2019年10月13日 サンデーモーニング(前編)

2019年10月13日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年10月13日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて台風19号と地球温暖化について報道された部分
② 関電経営トップの引責辞任について報道された部分
③ 「表現の不自由展、その後」の展示再開について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 「風を読む」にて台風19号と地球温暖化について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 各地に甚大な被害をもたらした台風19号が大型で強い勢力のまま本州に上陸した背景には、日本近海の海水温上昇があった。今年の日本近海の海水温は1981年から2010年までの平均値と比べ2℃高い27℃で、その原因は紛れもなく地球温暖化だと専門家(国立環境研究所・江守正多氏)は語る。気候変動サミットではスウェーデン人のグレタ・トゥンベリ氏がスピーチを行い、77か国が「2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロ」にする約束を発表したが、日本は米中などとともにその約束には加わらなかった。いまだ国際社会が一致団結して温暖化対策に取り組んでいるとは言えない状況がある。ヨーロッパを中心に温室効果ガス排出量が多いとされる航空機の利用を避けようとする動きが広がっているが、私たちは日常生活の中で地球温暖化の原因とされる温室効果ガスを大量に排出している。大量のプラスチック廃棄物が出回っている背景には、経済的利益ばかりを重視する社会の在り様があると江守氏は指摘する。
今、地球温暖化は遠い将来の問題ではなく、現実の脅威として私たちの暮らしを脅かしつつある。

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【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(全文):あの、小泉進次郎さんがね、化石燃料減らしてくって言ったら、なんとなく笑っちゃう人がいっぱい出てくると思うんだけども、それについて具体策どうのって言ったって、これからの話で良いんですよ。彼が腹固めて非常に重大な公約をしたというふうに僕は受け取ってるんで、それでやってくれと。そういう気持ちですよね。だから、原発なくすのと化石燃料を減らしてくってことは、非常に一緒にやることは難しいことなんだけれども、何とか知恵をね、出さなきゃいけないというか、出していくっていうよりは出さなきゃいけないとこまで来てる。さっきあの文明史の折り返し地点って言ったのは、そういうことで言ってるんですけど。皆で頑張る他ないですよね。そういう方向で。

安田菜津紀氏(全文):今回のあの台風のように、目先の脅威にどう、何を備えるのかっていうことも、もちろん大事なんですけれど、やはりこう映像にあったように、変わりゆく気候に対してじゃあ、私たちはどう向き合っていくのかっていうことが、この台風の脅威に対する実感を忘れないままやはり考えなければいけないと思うんですよね。であの、先ほどのスピーチ。グレタ・トゥンベリさんが、スウェーデンの方ですよね。その国連のスピーチに対して、一部で非常にこう、嘲るような反応もあったんですね。そんなこと言ってだって、若いからそういうことを言ってるんでしょだったり。ただ、私たちに今必要なのは、例えば自分はどう行動するのか。あるいは政府に対してどう働きかけるのかっていう見極める冷静さであって、冷笑ではない。冷笑してる場合ではないってことを改めて確認しなければいけないなというふうに思います。

岡本行夫氏(要約):私が生まれた頃に比べて世界の人口は3倍になり、GDPは10倍になっている。海外旅行客は55倍に増え、とてつもなく便利で快適な生活になった。しかしこの快適さは全て膨大な化石燃料を燃やして成立している。温室効果ガス排出を全部カットするのはそう簡単なことではないが、世界中の温室効果ガスの75%を僅か12か国が輩出している。この国々が勇気ある行動をとって、ありとあらゆることを今やらなければいけない。

涌井雅之氏(要約):経済は成長しても地球は成長しない。企業や行政に任せるだけではなくて、市民一人ひとりが暮らしの中でどう減らしていくのかについて真剣に向き合わなければ、もっと深刻な気候変動が起きてしまう。それが一番心配。世界的な大変容をどうやって起こすかってことが持続的な未来を保証することにつながると思う。

青木理氏(全文):さっき安田さんがおっしゃった、そのある種グレタさんのような真っ直ぐな物言いに対して、冷笑とか嘲りっていうのが、これは別に日本だけに限った話じゃないんですけれども、どうも多い気がするんですね。しかしグレタさんの怒りってね、例えばVTRがあった以外のところではね、若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めているとかね、あるいは全ての未来世代の目はあなた達に注がれてると彼女は言ったんですね。その通りなんだけど、もっと考えなくちゃいけないのは、今現在のこれ、台風19号の被害、各地でまだ広がっていますけれども、つい先日、千葉で15号があって。これは風の被害でしたけれどもあったし、つい最近で言っても昨年は関西でしょ?それから、ちょっとこの何年か見ただけでも広島だったり九州だったり。明らかにおかしくなってる。もちろん全部気候変動のせいどうかは別として、明らかにおかしくなってる。これは本当にその、未来世代の目が我々に注ぎ込まれているどころか、今涌井さんがおっしゃったように、我々の存在、人類の存在っていうものがかかっているような状況になってるんだってことをいい加減これ気づかなくちゃいけないし、これをやらせるのはやっぱりい残念ながら政治の力だと思うんですね。だから、何ができるかっていうのはもうちょっと政治の、今の政権も含めて考えていただきたいなと思いますよね。船頭を切っていくっていうようなことが必要なんじゃないでしょうかね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の5点です。

1、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
4、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):あの、小泉進次郎さんがね、化石燃料減らしてくって言ったら、なんとなく笑っちゃう人がいっぱい出てくると思うんだけども、それについて具体策どうのって言ったって、これからの話で良いんですよ。彼が腹固めて非常に重大な公約をしたというふうに僕は受け取ってるんで、それでやってくれと。そういう気持ちですよね。だから、原発なくすのと化石燃料を減らしてくってことは、非常に一緒にやることは難しいことなんだけれども、何とか知恵をね、出さなきゃいけないというか、出していくっていうよりは出さなきゃいけないとこまで来てる。さっきあの文明史の折り返し地点って言ったのは、そういうことで言ってるんですけど。皆で頑張る他ないですよね。そういう方向で。

要旨をまとめると、
・小泉進次郎環境大臣の化石燃料を減らしていくという発言は笑われていたが、具体策はこれからの話でよい。大臣が非常に重要な公約をしたと考えている。
・原発をなくすことと化石燃料を減らしていくことの両立は難しいが、何とか知恵を出さないといけない。

というものです。

しかしながら、
・具体策もなく実現するかどうか分からない発言を「非常に重要な公約」として捉えることは事実に即しているとは言えない。
・地球温暖化を考えるうえで原子力発電は大きな解決策の一つであり、それをあたかも最初から廃止する前提で話を進めることは事実に反しており、また政治的に公平とも言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での田中氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):であの、先ほどのスピーチ。グレタ・トゥンベリさんが、スウェーデンの方ですよね。その国連のスピーチに対して、一部で非常にこう、嘲るような反応もあったんですね。そんなこと言ってだって、若いからそういうことを言ってるんでしょだったり。ただ、私たちに今必要なのは、例えば自分はどう行動するのか。あるいは政府に対してどう働きかけるのかっていう見極める冷静さであって、冷笑ではない。冷笑してる場合ではないってことを改めて確認しなければいけないなというふうに思います。

要旨をまとめると、
・グレタ・トゥンベリ氏の国連でのスピーチを「若いからそういうことを言う」などと嘲る反応もあった。
・今必要なのは自分がどう行動するか、政府に対してどう働きかけるのかを考える冷静さであって冷笑ではない。

というものです。

しかしながら、
・グレタ氏のスピーチが批判されている理由は「過激な環境保護家で現実から乖離している」「環境保護のために経済を犠牲にしていいと発言」「飛行機の利用を『飛び恥』と批判するも自分のスタッフは不問に」「CO2を多く輩出する中国については『中国は発展途上国だから』と不問に」「周囲の大人がグレタ氏に偏った情報を与え活動家に仕立て上げている」など非常に多く存在し、「若いから」批判されているという主張は事実に即していない。
・こうしたグレタ氏への批判を「冷笑」と一緒くたにまとめる行為は事実に反しており、また政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での安田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「グレタ氏の国連での演説を大人は真剣に受け止めるべきだ」「経済的利益を追い求めるのを辞めて環境保護に力を注ぐべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「グレタ氏の主張は現実からあまりに乖離している」「アスペルガー障害などの特性があるグレタ氏に偏った教育をした親の虐待ではないか」「原資となる経済成長がなければ環境保護活動もままならない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
① 「風を読む」にて台風19号と地球温暖化について報道された部分における
検証4「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
② 関電経営トップの引責辞任について報道された部分
については、中編の報告をご覧ください。

③ 「表現の不自由展、その後」の展示再開について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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