2020年3月29日 サンデーモーニング(中編)

2020年3月29日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年3月29日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 医療崩壊が進むドイツと日本の医療体制について報道された部分
② 「風を読む」にてスタグフレーションについて報道された部分
③ 森友問題について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 「風を読む」にてスタグフレーションについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

世界を混乱させる新型コロナウイルス、その影響は医療だけにとどまりません。
全米の感染者の4割以上を占めるニューヨーク州では、事実上の外出制限令が出され、店舗が閉鎖し、職を追われる人も出ています。米国のFRBを構成するセントルイス連邦準備銀行の総裁は、失業率が現在の3・5%から30%まで悪化する可能性を指摘。こうした事態にトランプ政権は2兆2000億ドル(約237兆円)規模の経済対策法を成立させました。
イギリスでは、23日から国民の外出を大幅に制限し、飲食店などに対して持ち帰り用サービスを除き、速やかに休業するよう要請しました。イギリス政府は総額300億ポンド(約4兆550億円)新型コロナウイルス対策を発表しました。26日開かれた G20首脳テレビ電話会議でも5兆ドル(約550兆円)超の経済財政措置をとるとしました。
そうした中、日銀は株式市場を下支えするため、当面上場投資信託の買入額を今の倍、年12兆円にふやす追加の金融緩和を決定しました。政府与党も、所得制限をつけた上で国民に現金給付を行うことを検討するなど、最大規模の緊急経済対策を実施することにしました。
自国経済を支えようと必死の対応に追われる各国。しかし世界各国が行っている過剰ともとれる財政政策に対して、スタグフレーションの発生を危惧する声が上がっています。
スタグフレーションとは、不況下で起こるインフレのこと。不況下では需要が落ち込みますが物の供給がそれ以上に落ち込んだ場合、物価が上昇することをいうのです。代表的な例として1970年代のオイルショックが挙げられ世界同時不況の中、先進国は軒並み2桁台の率の物価上昇に見舞われました。
お金が大量に供給される中で、物の生産が滞ったときに起きるとされるスタグフレーション。
世界の工場・中国による部品供給にブレーキがかかり、各国の生産活動は大幅に停滞しています。お金がありながら物がない、品不足の状態に世界各地でパニック買いも発生しています。今後、コロナウイルスの感染拡大によって、世界経済はどうなっていくのか。予断を許さない状況です。

【コメンテーターの発言】

関口氏(全文):トランプ大統領が、コロナの影響でもって経済状態が悪くなったら自殺者が増える、それはドキッとしてこれは日本だって決して例外じゃないと僕は思っています。

寺島氏(要約):コロナの問題は間違いなくアベノミクスにとどめを刺します。アベノミクスというのは金融政策に過剰に依存して、リーマン・ショック以降続けてきてるがこれ以上できないというぐらいマイナス金利に持ってる。3月だけで株価支えるためにほぼ1兆円投入した。株高だけを演じてパニックが起こらないようにってやってるがこのことのしわ寄せは、緊急対策の向こうに。実体経済に即した経済政策をピシッと出さなきゃいけないときにマネーゲーム資本主義だけでもって解決しようとするリスクはものすごく高い、それがここで言うスタグフレーションなんだということを、しっかり認識しておくべきだと思います。

田中氏(要約):日本の食料自給率は37%と世界でもかなり低い水準。衣食住を考えたとき、地域でそれぞれの生活ができるように生産物を作れるような国に今のうちになっておかないと。やはり産業というのは、そこからまず組み立てていかないとまずい状況になると思います。

藪中氏(要約):トランプさんにしても誰にしても、ウイルスの問題はどこかで終息するんだろうと甘く見ていた。グローバリゼーションの中で起きたため、今まで見たことないような都市封鎖や国家封鎖が起きている。京都のオーバーツーリズムなど、グローバリゼーションの行き過ぎがあった。ある意味で、今までのグローバリゼーションの行き過ぎをチェックするということも考えていく必要がある。

目加田氏(全文):行き過ぎたグローバライゼーションの結果、効率化だったり、自国ファーストであったり、ウィナーテイクスオールというんですかね、勝者が一人勝ちするという価値観というものが国際社会の中を覆っていたと思うんですよね。だけど、冷静に今回のコロナの問題を見ても非常に皮肉だと思うんですけれども、今、最大の被害者を出したアメリカは世界最大の軍事大国ですよね。でも、核ミサイルをどれだけ保有していても戦闘機や空母や、どれだけの軍事力を保持していても、命は救えないわけですよね。そこをちゃんと直視しなきゃいけない。先ほどのイタリアやフランスなど、一部の国の医療の崩壊という話も出ましたけれども、本当に私たちが何に価値を置いてこれからの時代を過ごしていくのかという、本質的な議論をこの機会にしっかり深めていくことをしたいなとVTR見ながら思ってました。

青木氏(全文):経済もこれ悪化すると人が亡くなるということもあるでしょうね。犯罪にしても戦争にしても、自然災害もそれから感染症もそうなんですけれども、人の命を大量に危機に陥れると。 首相もよくおっしゃってるんですけど、皮肉言っちゃうと部下の財務省の職員の命をこれだけ粗末にしておいてと言いたくもなるんですが、ただ、こういうときに一番危機に瀕するのは高齢者だったり途上国だったり中小企業だったり非正規の方だったり低所得者、要するに弱者ですよね。それは全ての災害に共通することですから、そこをどうやって守るかというあたりが、僕はやっぱり国家あるいは社会というものの一番の責務だなと思うんで、これも目を凝らして見ていきたいなと思いますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。

1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
目加田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

目加田氏(抜粋):行き過ぎたグローバライゼーションの結果、効率化だったり、自国ファーストであったり、ウィナーテイクスオールというんですかね、勝者が一人勝ちするという価値観というものが国際社会の中を覆っていたと思うんですよね。だけど、冷静に今回のコロナの問題を見ても非常に皮肉だと思うんですけれども、今、最大の被害者を出したアメリカは世界最大の軍事大国ですよね。でも、核ミサイルをどれだけ保有していても戦闘機や空母や、どれだけの軍事力を保持していても、命は救えないわけですよね。そこをちゃんと直視しなきゃいけない。先ほどのイタリアやフランスなど、一部の国の医療の崩壊という話も出ましたけれども、本当に私たちが何に価値を置いてこれからの時代を過ごしていくのかという、本質的な議論をこの機会にしっかり深めていくことをしたいなとVTR見ながら思ってました。

要旨をまとめると、
・行き過ぎたグローバル化の結果、勝者が一人勝ちするという価値観が国際社会に浸透していった。
・コロナの状況をみると、世界最大の軍事国家アメリカが最大の被害国である。
・核ミサイル、戦闘機、空母などの軍事力を保持していたとしても、命を救うことはできないことを直視しないといけない。

というものです。

しかしながら、
・「軍事国家であるのに感染の拡大を防止できない」という目加田氏の主張は明らかに論理が飛躍しており、事実に反する恐れがある。
・武器を有しているのにも関わらずアメリカが最大の被害国であると、主張する目加田氏は、世界的な感染拡大を抑制できなかった中国については言及しておらず、政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での目加田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):経済もこれ悪化すると人が亡くなるということもあるでしょうね。犯罪にしても戦争にしても、自然災害もそれから感染症もそうなんですけれども、人の命を大量に危機に陥れると。 首相もよくおっしゃってるんですけど、皮肉言っちゃうと部下の財務省の職員の命をこれだけ粗末にしておいてと言いたくもなるんですが、ただ、こういうときに一番危機に瀕するのは高齢者だったり途上国だったり中小企業だったり非正規の方だったり低所得者、要するに弱者ですよね。それは全ての災害に共通することですから、そこをどうやって守るかというあたりが、僕はやっぱり国家あるいは社会というものの一番の責務だなと思うんで、これも目を凝らして見ていきたいなと思いますよね。

要旨をまとめると、
・犯罪、戦争、自然災害、感染症、人の生命にかかわる危機に陥ると大きな被害を受けるのは、社会的弱者であると首相はよく言うが、財務省の職員の命を粗末にしておいてと言いたくなってしまう。
というものです。

しかしながら、
・「安倍首相が財務省の命を粗末にした」という具体的な事実を青木氏は示していない。その為、事実に反する恐れあり、政治的にも公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同あうぇ第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

———————————————————————————————————————-
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「1970年代同様のスタグフレーションの可能性がある」「世界的に物品が品薄である」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「多くの物品が輸出される中国の生産活動は再開されている」「メディアが必要以上にコロナウイルスの不安感をあおり購買促進させている」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

③ 森友問題について報道された部分

については、後編の報告をご覧ください。

① 医療崩壊が進むドイツと日本の医療体制について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事