2020年7月5日 サンデーモーニング(中編)

2020年7月5日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年7月5日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
①「風を読む」にて香港問題について報道された部分
②レジ袋の有料化について報道された部分
③水害タイムラインついて報道された部分

以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
②レジ袋の有料化について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR書き起こし】
7月1日水曜日です。プラスチックごみの削減に向けこの日、経産省が主導するプラスチック製のレジ袋の有料化が全国の小売店で始まりました。大手コンビニ3社では一部のサイズを除き1枚3円で販売スーパーやデパート各社も多くが有料にしています。プラスチックごみを巡っては海洋汚染が地球規模で広がっており喫緊の課題となっていますがフランス南部の海では使い捨てマスクも問題になっています。一般的に使われているマスクの主な材質はポリプロピレンというプラスチックなんだそうでこれは水中にも溶けません。残っちゃうということですね。さらに詳しく杉浦さんがご説明いたします。

【コメンテーター発言内容】
杉浦氏(全文):世界中で問題となっているプラスチックごみ。インドネシアの砂浜で、子どもたちの足元にも覆われています。そして海の中もプラスチックごみで埋め尽くされています。アメリカの環境保護団体が世界の海岸でごみを拾ったところ最も数が多かったのはたばこのフィルター、それに続く食品の包装、かきまぜ棒やストロー、レジ袋などトップ10までのすべてがプラスチック製品だったんです。そもそもプラスチックとは、石油などを原料にして作られた自然界にはない物質。そこに軟らかさ、頑丈さ、色、紫外線防止などの特性を出す添加剤を加え、それを成型することによってテレビや自動車部品などの大きなものからペットボトルやマスク、コンタクトレンズなどの小さなものまで私たちの身の回りにはプラスチックでできたものであふれているんですが、こうしたプラスチックは微生物によって分解されず半永久的に残り、海を汚染し続けるんです。中でもレジ袋に関しまして、こんなことが起こっていました。思わぬ所から出てくるケースもあります。先月21日、高知県室戸沖の定置網にかかり亡くなった絶滅危惧種のオサガメ。解剖すると、腸の中からレジ袋などが出てきました。さらに砂浜に埋もれごみとなったレジ袋。引っ張り出すと簡単にちぎれてしまい、レジ袋の除去は容易ではありません。そうした厄介なレジ袋の削減を目的に水曜日から始まった有料化ですが日本に先立ち有料化したイギリスではこんな効果がもたらされているんです。導入される前年の2014年には買い物客1人当たり年間140枚、レジ袋を使っていたんですが2019年には年間10枚にとどまっています。また、海岸線100mごとに落ちているレジ袋の数、こちらも減少しています。さて、日本のレジ袋ですが、中にはこれからも無料で配布されるレジ袋もあるんです。水中の微生物により分解される海洋生分解性プラスチックで作られたレジ袋。また、植物由来のバイオマス・プラスチックを25%以上含むレジ袋です。これらは環境への影響を考えて有料化の対象から外されています。レジ袋を巡っていろいろお伝えしてきましたが、実は国内のプラスチックごみ、年間およそ900万トンのうちレジ袋は20万トン、わずか2%に過ぎないんです。しかし、すでに60以上の国と地域でレジ袋の規制が行われていて、日本はいわば後発国です。有料化をきっかけに環境問題への意識を変えることができるのでしょうか。

元村氏(全文)最後のほうに出てきた生分解性プラスチック、バイオマスプラスチック、これは罪の意識は減るというメリットはありますけれども、ただ、国連環境計画という組織がこれに流れることは最悪の結果を招く必要があると警告しています。さらに、国内で例えばプラスチックのリサイクルをすると考えたときにこれらの異質な素材は分解しやすいために、逆にプラスチックに再生したときに壊れやすくなるというデメリットもあって新たなリサイクルのラインをつくらなきゃいけないという問題も今後、出てきそうなんですね。ですからやっぱりここは思い切って使わない、もらわない、マイバッグを持ち歩くということが必要なんじゃないかと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、杉浦氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
3、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

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1、杉浦氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
杉浦氏は今回の報道で、以下のように述べています。

杉浦氏(抜粋):世界中で問題となっているプラスチックごみ。インドネシアの砂浜で、子どもたちの足元にも覆われています。そして海の中もプラスチックごみで埋め尽くされています。アメリカの環境保護団体が世界の海岸でごみを拾ったところ最も数が多かったのはたばこのフィルター、それに続く食品の包装、かきまぜ棒やストロー、レジ袋などトップ10までのすべてがプラスチック製品だったんです。そもそもプラスチックとは、石油などを原料にして作られた自然界にはない物質。そこに軟らかさ、頑丈さ、色、紫外線防止などの特性を出す添加剤を加え、それを成型することによってテレビや自動車部品などの大きなものからペットボトルやマスク、コンタクトレンズなどの小さなものまで私たちの身の回りにはプラスチックでできたものであふれているんですが、こうしたプラスチックは微生物によって分解されず半永久的に残り、海を汚染し続けるんです。中でもレジ袋に関しまして、こんなことが起こっていました。思わぬ所から出てくるケースもあります。先月21日、高知県室戸沖の定置網にかかり亡くなった絶滅危惧種のオサガメ。解剖すると、腸の中からレジ袋などが出てきました。さらに砂浜に埋もれごみとなったレジ袋。引っ張り出すと簡単にちぎれてしまい、レジ袋の除去は容易ではありません。そうした厄介なレジ袋の削減を目的に水曜日から始まった有料化ですが日本に先立ち有料化したイギリスではこんな効果がもたらされているんです。導入される前年の2014年には買い物客1人当たり年間140枚、レジ袋を使っていたんですが2019年には年間10枚にとどまっています。また、海岸線100mごとに落ちているレジ袋の数、こちらも減少しています。さて、日本のレジ袋ですが、中にはこれからも無料で配布されるレジ袋もあるんです。水中の微生物により分解される海洋生分解性プラスチックで作られたレジ袋。また、植物由来のバイオマス・プラスチックを25%以上含むレジ袋です。これらは環境への影響を考えて有料化の対象から外されています。レジ袋を巡っていろいろお伝えしてきましたが、実は国内のプラスチックごみ、年間およそ900万トンのうちレジ袋は20万トン、わずか2%に過ぎないんです。しかし、すでに60以上の国と地域でレジ袋の規制が行われていて、日本はいわば後発国です。有料化をきっかけに環境問題への意識を変えることができるのでしょうか。

要旨をまとめると、
・プラスチック製品は微生物により分解されずに半永久的に残り、海を汚染し続ける。
・魚からレジ袋が出てきた例もある。
・すでに世界各国でレジ袋は有料化されており、日本は後発国である。

というものです。
しかしながら、
・レジ袋は国内で年間に出るプラごみの2%程度であり、環境省が行った調査によると海岸の漂着ゴミでも容積比で0.3%ほどである。
・その為、杉浦氏は説明途中に海洋汚染の例としてビニール袋に入った魚を提示していたが、極稀な例と考えられる。このように特異な例を提示することは視聴者への海洋プラスチック問題の認識に誤解を生じさせ、政治的に公平でない。
・また、日本のプラスチックのリサイクル率は84%を超えており、世界的にも高い。その為、「日本がプラスチックの後進国である」という主張は事実に反し政治的にも公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での杉浦氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本は海洋プラスチック問題に対する対策が遅れている」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「日本は自国でプラスチックを処理できており、そもそもレジ袋の有料化自体が海洋プラスチック問題の根本解決とならない」「海洋プラスチック問題を引き起こしている発展途上国に対するアプローチが必要である」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
②レジ袋の有料化について報道された部分  検証3「元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③水害タイムラインついて報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

①「風を読む」にて香港問題について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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