう社会で法律や人権意識や市民運動がほとんどないような社会になってしまうと、非常に危ういと。ですから私は強い社会を作る、そして強い国家を作るということが最適解を求める一番の方法だと思うんです。

要旨をまとめると、
・安全を求めて監視か人権か、どちらを重要視するかは古いテーマである。
・韓国やドイツは社会が強く、国家も強い。独裁国家も打ち破ってきた。しかし、日本は国家も社会も弱い非常に危うい。韓国やドイツを見習うべきだ。
というものです。

しかしながら、
・姜尚中氏の「韓国やドイツが強い社会・国家で、日本は社会も国家も弱い」という主張には、根拠が何ら明示されておらず事実に反する恐れがある。
・現状において、韓国やドイツに比べ、日本は死者数が少なくプライバシーの保証もされており、韓国ドイツと比べて批判することは政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での姜尚中氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、藪中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
藪中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

藪中氏(抜粋):私は政府を信頼できるかどうかということが非常に大きいと思うんですね。私権の制限を貫くということですから、そういう場合には本当にその政府が信頼できるのかどうかと。今はこれだけ命がかかっていると、生命を守るためということでやっているわけですね、世界は。そういう中で世界の取り組みを見ていますと、まず徹底した検査をするんだと。そうしたうえで、さあ、やはりこれからコロナと付き合うためにはこういう制限もしなきゃいけないんじゃないか、こういう取り組みだと思うんですね。そこで一番目立つのはドイツ、メルケルさんで、私ほどと彼女は言うわけですね、自由のありがたさを知っている者はいないと、それが今みんなで頼まなきゃいけないんだと。こうやって制限をすると、しかし、それは一時的なものですよということ、そういう訴え方が非常に強くて、国民は80%の人が信頼していると。そういうのが非常に大事なことでコロナで悪用して監視をすると、そんなことは絶対にやってはならないと思います。

要旨をまとめると、
・政府を信頼できるかどうかが非常に大きい。世界をみて、まずは検査を徹底したうえで、私権の制限をしなければならない。
・このような取り組みで、一番目立つのはメルケルである。ドイツでは国民が首相を信頼している。
というものです。

しかしながら、
・人口10万人あたりドイツでのコロナにおける死者数は4370人、それに対して日本は276人(クルーズ船含む)である(4/19)。
・このように、コロナを抑え込むという観点からすれば、日本のほうがコロナを抑え込むことに成功しているのに関わらず、ドイツを評価する藪中氏は政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での藪中氏の発言は政治的に公平でないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「コロナを防ぐためにはプライバシーを無視してもよい」「日本は韓国やドイツなどを見習うべき」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「日本はプライバシーを保護しながら、韓国やドイツに比べ感染者数を抑え込むことができており、見習う必要性がない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風をよむ」にてコロナとプライバシーについて報道された部分における
 検証4青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ 辺野古移設問題について報道された部分

については、後編の報告をご覧ください。

① コロナウイルスの陽性率が示す感染の広がりについて報道された部分

については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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