2019年9月1日 サンデーモーニング(前編)

2019年9月1日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年9月1日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 韓国軍による竹島での軍事訓練と文政権のスキャンダルについて報道された部分
② 「風を読む」にてブラジルの森林火災と地球温暖化について報道された部分
③ 京都アニメーション放火事件の被害者実名公表について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 韓国軍による竹島での軍事訓練と文政権のスキャンダルについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
 韓国・ソウルでは安倍政権を糾弾する集会が開かれたが、その2時間前には文政権を批判する集会が開かれていた。竹島での韓国軍による軍事訓練について米国国務省が異例の批判声明を発表し、韓国によるGSOMIA破棄についても撤回を求めた。8月28日付で輸出管理上の最優遇国から韓国を除外する政令を施行した日本に対し、韓国は改めて日本を批判。輸出管理強化の措置撤回を条件にGSOMIA破棄決定の見直す考えを示した。
強硬姿勢をエスカレートさせる文政権の背景には、スキャンダルの影があった。文大統領の側近である曺国氏が娘を超難関大学へ不正入学させ、息子を兵役逃れさせた疑惑が浮上している。野党は曺国のスキャンダルから目をそらすためにGSOMIA破棄のカードを切ったのではないかという声も上がっている。さらに、収賄罪に問われた朴前大統領の最高裁の判決が政権を維持するために利用されているとして批判の声も上がっている。
文政権のスキャンダルなども絡み、日韓の対立はさらに複雑な様相を呈している。

【アナウンサーによるパネル説明】
文政権の支持率について
・就任直後と南北首脳会談直後は高い数値を示したが、曺氏の不正疑惑が報道されると支持と不支持が逆転
・曺氏の疑惑が報道されると支持率は下がったが、GSOMIAの破棄を発表し、竹島で軍事訓練を行った直後は支持率が上昇

【コメンテーターの発言】
青木理氏(全文):確かにスキャンダル隠しだっていう報道も現地ではあるんですね。その、保守メディアなんかが、これは曺国っていう側近のスキャンダルを隠すためにGSOMIAを破棄したんじゃないかっていうことを言ってるメディアもあるし、そう言われてるんだけど、考えてみたらね、その、日本のあの輸出規制ですよね、いわゆる。いつやったかって参議員選挙の告示前ですよ。だから両方ともどうもちょっと政権が、ちょっと強硬なことをやって、ある種政治利用してるってところがあるんですね。で、この番組でも何度も申し上げてきたんですけど、ちょっと冷静になって、ちょっと中・長期的に考えたら、日韓ともに得なことが一つもないんですよ。安全保障もそうだし、日本にしても北朝鮮と交渉するってときに韓国のパイプあるってのは絶対あった方がいいし。それから経済的にも、1965年に日韓国交正常化して以降、日本が経済協力資金を、そのこう、渡す形で韓国は成長したんだけれども、日本のひも付きの資金だったから、日本の企業もすごく潤ったわけですよ。つまり、日韓の貿易ってのはこれ、申し上げましたけれども、一貫して日本が黒字。韓国が赤字。で、韓国は経済成長した。日本の企業も潤った。ある種Win-Winできてるわけですよ。その経済を傷つけるし、それからここにきてついに観光とかにまで傷が出てきてるってことは、これ両方にとって一つも良いことがなくて、唯一あるとすれば、お互いにね、一泡吹かせてやってちょっとスッキリしたっていうようなカタルシスですよね。そんなことのために、これ以上対立続けていいのかってことを考えなくちゃいけないのと、ちょっと気になって僕はいるのは、韓国がなんかでは比較的今回、文在寅政権のやり方おかしいんじゃないかっていう声が出てきていて。これまで反日一色だったのがなんか、韓国の世論が多様化してきてる感じがするんですよ。ところが日本はどうかっていうともう、ほぼ韓国批判一色どころか、まあ言いにくいけど、この局なんかも含めて、非常にテレビで乱暴なもう、韓国だったら何言ってもいいんだみたいな状況の人達がたくさん出てきて、また皆で煽ってるっていうような状況になってる。だから政治とメディアが本来煽っちゃいけないのに、煽って、ちょっといい気になってるっていうような風潮がむしろ日本が強まってるっていうあたりが、僕がここんところすごく気になってしょうがないですよね。

田中秀征氏(全文):僕はあの、就任っていうか就任する前からそうなんですけど、文大統領っていう人に対してね、評価高くないんですよ。で、それが現実にずっと実証されてきてるっていう、そういう感じで、まあますます私からも評価をしてきてるんですが、特にその、いつも言うんですが、国内問題や二国間問題を国際問題化してくっていうね、手法。これはかなり個性が出てるもんじゃないかと。で、タイに行ってね、日本の悪口を言ってやるっていう、そういうような話ですよ。だから、そういうことも、だんだん今、青木さん言ったように、国内的にね、そういうところをきちっと冷静に見るような風潮が流れで出てきたんで、ここところはね、あの、これからも我慢してね、しばらく我々は我慢して見守っていくと。そういうことで、韓国の世論のことを信じていきたいというふうに思いますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):確かにスキャンダル隠しだっていう報道も現地ではあるんですね。その、保守メディアなんかが、これは曺国っていう側近のスキャンダルを隠すためにGSOMIAを破棄したんじゃないかっていうことを言ってるメディアもあるし、そう言われてるんだけど、考えてみたらね、その、日本のあの輸出規制ですよね、いわゆる。いつやったかって参議員選挙の告示前ですよ。だから両方ともどうもちょっと政権が、ちょっと強硬なことをやって、ある種政治利用してるってところがあるんですね。で、この番組でも何度も申し上げてきたんですけど、ちょっと冷静になって、ちょっと中・長期的に考えたら、日韓ともに得なことが一つもないんですよ。安全保障もそうだし、日本にしても北朝鮮と交渉するってときに韓国のパイプあるってのは絶対あった方がいいし。それから経済的にも、1965年に日韓国交正常化して以降、日本が経済協力資金を、そのこう、渡す形で韓国は成長したんだけれども、日本のひも付きの資金だったから、日本の企業もすごく潤ったわけですよ。つまり、日韓の貿易ってのはこれ、申し上げましたけれども、一貫して日本が黒字。韓国が赤字。で、韓国は経済成長した。日本の企業も潤った。ある種Win-Winできてるわけですよ。その経済を傷つけるし、それからここにきてついに観光とかにまで傷が出てきてるってことは、これ両方にとって一つも良いことがなくて、唯一あるとすれば、お互いにね、一泡吹かせてやってちょっとスッキリしたっていうようなカタルシスですよね。そんなことのために、これ以上対立続けていいのかってことを考えなくちゃいけないのと、ちょっと気になって僕はいるのは、韓国がなんかでは比較的今回、文在寅政権のやり方おかしいんじゃないかっていう声が出てきていて。これまで反日一色だったのがなんか、韓国の世論が多様化してきてる感じがするんですよ。ところが日本はどうかっていうともう、ほぼ韓国批判一色どころか、まあ言いにくいけど、この局なんかも含めて、非常にテレビで乱暴なもう、韓国だったら何言ってもいいんだみたいな状況の人達がたくさん出てきて、また皆で煽ってるっていうような状況になってる。だから政治とメディアが本来煽っちゃいけないのに、煽って、ちょっといい気になってるっていうような風潮がむしろ日本が強まってるっていうあたりが、僕がここんところすごく気になってしょうがないですよね。

要旨をまとめると、
・GSOMIA破棄は文政権のスキャンダル隠しだという報道があるが、日本の輸出規制も参議院選挙の告示前だ。双方の政権が強硬策を政治利用している。
・冷静になって中長期的に考えれば、この日韓対立で得なことは一つもない。安全保障の面でも重要だし、対北朝鮮でも韓国という橋渡し役が必要だ。
・日本が経済協力資金を渡して韓国は成長したが、その資金は日本企業の物品を購入するという用途が決められていた「ひも付きの融資」だったので、日本企業にも恩恵があった。日韓の貿易はWin-Winだった。
・韓国では文政権のやり方を批判する声も出てきており、韓国世論は多様化している。一方で日本の世論はほぼ韓国批判一色で、政治とメディアもそれを煽っている。

というものです。

しかしながら、
・日本の輸出管理は安全保障上の懸念払しょくのために実施されたもので、そのタイミングも日本が提示したG20サミット実施までの期限内に韓国政府が対応策を示さなかったことによる。したがって選挙目当ての輸出規制だという青木氏の主張は明らかに事実に反している。
・韓国は危険物品の管理ができないという安全保障上のリスクを抱えており、また文政権以降急速に北朝鮮への接近を行っている。したがって青木氏の主張は事実に即していない。また、日本政府が冷静かつ中長期的に考えていないかのような発言は政治的に公平とは言えない。
・日韓請求権協定の第1条にて資金の使い道について「大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない」と定められてはいるが、日本企業の製品を買わなければいけないという紐づけは一切されていない(円または生産物、役務を供与する、という部分の誤読と思われる)。
・日本の世論が韓国批判一色だとする主張や、日本政府が韓国批判を煽っているという主張にはなんら根拠がない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):僕はあの、就任っていうか就任する前からそうなんですけど、文大統領っていう人に対してね、評価高くないんですよ。で、それが現実にずっと実証されてきてるっていう、そういう感じで、まあますます私からも評価をしてきてるんですが、特にその、いつも言うんですが、国内問題や二国間問題を国際問題化してくっていうね、手法。これはかなり個性が出てるもんじゃないかと。で、タイに行ってね、日本の悪口を言ってやるっていう、そういうような話ですよ。だから、そういうことも、だんだん今、青木さん言ったように、国内的にね、そういうところをきちっと冷静に見るような風潮が流れで出てきたんで、ここところはね、あの、これからも我慢してね、しばらく我々は我慢して見守っていくと。そういうことで、韓国の世論のことを信じていきたいというふうに思いますよね。

要旨をまとめると、
・タイに行った際に日本の悪口を言うなど、韓国の文大統領は国内問題や二国間問題を国際問題化していくという個性がある。
・韓国国内においてもこうした動きを冷静に批判する風潮が出てきたので、日本も我慢して見守っていくべきだ。

というものです。

しかしながら、
・文氏が大統領になる以前から、韓国はいわゆる「告げ口外交」など日本のネガティブキャンペーンを他国との外交や国際会議の場などで実施しているため、文大統領の個性だとする主張は事実に基づかない。
・韓国国内における文政権の評価は、日本の安全保障や管理貿易などにおいて取るべきアクションには何ら影響を与えない。また日本が我慢すべきだという主張は一方的に韓国の立場に立つもので政治的に公平とは言えない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での田中氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本政府は冷静になって韓国世論の正常化を待つべきだ」「日韓対立を続けることにメリットはない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「韓国国内の世論は日本政府が取るべき対応に影響を与えるものではない」「韓国の抱える経済安全保障上の問題が払しょくされない限り、日本は毅然とした態度を取るべき」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風を読む」にてブラジルの森林火災と地球温暖化について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 京都アニメーション放火事件の被害者実名公表について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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