2020年6月7日 サンデーモーニング(中編)

2020年6月7日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年6月7日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
①店舗の営業再開と東京アラートについて報道された部分
②黒人の暴行死について報道された部分
③コロナと貧困格差について報道された部分

以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 黒人の暴行死について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

白人警察官による黒人暴行死事件の抗議行動が全米に拡大する中、トランプ大統領の言動に厳しい批判の声が上がっています。今月1日ニューヨークのブロードウェイでは略奪が行われ、全米の抗議デモは一部が暴徒化し、40の都市で夜間外出禁止令が出されました。
発端となったのは、5月25日ミネソタ州で白人警察官に足で首を押さえつけられた黒人男性、ジョージ・フロイドさん。現場にいた通行人らは「鼻血が出ている。彼は人間だぞ。車に入れたらいいじゃないか」と述べていました。8分46秒間首を圧迫されその後死亡しました。この動画が拡散され、怒りの声が広がりました。警官らは殺人罪などで訴追されたものの抗議活動は全米に拡大し、各地で警官とデモ隊が衝突、強硬な対応も目立ちました。1日トランプ大統領は「米軍を配備し問題を速やかに解決する」と述べ、鎮圧のためにアメリカ軍の投入を辞さない構えを示しました。
1日ワシントン・ホワイトハウス前で抗議の意思を平和的に主張していたが、警察によって催涙弾が撃ち込まれ、強制的に排除されました。その後、トランプ大統領は誰もいなくなった場所を歩き、「米国は偉大な国だ」と前日放火された協会の前で聖書を掲げ発言し、抗議に一歩も引かない姿勢をアピールしました。同日、殺害されたフロイドさんの弟は、事件現場で「平和的にやってくれよ、みんなでデモをして物を壊して、でも彼らは動かない。こんなことを兄は望まない」と呼びかけました。
こうした中、デモを取り締まる側にも変化が現れました。2016年プロフットボールの選手が人種差別に抗議するため始めた、片ひざをつくポーズ。警察官らがデモ隊に共感の思いを伝えるため、デモの参加者に向き合いながら次々に片ひざをつきました。
アメリカ軍の投入も辞さない構えだったトランプ大統領に対し、3日エスパー国防長官は「法執行の任務のために現役部隊を動員する選択肢は、最後の手段に限られるべきだ。」と異論を述べました。トランプ大統領は「場合によるが、米軍投入が必要なると思わない。その力は十分にあるがね」と一転、軍隊の投入は必要ないとの考えを示しました。
さらに、2018年まで国防長官を務めたマティス氏は「私は今週の出来事を見て怒りを覚え、ぞっとした、兵士たちが国民の憲法上の権利を侵害することを命じられるなど、夢にも思わなかった。」と、軍の投入をちらつかせたトランプ氏を厳しく批判しました。
4日にはニューヨーク州で、警官隊に突き飛ばされた75歳の白人男性が重体となった動画が拡散し波紋を広げています。抗議行動はさらに拡大する可能性が出ています。

【コメンテーター発言内容】
橋谷氏(全文):トランプ大統領の言動が物議を醸しています。平和的デモを鎮圧して教会でパフォーマンスをしたり、アンティファ、こちらアンチファシズムの勢力をテロ組織に指定したり、あとから方針転換はしたんですが、暴動鎮圧のためにアメリカ軍の投入も辞さない考えを示しました。これらの背景に考えられるのは、支持層へのアピールなんですが、教会でのパフォーマンスはキリスト教福音派を意識したものとみられますがこれに対しアメリカ聖公会のマリアン・ブット司教は、「最も神聖な聖書と教会を政治利用に許可なく使用した」と批判しました。アンティファはトランプ支持層の白人至上主義や移民排斥を訴えるオルタナ右翼と呼ばれる人々への対抗勢力として誕生しました。支持層の対抗勢力を抗議デモの黒幕だと言っているわけです。また、アメリカ軍の投入の考えには白人支持者、中でも極右に対して強い指導者を印象づける狙いもみられます。これに対してマティス前国防長官が「トランプは国民をまとめようとしない、そのフリさえしない初めての大統領だ。アメリカ国民を分断しようしている。」痛烈に批判しています。

関口氏(全文):背景には、コロナのうっぷんみたいなものがあるのかもしれないね。アメリカっていう国がどうなっちゃうのか、 ぐじゃぐじゃだねという感じが僕はします。

寺島氏(要約):超大国と言われているアメリカの現実が、格差と貧困と差別という重いテーマ、医療制度がこれほどまでに破綻している国なのかと我々は改めて思い知ったんですね。失った国際社会からの信頼というのはものすごく大きい。すべては大統領選挙をにらんだ展開ということなんですけども、注目すべき点が一点ある。女性候補を副大統領候補に立てて次のアメリカへの希望を託すみたいな展開になってくると、 この話は大きく変わるなと見ています。

大宅氏(要約):アメリカの人種差別というのは根深いものがあって、公民権の法律ができ少しよくなっているように見えて全然変わってないんですね。トランプさんは全部それを次の選挙に使おうとしているんで。神様さえ選挙に使った。ミネソタの悪口は全然言わないんですよ。2016年の選挙のときにヒラリーに負けてるんですね。ものすごくそこは重要なのでミネソタを敵に回すわけにはいかない。それもこれもすべて自分の選挙のため。支持者というのは、トランプがたたかれればたたかれるほど支持を強くするところがあるようなのでちょっとそれが本当に心配です。

竹下氏(要約):今回の黒人のデモによって、多くの方がインターネットで声を上げています。当たり前の日常さえ、今まで送れなかったということが浮き彫りになっています。それ多くの人が耳を傾けていますので、トランプ支持者の中にも大統領の差別主義的な言動にノーを唱えないといけないんじゃないかと、そんな声が上がっています。大統領選挙を意識していますのでここは大きく大統領自身が政策を転換しないといけない、自分の今までの姿勢を変えないといけない時期なんじゃないかなと思っています。

関口氏(全文):ごちゃごちゃの騒動の中でインターネットだSNSだというのはまたそれを助長するというかそういうふうになってますね。

青木氏(全文):大統領選挙をにらんでの動きもあるんでしょうけど、人類普遍の差別は許さないという現実ですよね。原則ですよね、現実はともかくとして、それに泥を平気で塗るような大統領というのは、悲しいことは悲しいんですけど、実は各国の指導者ともトランプさんの就任以来、そういうトランプさんを見ながら超大国の大統領なのでつき合わざるをえないんだけれども、一定の距離を置いてきたんですよね。ところが、一番親しくしてて、ご機嫌を取ってきたのが実は日本の総理大臣というところもあって、武器を爆買いしたりとかしてきたわけですよね。こういう状況の大統領と一番近しい政府をいただいているということをわれわれはちょっと考えなくちゃいけないというのと、もうちょっと客観的にいえば、これによって大統領の結果が少し動いてくることになるとこのままでいいだろうかとか、逆に言うと、トランプさんとつきあえるのって安倍さんぐらいしかいないんじゃないのという声もあったので、日本の政局的にもかなり影響してくるんだろうなという感じはしますよね。

関口氏(全文):けど何かフロイドさんという方が警察官によって殺されたその問題がどんどん薄れちゃう、違うところへ違うところへ人々の関心が「飛び火してますよね(橋谷氏)」変だなと思って見ておりますが…。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
橋谷氏は今回の報道で、以下のように述べています。

橋谷氏(抜粋):トランプ大統領の言動が物議を醸しています。平和的デモを鎮圧して教会でパフォーマンスをしたり、アンティファ、こちらアンチファシズムの勢力をテロ組織に指定したり、あとから方針転換はしたんですが、暴動鎮圧のためにアメリカ軍の投入も辞さない考えを示しました。これらの背景に考えられるのは、支持層へのアピールなんですが、教会でのパフォーマンスはキリスト教福音派を意識したものとみられますがこれに対しアメリカ聖公会のマリアン・ブット司教は、「最も神聖な聖書と教会を政治利用に許可なく使用した」と批判しました。アンティファはトランプ支持層の白人至上主義や移民排斥を訴えるオルタナ右翼と呼ばれる人々への対抗勢力として誕生しました。支持層の対抗勢力を抗議デモの黒幕だと言っているわけです。また、アメリカ軍の投入の考えには白人支持者、中でも極右に対して強い指導者を印象づける狙いもみられます。これに対してマティス前国防長官が「トランプは国民をまとめようとしない、そのフリさえしない初めての大統領だ。アメリカ国民を分断しようしている。」痛烈に批判しています。

要旨をまとめると、
・トランプ大統領がアンティファをテロ組織に指定し、暴動鎮圧の為アメリカ軍の投入を辞さない考えを示した。
・アンティファとは、トランプ氏の白人至上主義や移民排斥を訴えるオルタナ右翼の対抗勢力である。
・これら一連の行動はアメリカ国民を分断する
しかしながら、
・アンティファは右翼団体や人種差別的な取り締まりを行う警察官に対して襲撃などを行う暴力性を指摘されており、これらの事実について報道されないことは政治的に公平ではなく事実に反する。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での橋谷氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):大統領選挙をににらんでの動きもあるんでしょうけど、人類普遍の差別は許さないという現実ですよね。原則ですよね、現実はともかくとして、それに泥を平気で塗るような大統領というのは、悲しいことは悲しいんですけど、実は各国の指導者ともトランプさんの就任以来、そういうトランプさんを見ながら超大国の大統領なのでつき合わざるをえないんだけれども、一定の距離を置いてきたんですよね。ところが、一番親しくしてて、ご機嫌を取ってきたのが実は日本の総理大臣というところもあって、武器を爆買いしたりとかしてきたわけですよね。こういう状況の大統領と一番近しい政府をいただいているということをわれわれはちょっと考えなくちゃいけないというのと、もうちょっと客観的にいえば、これによって大統領の結果が少し動いてくることになるとこのままでいいだろうかとか、逆に言うと、トランプさんとつきあえるのって安倍さんぐらいしかいないんじゃないのという声もあったので、日本の政局的にもかなり影響してくるんだろうなという感じはしますよね。

要旨をまとめると、
・トランプの就任以来、各国の指導者は一定の距離間を置いてきた
・日本の総理大臣は武器を爆買いしたりして、トランプと近しいお付き合いをしてきた
・このような差別をする大統領と仲良くしている安倍総理について考えないといけない

というものです。

しかしながら、
・そもそも「トランプが人種差別をする」という事例を報道中に一つも提示していない。そのため、政治的に公平ではなく、事実に反する恐れがある。
・日本における近隣諸国との関係等を述べず、「武器をアメリカから爆買いしている」と批判するのは、政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「トランプは差別主義者である」「インターネットが差別問題を増幅させている」という立場に立った意見のみが出てきました。

関口氏(抜粋): ごちゃごちゃの騒動の中でインターネットだSNSだというのはまたそれを助長するというかそういうふうになってますね。

など、こうした姿勢が顕著にみられる発言もありました。

ですがこの問題に関しては「トランプ氏は暴動や暴力に対して批判的な声を上げているのであり、差別主義者であるとは言い難い」「検察庁法関連法の際にには、インターネットの政治利用について礼賛していたのに対して、トランプ氏に関するものだと批判するのは政治的に公平でない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では(政治的に公平でなかったり、)事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ コロナと貧困格差について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 店舗の営業再開と東京アラートについて報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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