2020年10月18日 サンデーモーニング(後編)

2020年10月18日 サンデーモーニング(後編)

10月18日放送のサンデーモーニングのレポート後編、アメリカ大統領選挙について報道された部分です。

今回検証するのは以下の点です。

・さまざまな論点を取り上げた放送であったか

まずは放送内容を確認していきます。


【VTR要約】
アメリカ大統領選のテレビ討論、かつては真剣な政策論争が当たり前でした。
共和党・ニクソン候補「レバノンや台湾に関する重要な決断をした場面にも関わってきた」
民主党・ケネディ候補「今後アメリカが直面する問題にどちらが対応できるかということです」
2008年 民主党・オバマ候補「支出を増やし赤字を増大させたのは共和党政権では?」
共和党・マケイン候補「私はこれまで予算や温暖化 イラク戦争など多くのことで異議を唱えてきた。」
しかし、投票日まで2週間余りに迫った今年の大統領選は…
民主党・バイデン候補「彼が嘘つきだとみんな知っている」「アメリカ史上最悪の大統領だ」
トランプ大統領「嘘つきはお前だ」「賢さがない。47年間何もしていない」
互いを非難する中傷合戦にエスカレート。こうした感情的対立は今、アメリカ社会全体に広がっています。
人種差別反対運動では過激化し、破壊や略奪に至るケースもありました。その一方で、こうした運動への対抗意識もあってか、ミリシアと呼ばれる極右の自警団組織動きも活発化しています。
ミリシアリーダーのクリス・ヒル氏は「(人種差別抗議デモは)ある種の反体制革命であり、奴らは暴力を公然と擁護している。バイデンが当選するようなことがあればこっちが反乱することになる」と話しました。
全米で200近くのグループが存在し、ミシガン州知事ウィットマー氏の誘拐を企てた14人の中にミリシア関係者も含まれていたという。さらに同じく民主党バージニア州知事の誘拐を計画していたことまで分かっています。
こうしたアメリカの現状について慶応大学・渡辺教授は「トランプを支持している方とそうじゃない方の間の感情的なもつれ距離感分断が深まっている。交わることのないある種パラレルワールドの状況」と話しました。
市民の分断が進むアメリカでは、民主党・バイデン氏の圧勝が確実視されるオレゴン州ではトランプ支持者が中心になって州内36郡のうち、18郡を共和党の強い隣のアイダホ州に編入させようという署名運動まで進んでいます。

今年3月、トランプ大統領が黄色いネクタイで記者会見を行ったことについて、トランプ氏を信奉するQアノンは「黄色のネクタイはアメリカには’’ウィルスの脅威は存在しない’’というメッセージだ。なぜなら黄色は船舶の国際信号機で、船内に感染者がいないことを示すサインだから」とネット投稿しました。この荒唐無稽な情報は瞬く間に拡散しました。
他にも「感染拡大はトランプ再選を阻止するための民主党のでっち上げ」と発信し、混乱をもたらしました。実際、新型コロナウイルスは誰かが意図的に拡散したという陰謀論について4人に1人が真実と考えるまでに至っています。
こうした状況を渡辺教授は「アメリカの民主主義はたとえ異なる立場であっても耳を傾けることを重じてきたわけですけれども、異なる立場の人は敵であるとみなして戦いを挑んでいくのが今の現状。’’選挙’’という民主主義社会の象徴である制度によってむしろ対立が深まってしまっている。より民主主義に対する疑念を深めてしまう。逆説を生みかねない」と話しました。
先日行われた副大統領候補の討論会の最後に、中学2年生・ブレックリン・ブラウンさんからの問いかけを読み上げました。「両党の大統領候補がお互いに相手を中傷してばかりいます。両党のリーダーが仲良く付き合えないのに市民同士が仲良くなれるのでしょうか。2人が示せば私たちを団結させてくれるかもしれません。」

【コメンテーター発言内容】
寺島氏(全文):戦後の日本はあまりにもアメリカの影響の中で生きてきたためにアメリカを通じてしか世界を見ないという傾向があるんですね。アメリカ自身が輝いているときもあったんです。理念の共和国という言葉があって、自由と民主主義のフロントラインに立っていると。 経済的には至上主義の国だということである意味じゃ見上げるような存在だったんです。そのリーダー自体がまさに劣化していってる中でわれわれは自分自身で判断する力を持たなきゃいけない。それには自分の情報回路、フェイクニュースが飛び交う中で自分の地頭で考え抜く力を身につけるための情報というものをしっかり問題意識に持たなければいけない時代になったんだと思います。


【検証部分】
今回検証するのは、寺島氏の発言「戦後の日本はあまりにもアメリカの影響の中で生きてきたためにアメリカを通じてしか世界を見ないという傾向があるんですね。」についてです。

この発言を検証するために、日本の戦後政治がどのようなものであったかを確認します。戦後当初の日本は、たしかにアメリカの影響を強く受けていました。アメリカ軍が駐留し、政治、経済、安全保障とあらゆる面でアメリカの言いなりになっていました。しかしその後、日本は少しずつアメリカの影響下から脱してきました。特に、第2次安倍政権によるいわゆる地球儀外交では、アメリカを通してではなく日本が独自に世界を見て、それに基づき自主的に外交を展開してきました。
具体的にはインドやオーストラリア、ASEAN諸国などとの友好関係、戦略的パートナーシップ関係の強化などが挙げられます。そして特にASEAN諸国に対しては、アメリカとASEAN諸国を仲介する役割も果たしました。これは、外交はアメリカの言いなり、アメリカの意思に従って日本が行動したものではなく、日本が独自に行動し、成果を上げたものです。また、インド太平洋戦略という外交戦略を打ち出し、世界の国々をリードする存在となりました。他にも、イランとの友好関係を回復し、アメリカとイランの関係が悪化した際には関係改善のために積極的な役割を果たしました。この関係についても、アメリカとイランの関係が長らく悪いことを考えれば、アメリカに日本が追従しているのではよい関係を築くことはできず、独自の外交路線を採ることによってはじめて可能となるものです。
もちろん、多くの場面でアメリカが関係していることは間違いありません。しかしそれは、日本がアメリカに追従しているからではなく、アメリカが世界中に大きな影響力を及ぼす覇権国家であり、日本の重要な同盟国であるからです。そして日本はアメリカの意向に沿って外交を展開しているのではなく、アジア安全保障ではむしろ、日本の方針にアメリカを従わせるような面さえ見られます。
日本の外交は、かつてはアメリカの影響力を強く受けていましたが、少しずつアメリカの影響力を受けずに自主的な外交を展開する力をつけてきました。そしてそのような時期を経て第2次安倍政権の時代には、十分に自主的な外交を展開してきたといえます。もちろん同盟国として、太平洋を挟む隣国として、アメリカの影響力が及んでいることは間違いありません。しかし、寺島氏の言うような「アメリカを通じてしか世界を見ない」状況でないことは明らかです。

このような放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。

————————————————————————————–
放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
————————————————————————————–

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事