2018年5月27日 サンデーモーニング

2018年5月27日 サンデーモーニング

2018年5月27日、サンデーモーニングの報告です。
今回は米朝首脳会談、そして森友・加計問題について報じた部分を報告いたします。

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橋谷 能理子アナウンサー(以下、橋谷):お伝えします。6月12日に予定されている米朝首脳会談。トランプ大統領が中止をほのめかしたと思えば、突然、南北首脳が会談するなど大きな動きがありました。
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【VTR】
・5月26日の午後、北朝鮮の金正恩党委員長と、韓国の文在寅大統領が極秘に会談を行っていたことが発表された
・韓国大統領府は、板門店宣言の履行と、米朝首脳会談の成功のため、虚心坦懐に意見を交換したと説明
・北朝鮮は24日、豊渓里の核実験場を廃棄するための爆破作業を、アメリカや韓国など、5ヵ国のメディアに公開した。核実験場を完全にしたとの声明を発表しましたが、核の専門家は立ち会っておらず、検証することはできなかった
・その後、アメリカのトランプ大統領が突如として米朝首脳会談の中止を語った
・この判断の4日前、ペンス副大統領が、北朝鮮は非核化に応じなければリビアのように終わると発言。これに、北朝鮮が猛反発したとされ、北朝鮮はアメリカを挑発
・一方、北朝鮮側は交渉継続の意向を示した
・低姿勢な北朝鮮に、トランプ大統領は一転して開催を示唆
・そうした中で26日、急遽行われた文大統領と金党委員長の2回目の首脳が開かれた

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【スタジオ】
司会 関口 宏(以下、関口):昨日の首脳会談は、突然感がありましたんでね。

橋谷:そうですね。

関口:ソウル支局長を呼んでみたいと思います。井田さん。

報告 井田 重利(以下、井田):おはようございます。ソウル支局です。昨日の南北首脳会談はですね、秘密裏に行われまして、夜8時前になって急遽、突然ですね、文書で発表されました。私たちもニュース速報を出す必要があるんですけれども、にわかには信じ難くてですね、支局のスタッフと、これは本当なのかと、何度も確認して出したという経緯があります。韓国メディアですけれども、日曜日は韓国では紙の新聞はお休みなんですけれども、新聞の電子版、そしてテレビ、通信社も「電撃」という言葉を取りました。韓国メディアで報道されている内容ですけれども、米朝会談というチャンスを逃したくない金正恩党委員長と米朝の仲介役、橋渡しをしたいと。これが実現しなければ、南北関係の改善はないという文在寅大統領の危機感、意向が一致しまして、急遽実現したという見方が支配的です。
そして最近の動きですけれども、一夜明けまして北朝鮮の国営メディアが昨日の会談について早速伝えています。その北朝鮮が伝えている内容の大きなポイントは2つです。ひとつは、金正恩党委員長は、米朝首脳会談開催への確固たる意志を表明したということで、側近や幹部ではなくてですね、金委員長が自らトランプさんと会談したいんだという意志と意欲を示したということです。で、もう一つはですね、南北閣僚級会談を6月1日に開催することで合意をしました。これはですね、アメリカへの揺さぶりとして米韓軍事演習を盾に当日にキャンセルしたという閣僚級会談をもう一度やると決めたということですね。さらに、外交関係者や一部の韓国メディアはですね、金正恩党委員長はこの後中国を訪問するのではないかという憶測が流れています。いずれにしましても史上初のですね、米朝首脳会談が実現するのかどうか、表舞台、裏舞台双方でですね、動きが活発化しています。

関口:はい、どうもありがとうございました。今の話聞いてますと、やっぱり文さんはイライラしながら言った、金正恩さんはなんだか、まだ迷っているっていうそういう感じなのかな。

橋谷:ただまあ、南北の危機感はすごく伝わってきましたよね。

関口:そうだねえ。さあどうでしょうか。これでまた、正常化したんですかね。

寺島 実郎(以下、寺島):これはアメリカのね、あれでいうと、トランプ大統領は個人的にはこの会談をやりたいと思っているはずなんですね。個人的には。なぜならば、中間選挙への計算。で、さらにですね、ヒロイズムっていういうか、自分が仕切ってやったんだっていう流れを作るっていうことはこの人の常套手段ですから。ただね、この一連の流れの背後の中に、トランプ自身が言ってますけれども、中国の影っていうのが北朝鮮を突き動かしていると。で、北朝鮮の問題を考えるときに、まさにこの背後に中国が不気味にほくそ笑んでいるっていうか、中国っていうのは和戦両様なってですね、仮にね、会談が行われて朝鮮半島全体の非核化、段階的非核化で、もし、在韓米軍の縮小だとか、あるいはそういう類のことが一歩進めば中国の朝鮮半島における影響力を拡大できるっていう思惑があると。で、仮に、この会談が行われなくて失敗でも、“窮鳥懐に”ってやつで、北朝鮮は益々中国に頼ってサバイバルをしなきゃいけなくなる。で、中国の影っていうのがこの問題に大きく存在してるんだってことを指摘しておきたい。そのことに関する怯えが、今年に入って金正恩の態度を変え、南にやたらに融和政策をとってるってことをですね、「朝鮮半島のことは朝鮮民族で」と言い続けてる理由はですね、アメリカをっていうだけじゃなくて、中国に対する緊張感を北朝鮮はもってるんだってことを、我々の認識の中でも置いとくべきだと思います。

関口:中国はねえ、影の主役みたいなところがあるので、だからまた、中国に行くかもしれないと金正恩さんはね、そういう噂が出てるという。大宅さんはどう思いますか。

評論家 大宅 映子(以下、大宅):中金正恩さんもトランプさんも会いたいのなら、何であんなに糞味噌に非難をし合うのかっていうのが、いくら取引だっていったってあまりにも、と思うんですね。刀振り上げてたなと思ったら、数時間たったら揉み手でこういう感じでしょ。ついてけないですよね。あの手のひら返しの二人にね、世界中が翻弄されているって、どういう軸で私たちは見てたらいいのかっていうのは、自信がなくなります。

関口:あの二人だからそれが表に出ちゃうんで、普通外交って、岡本さん、裏ではそういう駆け引きが激しく行われるわけでしょ。

岡本 行夫(以下、岡本):そうですね。ですから、ああいう首脳会談っていうのは、そういう長い厳しい折衝の出口にね、金正恩委員長に対するご褒美として、設定されるべきを、最初から入り口に置いちゃったわけですよね。でも、金正恩委員長ってのは、敵ながらって言っちゃなんだけど、あっぱれっていうか、舌を巻くような外交政策をずーっときて、今、彼の周りの状況というのは、去年の秋、まあ彼がアメリカから軍事攻撃を受けるんじゃないかと恐れてた頃に比べて劇的な変化を遂げてますよね。文在寅大統領に抱きついて、今や文在寅大統領はもしアメリカが軍事攻撃を北朝鮮にしようとしたら、後ろからトランプ大統領を破壊締めにしてでも、止めますよ。それから、中国が保護者として完全についた。それから世界中にですね、自分たちが一方的に核兵器開発を止めますとかね、長距離ミサイルを止めますとか言うことによって、祝賀ムードを生じさせて、やあもうノーベル平和賞じゃないかみたいな話までですよ,世の中に出てきてる。だから今アメリカは軍事攻撃をたとえ今度の会談をやって、それが失敗に終わったとしても、取りにくい雰囲気になってると思うんですね。ほんとに、舌を巻くような人だと思います。一方トランプ大統領は、今大宅さんが言ったけども、どうなのか予測不可能ですね。あの人基本的に不動産屋なんで、不動産屋さんの特徴というのは、日本はどうか分かりませんですけども、一軒一軒全部違うんですよね。あそこの、あの通りの角の物件を売るのにはこれくらい。いや向こうの建物はこうだ。だからその間に、統一の考え方がないから一層読みにくい。それで、最後に申し上げたいのが、あれ、多分これ実現するんでしょうけども、6月12日に予定のね。

関口:また動き出しましたよね。

岡本:動き出しましたね。で、今度はトランプさんは失敗できないから、日本のことは二の次でとにかく、一応この表面的に北朝鮮が腹が痛まないことだけを集めて、これで合意だって言うことになると、日本の要求はどうなんの、ってそれが一番心配ですね。

関口:その問題ありますね。さんどう見てますか。

目加田 説子(以下、目加田):あの今岡本さんがおっしゃった通りで、私も金正恩さんって人はすごい外交能力に長けた人なんじゃないかなということをすごく思います。ほんの半年ぐらい前ですかね、半年にもならないかもしれませんけれども、前は全く首脳会談すら一切してこなかった、ある意味で国際社会の中で孤立したような存在だったのに、ここほんとに数か月の間に対中もそうですし、もちろん南北もそう。でまあもちろん6月12日が実現すれば歴史的な会談が行われるということで、一気に表舞台に出てきたなっていう印象がすごく残っていうのと、それから、今回、これからまだ一波乱もふた波乱もあると思うんですけれども、米朝の首脳会談が、もし万が一上手くいかなかったとしても文大統領との信頼関係、今回のように劇的に直接会えるっていうのはすごいことなんじゃないかなと思っていますので、そこに私も、まだいろいろほんとにあるかもしれないんですけれども期待したいなということを思いました。

関口:松原さんいきましょう。

松原 耕二(以下、松原):今回、北朝鮮は、わざわざキムゲグァンさんとか位が決して高くない人に文句を言わしたりして、別に、そんないつもやってることなんだよと、本気じゃないんだよと刺激をしないようにあえてしてたはずなのに、ああいうふうに言われたと。あんなに慌てふためいている北朝鮮ってのは、初めて見て物凄くある種新鮮な思いがしましたね。でもあれ、皆さんスケジュールを考えてると思うんですね。実は韓国はですね、12日の次の日に統一地方選挙があるんですね。それで、文在寅さんってのは、実は支持率は今物凄く高いけれども、国会では少数与党なわけですね。だから12日上手くいけばその追い風になると。北朝鮮からしたら韓国にそこで成績が安定してもらえ、トランプさんにも中間選挙を乗り越えてもらって、任期がまだ二人ともあるわけです。だから、その二人とちゃんと交渉したいという思いが北朝鮮にもある。で、トランプさんも先ほどあったように、とにかくICBMさえ少なくとも来ないぞって言えば国民には誇れるから、中間選挙も有利になる。中国だって、親米にならずにこっち側サイドにいてくれるなら、まあいいかなっていう気があるはずだから、やっぱりやらない手はないわけですね。これまでの交渉は、役人が全部積み上げてきて最後に花を持たせる、さっき仰ったように。だけど、今回はそうじゃなくてスタートなんですね。会談が。ということは、スタートラインに立たない手はないというか、立つことが大事なんだというふうに思いますね。

関口:ねえ。やってみましょうよね。やってみなきゃ始まらないよ。ねえ。そんな感じがいたします。

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続いて、国内政治のコーナーに移ります。
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関口:国内政治。

水野 真裕美(以下、水野):はい、お伝えします。加計問題、森友問題など、新たな文書が次々出される中籠池被告夫妻が、300日ぶりに保釈され、会見をしました。
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【VTR】
・籠池被告夫妻が、300日ぶりに保釈され、会見を開いた
・月曜日に愛媛県が国会に提出した加計学園をめぐる新たな文書に波紋が広がる。文書が事実とすれば、去年1月に獣医学部新設計画を知ったとする安倍総理のこれまでの答弁と大きく矛盾することになると伝えた
・安倍総理は面会を否定
・愛媛県知事のコメントも伝えた
・加計学園が26日に新たなコメントを発表。当時の担当者が、実際にはなかった加計理事長との面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまったとして謝罪した
・野党側は、批判を強める
・一方、森友学園への国有地売却をめぐっては、水曜日、財務省がおよそ4000ページにわたる新たな文書を国会に提出。存在しないとされてきた交渉記録が、およそ950ページ含まれており、さらに財務省は、佐川前理財局長の答弁に合わせるため、意図的に文書を廃棄していたことも明らかにした。交渉記録には、安倍総理夫人、昭恵氏に関する記述もあったと伝えた
・23日(水)の野党合同ヒアリングの様子を伝えた後、籠池泰典被告の「しっかり本当のことを対応されるのが、一番よろしいかと思います」というコメントを伝えた

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【コメント】
水野:水曜日、新たな新文書を2つ同時に出されました。ひとつは防衛省が出したイラク日報問題の調査結果です。担当者らの意識の低さや、組織内での情報共有に問題があったとして、次官ら17人を処分したものの、組織的な隠蔽はなかったと結論付けました。もうひとつが、財務省が出した森友問題に関するおよそ4000ページの文書です。国有地売却をめぐり国有地と財務省の交渉記録。およそ950ページ。改ざん前の決裁文書、およそ3000ページなどです。二つの重要な文書が同じ日に出されたことについて、立憲民主党の辻元氏は、「わざと束ねて1日で済まそうとしている。イヤなことを一気に処理しようと」と批判しています。

関口:会期末だからねえ。

水野:そうですね。

関口:ここで一気に出しちゃえっていうこともあるのかなあ。私そういうのはよく分かりませんが。
 大宅さんこれどんな印象ですか。

大宅:どうしてこんなに長くかかるのかな、ですね、一番は。ねえ。

関口:ねえ、何なんですかね。

大宅:何なんだろう、一回消えたかなって思ったものが出てくる。ないって言ったものが出てくる。っていったときに、今度言ったときに、ありませんって言ってもそれは信じられないじゃないですか。ないって言ったものがこれだけ出てきたじゃないですか。

関口:ねえ。

大宅:どっかで誰かが肝っ玉決めていただかないと。

関口:もう白黒ハッキリしてほしいですね。

寺島:今ね、私たちが見てること、議論しようとしてることってのはね、つまり官邸主導政治なるものの結末を見てるんですよ。で、国家戦略特区なんてものはね、戦略なんて言葉使って仰々しい特区。私改めて調べてみてちょっと実は驚いてね。ああ、日本は歪んだんだなと思うんですけど、283の事業をですね、加計だけじゃなくてね、認定してるんですよ、戦略特区の事業として、283ですよ。で、283っていうから全国どうなってんのかなって思ったら、北海道とか北陸だとか山陰には一つもないんですこの事業がで。しかもですね、農業レストランみたいなプロジェクトにまで、国家戦略特区って名前でもって、認定してんですよ。で、考えてみたらね、戦略ってことはですね、重点性だとか軽重判断、例えば日本の国家戦略特区であれば、例えば、高齢化社会に向けて医療のパラダイムを変えるような大きな戦略をこの地域で打とうとか、規制緩和して。あるいは、ものづくり国家の再生を賭けて、こういう人材を育てる特区を作ろうというような話だったら我々、心躍るんだけど。要するにですね、何なんでしょうかって言われるくらい283の特区事業認定をやったんだけど、溜息出るような話でですね、いつの間にか、その中からこういうものがボロボロボロボロ出てきてるっていうようなことなんですね。

関口:そうですか。目加田さん。

目加田:なんかもう、驚かなくなってしまっている自分の感覚が怖いなっていうのが正直な感想で、この、4000ページものなかったものが出てくるって、4000、まあ数枚の紙ならば、何処かに紛れ込んでたとかってあるかもしれないけど、4000ページってどっかに保管されてたであろうに、どうして突然見つかるんですかって感じがしますし、しかも答弁してる最中に廃棄してたっていうことも、正直言って常識では考えられない。でもそのことが、なんか当たり前になってしまって、我々、またかって感じがしますし、さっき大宅さんがおっしゃった通り、これ、全てじゃない。まだまだ出てくるんじゃないかっていう感じもしてしまうので、うん、なんかいつまで続くんだろうなっていうウンザリ感があります。

関口:岡本さんから見れば、言ってみれば後輩にあたる人達がやってることですが。

岡本:私も役人やってましたけどね、それは、国家行政っていうのは、継続性が非常に大事ですから、その継続性を担保するものが文章ですよ。これはですから、入手をしたときから徹底的に記録の取り方、その保管の仕方、これ一番大事な仕事として鍛えられるんですね。それで、今の見てるとほんとに唖然としてどうしてこんなになっちゃったんだろうか。まあ目加田さんがおっしゃった「またか」って、これが一番良くないんですね、こんなことがあってはいけないことで、4000ページのものを、あるものがないと言い、ないものがあると言い、まあ日本もそうですけどね、だからこれ、徹底的に、どうしてこういうことになったのかという、それはね、国民にしっかりと説明してもらわないと、行政に対する信頼ってのは取り戻せないと思いますよ。

関口:どなたかおっしゃったけども、時間かかりすぎてるのを、白黒ハッキリしてもらいたいんだけど。松原さんどう思います?

松原:そうですね、私気になるのは、4000ページも例えば財務省、あったと、出してるんですが、VTRにもありましたけど、肝心なとこだけ、何故か無いわけですね。つまり昭恵さんが、一緒に土地に行って「いい土地ですね、進めて下さい」と言った部分。それを使って、籠池さんが、28日が1月18日に繰り下がって、そこから流れが一気に変わる。そこの大事なとこだけがあれだけ沢山出したのにないわけですね。

関口:なぜでしょう。

松原:あとは業者と、いろいろ口裏合わせをしてる、ゴミの量とか。それもテープとか出てるんですが、そこの部分は元々書かなかったかもしれないとか、そういうところもないわけですよ。だから、あるものより、ないものの方が私は気になるんですね。まだあるんじゃないかと。と同時に、本当にこれは官僚だけがやったのかと。ほんとに政治家は関わってないのか、ということはその問いに答えはまだ出てないんですね。加計の問題でも今回も15分、加計孝太郎さんと安倍さんが面会したってのが出てる。かたや文書が出てる。かたや、記録がないからないんだと。それも総理動静でないんだみたいなことをいう。片方はいつも記憶があって、こっちは記憶がない。何もないんだ、記録もない。でもないはずだと。どうしてそれが対等に並べられて、これが終わってしまうのかと。日本は今どうなってしまっているのかと。物凄く不思議な状況になってると思いますね。

関口:そうですね。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて3点あります。
1点目は、米朝首脳会談関連のコーナーでコメンテーターから放送法違反に抵触する可能性がある発言があったこと。
2点目は、国内政治関連のコーナーのVTRの中で、公平中立と言えない可能性がある部分があったこと。
3点目は、国内政治関連のコーナーの中でもコメンテーターから放送法違反に抵触する可能性がある発言があったこと。
以上の3点です。
順に説明していきます。

まず1点目についてですが、コメンテーターの寺島氏はスタジオにて
寺島氏:これはアメリカのね、あれでいうと、トランプ大統領は個人的にはこの会談をやりたいと思っているはずなんですね。個人的には。なぜならば、中間選挙への計算。で、さらにですね、ヒロイズムっていういうか、自分が仕切ってやったんだっていう流れを作るっていうことはこの人の常套手段ですから。この一連の流れの背後の中に、トランプ自身が言ってますけれども、中国の影っていうのが北朝鮮を突き動かしていると。(以下略)
と発言していました。寺島氏はこの中で、トランプ氏が中間選挙への計算として個人的にはこの会談をやりたいと思っているはず、という趣旨の発言をしました。また、演出などを「ヒロイズム」と評し、そのやり方を常套手段と主張しています。たしかにトランプ大統領は11月に控えるアメリカ議会の中間選挙に向け、自らの支持政党である共和党候補の当選を望んでいるのは事実でしょう。また、そのためにパフォーマンスをしたり、支持率の上昇を狙っているのは確かです。
しかし、この会談は世界各地で歓迎され、とりわけ韓国国民の間では強い歓迎を受けているとされます。しかも、この会談は各国のどのような意図があるにせよ、2月の平昌オリンピックから続く外交の結果です。したがって、まるでトランプ大統領が「人気取り」のために会談を開くと言わんばかりの寺島氏の姿勢には疑問符が付きます。アメリカ政府や日本政府の関係者から話を聞いたなどの説明もなく、一次的情報にも欠けていると言わざるを得ません。また、それ以降は北朝鮮の金正恩委員長の話に終始することになり、反対意見なども紹介されませんでした。
寺島氏の一連の発言は放送法違反に抵触する可能性があります。

次に2点目についてですが、国内政治のコーナーの中のやり取りの中で
水野:水曜日、新たな新文書を2つ同時に出されました。ひとつは防衛省が出したイラク日報問題の調査結果です。担当者らの意識の低さや、組織内での情報共有に問題があったとして、次官ら17人を処分したものの、組織的な隠蔽はなかったと結論付けました。もうひとつが、財務省が出した森友問題に関するおよそ4000ページの文書です。国有地売却をめぐり国有地と財務省の交渉記録。およそ950ページ。改ざん前の決裁文書、およそ3000ページなどです。二つの重要な文書が同じ日に出されたことについて、立憲民主党の辻元氏は、「わざと束ねて1日で済まそうとしている。イヤなことを一気に処理しようと」と批判しています。
関口:会期末だからねえ。
水野:そうですね。
という箇所がありました。このように番組の水野アナウンサーは、防衛省によるイラクの日報問題の調査結果書と、財務省による破棄されていたとする国有地売却をめぐる財務省の交渉記録と、改ざん前の決裁文書の提出日が重なったことを立憲民主党の辻元清美議員のコメントを用いて紹介しました。
確かに、各議員や政党の意見を紹介すること自体は報道するうえで何か間違ったことをしているとは考えられません。しかし、文書の提出自体を問題視する政党の代表者の声だけを紹介するだけでは、多くの国会議員の声を吸収しきれているとはいいがたいと思われます。サンデーモーニングを制作するTBSには、巨大な報道機関として、多角的な報道が求められると感じるのは私だけでしょうか。

最後に3点目についてですが、寺島氏は国内政治について取り扱ったコーナーの中で
寺島:今ね、私たちが見てること、議論しようとしてることってのはね、つまり官邸主導政治なるものの結末を見てるんですよ。で、国家戦略特区なんてものはね、戦略なんて言葉使って仰々しい特区。私改めて調べてみてちょっと実は驚いてね。ああ、日本は歪んだんだなと思うんですけど、283の事業をですね、加計だけじゃなくてね、認定してるんですよ、戦略特区の事業として、283ですよ。で、283っていうから全国どうなってんのかなって思ったら、北海道とか北陸だとか山陰には一つもないんですこの事業で。しかもですね、農業レストランみたいなプロジェクトにまで、国家戦略特区って名前でもって、認定してんですよ。で、考えてみたらね、戦略ってことはですね、重点性だとか軽重判断、例えば日本の国家戦略特区であれば、例えば、高齢化社会に向けて医療のパラダイムを変えるような大きな戦略をこの地域で打とうとか、規制緩和して。あるいは、ものづくり国家の再生を賭けて、こういう人材を育てる特区を作ろうというような話だったら我々、心躍るんだけど。要するにですね、何なんでしょうかって言われるくらい283の特区事業認定をやったんだけど、溜息出るような話でですね、いつの間にか、その中からこういうものがボロボロボロボロ出てきてるっていうようなことなんですね。
と発言しています。寺島氏は国家戦略特区について「言葉仰々しく、ため息の出るような内容だった」と厳しい言葉で非難しています。しかし、農業レストラン以外の具体例は出さず、その例についても詳しい説明は避けていました。
つまり、視聴者はこの番組を見ただけでは、寺島氏の言う、国家戦略特区の重要性や軽重判断を行うことはできないのです。にもかかわらず、寺島氏は「日本は歪んだ」などという言葉を選んで発言しています。
このような不十分な情報提供の下で中立性に欠けると思われる発言をすることは、視聴者への印象操作と言わざるを得ません。

以上のことから、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」、第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があり、印象操作も強く疑われる内容となっていました。これは一向に改められる気配がなく、悪質なものと言えます。

今後も監視を続けます。

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