2019年11月24日 サンデーモーニング(後編)

2019年11月24日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年11月24日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 韓国によるGSOMIA破棄一時撤回について報道された部分
② 「風を読む」にてローマ教皇来日について報道された部分
③ 日本における初の武器見本市の開催について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 「風を読む」にてローマ教皇来日について報道された部分における
検証3 青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

ならびに、
③ 日本における初の武器見本市の開催について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):僕が注目してるのはもう一つあって、死刑制度ですよね。実はあの明日のミサにその袴田巌さん、あの50年間獄中で居られてどうも冤罪なんじゃないかということで再審請求中なんですけれども、釈放されている袴田さんを呼ばれてるらしいんですね。で、フランシスコ教皇自身、もともとカトリック教会っていうのは死刑反対なんですけれども、教皇自身さらに進めて死刑制度を許容できないとまでおっしゃっているんです。これまでね、で、世界的にみると、もう実は死刑廃止ってのが圧倒的な潮流で、確か140か国くらいがもう廃止国家、事実上の廃止国なんですね。国連加盟国数でいうとだいたい7割くらいが死刑廃止に舵を切っている。で、一方で先進民主国で死刑やってるのは日本とアメリカの一部の州ぐらいなんですね。だから、これ日本は去年もね、13人オウムの幹部を死刑にしましたけれど、これ世界の潮流からは外れてるっていう辺りを、今回内政干渉になるのでどこまで教皇が言うか分からないんですけれども、ちょっと今回、教皇の来日ってことをきっかけにして死刑制度も考えてみるきっかけにした方がいいんじゃないかなと僕は思ってます。

要旨をまとめると、
・元々カトリックは死刑制度に反対しているが、フランシスコ教皇は自身のミサに袴田巌さんを読んだり「死刑制度は許容できない」と発言するなどより死刑について厳しく反対している。
・世界的にみると死刑廃止は圧倒的潮流で、事実上の廃止国が140か国と国連加盟国数の7割が死刑廃止に舵を切っている。先進民主国で死刑を存置しているのはアメリカと日本だけで、日本が昨年オウム真理教幹部を13人死刑にしたことは世界の潮流から外れている。今回の教皇来日を通して死刑制度について考え直すべきだ。

というものです。

しかしながら、
・カトリック教会ならびにフランシスコ教皇の死刑に対する姿勢は、日本の死刑制度について一切影響を与えるものではない。
・世界人口の50%は依然死刑制度の存在する国で暮らしている。また、海外における死刑廃止の動向は日本国内における死刑制度の是非についての判断材料にはなりえない。「海外の潮流に日本も合わせるべきだ」とする主張は日本の国内事情や世論などを無視したもので事実に即しておらず、また政治的公平性を欠く。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 日本における初の武器見本市の開催について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
 戦車やミサイルなどを扱う最大級の武器の見本市が日本の千葉で開かれ、世界20か国・150社以上が参加した。これまで2年に1回イギリスで開かれていたが、今回初めて日本で開催された。その理由について主催者は「日本では4~5年前に解釈改憲が行われ日本市場が国際的に開かれた」と述べている。河野防衛大臣も視察に訪れたが、会場の外では市民団体が抗議の声をあげていた。

——-
【コメンテーターの発言】
関口宏氏(全文):真音さん、これ何かございますか?

幸田真音氏(全文):ニュースの中でね、日本が魅力的な市場になるって言ってた人がいたのを聞いてちょっとぞっとしたんですけれどもね、これあの、海外から90社、国内から60社っていうことでちょっと悩ましいのは、地方の中小企業なんかがかなり高い技術を持っているので、人間の命を守るための装備なんだっていう形で出店してらっしゃるところもあって。ただ、売るところまでは管理されていたとしても、そっから先どこへ流れるかということもありますし、万が一にもテロにもこうね、テロの手に渡ってしまうってことも考えられますのでね、やっぱり魅力的な日本が市場になるって、この辺り防衛予算、かなり高くなってその辺を狙ってくるってわけでしょうけど、ちょっと私はすごいぞっとしてますね。この先のことについて。

関口宏氏(全文):昔は武器輸出三原則とね、言葉が日本にはあったんだけれど、その武器は防衛装備と言い換えて、これをなんか、これでビジネスしようっていうところは僕もちょっと納得できないところがあるんですが。
——-

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、幸田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、幸田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
幸田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

幸田氏(抜粋)::ニュースの中でね、日本が魅力的な市場になるって言ってた人がいたのを聞いてちょっとぞっとしたんですけれどもね、これあの、海外から90社、国内から60社っていうことでちょっと悩ましいのは、地方の中小企業なんかがかなり高い技術を持っているので、人間の命を守るための装備なんだっていう形で出店してらっしゃるところもあって。ただ、売るところまでは管理されていたとしても、そっから先どこへ流れるかということもありますし、万が一にもテロにもこうね、テロの手に渡ってしまうってことも考えられますのでね、やっぱり魅力的な日本が市場になるって、この辺り防衛予算、かなり高くなってその辺を狙ってくるってわけでしょうけど、ちょっと私はすごいぞっとしてますね。この先のことについて。

要旨をまとめると、
・「日本が魅力的な市場になる」と聞いてぞっとした。海外から90社、国内から60社参加しているが、地方の中小企業が高い技術を「人間の命を守るため」といって出店しているのは悩ましいところだ。
・売るところまで管理されていたとしてもそこから先はわからない。万が一テロリストの手にわたってしまうことも考えられるので、防衛予算の増額などで日本が魅力的な市場になるのはすごいぞっとする。

というものです。

しかしながら、
・防衛装備の機能として人間の命を守ることは当然含まれており、地方の中小企業が技術を活かしてこうした装備を開発・出展することを「悩ましい」などあたかも恥ずべきことのように主張するのは極めて無礼であり、事実に反しており、また明らかに政治的公平性を欠く。
・「日本が魅力的な市場になる」というのは防衛省などの官公庁が海外の業者から装備品等を購入するという意味であり、海外企業から買うことでテロリストの手に渡るリスクが生じるという主張は支離滅裂で事実に即していない。また、日本企業が生産した装備品等がテロに用いられたとして、当然ながらその責はテロリストにあって装備品にはない。
・防衛予算の増額や日本政府が新たな装備品を購入することを「ぞっとする」などと表現することは明らかに政治的公平性を欠く。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での幸田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「武器の見本市を日本で開催するのは平和国家として問題だ」「武器でビジネスをすべきではない、武器輸出三原則を厳守すべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

関口氏(抜粋):昔は武器輸出三原則とね、言葉が日本にはあったんだけれど、その武器は防衛装備と言い換えて、これをなんか、これでビジネスしようっていうところは僕もちょっと納得できないところがあるんですが。

など、こうした姿勢が顕著にみられる発言もありました。

ですがこの問題に関しては「武器はあくまでも道具であって肝心なのはどう使うかだ」「昨今の日本をとりまく国防事情を鑑みれば自衛隊等がより良い装備を使うために市場を開くべきだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 韓国によるGSOMIA破棄一時撤回について報道された部分
については前編の報告を、

② 「風を読む」にてローマ教皇来日について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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