サンデーモーニング、2019年3月17日分の検証報告(後編)です。
今回の報告では、
① NZモスクでの銃乱射について報道された部分
② 北朝鮮のミサイル施設再建と交渉中断の示唆について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。
後編で検証するのは、
② 北朝鮮のミサイル施設再建と交渉中断の示唆について報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
【VTR要約】
金正男氏を殺害したとして逮捕されたドアン・ティ・フォン被告が裁判所を後にする姿が映し出される。マレーシア警察当局はフォン被告の起訴を取り下げない決定をした一方、シティ・アイシャ氏は起訴を取り下げられ釈放されたと伝えられ、フォン被告の弁護団が「なぜフォン被告は釈放されないのか」と話す映像が流される。
米朝首脳会談の映像に切り替わり、非核化をめぐる駆け引きが活発化していると伝えられる。菅官房長官の会見映像が流される。日本政府が北朝鮮に対する非難決議案提出を見送る決定をした一方、北朝鮮はミサイル関連施設の復旧を進めている可能性が高まっているとナレーション。アメリカの北朝鮮分析サイト28ノースは、ミサイル発射施設を再建した可能性があると指摘していると伝えられる。
ビーガン特別代表の記者会見映像に切り替わる。北朝鮮の段階的非核化は認めないと改めて強調し、水面下での交渉も行われてないことも明らかにしたと伝えられる。北朝鮮の崔善姫外務次官の会見映像とともに、アメリカの対応を激しく批判したと説明。続けて、崔外務次官はポンペオ国務長官とボルトン大統領補佐官を名指しで批判し、交渉中断の可能性を示唆するとともに、金党委員長が近く新たな方針を示すと予告したと伝えられる。
「瀬戸際外交を北朝鮮は再び展開するのか。そんな懸念の声が広がっています。」というナレーションを最後にVTRは終了した。
【アナウンサーによるパネル説明】
崔善姫外務次官が行った会見の要点
・ミサイル発射などの一時停止を維持するかどうかは金党委員長が近いうちに決断を下す
・我が国の変化に見合う行動をアメリカが起こさない限り話し合いを続けるつもりはない
・ポンペオ国務長官とボルトン大統領補佐官の一歩も譲らない要求で敵対的な空気が作られた
・トランプ大統領との個人的な関係は良好
【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(要約):この決裂の原因は、今までのような、騙したり脅したりするような北朝鮮の戦略は通用しないという結論を出したことにある思う。今までの方法ではいつまで経っても結論は出ない。ここは、北朝鮮には(新しい方法を)展開してもらいたい。ただ2人が気に入らないという話ではとてもじゃないが話は前に進まない。日本もここで態度を改めるようなことはしなくていい。
岡本行夫氏(要約):トランプ大統領の完敗。北朝鮮はいま、アメリカからの武力攻撃の恐れもないまま核開発を進められる。数年以内に完全な核兵器保有国家になる。この路線は絶対に変えないと思う。そして今のインドやパキスタンと同じような立場になる。もう一度戦略を組み替えないといけないと思う。
大宅映子氏(要約):金正恩氏が完全非核化すると言っても信じられない。全施設を見せないと完全非核化はできない。彼らは隠すに決まっている。トランプ大統領はなめられていると思う。
青木理氏(全文):北朝鮮、あるいは金正恩委員長が本当に何考えているかって分からないですよね。取材が全くできないので。ただ推測してみると、やっぱりトランプさんが大統領になっているのはチャンスだと思っているのは間違いないはずなんです。だから、本気で元のようなミサイル発射とか核実験するっていう気は、僕はないんじゃないかって推測するんですけど、ただトランプさんの任期も段々短くなってきて、さて、どうするかっていう。だからまた緊張とか対立の状況に戻ってしまうのは、これはやっぱり好ましくないので、韓国の文在寅大統領はおそらく必死になって米朝関係の仲介をしようとすると思うんですけれども、やっぱり日本や中国などもその立場で米朝の橋渡し。理想的には非核化ですけれどもね。少なくとも、緊張・対立に戻らないような枠組みを一生懸命作る努力をっていうのをしなくちゃいけないと思いますけれどもね。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の1点です。
1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
では、順を追って解説します。
1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。
青木氏(抜粋):北朝鮮、あるいは金正恩委員長が本当に何考えているかって分からないですよね。取材が全くできないので。ただ推測してみると、やっぱりトランプさんが大統領になっているのはチャンスだと思っているのは間違いないはずなんです。だから、本気で元のようなミサイル発射とか核実験するっていう気は、僕はないんじゃないかって推測するんですけど、ただトランプさんの任期も段々短くなってきて、さて、どうするかっていう。だからまた緊張とか対立の状況に戻ってしまうのは、これはやっぱり好ましくないので、韓国の文在寅大統領はおそらく必死になって米朝関係の仲介をしようとすると思うんですけれども、やっぱり日本や中国などもその立場で米朝の橋渡し。理想的には非核化ですけれどもね。少なくとも、緊張・対立に戻らないような枠組みを一生懸命作る努力をっていうのをしなくちゃいけないと思いますけれどもね。
要旨をまとめると、
・金正恩が何を考えているかはよくわからないが、トランプ米大統領の存在をチャンスと思っているのは間違いない、本気で元のようなミサイル発射とか核実験をするはずがない
・緊張の状態に戻らないように、韓国の文大統領などを見習って日中も米朝関係の仲介をするべき
というものです。
しかしながら、
・金正恩がトランプ米大統領の任期をチャンスだと考えているという言説には根拠がない
・新たなミサイル基地開発を進めている疑惑も浮上しており、北朝鮮がミサイル発射や核実験を放棄したとは言い切れない
・韓国の文大統領は親北の姿勢を見せており、国連の制裁決議に違反して瀬取りを行うなど北朝鮮寄りと思われてもおかしくない側面がある
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送した放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
① NZモスクでの銃乱射について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。