2020年5月3日 サンデーモーニング(前編)

2020年5月3日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年5月3日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言の全国延長について報道された部分
② 医療現場におけるPCR検査の不足について報道された部分
③「風を読む」にてコロナと世界秩序について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
①緊急事態宣言の全国延長について報道された部分となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

観光地や都心から人が消えた異例のGW、5月6日に期限を迎える緊急事態宣言について、安倍首相は1か月での解除は厳しいとの見解を示すも決断は専門家の意見を聞いてからとしました。
1日、専門家会議は、オーバーシュート=感染爆発は免れ新規感染者が減少傾向になったと評価したものの、減少の仕方については緩やかで目標とするレベルまでは届いていないと指摘。今の取り組みを維持するだけではなく、テレワークの推進など新しい生活様式の定着が必要だと述べました。さらに、感染者の入院期間は平均2~3週間にわたるため医療現場のひっ迫は今も続いていると説明しました。また、いったん感染者が減少しても再び増加する可能性があるとして、北海道のケースを例に挙げました。
30日、北海道の鈴木知事は感染の第二波について危機感をあらわしました。2月28日に独自の緊急事態宣言を出した後、一度は新規感染者ゼロにまで減少したものの、4月に入って増加に転じて第2波に襲われています。札幌市によると4月2日から11日の感染者のおよそ4割は夜間の外出や飲食の行動歴がありました。感染の経緯を分析している札幌医科大学の當瀬教授によると、第一波は中国観光客らの運んだ武漢由来のウイルスによるもので、緊急事態宣言により抑え込むことができたが、第2波は欧米由来のウイルスによるものだといいます。「第二波の強さ、インパクトは非常に強いので、感染力は残念ながら上ったのかなとみている。欧米の状況をみていると、感染力はかなり強い」と述べ、国による緊急事態宣言もここで緩めば北海道の二の舞になるおそれがあると指摘しています。政府は緊急事態宣言の延長について明日にも正式決定する方針です。
経済への影響も懸念される中、さらに1カ月ほど延長される見通しの緊急事態宣言出口の見えない状況がこの先も続くのでしょうか。

【コメンテーター発言内容】
橋谷アナ(全文):東京都の感染者の推移グラフの説明。水曜日と木曜日と2日連続で50人を下回りました。その後、またぶり返してしまいまして金曜日、土曜日には160人以上感染者が確認されています。 専門家会議では、感染者の数は減少傾向にあるとしているんですけれども、こちら国内の死者数、日本全国の死者数を10日ごとにまとめますと、依然として増加傾向にあるんですね。

岡田氏(全文):死亡者数というのは日本の場合、検査数が地域によって違うんですけれども、かなり絞られておりますので、死亡者数というのが間接的に患者さんの増加・減少を示すのではないかと示しているんですけど10日ごとに上がっていってる、これは感染者数が増加しているのを間接的に示しております。ただ、感染してから亡くなるまで残念なんですけど、およそ1カ月くらいかかりますので、1カ月前の方なんですね。ですから今後これが下がっていくのかということ。問題なのは東京でございまして、首都圏が非常に心配でございますが、東京の検査数というのはかなり絞り込まれた検査数で、よほどひどくないと検査できないという中で、これだけの患者さんが減ってきてはいるけれどもまた上がってきている。だからやはりよく注意しなきゃいけないのかなというのと、この病気はサイレントキャリアという症状が余りない人がかなりの部分運んでいますのでその部分は検査数が少なければ私たちの目には全く見えないということになります。一方で、大阪はかなり分母を広く積極的に吉村知事が検査しているんですね。 大阪のデータを見ますと、かなり感染者数が減ってきている。ですから対策によって地域差が顕著に出てきているかなという印象があります。首都圏は要注意だと思います。

橋谷アナ(全文):こちらは専門家会議が示した今後の見通しなんですけれども縦軸が新規感染者数、横が時間ですね。専門家会議の尾身氏は、感染者は減少傾向だがそのスピードは期待するまでに至らなかったと話しているんですね。本来でしたら、ここまで減少させたかったんですが、現在はこのあたりだと述べているわけなんですね。下降している根拠の1つとして挙げたのが実効再生産数という数字なんです。これは何かといいますと、感染力の目安となる指標で1人の感染者が平均何人にうつすかを示しているんですね。4月の時点で全国が2.0、東京が2.6だったのが、4月10日には0.7、0.5と下がっています。通常1を下回りますと流行は終息に向かうとされていますが、専門家会議は引き続きこの水準が維持されるか注視する必要があるとしているんですね。そして今後、新規感染者を抑え込めたとしてもそう簡単ではないウイルスのため北海道のように第2波が来ることは十分ありえると。

岡田氏(全文):私心配していますのが実効再生産数でございますけれども、4月10日の段階で全国0.7、東京0.5ということなんですね。ということは、4月10日の緊急事態宣言して縛りをグッとかける前にもう1以下なわけじゃないですか。ということは広がらないということになる。じゃあ、何でかけたのというご質問が来てしまうと思うんですね。ですからまず1点お願いしたいのは尾身先生のご発言の中で、クラスターと濃厚接触者で出した数値とおっしゃっていた気がするんですが、まずはそういうアバウトなことではなくて、ちゃんと数値を出していただきたいと思います。やはりこのクラスターや濃厚接触者という発症して顕在化する方の4倍ぐらいの軽症な方や無症候の方がおられます。そういう人たちがサイレントキャリアとして水面下で運んでいる可能性がありますので、絶対あると思うんですけど、あります。ですから行動規制をかけて自粛をすることによって下がってきたという減少としては私は当たりだと思うんですけれどもただ、そのもとにある実効再生産数については私は疑問でございまして、国のかじ取りをするような大事なデータでございますので、ここはちゃんとデータの開示をお願いしたい。それから、検査数が少ないので一部しか反映できていないという状況がもう現在、ちゃんとそういうことがあるわけでございますので、PCR検査を増やして、全体像をより把握できるような状態にしたい。2波についてなんですけど、世界地図を見ましたところ南半球にかなり入ってますね。ということは、これから夏になりますので、気温、湿度が上がるということで、何もしなくても日本の感染伝播効率は下がってくる、患者さんは下がってくる、ゼロにはならないですけど下がってくる。
熱帯、亜熱帯でも患者さんがいますからゼロにはならないけど下がってくる。だけど南半球で非常に大きな流行が来ると思うんです。 そうすると日本は終息しているように、下火になっているんですけれども、秋冬になれば、そこからまたウィルスがやってきて、11月以降に第二波が来ると思います。ですから夏に私たちがどれだけ医療や薬や私たち個人の行動変容も含めて、意識を高く維持して持ち続けて対策ができるのか。夏はちょっとホッとできるんですけど、秋冬に向けてちゃんと対応できるのかというのが、国民のために犠牲を少なくする大事なところかなと思っております。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
橋谷氏は今回の報道で、以下のように述べています。

橋谷氏(抜粋):東京都の感染者の推移グラフの説明。水曜日と木曜日と2日連続で50人を下回りました。その後、またぶり返してしまいまして金曜日、土曜日には160人以上感染者が確認されています。 専門家会議では、感染者の数は減少傾向にあるとしているんですけれども、こちら国内の死者数、日本全国の死者数を10日ごとにまとめますと、依然として増加傾向にあるんですね。

要旨をまとめると、
・専門家会議では、感染者数は減少していると発表しているが、コロナウイルスの死亡者は10日ごとにみると、依然として増加傾向にある。
というものです。

しかしながら、
・コロナウイルスに感染してから、死亡するまでにはある程度の日数を要するため、感染者数と死亡者数の推移ではタイムラグが生じる。
・現在の感染者数から判断すれば感染者が増加傾向であるとは考えにくく、今後時差を伴い死亡者も減っていくと考えられる。
・その為、死者数が近日増加傾向であるという恣意的に感染を拡大しているかのように誤認させる報道は、事実に反する恐れがあり、政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での橋谷氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
岡田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

岡田氏(抜粋):死亡者数というのは日本の場合、検査数が地域によって違うんですけれども、かなり絞られておりますので、死亡者数というのが間接的に患者さんの増加・減少を示すのではないかと示しているんですけど10日ごとに上がっていってる、これは感染者数が増加しているのを間接的に示しております。ただ、感染してから亡くなるまで残念なんですけど、およそ1カ月くらいかかりますので、1カ月前の方なんですね。ですから今後これが下がっていくのかということ。問題なのは東京でございまして、首都圏が非常に心配でございますが、東京の検査数というのはかなり絞り込まれた検査数で、よほどひどくないと検査できないという中で、これだけの患者さんが減ってきてはいるけれどもまた上がってきている。だからやはりよく注意しなきゃいけないのかなというのと、この病気はサイレントキャリアという症状が余りない人がかなりの部分運んでいますのでその部分は検査数が少なければ私たちの目には全く見えないということになります。一方で、大阪はかなり分母を広く積極的に吉村知事が検査しているんですね。 大阪のデータを見ますと、かなり感染者数が減ってきている。ですから対策によって地域差が顕著に出てきているかなという印象があります。首都圏は要注意だと思います。

要旨をまとめると、
・死亡者が間接的にコロナウイルス感染者の増加・減少を間接的に示している。これは死亡者が10日ごとに増加しており、感染者数が増加しているのを間接的に示している。死亡者は反映されるまでに1か月ほどかかるので、今後これがどう増減するか気を付けなければならない。

というものです。

しかしながら、
・日本はPCR検査を一定の基準を設けて実施しているため、死亡者数と感染者数は高い相関性を持つ。また、感染から一定の時間を必要とする死亡者数のピークにも当然遅れがあり、感染者数が減少しても死亡者の減少にも一定の時間を要する。
・その為、あたかも真の感染者が今後も増加しているように主張する岡田氏の発言は事実に反する恐れがある。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での岡田氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「PCR検査を増やすべきである」「これからも感染拡大は起こり得る」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「限られた医療リソースを有効的に活用するためにPCR検査をやみくもに増やすべきではない」「徹底した外出の自粛により感染拡大は防げている」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
②医療現場におけるPCR検査の不足について報道された部分分
については中編の報告をご覧ください。

③「風を読む」にてコロナと世界秩序について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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