2020年6月14日 サンデーモーニング(中編)

2020年6月14日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年6月14日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① アメリカ大統領選について報道された部分
② 「風を読む」にてレイシズムについて報道された部分
③ 朝鮮半島の南北分断について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 「風を読む」にてレイシズムについて報道された部分

となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
アメリカの黒人男性暴行事件をきっかけに国境を越えて拡大する抗議デモは、記念碑を撤去する動きとなって各地に広がっています。オックスフォード大学では学生らがセシル・ローズ像の撤去を要求し、デモ参加者は「この像が示すのは植民地主義や奴隷といった暴力的な負の遺産であり、その価値観は我々が大学で讃えるべきものではない」と話しました。オーストラリアでは先住民もデモに参加し、「少数派の民族が多数を占める民族や資本主義制度、堕落した警察制度のもとで人種差別を受けている」と不当な扱いをされる現状を改めるよう警察に要求しました。
アメリカでは、アメリカ大陸の発見者として知られるコロンブスを先住民の虐殺者として糾弾、その像を破壊する動きも起きました。また第二次世界大戦中の指導者・チャーチル元首相の銅像は、抗議運動による破壊を防ぐために金属板で覆わています。生前、チャーチル元首相がインド人に対する人種差別的な言動をしていたとして抗議の声が高まりました。「これまでは白人目線の歴史ばかり語られてきたことが問題だった」と話します。

16世紀以降、スペインやイギリスなど当時の列強が推進してきた奴隷貿易により、アフリカの多くの黒人が南北アメリカ大陸に送り込まれ、奴隷として酷使される差別構造が作られました。その後、リンカーン大統領の奴隷解放宣言や1960年代半ばのキング牧師を中心とする公民権運動により法律上は黒人にも、白人と同等な権利が保障されてきました。

法制度は変わっても実態はどうだったのか、母親から息子に伝えられた16項目もの細かな生活ルールについての動画が注目されています。ポケットに手を入れない、パーカーのフードをかぶらないなど、キャメロン・ウェルチさんは幼いころから母親にこのルールを守るよう教えられてきました。今なお厳しい人種的差別や偏見にさらされ不安を抱えて生きることを強いられたアメリカ社会における黒人の現実がうかがわれます。アメリカでは黒人男性の1000人に1人が警察官による銃撃などで死亡、黒人が警察官に撃たれて死亡する確率は白人の2倍以上です。

こうした悲劇を終わらせるために、「レイシズム」という本が手掛かりとなります。レイシズムとは人種差別主義を指します。著者ルース・ベネディクトは、太平洋戦争後に「菊と刀」という日本人論を発表した文化人類学者でもあります。本の中で「差別の口実が人種であろうと、それ以外の要因であろうと、社会としてあらゆるマイノリティ(少数派)への差別の撤廃に向かっていくことこそ、健全というべきではないだろうか。これは単に人種差別をなくすだけのプログラム(計画)ではない。少数派の生活を保障することはマジョリティ(多数派)の側。つまり今のところ、迫害する側に立っている人も将来の生活について安心できるよう仕組みを作ることである。」と記述しています。

多数派、少数派のどちらかではなく、双方が安心して暮らせる仕組み、そんな社会こそが目指すべき道だといいます。今世紀半ばにはアメリカの人口に占める白人の比率は半数を割るとされています。宗教、民族、移民・難民、経済格差など至る所で分断・差別が生み出され、すべてが混沌としていく中、世界は人々の不安を和らげる道を見つけられるでしょうか。

【コメンテーター発言内容】
関口氏(要約):コロンブスが言われたときに複雑な思いがしましたけど、今回はチャーチルが出てきたのも、また私は複雑に受け止めざるをえなかった。これは人類の究極なテーマなんでしょうか。

姜さん(要約):人種差別主義の究極はホロコーストになってこれはドイツは批判されました。フランスもベトナムとかアルジェリアで痛い目に遭って。ところがアメリカとイギリスだけは戦勝国としてずっと一貫してこのまま来たわけです。今回初めてアングロサクソン的なる世界が表している、 資本主義も含めて、これはおかしいじゃないかと。これが白人の中にも出てきたことが新しいと思うんです。私たちの時代は人種差別主義、レイシズムと帝国主義と植民地主義とナショナリズムと4点セットがある。この4点セットが今噴き出して、これを見直したいという動きが出てきていると考えると、これは日本にとって非常に大きな問題を投げかけられていると見たほうがいいんじゃないと思うんですね。

元村氏(全文):イギリスやアメリカで起きていることというのは銅像を倒すとかという分かりやすい行動ですけれどもつまり白人中心史観を問い直す動きだと思うんですよね。これはアジア系である私たちにとっても今までちょっと偏った歴史だなと思っていたことが問い直されるということで、とてもいいことだと思うんですが銅像を水に沈めて終わりかというとそれはたぶん違っていて、ストリートアーティストのバンクシーさんが、引き倒している人も含めて銅像に残したほうがいいと言っていましたがそれに当たると思います。これからコロナ禍の中でハイジニズムという言葉が出てきています。ハイジーン、つまり衛生的であるということと、レイシズムが一緒に合わさって、つまりアメリカがやっているような中国原因説ですね。ああいったことがまた広がっていくのがとても心配です。1人も不幸にならない地球を本当に考えていかなければいけないと思います。

藪中氏(要約):これまで色々な事件があったが今回は別だよ、ということになっているが果たしてそうなのか。難しいのはデモで何を要求すのか。これから何が大事かというと、教育環境、経済、医療とそこの事態に踏み込んで行かなきゃいけない。アメリカが問われているところで、我々もそういう問題があることを考えなきゃいけないと思います。

安田氏(全文):先ほど映像の中でルース・ベネディクト氏の言葉の中で多数派にも安心が必要という言葉があったと思うんですね。もちろん、それは必要な視点ではあるとは思うんですけれども、ただ、そもそも少数派の尊厳というのが何かしらの形で奪われてしまっている、踏みにじられてしまっているという状況で社会全体の安心がその状態でありえるのかということが、今、問われているんだと思うんですよね。先日、警官によって命を奪われてしまったジョージ・フロイドさんの弟さんが呼びかけていた中で、みずから学んで、適切な政治家を選んでいこう、それによって構造的な暴力を変えていきましょうと彼の言葉の中であったんですが、今求められていることというのは、その言葉の中に集約されていると思うんですよね。もちろん差別であったりヘイトの問題というのはこの日本の中にも深刻な状態で残されていますしそれに対して、ネットの書き込みでそれがあったとしても深刻です。 非常に深刻だということで、言葉の暴力が身体的暴力に比べて軽いということはないんだということも、この問題で伝えていかなければならない問題だと思います。

松原氏(要約):私は差別の根っこにあるのは異なるものへの恐怖心だと思うんです。トランプ大統領の白人支持者に話を聞くと、黒人が大統領になったことで今度は自分たちがやられるのではないかと疑心暗鬼が広まっている。今後、白人がマイノリティになる中で加速するのではないかと懸念します。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
元村氏は今回の報道で、以下のように述べています。

元村氏(抜粋):イギリスやアメリカで起きていることというのは銅像を倒すとかという分かりやすい行動ですけれどもつまり白人中心史観を問い直す動きだと思うんですよね。これはアジア系である私たちにとっても今までちょっと偏った歴史だなと思っていたことが問い直されるということで、とてもいいことだと思うんですが銅像を水に沈めて終わりかというとそれはたぶん違っていて、ストリートアーティストのバンクシーさんが、引き倒している人も含めて銅像に残したほうがいいと言っていましたがそれに当たると思います。これからコロナ禍の中でハイジニズムという言葉が出てきています。ハイジーン、つまり衛生的であるということと、レイシズムが一緒に合わさって、つまりアメリカがやっているような中国原因説ですね。ああいったことがまた広がっていくのがとても心配です。1人も不幸にならない地球を本当に考えていかなければいけないと思います。

要旨をまとめると、
・白人至上主義を問い直さないといけない。
・コロナ禍の中で、ハイジニズム(衛生的であること)とレイシズムが一緒に合わさって、アメリカが主張しているようなコロナの中国原因説が広がっていくことが心配である。

というものです。

しかしながら、
・コロナウイルスの発生源は中国のコウモリから発生されたのが通説である。これは、WHOですら容認している。それにも関わらず、中国が原因でないと主張する元村氏の発言は事実に反し、政治的に公平でない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での元村氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):先ほど映像の中でルース・ベネディクト氏の言葉の中で多数派にも安心が必要という言葉があったと思うんですね。もちろん、それは必要な視点ではあるとは思うんですけれども、ただ、そもそも少数派の尊厳というのが何かしらの形で奪われてしまっている、踏みにじられてしまっているという状況で社会全体の安心がその状態でありえるのかということが、今、問われているんだと思うんですよね。先日、警官によって命を奪われてしまったジョージ・フロイドさんの弟さんが呼びかけていた中で、みずから学んで、適切な政治家を選んでいこう、それによって構造的な暴力を変えていきましょうと彼の言葉の中であったんですが、今求められていることというのは、その言葉の中に集約されていると思うんですよね。もちろん差別であったりヘイトの問題というのはこの日本の中にも深刻な状態で残されていますしそれに対して、ネットの書き込みでそれがあったとしても深刻です。 非常に深刻だということで、言葉の暴力が身体的暴力に比べて軽いということはないんだということも、この問題で伝えていかなければならない問題だと思います。

要旨をまとめると、
・アメリカでは、少数派の尊厳が踏みにじられてしまっている。
・差別、ヘイトの問題は日本でも深刻である、特にネットの書き込みだと深刻だ。言葉の暴力も身体の暴力もどちらもいけないことである。

というものです。

しかしながら、
・日本において差別・ヘイトがあるという具体的な事例が示されておらず、根拠に乏しく事実に反する恐れがある。
・現時点において280万人以上の在日外国人が居住し日本人と共生しており、差別問題が根深いとは考えづらい。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での安田氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「白人層は差別主義者である」「日本にもヘイトや差別が存在している」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「白人であるから差別を行うわけではない。差別をする層は貧困層である。」「在日外国人がむしろ優遇されている」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの

ならびに
③ 朝鮮半島の南北分断について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① アメリカ大統領選について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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