2020年7月12日 サンデーモーニング(中編)

2020年7月12日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年7月12日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルスに関して、「陽性率と市中感染拡大」について報道された部分
② 新型コロナウイルスに関して、「二つの危惧」について報道された部分
③ 米軍基地でのクラスター発生について報道された部分

 以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 新型コロナウイルスに関して、「二つの危惧」について報道された部分

となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
東京都内の感染者が増加する中、2つの問題点が危惧されています。6日オンラインで行われた対談で、京都大学山中教授と北海道大学大学院西浦教授は強い危機感をにじませました。
山中教授「半分近くは経路不明者が毎日のように発表されていますから。ここが増えていくと経済全体のみんなが我慢せざるを得なくなってしまう恐怖があるが…」
西浦教授「背後でコミュニティで広がり始めているように見えるデータがあります。今は分水嶺に差し掛かっているような状態ではないかと心配しています。」と述べました。
この発言のわずか3日後、東京都の新規感染者の数は200人を超えました。
専門家が危惧するのは2つの指標です。1つは経路不明の感染者の数で増加傾向にあります。
2日・東京都新型コロナウィルス感染症対策審議会・大曲委員は「単に検査回数が増えたから陽性数が増えていくだけではなく、接触歴が不明の方が増えていることは注視すべきと考えています。」と述べました。都内の経路不明者は今月1日までの1週間で一日平均27.1人と前の週の11.6倍に増加。大曲氏はこのペースで増えれば4週間後に6倍、そして、8週に及ぶと40倍に膨らむと指摘しました。
さらにもう一つの指標である40代以上の中高年の感染者数も急増しています。
東京都では40代・50代の感染者がこの1週間で前の週のおよそ2倍となっています。都の関係者は重症化のリスクのある中高年の感染者について、重症者の爆発的な増加は新規陽性患者の増加から1~2週間遅れで起こるので先を見越した対応を今しておかないと大変なことになると訴えています。

政府の対応は、9日参院内閣委・西村経済再生担当相「総合的に判断しますと直ちに緊急事態宣言を行う状況ではないと」9日首相官邸・安倍総理「現状4月と比べれば重傷者は多く減っており、感染者の多くは20代・30代で医療提供体制はひっ迫した状況ではないと承知しています。」と述べました。
しかし、木曜日行われた東京都のモニタリング会議や関係者への取材から医療提供体制が綱渡り状態であることが見えてきたのです。
帝京大学医学部附属病院坂本院長「入院患者数は陽性患者数の増に合わせて2週間連続で大幅に増加している。だいぶひっ迫してきている状態」と危機感を述べました。
東京都ではおよそ半月にわたって死者はいないものの、医療提供体制のレベルを上から2番目の体制強化が必要であるに引き上げました。金曜日、政府は8月上旬に予定していたGoToトラベルキャンペーンを前倒しして、今月22日から開始することを決めました。
感染増加の中、観光で消費を喚起するキャンペーンに対して、東京都医師会尾崎会長は「経済活動を進めていただくのは大いに結構だと思いますが、感染を抑えながら経済活動を進めていくメリハリの利いた政策をやっていただきたい」と述べました。経済活動を進めながら歯止めをかけることはできるのでしょうか。

スタジオでの水野アナの説明。
対策などの手を打つタイミングによって効果に違いがあるというデータがあります。厚生労働省は先月、各自治体に自粛などの協力要請を検討する目安を通知しており、それが人口10万人当たりの新規感染者が1週間で2.5人になったときです。そして、この人数になったときに、すぐさま手を打てば感染者数は抑えられるといいますが、2日目、そして3日目と遅くなればなるほどオーバーシュートに近づいてしまい、終息まで時間がかかってしまうと指摘しています。今の東京都なんですが、すでに7人を超えていて基準の2.5人を超えてから13日目になります。何か対策をしなくてもいいのかということにつながります。

【コメンテーター発言内容】
松本氏(全文):ちょっと分かりませんけれども、やはり、この状況を踏まえて、危機感が感じられないといいますか。感染症を抑えるのに一番いいタイミングはどれだけ早く対策をとるかなんですね。早くとれば全体として感染者数は結果として見たときには減らすことができます。ところが今のところ具体的な対策はとられないままずーっと来ていますので、一つは選挙の影響があったのかどうか分かりませんけれども、少なくとも今、具体的な対策はとられていませんのでそうすると数としてはどんどんどんどん増えていくのを見ていくしかない。ただそれがオーバーシュートという言葉自体は私は見たくもない言葉なんですけれども、それがだんだん今の数の増え方からすると1週間ごとに倍々で増えていますのでとにかく早めに何かの対策をとっていただきたいと思います。

姜氏(全文):欧米や南北アメリカと比べると日本は大丈夫だろうと、比較の問題が1つありますよね。しかし東アジアで見ると致死率も感染者数も一番大きいんですね。もう1つは、政治と科学、医学と政治家、これがどういう関係を作るべきなのか。われわれは根拠が必要で、一定のエビデンスがあって、初めて政策というのは発動されるわけでどうして専門家会議を勝手に解消して、結局はいちじくの葉だったのかどうか。政治によって右往左往している状態が今後も続くんじゃないかと。そうすると東アジアの中で、このままいけば日本は失敗事例になってしまう可能性は十分にある。たぶんそれは偶然のなせる技か、国民が一生懸命頑張ったからだと思うんですよ。だからそれがもう、息切れしてるわけだから、結局は遠回りのことをやっているんじゃないかと。

松原氏(全文):東京でこれだけ広がっているというのに、GoToトラベルキャンペーン、わざわざ前倒しする。地方に行って、地方の人だって東京からこんなに来ていいのかなと思う人、たくさんいると思うんです。しかも、例えば街のクリニックの方にお話を伺うとコロナにものすごく一生懸命やっている方なんですけれども、いまだに1次補正の支援が届いていない。これからベッドを増やしてくれと要請している先には届かずさあ旅行に行きましょうというGoToトラベルキャンペーン、あまりにちぐはぐな感じがしますよね。じゃどうすればいいのか、もちろん経済を回すことは大事、ピンポイントの休業要請も、ちゃんとお金を払っても大事ですが、無症状者をつかまえるのは大事だと思うんです。例えばドイツのバイエルン州は東京都とほぼ同じ人口なんですけど、どこでも、誰でも、何度でも無料で受けられるというのをやって洗い出そうとしている。例えばソウルでもそういうことをやろうとしている。ほかにもいろんな試みをやっているわけですね。菅官房長官が攻めの検査をやっていると言っていましたけれども、まだ日本は夜の街の周辺、ほんの一部なんですね。だから、分科会でようやく無症状者をどうするかの議論が出てきましたがここを本気で考えていかないと経済は回す、でも感染対策は皆さんよろしくお願いしますではあまりに無策と言わざるをえないと思いますね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、 姜氏氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、 松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
それぞれ順を追って解説します。

1、姜氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
姜氏は今回の報道で、以下のように述べています。

姜氏(抜粋):もう1つは、政治と科学、医学と政治家、これがどういう関係を作るべきなのか。われわれは根拠が必要で、一定のエビデンスがあって、初めて政策というのは発動されるわけでどうして専門家会議を勝手に解消して、結局はいちじくの葉だったのかどうか。政治によって右往左往している状態が今後も続くんじゃないかと。そうすると東アジアの中で、このままいけば日本は失敗事例になってしまう可能性は十分にある。たぶんそれは偶然のなせる技か、国民が一生懸命頑張ったからだと思うんですよ。だからそれがもう、息切れしてるわけだから、結局は遠回りのことをやっているんじゃないかと。

要旨をまとめると、
・政治と科学、医療と政治家がどういう関係を作るのかが重要である。
・政策は一定のエビデンスの下初めて発動されるべきであるが、専門家会議を勝手に解消したりなど、現状政治によって右往左往している状態になっている。
・この状態が今後も続けば日本は失敗事例になりかねない。

というものです。

しかしながら、
・専門家会議解消は、「会議としての位置づけが不安定である」や「類似の会議体が乱立していた」など、専門家会議解消を行わざるを得なかった根拠が存在したといった意見も存在する。にもかかわらずそのような意見を一切顧みずに現状を「いちじくの葉」や「政治によって右往左往している」と表現している同氏の発言は、事実に反する恐れがあり、政治的に公平ではない。

以上のことから、今回の報道での姜氏の発言は政治的に公平ではない恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

2、 松原氏の発言に事実に異なる恐れのある内容が含まれている。
松原氏(抜粋):じゃどうすればいいのか、もちろん経済を回すことは大事、ピンポイントの休業要請も、ちゃんとお金を払っても大事ですが、無症状者をつかまえるのは大事だと思うんです。例えばドイツのバイエルン州は東京都とほぼ同じ人口なんですけど、どこでも、誰でも、何度でも無料で受けられるというのをやって洗い出そうとしている。例えばソウルでもそういうことをやろうとしている。ほかにもいろんな試みをやっているわけですね。菅官房長官が攻めの検査をやっていると言っていましたけれども、まだ日本は夜の街の周辺、ほんの一部なんですね。だから、分科会でようやく無症状者をどうするかの議論が出てきましたがここを本気で考えていかないと経済は回す、でも感染対策は皆さんよろしくお願いしますではあまりに無策と言わざるをえないと思いますね。

要旨をまとめると、
・経済を回すことや休業要請を行うことも大事だが、無症状者を捕まえることも大事である。
・東京都とほぼ人口が同じであるドイツのバイエルン州はいつでもだれでも無料で検査を受けられる体制を整えている。
・菅官房長官は攻めの検査をやっているというが、経済は回すが感染対策は個々に任せるやりかたではあまりにも無策であるというほかがない。

というものです。

しかしながら、
・本発言において松原氏はドイツバイエルン州における検査体制を例に出しているが、「そもそもバイエルン州の面積は東京都の面積の約32倍であり、人口が同じであっても同列に考えることはふさわしくない」といった事情がある。また、同氏は検査体制の拡充を主張するためにこの例を用いているが、実際例に出されたバイエルン州の事例においては、ドイツのシュパーン保健相が「こうしたやり方は偽りの安心感を持たせるだけだ」と批判しているように、検査体制の拡充に対しては賛否が分かれている。
にもかかわらずバイエルン州などの事例を出して検査体制の拡充のみを主張する同氏の発言は、政治的に公平ではない。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平ではない恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 米軍基地でのクラスター発生について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 新型コロナウイルスに関して、「陽性率と市中感染拡大」について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事