2020年6月21日 サンデーモーニング(中編)

2020年6月21日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年6月21日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にてコロナバブルついて報道された部分
② 河合夫妻の公職選挙法違反問題について報道された部分
③ 外国人観光客の減少について報道された部分
 以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 河合夫妻の公職選挙法違反問題について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR書き起こし】
前法務大臣の夫と参院議員の妻。前代未聞の国会議員夫妻の逮捕は国民の政治不信を一層深めそうです。今から10年前、カメラは河井夫妻のこんなやりとりを捉えていました。

(2010年4月 広島市内の自宅)
河井克行氏「だから自民党がもう終わった。自民党が役割を終えたということについては、おそらく多くの国民が感じていると思うんですよ。」
河井案里氏「身をていして頑張ってください。」

民主党政権だった2010年、自民党からの離党を模索していた河井克行容疑者。それから10年…

(17日国会内)
記者「事実ですか。お金を配ったというのは事実なんでしょうか?」
河井克行氏「捜査中だから」
記者「このまま説明しないつもりですか?」
河井案里氏「またね ゆっくりね」

木曜日、2人は買収事件の容疑者として逮捕されました。元法務大臣が逮捕されたのも、国会議員が夫婦そろって逮捕されたのも憲政史上初めてのことです。河井夫妻を乗せたとみられる車が東京拘置所に着きました。逮捕されたのは去年7月の参議院選挙で地方議員ら94人に対し、票の取りまとめを依頼して総額2570万円の現金を配った買収の疑いです。選挙への出馬は、総理官邸が主導する形で行われたといいます。
今から14年前、広島県議だった河井案里容疑者は政治とカネを巡る問題を追及していました。

(2006年広島県議会)
河合案里氏「あなたの政治的生命は損なわれてしまう。知事…男らしくなさいよ」

当時の県知事に説明責任を果たすよう迫っていた案里容疑者。去年10月、参議院選挙でのウグイス嬢を巡る疑惑が発覚、自身が説明責任を問われる事態となったのです。

(1月20日国会内)
河井案里氏「一区切りがついたところでしっかりと皆さまにご説明をさせていただきたいと思っております。」

しかし
(5月15日国会内)
記者「今度説明するとこの前言っていましたが」
案里氏「いずれね」
記者「いずれというのはいつですか」
案里氏「密 密 密よ」

夫の河井克行容疑者も…
(5月19日国会内)
記者「100人以上に現金を配っていたとの報道がありますが?」

河井夫妻が問われたのは、去年7月の参議院選挙。案里容疑者は官邸の意向を受け、自民党本部が主導する形で出馬したのです。

(2019年7月広島市)
菅官房長官「しっかりと応援していただきたい。そのお願いにやってきました」

同じ自民党の現職、溝手氏を追い落とす形で議席を獲得。この選挙で2人は地元の市長や議員らに現金を渡し、票の取りまとめなどを依頼していたというのです。

広島県議「受け取ったのは私ではなくてうちの事務員。ポケットに突っ込まれたと」

選挙資金として自民党本部から提供されたのは1億5000万円。その額は溝手氏の10倍だったといいます。また、2012年の自民党総裁選挙で安倍氏の勝利に貢献し、近い関係にあったという克行容疑者は去年9月の内閣改造で法務大臣として初入閣を果たしたのです。2人の逮捕を受けて安倍総理は…

(18日)
安倍総理「かつて法務大臣に任命したものとしてその責任を痛感しております」

河井夫妻が買収に使ったとされる2570万円。野党側は、その原資が自民党本部から提供された1億5000万円だったのではないかと指摘しています。これについて二階幹事長は…

(17日)
自民党・二階幹事長「1億5000万円は支部の立ち上げに伴う党勢拡大のための広報誌を複数回全県に配布した費用に充てられたと報告を受けている。」

(18日)
安倍総理「昨日二階幹事長により党本部では公認会計士が厳格な基準に照らして、事後的に各支部の支出をチェックしているところであり、巷間言われているような使途に使うことができないことは当然でありますという説明が行われた。」

選挙資金について、問題はなかったとする安倍総理。しかし、案里容疑者の擁立に反対していた広島の自民党県議からは…

(18日)
広島県議会・中本隆志議長「(自民党本部には)だから言ったでしょということを本当に言いたい。このことを重く受け止めて自民党本部の政権の中核におられる、この全ての決定を下された方がたにもちゃんと説明してもらいたい」
自民党内でも説明責任を求める声が上がる中、国会は閉幕。野党は集中審議を開くよう求めていますが与党側は応じない構えです。

(スタジオにて橋谷アナの説明)
逮捕された河井夫妻なんですけれども夫の克行容疑者が選挙戦を事実上、統括していたとみられています。克行容疑者が合計2400万円を地元議員ら91人に、さらに2人で共謀して170万円を5人に渡したとされているんです。河井克行容疑者、先ほどVTRにも少しありましたけれども、2012年、総裁選で推薦人に名を連ねて安倍氏の政権復帰を支えました。その後、総理補佐官、そして党総裁外交特別補佐に起用されるなど総理の側近として知られていまして、去年、法務大臣として初入閣。事件発覚後、辞任しました。一方でもう1人いるんですけれども去年10月、秘書が地元有権者に香典を配ったなどとして大臣を辞任した菅原氏なんですが、国会閉幕の前日、駆け込みのような形で会見をしまして、法に触れる事案もあったと認めたものの離党や議員辞職は否定しています。東京地検特捜部は菅原氏を、任意で事情聴取するなど今後、調べを進める方針です。

【コメンテーター発言内容】
関口氏(全文):河井夫妻のほうへ話を戻しますが法務大臣だからね、僕は法務大臣になる人っていうのはよほどの人をちゃんと政権は選ばなきゃいけないとずっと昔から思ってましたけど、どういう意図でこの人を法務大臣にしたんだろう。 そんな論点もありますが、皆さんにお伺いしましょう。

寺島氏(要約):買収は民主主義の根幹に関わること、しかし責任を取らない、議員を辞めないということに驚く。一体、国会議員というのは何なのか。本当に民主主義の根幹を支える国民の目線からしっかり問い返さなきゃいけない。

目加田氏(全文):先ほど関口さんがおっしゃったとおりで、よりによって、どうして法務大臣に任命したのかなというところが非常に疑問ですし、任命した安倍首相の責任というのは厳しく問われるべきだと思うのですが、ただ、そこに留まらないとおもうんですよね。つまり、選挙で候補者選びであったりそれぞれの候補者に対して資金を配分したりというのは、基本的に幹事長の仕事ですし、これは自民党の問題なのではないかと思うんですよね。 仮に安倍さんが引責辞任することになったからといって幕引きを図るという問題ではないと思いますし、そもそも選挙では、有権者が清き1票を投じるということが民主主義の根幹にあるわけですよね。 あるにもかかわらず、現金をばらまいてしかもちょっと、本当に驚いたのは100人もの方々がその現金を受け取ってるんですよね。何でその場で突き返さなかったのか。少なくとも現金が入っていると思われるような封筒を受け取ってしまうということが非常に深刻なんじゃないかなと思うんですよね。これは建前であって、実際には現金が飛び交うんだということを認めてしまえば、民主主義は根幹から腐ってしまうと思いますので自民党はその危険性も含めて責任をしっかりと自覚して、全容解明に尽くしてほしいと思います。

高橋氏(要約):河井さんと菅原さん、両方とも閣僚に登用されて僅か1カ月半で辞めている。8カ月の間、何の説明もしないというまず政治家として果たすべき義務を果たしていないという点で厳しく指弾させるべき。法的な責任とは別に、政治的責任がまず問われるべきだと思います。

涌井氏(要約):安倍内閣発足以来、なんと驚いたことに失言や不祥事で、2桁になるような大臣が辞任している。その度に、すべての責任は私にありますという同じ言葉を我々は聞かされている。政治家を期待しているのに、その実態は政治屋であったということ。こんな状況の中で国会なり政治が運営されていることに対して非常に絶望を感じるんですね。

青木氏(全文):皆さんから責任という言葉が出てね、主には政治責任、任命責任だと思うんですけど、実はそれだけじゃないんです、そこにある1億5000万円が党から河井陣営に渡ったんですけど、官邸案件と言われていて、官邸が主導して1億5000万円をこの2人に突っ込んだと。側近だったわけですけれども、しかしこれ、公職選挙法の買収というのは、カネをばらまいた本人たちも罰せられるんですけど、実は知っていて交付していれば、交付したほうも法的責任を問われるんですね。今回、東京地検特捜部は自民党の会計責任者からも事情聴取しているようなんですね。 ということになってくると、金を出すという結論を出したのが幹事長なのか総裁なのかというんで、それが知ってたということになると、法的責任も生じてくるんですね。政治責任、任命責任だけじゃなくて法的責任も問われているんだということとかつ、特捜部、あるいは検察は今回どこまで捜査をするのか、 できるのだろうか、これで終わるんだったらむしろ検察が批判されるんじゃないかなという気がするんですね。もう1件、菅原さんの件も、選挙民にいろんなものをばらまいたというのもこれもなぜ捜査しないんですかというところが問われてくると思うんですよね。つまり法的責任が首相にはあるんだということと、今後の検察の態度にも注目をして不十分だったら、我々は検察にも厳しい目を向けないといけないんじゃないかという気がします。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
目加田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

目加田氏(抜粋):先ほど関口さんがおっしゃったとおりで、よりによって、どうして法務大臣に任命したのかなというところが非常に疑問ですし、任命した安倍首相の責任というのは厳しく問われるべきだと思うのですが、ただ、そこに留まらないとおもうんですよね。つまり、選挙で候補者選びであったりそれぞれの候補者に対して資金を配分したりというのは、基本的に幹事長の仕事ですし、これは自民党の問題なのではないかと思うんですよね。 仮に安倍さんが引責辞任することになったからといって幕引きを図るという問題ではないと思いますし、そもそも選挙では、有権者が清き1票を投じるということが民主主義の根幹にあるわけですよね。 あるにもかかわらず、現金をばらまいてしかもちょっと、本当に驚いたのは100人もの方々がその現金を受け取ってるんですよね。何でその場で突き返さなかったのか。少なくとも現金が入っていると思われるような封筒を受け取ってしまうということが非常に深刻なんじゃないかなと思うんですよね。これは建前であって、実際には現金が飛び交うんだということを認めてしまえば、民主主義は根幹から腐ってしまうと思いますので自民党はその危険性も含めて責任をしっかりと自覚して、全容解明に尽くしてほしいと思います。

要旨をまとめると、
・どうして河合氏を法務大臣にしたのか、任命した責任を安倍首相は問われるべきである。
・しかし、これらの問題は自民党の問題である。安倍首相が引責辞任したとしても、解決するものではない。
・なぜ現金をばらまき、現金が入っている封筒を受け取ってしまうのか。民主主義が根幹からくずれてしまう。

というものです。

しかしながら、
・法務大臣を任命するときに河合氏が公職選挙法に違反することを予見するのは至極難しいことである。
・その為、「問題を引き起こした安倍首相・自民党の責任を問うべきだ」という目加田氏の主張は政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での目加田氏の発言は政治的に公平ではない恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」に違反する恐れがあります。

———————————————————————————————————————-
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「安倍首相は河合氏を任命した責任を負うべきである」という立場に立った意見のみが出てきました。

関口氏(抜粋): 河井夫妻のほうへ話を戻しますが法務大臣だからね、僕は法務大臣になる人っていうのはよほどの人をちゃんと政権は選ばなきゃいけないとずっと昔から思ってましたけど、どういう意図でこの人を法務大臣にしたんだろう。 そんな論点もありますが、皆さんにお伺いしましょう。

など、こうした姿勢が顕著にみられる発言もありました。

ですがこの問題に関しては「河合氏の公職選挙違反は予見不可能な事態であり、安倍首相の責任を問うものではない」「議員の個人的な問題に対してまで首相の」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 河合夫妻の公職選挙法違反問題について報道された部分における
 検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ 外国人観光客の減少について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 「風を読む」にてコロナバブルついて報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事