2019年9月8日 サンデーモーニング

2019年9月8日 サンデーモーニング

TBS「サンデーモーニング」、2019年9月8日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 韓国での日本製品不買条例案可決と曺国氏の聴聞会について報道された部分
② 「風を読む」にて炎上商法とメディアについて報道された部分
③ 9月11日実施の内閣改造について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 「風を読む」にて炎上商法とメディアについて報道された部分における
検証4「松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ 9月11日実施の内閣改造について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):一昨日、実は番組で、あの私が担当している番組で、その韓国からの観光客が減ったある地方のある会社の社長さん。対馬ですね。中継で聞いたんですが、その最中実は電話がすぐ鳴りはじめて。事務所にですね。出たら「売国奴」と。つまり韓国のお客さんを商売しているだけで売国奴って、もうひっきりなしにかかってくるわけですね。もしそこでメディアのそういう、加担してる部分があったりしたとしたら、これ本当にいけないことだなというふうに、まあ過激な表現とかですね。というふうに思いましたね。私はあの、真実は小さな声で語られると思うんですね。姜さんがおっしゃったように、空虚なことこそ声高にみんな語りたがるし過激な言葉が必要になってくる。だから、一人ひとりがですね、そういう声高な言葉語り、そして、まあ過激な言葉を疑ってかかること。そして何より我々メディアの人間こそが、過激な人間を使いたくなったり声高に語りたくなったら、それはいかんぞと。そこを戒めるべきだなというふうに思いますね。

要旨をまとめると、
・対馬で韓国人相手の商売をしている方に取材中、「売国奴」と罵倒する電話が掛かってきた。こうした行いに過激な表現などでメディアが加担しているのであれば許されないことだ。
・真実は小さな声で語られるものだ。声高な言葉や過激な言葉は虚なことを話すときのものなので、こうした言葉は疑うべきだし、メディアの人間は過激な言葉を使わないと自戒すべきだ。

というものです。

しかしながら、
・松原氏の個人的な経験1つを以てあたかもこうした行為が横行しているかのように話すのは事実を正確に捉えたものとは言えず、極端なケースを用いた印象操作と言わざるを得ない。
・真実は小さな声で語られる、という主張には何ら根拠がない。また安倍政権については声高な言葉、過激な言葉で非難するにも関わらず、韓国の問題についてのみこうした主張を行うのは明らかなダブルスタンダードであり、政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 9月11日実施の内閣改造について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
 安倍総理は内閣改造を11日に行う考えを明らかにした。内閣では菅官房長官と麻生副総理兼財務大臣が留任の見通しで、党役員では二階幹事長と岸田政調会長が留任の見通し。外務大臣は茂木経済再生担当大臣を起用する方針が固まったとされる。

【コメンテーターの発言】
谷口真由美氏(全文):内閣改造とかの報道を見るたびに、実は民間人が大臣になれるという憲法規定をご存じないんじゃないかなって気がするんですよね。あの憲法の規定では、過半数は国会議員でないとダメなんですけれども、大臣というのは。過半数以下であれば、民間人でも登用できるっていうことなんですね。でもなんかこういう論功行賞的なこととか、国会議員の中から選ばれるんだみたいなイメージっていうのがどうも先行している気がして、やっぱりちゃんと、そのできる方であれば、過去にもありますし、民間人の登用っていうのも、私はすべきじゃないかなと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):内閣改造とかの報道を見るたびに、実は民間人が大臣になれるという憲法規定をご存じないんじゃないかなって気がするんですよね。あの憲法の規定では、過半数は国会議員でないとダメなんですけれども、大臣というのは。過半数以下であれば、民間人でも登用できるっていうことなんですね。でもなんかこういう論功行賞的なこととか、国会議員の中から選ばれるんだみたいなイメージっていうのがどうも先行している気がして、やっぱりちゃんと、そのできる方であれば、過去にもありますし、民間人の登用っていうのも、私はすべきじゃないかなと思います。

要旨をまとめると、
・内閣改造において、安倍首相は民間人でも大臣になれるという憲法規定を知らないのではないかという気がする。
・過半数を超えなければ民間人登用が可能であるにも関わらず、大臣選びが国会議員の手柄に応じて割り振られるような人事になっている。もっと民間人登用を進めるべきだ。

というものです。

しかしながら、
・安倍首相が今回民間人を仮に登用しなかったとして、それが直ちに安倍首相が大臣登用の規定を知らないということの証明にはならない。にも関わらず安倍首相が知らないかのように扱うのは事実に即しているとは言えず、政治的に公平とも言えない。
・大臣選びが国会議員の手柄に応じたものになっているかどうかと、民間人登用の話は一切関係のないことである。また民間人登用が一方的に正しいとする主張には根拠がなく、非常に偏ったものである。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「安倍首相は国会議員へのご褒美として大臣選びを行なっている」「その分野に詳しい民間人登用を進めるべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「安倍首相の大臣選びは非常に戦略的なものだ」「民間人を大臣として登用することが常に正しい選択肢だとは言えない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 韓国での日本製品不買条例案可決と曺国氏の聴聞会について報道された部分
については前編の報告を、

② 「風を読む」にて炎上商法とメディアについて報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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