2018年3月11日 サンデーモーニング

2018年3月11日 サンデーモーニング

東日本大震災からちょうど7年経った3/11の『サンデーモーニング』監視報告です。
後半の1時間は被災地の現状を特集しました。
この特集では、「こういう意見もあれば、ああいう意見もある」の構成でVTRもコメントもまぁまぁなされていたので、特にここでは取り上げないことにします。

それ以外のところでは、気が付いたことを報告いたします。

森友文書の話題では「自殺したり、ちゃちなドラマを観るよう」発言をしてしまった寺島実郎氏ですが、北朝鮮問題では、

森友文書の話題では「自殺したり、ちゃちなドラマを観るよう」発言をしてしまった寺島実郎氏ですが、北朝鮮問題では、

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寺島実郎:朝鮮半島の問題は、朝鮮民族が南北でやっていくんだというメッセージを発信していることの意味は、中国への恐怖心が決定的になってきているということなんですね。 (中略) 習近平体制は、香港に対しても、台湾に対しても、北朝鮮に対しても、東アジアで大きなグリップを握って、第3期政権に勢いをつけていこうという中国の強権化の流れが北朝鮮を突き動かしているというのをよーく注目しなければいけない。 (中略) 現実に(北朝鮮が)核放棄するとなったら、日本側はIAEAの査察なんかが担保されないといけない。
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中国の脅威や、IAEAの査察は譲れないことを主張しました。
初めにこのようなコメントでしたので、他の出演者は違った視点からコメントしようと試みたと、百歩譲って解釈しましょう。「北朝鮮との和平協定」を歓迎したり、「トランプ大統領は信用できない」とコメントしたり、「文在寅大統領の努力の成果だ」などが後に続きました。
そこは「多様な意見」ということで、批判しないこととします。

しかし以下は、視聴者に誤解を与える可能性のあるコメントです。

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目加田説子:第二次世界大戦後の戦後処理というものが進んでいく過程の中で、非核化も同時並行で進んでいくという風に考えるべきじゃないかなってふうに思っています。
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目加田氏の中では、日本はまだ戦後賠償が終わってないのだそうです。
視聴者が「日本はまだ賠償しなきゃいけない」と誤解しないでしょうか?

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安田菜津紀:北朝鮮情勢が緊迫してきたときに、この北朝鮮の国家体制と朝鮮半島にルーツを持つ日本に暮らす人たちを同一視するかのような、そういったヘイトスピーチとヘイト表現というのがネット上でどうしても目につきましたし、実際にそれが路上に出てきてヘイトクライムということが起きてしまっている。なので隣人と手を携えていけるかどうかというのは、私たちもに向けられた問いなのではないかということだと思います。
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「お前は日本人か?」と尋ねられて日本人だと刺殺された、という事件がありましたね。
ああいった日本人へのヘイトクライムに対して、安田氏は忘れてもいいと考えているのでしょうか?
安田氏がその事件を知らなかったのであれば、「報道しない自由」を行使するマスコミの責任であるし、偏向報道の弊害だと思います。
外国人へのヘイトスピーチを止めるよう訴えるなら、同時に、謂れのない誹謗中傷で日本人を傷つけるヘイトスピーチに対しても批判をしていただかないことには、公平な番組とはいいがたいです。
安田氏がこのような発言をするのは自由です。しかし、報道番組として放送するのであれば、「日本人へのヘイトスピーチも問題だ」と他の出演者が発言しなければ、公平な報道番組とはいえません。

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涌井雅之:安全性っていうのは距離に比例するわけです。日本も、もし韓半島に何かが起きたときには大変大きな問題が損害が起きることも視野に入れなければいけない。
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韓半島ってどこにあるかご存知ですか?
小生は知りません。

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辺:もし米朝会談が成功ってことになりますとね、なんと言っても朝鮮半島は東西冷戦の残滓。ここで非核化平和が定着するってことなりますね、おそらくトランプ大統領も金正恩委員長もノーベル賞取るんじゃないかってくらいね。私は成功する確率の方が失敗する確率よりも高いんじゃないかと。
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南北会談を実現した金大中元大統領はノーベル平和賞を受賞しましたが、金正恩氏は周辺国の安全を脅かしている元凶ですから、米朝会談して恫喝の道具である核を放棄したからって「ノーベル平和賞どうぞ」とはいかないでしょう。「暴力団が恫喝を止めたから、その暴力団を讃えよう」なんて錯覚させるような発言は不適切かと思います。

近畿財務局の森友学園への国有地売却に関する書類から「特例的な内容となる」「価格提示を行う」などの文言を削除した、いわゆる「森友文書書き換え」の件で

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寺島:これ、問題の本質は何なのかなんですけども。一言で言ってしまうと、官邸主導政治の影だと思うんですね。どういう意味かというと、2014年に内閣法が改正されました。で、官邸が各省庁の局長クラスのトップ人事を掌握することになっちゃったんですね。そのことによって、一団と各省庁は、直接官邸から指示がなかったとしても、ここで盛んに使われてきた「忖度」なる構図が生まれてくる流れになっちゃった。そこで官邸の周りに群がる、この構図を利用する人たちがうごめいて、政治の質が極端に劣化してきたのが我々が目撃してきたことになるんです。国有地の払い下げに対して、財務省がこれだけ特別の配慮をするんですかって我々がげんなりするような話になっちゃってるんだけど。結局、今現在はね、事件の底辺でうごめいた人が逮捕・収監されたり、自殺したり、ちゃちなテレビドラマ見るみたいな形の局面になってるのがね。日本の政治の質が問われているということをよく考えるべきだという、これが僕の言いたいことですね。

目加田:今回の一連の報道とそれから政府の対応を見ていて、70年代のアメリカを思い出したんですね。ベトナム戦争で政府に不利な情報を「ニューヨーク・タイムス」がスクープをして書こうとした。それを当時のニクソン政権が弾圧をして、提訴をして、出版させない、掲載させないようにしたんですね。大事件にその後、発展していくわけですけれども。常に権力側というのは隠そうとしていて、それを実際に丹念な調査報道によって伝えていくということの大切さですよね。つまり、真相を権力側は必ず、それを明らかにするということがないわけですね、どの時代も、どの世界も。なので、改めてジャーナリズムの力というのは民主主義社会においては大事だなと思ったのと。今回の伝えられているとおり、佐川さんがお辞めになったということで財務省の一部の官僚の責任で終わらせてはいけない。政治の世界で何があったのか、何が具体的にどういう指示を出した、あるいは指示は出さないけれども忖度をした結果こういうことになったのかということを、少しでも国政調査権なども用いて明らかにしていってほしいなということを期待したいと思います。

安田:私たちはある意味で自分たちの意志を国会というふうに託すわけだと思うんですけれども。その国会の中で積み上げられてきた議論もそもそも前提だった文書というのが書き換えられていたんだとすれば、これだけの時間かけてきたものがを根本から崩壊してしまうとこになったことになってしまうかもしれない。よく「森友の問題ってまだ終わらないの?」という声は時折耳にするんですけれども、そもそも適切な文章がしかるべき段階で提示されてきてこなかったからこそ、あれこれだけの時間を許してしまったんだと思いますし、なぜ誰が根拠にどういった理由にしてこの書き換えが行われてしまったのかということ。むしろ今ようやく一つのスタートラインにまだ立てた段階ではないかと思います。

涌井:我々はいろんな細かな事象に目をとらわれるのではなくて、今一番肝心な肝は何かというと、三権分立が問われてるということだと思うんですよ。すなわち立法府は今回、野党が結構頑張ったと。しかし、残念なことに行政府は全く、ある意味政治と一体化して、忖度ということでおかしくしてきた。本来ならば、そこに司法がしっかり介在をして、そこを暴き出すことが非常に重要なんですね。今、実は森友問題だけではなくて、加計学園、スパコン、炭水化物疑惑と、もりそば、かけうどん、スパゲッティと、こういう話があるわけですね。でもこれに対して片方では籠池夫妻が、実はものすごく長期拘留をして、いわば差し入れも許されないという状況があって、片方がこのまま、司法が放置していくというのは非常におかしなことなんですよ。もう一度、我々は三権がいかに分立して相互に監視をし、適正な国のガバナンスが問われるのかというのをきちっとやるべきだというのが今の大きな争点だと思います。
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サンモニに限らないことではありますが、どこのテレビ報道も「権力者への忖度」が絶対前提で、財務省が「同和地区」の売却手順を間違えたことを一切視聴者に知らせずにコメントしています。
そもそも「なぜあの土地は売れない土地なのか」をマスコミが報道したら、情報源がテレビオンリーの国民も腑に落ちるのではないのでしょう。

辺氏は「パク・クネ元大統領の不正」についてコメントを求められたので省略します。
その他3人が「権力者への忖度」を前提にしてコメントしているのは偏り過ぎです。安田氏が誰に非があると言及しなかったコメントで相殺したつもりでしょうか?
相殺させるなら、「政治家への忖度云々ではなく、単に財務省のミスなのかもしれない」という感想をコメントさせるべきでした。

出演者のコメントが「政治家の関与」から離れない様子を観ると、森友文書を読んでから放送に臨んだ出演者はいないのでしょう。
寺島氏は元商社マン、目加田氏は国際政治学者、辺真一氏はコリアレポート編集長、涌井氏と安田氏にいたっては政治が専門ではありません。涌井氏は造園家で、安田氏は写真家です。関口氏も含めて出演者全員が普段の仕事で森友文書を読む機会がない人たちです。
サンモニは「専門家ではないけれど、個人の感想を述べている」という体で、「その論は間違っている」という批判をかわして番組を続けてきました。
しかし個人の感想といえど、報道番組での出演者の意見は視聴者に多大な影響を及ぼします。
証拠がないものを憶測で断定するコメントを発し、それに異を唱える者がいない番組は、もはや「公平な報道」ではありません。
そんな番組つくりは無理というのであれば、テレビ局から「公正な報道」を放送法から外すよう働きかけるべきです。

テレビ局の皆さんも一緒に、放送法改正を総務省に働きかけてみませんか?

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