サンデーモーニング、2019年6月23日分の検証報告(中編)です。
今回の報告では、
① 年金の報告書について報道された部分
② 中朝会談と日本の外交について報道された部分
③ 「風を読む」にて安倍政権が不都合な真実を隠していると報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
中編で検証するのは、
② 中朝会談と日本の外交について報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
【VTR要約】
習近平国家主席が国家主席就任後、初めて訪朝し歓迎を受ける映像が流される。中朝の親密ぶりを強調し、米朝首脳会談をにらみ連携強化を狙ったものとみられる、とナレーション。金党委員長は前向きな反応がないアメリカに不満を述べ、習主席は非核化に向けた北朝鮮の努力を評価し「中国は朝鮮半島の安定に積極的な役割を果たしていきたい」と述べたと伝えられる。
中国政治に詳しい拓殖大・冨坂教授は、「中国はアメリカが求めている完全な非核化にはこだわっていない」と述べたと伝えられる。中国は脱アメリカへと舵を切り、中国からヨーロッパへとつながる一対一路のつながりを強化しようとしており、習主席はプーチン大統領、イラン・ロウハニ大統領などと集まりアメリカを牽制したとナレーション。冨坂教授は、「習主席の訪朝は、米国と距離を取るような外交の総仕上げだ」と指摘していると伝えられVTRは終了した。
【アナウンサーによるパネル説明】
・中朝首脳会談において、習主席は「非核化に向けた北朝鮮の努力を評価」、金党委員長は「関係国の前向きな反応がない」と表明
・冨坂教授は、中国の思惑について「中国は脱アメリカに舵を切りつつある」と指摘
・G20大阪サミットについて、開催以来うたわれてきた「保護主義と闘う」の文言が去年初めて盛り込まれず、日韓首脳会談は先送りされる可能性が高い
【コメンテーターの発言】
横江公美氏(要約):米中の間で貿易戦争をやっているが、中国経済の方が疲弊している。北朝鮮も経済制裁で辛い立場にある。トランプ大統領はアメリカ第一主義で、中国政府に補助金をやめろといっているが、中国企業としては辛い。習近平主席としては、北朝鮮との関係もあることをアピールし、足並みを揃えたいという思惑があると思う。
田中秀征氏(要約):中国が北朝鮮に媚びてるように見える。中国は、アメリカと一緒になって非核化についてもっと迫るのが筋。変な会談だと思う。
青木理氏(全文):(関口氏の「日韓首脳会談はなくなったんですか?」という問いに対し)韓国側は、どうも要請してるみたいなんだけど、どうも日本側が、っていう感じみたいですよね。日韓だけじゃなくて、今回G20サミット、大阪はどうも大変みたいですけれども。ある種、こう、なんかこうまたやってる感みたいなのはまた出るんだけど、中朝も会ったでしょ。北朝鮮に関して言うと韓国も会ってるし、それからロシアも、アメリカも会っていて、なんかこう、蚊帳の外感がますます強まってる感じですよね。で、一方日本はどうかって言えば、武器バカ買いして、アメリカにずっとついていくっていうのをずっとやっているだけで、地域の平和と安定に向けた独自の思想とか独自の構想ってのがないんですよ。で、かつ、歴史認識問題でいまだに韓国としこっちゃってるっていうような状況になってて。じゃあ、北朝鮮にしてみれば、日本を相手にしなくたって、別にアメリカとやればついてくるでしょ、どうせあんたたちはって、要するにみられちゃってるんですよね。だから、さっきね、チキさんが、年金の問題もやっぱりきちんと話すことが選挙の争点なんじゃないかって言ったけれども、冷静になってみてサミットになってまた支障がいろいろ出てきて、やった感だけはあるんだけど本当はどうなのかっていうあたりもきちんと見て、これは参議院選挙、衆議院があるかどうか知りませんけど、これも大きな争点だってことを注意深く見なきゃいけないと思いますよね。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。
1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。
青木氏(抜粋):(関口氏の「日韓首脳会談はなくなったんですか?」という問いに対し)韓国側は、どうも要請してるみたいなんだけど、どうも日本側が、っていう感じみたいですよね。日韓だけじゃなくて、今回G20サミット、大阪はどうも大変みたいですけれども。ある種、こう、なんかこうまたやってる感みたいなのはまた出るんだけど、中朝も会ったでしょ。北朝鮮に関して言うと韓国も会ってるし、それからロシアも、アメリカも会っていて、なんかこう、蚊帳の外感がますます強まってる感じですよね。で、一方日本はどうかって言えば、武器バカ買いして、アメリカにずっとついていくっていうのをずっとやっているだけで、地域の平和と安定に向けた独自の思想とか独自の構想ってのがないんですよ。で、かつ、歴史認識問題でいまだに韓国としこっちゃってるっていうような状況になってて。じゃあ、北朝鮮にしてみれば、日本を相手にしなくたって、別にアメリカとやればついてくるでしょ、どうせあんたたちはって、要するにみられちゃってるんですよね。だから、さっきね、チキさんが、年金の問題もやっぱりきちんと話すことが選挙の争点なんじゃないかって言ったけれども、冷静になってみてサミットになってまた支障がいろいろ出てきて、やった感だけはあるんだけど本当はどうなのかっていうあたりもきちんと見て、これは参議院選挙、衆議院があるかどうか知りませんけど、これも大きな争点だってことを注意深く見なきゃいけないと思いますよね。
要旨をまとめると、
・日韓首脳会談は日本の意向でなくなったが、中朝や南北、露朝、米朝と北朝鮮に様々な国が北朝鮮と会う中で蚊帳の外感がますます強まっている。
・日本はアメリカから武器を爆買いし、アメリカ追従外交に走るのみで地域の平和に向けた独自の思想や構想がない。
・歴史認識でも韓国と揉めている状況で、北朝鮮からは甘く見られている。
・G20サミットをやった感だけあるのでは意味がない。
というものです。
しかしながら、
・日韓首脳会談の実施の有無と北朝鮮問題とは直接の因果関係はない。また、トランプ米大統領をはじめ各国と連携して北朝鮮に対処する日本が「蚊帳の外」だとする主張は事実に即していない。
・アメリカが同盟諸国に実施するFMS(対外有償軍事援助)は日本だけでなく様々な国に対して実施されている。また、F35Aやイージス・アショアの購入を「無駄な爆買い」とする主張は日本の安全保障を考慮すると事実だとは言えず、また政治的に公平とも言えない。
・日本とその周辺地域の平和を維持するためには日米連携して対処していくことが大切であり、「独自の思想や構想」の方が日米連携より重要だとする主張には全く根拠がなく、現実に即していない。
・歴史認識で韓国と対立していることが北朝鮮の対日姿勢に影響を与えるものではない。また、G20サミットは安倍首相の外交力が大いに発揮されているという見方が大勢であり青木氏の主張は事実に即していない。
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあります。したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「中国は脱アメリカに舵を切り、同調する国も多い」「日本の外交は対米追従を見直すべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「自由主義・民主主義と言う共通の価値を置かない中国とは距離を置く国も多い」「日米関係は日本の外交の要だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の中編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
この続きの
③ 「風を読む」にて安倍政権が不都合な真実を隠していると報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。
① 年金の報告書について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。