2018年4月18日 サンデーモーニング

2018年4月18日 サンデーモーニング

2018年4月18日 TBS「サンデーモーニング」の報告です。

今回はイラク日報問題について放映した部分について検証していきます。
詳しく見ていきましょう。

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関口氏の「まーた、ないといったモノがでてきた。という話です。」
橋谷アナ「はい、日報問題です。自衛隊の根幹を揺るがす問題です。」
というVTRのフリから

・小野寺防衛大臣は謝罪と説明に追われているという説明。
・保存されていないとされていたイラクの日報が発見されたという説明。
・南スーダンの日報が発見されて話題を呼んだことにも言及。
・稲田大臣が日報の存在はないと答弁したのち、再調査を指示。日報が発見されていないと回答。しかし、後日発見された。
・稲田大臣「当時の調査に基づいて答弁した」というインタビュー。
・防衛相と自衛隊の信頼を揺るがす事態に制服組トップはというフリで川野統合幕僚長の「国民に対する背信行為ととらえられてもしかたない。」会見映像。
・額賀元防衛長長官の「これはあきれ返ってものも言えない。シビリアンコントロールが発揮されていない」という発言の箇所の映像。
・石破元防衛大臣「文民統制とは一体なんなのだと」というコメントの一部の映像。
・文民統制の説明から今回の事件がなぜ起きたのかというつなぎから、野党議員、共産党赤嶺氏「イラクの活動について国会で議論されていた中身とあまりにも違いすぎて隠す結果になったのではないか」というコメントの映像。
・自衛隊のイラク派遣の際、派遣先が戦闘地域か否かが議論になった。戦闘の記述があれば自衛隊派遣の正当性が揺らぐかもしれないという解説。
・辻元議員「イラク戦争の検証、このイラク戦争で活動した自衛隊が一体どういう活動をしてきたのかという検証を日報が出てきた機会に分析してやるべき」という映像。
・イラク派遣時の日報が空自からも発見され小野寺大臣、菅官房長官が再び謝罪した映像。
・締めに週明け、安倍総理の出席のもと集中審議が行われるという解説。

【コメンテーターのコメント①】
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VTRが終了し、カメラがスタジオへと戻ります。
寺島実郎氏:政治主導、官邸主導と言いながら制服組が面従腹背だったということですけれども戦前は統帥権というものがありまして、明治憲法第11条で天皇が陸海軍を統帥するということになっていたもんだから内閣との事前協議がなく軍が動けるということになっていたんです。それに対する反省からこういうこと(シビリアンコントロール)が出たという流れなんです。
考えなければならないのは、世の中の空気が例えば憲法改正によって自衛隊が憲法に明記されるという流れの中でだんだんと命がけで戦場に立ってくれている兵隊に対する思いだとか、昔「兵隊さんのおかげです」なんて言葉があったんですけど自堕落で腐敗している政治に対する苛立ちが現場で愚直に戦っている兵隊さんへのリスペクトと絡み合って、国民の空気がですね、二・二六を支持するような、軍がやはり政治をですね、規律を持って支配していくという流れに傾斜していくといった、我々はそういうことを歴史の教訓の中で学ばなければならないということを、それと国民の支持がいつの間にか軍による規律みたいなものに傾斜してくということを、問題意識をこの問題から考えていかなければならないと思っています。

西崎文子氏:文民統制が効かなかったというのはいろいろな点で綻びがある問題だと思うのですが、ずっと疑問に思っていたのは「無いと言っていたことが出てきたこと」が問題なのか、それとも「無いとか、破棄したということで大臣が答弁して、そのまま終わっていた」ことが問題なのかと思うんです。
日報は先ほど言ってましたけれども、自衛隊を派遣してどのように活動していたかということを証拠として残すとても大切な基礎資料で、それを一年で破棄するというのは考えられないことだと思うんですね。
小泉首相がイラク戦争の時にどこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か自分にわかるわけないと強弁したり、安倍総理が南スーダンの時に永田町よりは危険だけどと軽い答弁したり、ということを考えるとやはり日報が破棄されたという答弁で終わっていたことが、文民が統制しようとしなかったという大きな問題だなと私が思います。

谷口真由美氏:2つありまして、一般社会で説明責任やコンプライアンスなど会社や組織で当たり前のようにさせられることが全然できていない、という政府に対して当たり前のことを言った政治家がまともに見えるという現象が怖いし、当たり前やという。普通にできただけでほめられるというのは違うと思います。
関口さんが最初おっしゃったようになんでこれ隠したんだという問題が一番重要だと思うんですけれども、西崎さんおっしゃったように事実上の戦闘地域だったということがわかってて、2004年のイラクへの派遣の訴訟についても黒塗りの文書がたくさん出てきてわからなかったということがあります。
危なかったということを国民に知らしめないために、もし隠したとするならば、この間にあった秘密保護法とか安保関連法の前提となるものは一体何だったんだと議論の前提になるものは何だったんだということをもう一回、問い直してもよいと思うんですね。そこが凄く問題だと思ってます。

【コメンテーターのコメント②】
荻上チキ氏:イラクの日報が明らかになる背景にはもともと南スーダンの日報問題がありました。ジャーナリストの布施友人さんが情報公開請求したんですけれども、ありませんよと言われた。それをおかしいと思った、当時の河野太郎議員が「いや、あるでしょ」と言ったらあって、その後実は日報が隠されてたということが明るみになったということがあったんですね。
その議論の中で、イラクはあるんですかと聞いたら、「いや、調べたんだけどなかった」となる。なぜなら、スーダンがないのにイラクがあったらおかしな話になるわけですよ。1年前の文章がなかったのに10年前の文章が残ってたらおかしいといった、そうした辻褄合わせであるとか具体的な日報の情報管理というものをしっかりとそもそも政治家だけでなく国民からの要請にすら出せなかったということも含めて、国民に対する背信というのを組織的に行ったということで徹底的な改めが必要な段階だと思う。

青木理氏;チキさんがいったことはすごい大切で、なんで隠したかといったら不都合だからですよ。おそらくは南スーダンPKOがないって言ったのに、イラクはあるといったらどうなっちゃうかというとこからの辻褄合わせなんですが。ではなんで南スーダンがまずかったかといったら戦闘という文字があったから、安保法制、その他の関係からまずいといって隠しちゃった。
森友学園は昭恵夫人の名前があったからまずいまずいといって最後は改ざんまでしちゃった。それから厚労省では裁量労働制をめぐってずさんなデータをだしてきた。つまり、政権のむちゃな要求や政策にあわせようとして官僚が右往左往しているところが全部で共通しているんですね。ですから一自衛隊とか防衛省とかの話ではなくて政権と官僚のありようが問われているというのが一点。
もう一つはシビリアンコントロールという点ではまさに実力組織ですよね、自衛隊は。警察なんかもそうなんですけれども、この何年間か実力組織にものすごい権限を与えてきたんですよ。安保法制、特定秘密保護法、共謀罪、盗聴法など、自衛隊でいうと防衛費を増大させて制服組の力をものすごく強くした。つまり、きちんと統制できていないのに権限ばっかり強烈に与えてきてしまったとなると、寺島さんがいっていたように暴走する危険はものすごく強まっているという危機意識は保守とかリベラルとか関係なく、政治にかかわるものとして持ってなきゃいけないことなんじゃないかと思っています。
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【検証内容】
今回の放送の問題点は大きく分けて2点あります。

1点目は事実に基づかないと思われるコメントが散見されること。
2点目は寺島氏の発想がかなり飛躍していると感じられること。

以上の2点です。

まず1点目についてですが、荻上氏はスタジオにて
「イラクの日報が明らかになる背景にはもともと南スーダンの日報問題がありました。(中略)その議論の中で、イラクはあるんですかと聞いたら、『いや、調べたんだけどなかった』となる。なぜなら、スーダンがないのにイラクがあったらおかしな話になるわけですよ。1年前の文章がなかったのに10年前の文章が残ってたらおかしいといった、そうした辻褄合わせであるとか具体的な日報の情報管理というものをしっかりと(中略)徹底的な改めが必要な段階だと思う。」
と発言しました。

続いて青木氏は
「チキさんがいったことはすごい大切で、なんで隠したかといったら不都合だからですよ。おそらくは南スーダンPKOがないって言ったのに、イラクはあるといったらどうなっちゃうかというとこからの辻褄合わせなんですが。ではなんで南スーダンがまずかったかといったら戦闘という文字があったから、安保法制、その他の関係からまずいといって隠しちゃった。」と発言。

この2人のコメントに共通しているのは「イラクの日報が無いとされたのは、南スーダンの日報が無いのにイラクの日報があったら不都合だから、政府が隠ぺいした」という考え方のもと、発言しているということです。現在、防衛省では大野敬太郎政務官をトップとする作業チームが今回の日報問題についての検証を行っています。その検証結果は発表されていないことから、荻上氏と青木氏が、まだ確定していない情報から発言をした可能性があります。

また、青木氏は直後に「森友学園は昭恵夫人の名前があったからまずいまずいといって最後は改ざんまでしちゃった。」と発言していますが、これについても財務省の検証結果などは出ておらず、青木氏がその根拠を述べることもありませんでした。

これらは、現在明らかになっている事実と明らかに異なるわけではありませんが、番組や出演者の想像も盛り込まれており、完全に事実を伝えているとまでは言い切れません。よって、放送法第4条第3項「事実は曲げないで報道すること」に違反している可能性があります。

次に2点目についてですが、寺島氏はスタジオで
「考えなければならないのは、世の中の空気が例えば憲法改正によって自衛隊が憲法に明記されるという流れの中で(中略)国民の空気がですね、二・二六を支持するような、軍がやはり政治をですね、規律を持って支配していくという流れに傾斜していくといった、我々はそういうことを歴史の教訓の中で学ばなければならないということを、それと国民の支持がいつの間にか軍による規律みたいなものに傾斜してくということを、問題意識をこの問題から考えていかなければならないと思っています。」
と発言しました。

これは「現在自民党が推し進めている憲法9条の改正案、具体的には自衛隊を憲法に明記する、という流れによって作られた空気が1936年の226事件当時のように国民の意識を高揚させ、最終的に自衛隊が規律の下、政治を支配していく可能性がある。」という発言のように受け取れます。これは自民党の改憲案を否定するものだと考えられるだけでなく、現代の自衛隊と当時の日本軍の違いや、当時と今の国際情勢や経済情勢などを明らかに無視した発言だとも思われ、放送法第4条第2項「政治的に公平であること。」に抵触している可能性が濃厚です。

今回の「サンデーモーニング」には公平性に欠けると思われる箇所が目立ちました。
今後も監視を続けます。

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