2019年1月13日 サンデーモーニング(前編)

2019年1月13日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年1月13日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
韓国文大統領の会見について報道された部分
辺野古の県民投票について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
韓国文大統領の会見について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
新年の会見を行う文大統領の映像が流される。日韓関係について日本の記者に問われた文大統領は「私は日本政府が少し謙虚な立場を取るべきだと思っています(字幕)」と答え、徴用工問題に対する日本の政治家を批判したと説明。続けて、会見の前日に通知された新日鉄住金保有の資産差押さえを受け、日本政府は政府間協議の要請を検討していると説明した。
記者会見での日韓関係への言及はわずか4分50分と短かったこと、レーダー照射の問題については触れなかったことをアナウンスした後、菅官房長官の記者会見映像へ切り替わる。「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものだ」と遺憾の意を表する菅官房長官の姿が映し出され、日韓請求権協定違反だとして激しく反発しているとアナウンサー説明。
「深まる日韓の対立、解決の糸口が見えないままです」と日韓関係悪化の深刻さを強調してVTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
徴用工問題についてパネル説明
日本政府の姿勢
・日韓請求権協定に基づき政府間協議を求めている
・韓国が協議に応じないか、協議でも解決しない場合は第三国を交えた仲裁委員会を検討している
・韓国が仲裁委員会にも応じない場合は、国際司法裁判所へ提訴する可能性もある

国際司法裁判所での審理を含め協議等はすべて韓国の同意が必要であるとアナウンサーによって説明がされた。韓国外務省の政府関係者は、「韓国側は政府間協議に応じるという意向だが結論には時間がかかる」と話したと説明。続けて、10月頃から日韓問題が立て続けに起きているが、文政府の日韓問題への関心は薄く、演説中では日本について一切触れずに質疑応答のみだったと説明した。

【コメンテーターの発言】
岡本行夫氏(要約):韓国の大統領の反応によって韓国国民の感情は大きく変わってくる。金大中大統領のときは日韓関係改善のための努力があったが、その後の大統領は、ことごとく国民を日本嫌いにさせる指導をしてきた気がする。早く時間を区切って国際司法裁判所へ提訴し、日本の立場を国際社会に示して国際世論を味方につけるしかないと思う。

目加田説子氏(全文):私はちょっと違って。これは日本と韓国の間で、やはり時間をかけて解決していくべき問題なんじゃないかなというふうに思ってるんですね。中央日報の社説の中で、今のこの日韓の対立は誰のための何のための対立なんだということを書いていたんですけれども、私もそう本当に思っていて。北朝鮮の非核化一つとってもですね、やはり日本と韓国は協力していくっていうことが、何よりも大事なこの時期にですね、対立してる場合なのかなって。現場で話し合って、今までであればレーダー照射の問題についても、解決できたはずなのにって思うんですよね。ですから、日本も韓国政府も両方ともちょっと頭を冷やして、冷静になってできるだけ両者で話し合って解決していくということを目指してほしいなというふうに思います。

大宅映子氏(要約):不信感がどんどん深まってしまう。国と国で交わした契約がすぐ反故にされるとか。後ろの人を当てたのに間違った人(日本記者)が立ち上がってしまったとわざわざ大統領が言うこと自体、とても苛立たせる。そういう不信感が根っこにある気がする。

田中秀征氏(要約):大統領の態度は不謹慎だという感じがした。文大統領の記者会見にささやかな期待をしていたが、基本的な間違いがある。韓国で司法権と行政府の考え方に違いがあるならそれは国内(で解決すべき)問題。大統領が判決を尊重するからといって、日本も尊重しろという話ではない。条約の効果は司法権も拘束するのだから、行政府が説得して韓国の司法を条約に合わせるよう努力をするのが先決なのにそれをやってない。そういう認識が根本的に欠けている。本当にがっかりした。

松原耕二氏(全文):これを見るとあまり出口が見えないですよね。会見を全文読んでみたんですけど、日本のあの、ハプニング的に当ててしまったというか質問されてしまった部分を除くとですね、もうすべてが悪い経済と進まない北朝鮮だけと言ってもいいくらいの会見なんですね。つまりそれだけもう、相当厳しいわけですよね。国内的には。と同時に、先ほど秀征さんがおっしゃった問題でいうとですね、徴用工の問題でいま朴槿恵さんの政権時代に徴用工の判決を遅らせようとしてたんじゃないかという。働きかけて、司法にですね、政権が。つまりそれを追及してるわけですよ。文在寅さん。文在寅さん人権派弁護士でしたから。そこをじゃあ自分たちが手を突っ込むわけにはいかない。彼らと同じようにと。という理屈があるみたいですね。だからそういう余裕もなくて、秀征さんが言ったような、国際問題で考える余裕があんまりないんだと思うんですよね。レーダー照射の問題をみても、あれ相当韓国の説明は無理がありますけれども、日本のビデオの出し方みたいなもの、つまりトップダウンで出したみたいなことに対しても相当反発を強めてるっていうこと。実務者よりも、目加田さんがおっしゃったように、政治家同士がかなり熱くなってるという感じがするんで、ぜひ出口を見つけるためにはやっぱり、対極に立ってね、政治家が頭を冷やすことしかないんじゃないんでしょうかね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、目加田氏の発言に、視聴者に誤った印象を与えかねない内容が含まれている
目加田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

目加田氏(抜粋):これは日本と韓国の間で、やはり時間をかけて解決していくべき問題なんじゃないかなというふうに思ってるんですね。中央日報の社説の中で、今のこの日韓の対立は誰のための何のための対立なんだということを書いていたんですけれども、私もそう本当に思っていて。北朝鮮の非核化一つとってもですね、やはり日本と韓国は協力していくっていうことが、何よりも大事なこの時期にですね、対立してる場合なのかなって。現場で話し合って、今までであればレーダー照射の問題についても、解決できたはずなのにって思うんですよね。ですから、日本も韓国政府も両方ともちょっと頭を冷やして、冷静になってできるだけ両者で話し合って解決していくということを目指してほしいなというふうに思います。

要旨をまとめると、
・日韓問題は日本と韓国の間で時間をかけて解決すべき
・北朝鮮問題がある中で日韓は協力すべきだから
・たとえばFCレーダー照射問題も、今までのように現場で解決できたはず、日韓政府は頭を冷やすべき
というものです。

しかしながら、
・徴用工問題も慰安婦問題も国際条約によって解決済みの問題で、韓国側がこれを蒸し返すことには大きな無理がある
・FCレーダー照射は実際の攻撃直前の行為で国際法上は先制攻撃とみなされ、韓国の艦艇が日本の哨戒機にレーダーを照射したことは宣戦布告とも取られる危険な行為
・FCレーダーの照射は現場の判断ではなく指揮系統に沿って行うもので、現場レベルでの解決は不可能。また明確に韓国側に非がある以上、徹底的に日本は抗議すべき

などという、発言の趣旨とは異なる事実や見解が存在します。

以上のことから、今回の報道での目加田氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「FCレーダー照射問題については日本は冷静な対応をすべき」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「あくまで徹底的に抗議すべき」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
韓国文大統領の会見について報道された部分における
検証3「松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」
ならびに、
辺野古の県民投票について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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