2018年6月3日 サンデーモーニング

2018年6月3日 サンデーモーニング

サンデーモーニング、2018年6月3日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・米朝首脳会談関連について報道された部分
・森友・加計学園問題が不起訴となった件について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

最初に検証するのは、米朝首脳会談関連について報道された部分となります。
では、さっそく放送内容を見ていきましょう。

橋谷能理子アナウンサー(以下、橋谷):お伝えします。一時は中止とも思われました、シンガポールでの米朝首脳会談。予定通り12日に開催すると、トランプ大統領が表明しました。
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【VTR】
・かつては偵察総局トップを務め、アメリカ政府の独自制裁の対象となってきた金英哲党副委員長がホワイトハウスを訪問。トランプ大統領は金正恩党委員長からの親書を受け取り協議をした。
・これまでにトランプ政権は北朝鮮に短期間で検証可能な非核化を求めていたが、「非核化のプロセスは時間をかけてもいい」とハードルを下げたかのような発言を行い、北朝鮮の体制保証についても「しっかりと確認する」と発言。朝鮮戦争の終結にも言及している。

・5月26日に行われた2回目の南北首脳会談をきっかけに、米朝両国の事前協議は活発化した。
・板門店では事務レベルの協議が行われ、北朝鮮が保有する核弾頭の国外撤去の方法など非核化に向けた実務について話し合われた。
・会談が開催されるシンガポールでは、金党委員長の執事と呼ばれるキム・チャンソン国際委員会部長がアメリカ側と警備の方法などで意見交換を行った。
・ニューヨークでは、両首脳の側近同士である金英哲党副委員長とポンペオ国務長官が会談し、ポンペオ氏は北朝鮮の完全な非核化と引き換えに、体制保証や経済支援を改めて約束した。
・北朝鮮では、金党委員長がロシアのラブロフ外相と会談。ロシアを後ろ盾にすることで、米朝会談を優位に進めようとする意図があるとみられる。

・トランプ大統領は、北朝鮮がロシアと会談したことに不快感を示したが、米朝首脳会談の開催には意欲的である。
・トランプ大統領は、非核化後の経済支援について、「アメリカの資金提供はなく、北朝鮮への資金提供は隣国である日中韓が行うべき」と、米国第一主義の姿勢を見せた。
【VTR終】
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司会 関口宏(以下、関口):この動きをまとめておきましょう。

橋谷アナ:はい、トランプ大統領の発言のポイントです。『首脳会談は一回で済まない』『非核化のプロセスは時間をかけてもいい』とハードルを下げるようなことを言いました。さらに朝鮮戦争の終結にまで踏み込むなど、会談に前のめりの姿勢を見せているんです。一方で、北朝鮮が非核化した後の経済支援についても言及しているんですが、『アメリカの資金提供はない。経済支援は隣国の日中韓が行うべきである』と、アメリカ第一主義の姿勢を改めて見せているんですね」

関口氏:さあこれどのようにご覧になってますか。

寺島 実郎(以下、寺島):あの、構図が次第に見えてきたと思うんですね。で、アメリカ自身が必ずしも一枚岩ではないんだけども、トランプ大統領自身がこの会談を大いにやりたがってると。で、ボルトンとかペンスはですね、やっぱりリビア方式なんていうことに非常にこだわってるんだけども、トランプは中間選挙を睨んでますから、とにかく会談を行ってですね、何らかの実績を上げたっていう成果をアピールしたいってことですね。その際ですね、アメリカの国民にやっぱりウケる成果としてね、例えば ICBM のようなですね、長距離、アメリカに飛んでくるようなものについては抑えたぜ、と。で、アメリカファーストっていうのが、そういうのがしっかり出てきてるってパネルに書いてますけれども、一方でですね、『最大限の圧力』という言葉は、我々北朝鮮とだいぶ仲良くなってきたからもう使いたくないぜ、みたいなこと言い始めてるわけですね。それでいつのまにか、そっとですね、『経済協力』つまりある程度前に話が進んだ時の経済的支援については、近隣の国でやってくれと。日中韓とで。で、実態はですね、中国と韓国はもうすでに仕上がりかけてるようなもんですから。つまり北朝鮮に対してですね、もしアメリカとの流れの中で北に支援してもいいっていうことになればですね、多いに動いてですね、影響力を高めていくことに決まってます、中国のですね。で、そうなった時にじゃあ日本はっていうことになるんですけども。一言で言えばですね、つまりトランプ頼りの東アジア外交・北朝鮮外交の限界ってのはもう明らかに見えてきてるわけですね。要するに、東アジアに対する日本の構想力って言うかね、東アジアにどういう秩序をね、どういうキーワードで作っていくのか。だから当初からですね、要するに朝鮮半島の非核化のみならずですね、東アジア全体の非核化に向けて日本が先頭に出てるって言うようなことをですね、例えば国連の核兵器禁止条約のですね、122カ国と一緒になって作っていくなんてなことをね、やってればですね、ここでの立ち位置ってのはまるで違ってただろうなっていう風に思います

関口:それは言えてますね。では真音さん。

作家 幸田真音(以下、幸田):全くその通りだと思いますね。なんか見てるとこう、北朝鮮のほうが主導権を握ってきてるような印象を受けてしまいますよね。本当にあの、金正恩はすごいしたたかだなと。あの、東アジアの地政学の主役にね、注目される踊りで徹底する日本みたいな、こう、今アメリカのね、単細胞なね、はしゃいでるアメリカの大統領を喜ばせておいて、トランプはやっぱり国内しか見てないし、『今まで歴史的にやったことがないことをやる』って功名心をくすぐって、で裏でちゃっかりロシアと中国と手を組んでみて、おそらく中国からいろんな入れ知恵が来てるんじゃないかと思いますし、やっぱり日本が少なくともミサイル問題はきちっと主張できるように、やっぱりもうやり方としてはアメリカとこう、密に連絡取るしかないのかなってことだと思うんですけれども。とにかくその、存在感を日本がきちっと示してほしいなと思いますね」

関口氏:ちょっとね、まだそこが見えてこないかなって感じがしますね。

幸田氏:ちょっと今無視されてるなって気がしますね。

関口:谷口さん

大阪国際大学准教授 谷口真由美(以下、谷口):あの、トランプさんの演説を読んでみると、オバマさんの否定とそれと『日本は協力するだろ』っていうことがすごく出てくるんですけど、なんかあの、米朝やらないってアメリカがそういう風に見えた時にも真っ先にそれを支持するって言った日本とか、憲法上はもう外交っていうのは内閣のやる事項なんですね。で、今内閣の中の言葉が軽かったりとかちょっと信用できないなって言ってる状況で、外交に対しても言葉がすごく軽いなっていう気がするんです。それではやっぱり日本は信用される国にはならないんじゃないかなっていうのがあって。日本が信用される国になるためには、国内に向けても海外に向けても内閣の中での言葉の重さっていうちゃんと取り戻してもらいたいなという気はします。

関口:チキさん、どう思われますか

評論家 荻上 チキ(以下、荻上):そうですね。まあよくあるんですけれども、蚊帳の外か蚊帳の内かっていうのですけど、あまり二元論で語ることに意味はないのかなと。実質的には長期的に非核化などが進むことと、それから拉致被害などの具体的人権問題でも解決していく。人権問題という観点で言えば、日本も実際に朝鮮半島に対する、まあ様々な戦後に対する取り組みの話も残っていたりするような状況があるので、こうした問題をどう考えていくのか、どう対応していくかというなかで、プランをしっかり練ってる時だと。今何か具体的な例えばアクションが起こせないような段階でも、必ずこういう論点ってのはやってくるだろうなってのはあるわけですね。そうした問題を決して忘れずにしっかりと準備しておくということが必要なのかなと思いますね」

関口:「青木さん」

ジャーナリスト 青木理(以下、青木):VTR で、トランプさんのある種ものすごい率直さが出てましたよね。つまり明らかに変わったわけですよね。これも前のめりっていう風に言ってもいいかもしれないけど、「最大限の圧力使いたくない」とか言ってるわけですからだから。だから、変わったんだけど、この政権の「最大限の圧力と日本は100%共にある」って日本は言ってたんだけども、さあどうするかっていうことなんですよ。それでこれも率直なんだけど「金は日本と韓国が出すだろ」って言ってるんだけど、これは残念ながら、っていうか当たり前の責任なんだけど、かつての戦前戦中の行為に対する賠償として日本は払わなくちゃいけないんですよ。それもおそらく兆単位になるんですね。という現実的な問題もそうだし、この地域の平和とか安定か、危機なのかっていう、ものすごい分水嶺の時期に来ている時に日本はどう行くか、あるいはその主導権を握るって意味でもね。だってみんな動いてるわけですよ。中国も、韓国も、それからロシアも動いてる。で、日本だけ動かない、っていうのはその、貢献してるって意味でもそうですし、それと同時に主導権を握れのかっていう現実外交の問題でもこれ動かないっていうのは本当に、蚊帳の外っていう二元論の問題とは違うかもしれないけれども、この時期に動かないと、日本の存在感を示さないと、本当にあのただ金出すだけっていうことになりかねないので、これはもう考えるところだなと僕も思いますよね。

関口:中に突っ込んでいくっていうこととはちょっと別にね、日本ってのはこういう国ですよっていう、アピールかな、こういうのを今してないと、なんだかよく分からない国だなってことで片付けられてしまうとね、これはちょっと残念かなと私も思いますが。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、田中氏の発言に視聴者にミスリードを生みかねない内容が含まれている
2、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、田中氏の発言に、視聴者に誤った印象を与えかねない内容が含まれている

田中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):要するに、東アジアに対する日本の構想力って言うかね、東アジアにどういう秩序をね、どういうキーワードで作っていくのか。だから当初からですね、要するに朝鮮半島の非核化のみならずですね、東アジア全体の非核化に向けて日本が先頭に出てるって言うようなことをですね、例えば国連の核兵器禁止条約のですね、122カ国と一緒になって作っていくなんてなことをね、やってればですね、ここでの立ち位置ってのはまるで違ってただろうなっていう風に思います

要旨をまとめると、
・米朝首脳会談で「蚊帳の外」にある日本だが、朝鮮半島の非核化が議題なのだから、国連の核兵
器禁止条約に賛成していれば存在感を示せたのではないか
というものです。

しかしながら、この核兵器禁止条約は先進諸国のほとんどが不参加という結果に終わっています。
なぜなら、一律に核の廃棄を迫る内容のため、様々な理由で核を保有するに至った国々にとってはあまりに現実味がないばかりでなく、保有国と非保有国の間での溝を深める恐れがあるからです。
この不参加国の中には、今回の米朝首脳会談に関係する国々(北朝鮮、アメリカ、日本、韓国、中国、ロシアなど)も含まれています。つまり、核兵器禁止条約を批准したり、主導したところで今回の米朝首脳会談で影響力を示せるとは言い切れないのです。

よって、今回の田中氏の発言は「核兵器禁止条約が影響力を持つとは言い切れない」にもかかわらず、「日本が核兵器禁止条約に参加していれば、北朝鮮の核廃絶でもイニシアチブを発揮できただろう」というミスリードを生む恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):今内閣の中の言葉が軽かったりとかちょっと信用できないなって言ってる状況で、外交に対しても言葉がすごく軽いなっていう気がするんです。それではやっぱり日本は信用される国にはならないんじゃないかなっていうのがあって。日本が信用される国になるためには、国内に向けても海外に向けても内閣の中での言葉の重さっていうちゃんと取り戻してもらいたいなという気はします。

要旨をまとめると、
・内閣は内政で発言への信頼力が落ちている
・それが今回のような外交にも表れている
ということです。

しかし、就任以降外交面において様々な実績を積み重ねてきてきた安倍首相は、海外においてはその外交手腕において高い評価を得ています。実際、中央日報の調査では、60%の有識者が「安倍首相の外交手腕を評価している」と回答しています。
また、海外のメディアにおいて森友・加計問題は取り上げられなくなっており、海外の森友・加計問題に対する関心は薄れてきているのではないかという見方もできます。事実、森友学園に関する財務省決裁文書の書き換えが明らかになったにもかかわらず、その日の日経平均株価は上昇しており、その理由は海外の投資家が森友問題を重視していないからではないか、ということがロイターの調べで明らかになっているのです。

以上のことから、今回の報道での「内政での失態が外交にも影響している」という谷口氏の発言は、実態にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、森友・加計学園問題が不起訴となった件について報道された部分について検証したいと思います。
それでは、放送された内容を見ていきましょう。

関口:続きましては、え?っていうニュースでしたね。

水野 真裕美(以下、水野):森友学園への国有地売却をめぐる問題で、関係者全員を不起訴とした大阪地検。その判断に疑問の声が上がっています。

——–
【VTR】
・大阪地検特捜部は、売却価格が8億円あまり値引された背任や、財務省決裁文書改ざん問題での虚偽有印公文書作成などすべての告発容疑について、関係者38人全員を不起訴とした。
・佐川前理財局長は国会で、「交渉記録はない」と答弁したが、実際には存在していただけでなく、決裁文書を約300カ所改ざんされていたほか、国会答弁に合わせて文書を廃棄していた。
・大阪地検特捜部は、文書の改ざんについて根幹部分に変更はないと判断した。
・山本真千子特捜部長は、約8億円のごみ撤去費用について、「不適正と認定するのは困難」と述べ、政治家の関与や改ざんの動機については「捜査の具体的内容は差し控える」と回答を拒否した。
・自民党の二階幹事長は、一定の区切りがついたとの認識を示したが、与野党からは、麻生大臣の責任を問う声が相次いだ。
・野党は、刑事訴追のおそれがあるとして承認を拒んでいた佐川氏の証人喚問を改めて述べた。
・元東京地検検事の落合洋司弁護士は、警察の判断について、「単に改ざんだけが行われたというのではなく、国民をだまし国会をだます。そういう非常に悪辣な企みの中で行われたんだと積極的に罪を問うていくということをきちんと行っていかないと、特捜部の存在意義がどこになるんだということになる」と話した。
・財務省は、明日改ざん問題の調査結果を公表する予定である。
【VTR終】
——–

水野:大阪地検特捜部は、一年以上に及ぶ捜査の末、告発を受けた38人全員を不起訴処分としました。不起訴では異例の説明会見が開かれ、特捜部の山本真千子部長がその理由を述べました。まず、虚偽有印公文書作成など文書の改ざんについては、改変によって虚偽の文書が作成されたと認めるのは困難だったと説明。また、国有地を8億円値引して売却した背任容疑については、ごみの撤去費用が不適正と認定するのは困難。国に財産上の損害が生じたと認定するのは困難だと不起訴理由を説明しました。佐川らを告発した市民団体は、不起訴を不服として、検察審査会に審議を申し立てる方針です。

関口:これみんな困難なんだよねえ。困難を乗り越えてやってくださいよって私は言いたくなるんだけど。さあ、青木さん。ボードを使ってさらにご説明を。青木:おそらく本当に多くの人が全く納得できてないと思うんですけれども、まあ、これ理由はもう説明していただいたので説明しませんけれども、検察は、国有地格安売却をこれは背任じゃないかというふうに告発を受けて、捜査したけど困難と。で、公文書の改ざんも発覚をして、これは虚偽公文書作成にあたるんじゃないかといったんだけどこれも困難ということで、いずれも不起訴っていうことにしたんですね。で、これ。まさに困難を乗り越えるべきなんですけれども、これから、どうも報道によると、神戸製鋼所の品質データ改ざん問題では、警視庁と東京地検が合同で間もなく強制捜査するんですよ。これ、民間のデータが、これも重大な問題ですけれども、民間のデータが強制捜査されて、これは不起訴っていうのは、これはどう考えてもバランスが悪い。つまり困難なんだとすればですよ、100歩譲って。だとすれば、やっぱりこれは法的な問題、つまり、公文書を改ざんするっていう民主主義の根幹を根こそぎおかしくするようなことをしてて罪に問われないんだったら、やっぱり法改正ってのが必要で、国会で議論しなくちゃいけないっていうことと、そもそもこの事件ってのは検察が不起訴ありきだったんじゃないかっていう疑いがどうも強いんですね。どういうことかっていうと、国有地売却の問題が発覚したのが2017年の2月、去年の2月なんですけれども、背任の告発を受けて捜査するんですけれども、実を言うと、2018年3月の段階で、不起訴にするっていう方針でどうも動いていたんですね。というのも、山本特捜部長ってのが、これ3月で交代する予定だったんですよ。ところが、まさに3月に、公文書の改ざんってのがこれ朝日新聞の報道で発覚するんですね。何故発覚したのかってあたりも実は興味深いんですけれども、これが起きたもんだから、捜査をせざるをえないっていうか捜査することになって、特捜部長も留任をして、特捜部はずっと捜査してたんです今まで。ところが、これ神戸製鋼が何度も言いますけれども強制捜査をこれから受けるというふうに言われてるんだけど、一度も強制捜査してないんですね。近畿財務局も財務省も、強制捜査、いろんな資料を取りに行ってないんですね。あくまでも任意で捜査をして不起訴になったと、いうことを考えると、どうもやっぱり違うし、それからどうも最初から不起訴ありきだったんじゃないかなと。それでもここまで時間をかけたっていうのは何故かっていうと、これも出てきましたけれども検察審査会。市民が検察の判断、起訴をすれば裁判になるんですけれども、不起訴にしちゃったら誰も判断できないんですね。だから不起訴って判断が適正かどうかっていうのを検察審査会で審査をすると。で、これ、おかしいってことになると、強制起訴。二度起訴相当っていうのが出ると強制起訴ってことになるんですけれども、ここに対するアピールもあって、きちんと捜査を尽くしましたよっていう、ある意味ポーズをとるために、ここまで時間をかけて最終的に今不起訴にしたんじゃないかっていう疑いがどうもぬぐえない。っていうことになってくると、やっぱり検察が、大きな意味で言うと政権に対する忖度。それからその、財務省っていうのは、検察と、ある種不可分に捜査をする財務省、あるいは政権に対する忖度が、今回の不起訴っていう判断になったんじゃないかっていうことを疑われても仕方ないんじゃないかと、僕は思いますけどね。

関口:はい。ありがとうございました。寺島さんはどうご覧になってる。

寺島:若干その重心を下げてね、政治と国民の関係って視点からちょっと話してみたいんですけどね、官邸主導政治なるものからもたらした忖度官僚が生まれてですね、公文書の改ざんまでが出てきたと。しかも、我々にとってぎょっとなるのが民主主義の根幹である議会に対してね、国会において虚偽答弁までするなんてですね、ことが起こってると。で、にもかかわらずこういう形でもって犯罪性なしってことで不起訴になりましたと。で、そこでなんですけども、先週国会で議論された流れの中で非常に気になるのはね、政治家の責任に関してね、金をもらってないから、森友加計の問題で金をもらってないから、関与してるってことにはならないんだって動きが生じ始めてるんですよ。だけど、政治家当人が金をもらってなくてもですね、影響力って枠の中でね、明らかに国益とですね、いわゆる税金ってのが損なわれてるんだってことだけは確かなんですね。で、そこで、私、先週いろんな地方の権力者とか経営者って人と話をする機会があってですね、にもかかわらずですね、例えば、内閣支持率ってのが一定の度合いを保ってる理由に関して感ずることがあるんですけれども、国民の政治に対する期待はものすごく低減してきてですね、ひどいよねって思ってるんだけれども、ただですね、一言でいうと、株価が国民の支持を支えてるっていうのかな。変な言い方ですけれども、このアベノミクスっていう枠の中でね、年金基金と、いわゆる日銀の金さえ注入して株価っていうものを支えてですね、株価が倍になったっていうところに、国民の心理がもし良いじゃねえかって気持ちに、もしなるんだとしたら、やはり我々自身も、政治っていうものに対して議論するときの覚悟として、それでいいんだっていうことを思ってはならない。つまりですね、この間、何やら理不尽で不条理な方向に向かってることに対する鋭い目っていうのが問われてるんじゃないかなと僕は思いますね。

関口:萩上さんいきましょうか。

荻上:そうですね、財務省の問題は、当然ながら、公文書の改ざん、それから虚偽答弁の話、諸々あるわけです。元々あの、朝日新聞の報道も、何故この公文書が、国有地売却の資料が黒塗りになってるのかっていうところからスタートしたわけですね。で、実際にその国会というのが、何か罪を問うような場所ではなくて、法を作る場所なんですけれども、今回なぜこれだけ多くの論点っていうものを長い時間かけて追及しているかというと、立法事実を探してるからと。つまり、もし法の穴があるんだったら、新しくさらに法を作んなきゃいけないと。もし本当に適正手続を行った上で、不起訴ということになるのであれば、不起訴になるのはおかしいんじゃないかということで、ちゃんと起訴できる法律を作り直さなきゃいけないと、そういう観点も必要なわけですね。だから先ほどの青木さんの説明の通り、検察の今の体制をチェックしなくてはいけないけれども、検察がより適正に動けるような状況をもし作らなくてはいけないのであれば、それは立法の議論をしなくてはいけない。そうした意味では、これからの国会の議論、これからどんな資料が出てくるかも含めて、見ていかなくてはいけないと思います。

関口:谷口さんにも一言もらおうかな。

谷口:はい、えっと、二階さんが、これでスッキリして仕事に励んでもらいたいっておっしゃってたんですけど、誰がスッキリするんだろうと思って伺ってたんですね。結局、スッキリしたのはやましいことがある人ではないかと。で、やましいことがない人は、全くスッキリしないという状況が続く。それから8億円も値引されたことが、国に財産上の損害が生じたと認定できないっていうのも、すごく高いお金だと思うんですよね。それを、損害が生じてないというふうに言ってしまうことも、ちょっとなんか信じられない事態があまりに起こりすぎて、毎日信じられないので、それに慣れてしまっている自分にすごく怖くなってるんですけど、ウンザリしてる場合じゃないなという気がします。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の2点です。

1、青木氏の発言に、事実と異なる内容が含まれている恐れがある
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、 青木氏の発言に、事実と異なる内容が含まれている恐れがある
青木氏は今回の報道で以下のように発言しています。

青木氏(抜粋):そもそもこの事件ってのは検察が不起訴ありきだったんじゃないかっていう疑いがどうも強いんですね。どういうことかっていうと、国有地売却の問題が発覚したのが2017年の2月、去年の2月なんですけれども、背任の告発を受けて捜査するんですけれども、実を言うと、2018年3月の段階で、不起訴にするっていう方針でどうも動いていたんですね。というのも、山本特捜部長ってのが、これ3月で交代する予定だったんですよ。ところが、まさに3月に、公文書の改ざんってのがこれ朝日新聞の報道で発覚するんですね。何故発覚したのかってあたりも実は興味深いんですけれども、これが起きたもんだから、捜査をせざるをえないっていうか捜査することになって、特捜部長も留任をして、特捜部はずっと捜査してたんです今まで。ところが、これ神戸製鋼が何度も言いますけれども強制捜査をこれから受けるというふうに言われてるんだけど、一度も強制捜査してないんですね。近畿財務局も財務省も、強制捜査、いろんな資料を取りに行ってないんですね。あくまでも任意で捜査をして不起訴になったと、いうことを考えると、どうもやっぱり違うし、それからどうも最初から不起訴ありきだったんじゃないかなと。それでもここまで時間をかけたっていうのは何故かっていうと、これも出てきましたけれども検察審査会。市民が検察の判断、起訴をすれば裁判になるんですけれども、不起訴にしちゃったら誰も判断できないんですね。だから不起訴って判断が適正かどうかっていうのを検察審査会で審査をすると。で、これ、おかしいってことになると、強制起訴。二度起訴相当っていうのが出ると強制起訴ってことになるんですけれども、ここに対するアピールもあって、きちんと捜査を尽くしましたよっていう、ある意味ポーズをとるために、ここまで時間をかけて最終的に今不起訴にしたんじゃないかっていう疑いがどうもぬぐえない。

要旨をまとめると、以下のようになります。
・検察側は不起訴ありきで捜査をしていたという疑いが強い
・なぜなら、3月で交代するはずだった特捜部長が公文書改ざんの発覚後に留任し、その後今まで一度も強制捜査をしていないからだ
・文書改ざんをした神戸製鋼は強制捜査をしているのに、森友問題だけ強制捜査をしないのは現政権への忖度ではないか

しかし、神戸製鋼の問題は商品スペックの数値改ざんと根幹部分の改変であるのに対し、森友文書の改ざんはあくまで根幹部分の変更ではありません。そのため、事件の扱いに差が生まれたとしても不自然ではないと言えます。また、そもそも青木氏が提起した検察側の疑いには何ら根拠がなく、状況をまさに結論ありきで恣意的に解釈したと思われても不思議ではありません。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

今回の放送では、この問題について全体を通して「森友問題の関係者が全員不起訴なのは問題である」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「違法ではないのだからそこまでの問題性はないのではないか」「もっと報道すべき問題があるのではないか」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで不起訴はおかしい、という論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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