2020年5月10日 サンデーモーニング(前編)

2020年5月10日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年5月10日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言の延長と自治体の経済の再開ついて報道された部分
② 米国の失業率の増加と欧州の経済活動の再開について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 緊急事態宣言の延長と自治体の経済の再開ついて報道された部分

となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
4日安倍総理は、東京や大阪、北海道など13の特定警戒都道府県については引き続き8割削減を求める一方感染者の比較的少ない残りの34県については社会経済活動の再開を一部、容認しました。7日から休業要請の対象外となった群馬県伊香保温泉では、首都圏からの宿泊客が中心のため戸惑いながら経済活動を再開しました。
一方緊急事態宣言が続く13都道府県からは、出口が見えないことへ悲鳴と戸惑いの声が上がっています。
緊急事態宣言の出口について、5日大阪府の吉村知事は「どうなったら民間の休業要請などの措置が解除されるのか。出口戦略を明確に示す必要がある。本来、国でその戦略を示していただきたかったが、されないということなので、大阪府としてのモデル「大阪モデル」を本日決定したい。」と発言し波紋を広げています。
これに対し西村経済再生担当大臣は「各都道府県の裁量で休業要請なり解除なりを行っていただくわけで、仕組みを勘違いしているのではないか」とし、その後双方は、今後は発信を気をつけます誤解があったなどとしました。
14日には安倍総理が国としての解除の基準を作成するとしています。6日、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長とインターネット番組に出演した安倍総理は「オリンピックを開催する上において、日本だけではなく世界中でアフリカを含めて世界中で、収束させなければいけません。そのためにやっぱりそうした治療方法、ワクチンが是非とも必要だと思っています。」と述べ、山中氏は「これを可能にするだけのワクチンの量を1年で準備できるかどうかというとこれは研究者として率直にかなりの幸運が重ならない限り、ワクチンだけでは難しんじゃないかと思います。」と述べました。政府の専門家会議もウイルスとの闘いは長期に及ぶとして、人と人との間は極力2m空け手洗い・マスクの着用を基本として、食事は対面ではなく横並びで会話は控えめにすることなど、新しい生活様式の具体例を示しています。命と暮らし、この2つをどう両立させるのか、難しい舵取りを迫られています。

【コメンテーター発言】
橋谷アナ(全文):全国の新規感染者の推移なんですけれども、4月7日に緊急事態宣言が出まして減少傾向が続いているんですけれども、4日に緊急事態宣言が延長されました。2日連続で100人を切ることもあったんですが、昨日、僅かに増えまして114人となってますね。連休明けの人出の増加に懸念が高まっています。

関口氏(要約):このグラフを見ると、下がっていてほっとしたくなるんですが、いけませんか?

岡田氏(全文):自粛もかなり強制してやりましたので下がってきているだろうなと。週明け、ちょっと見なきゃいけないんですけれども、これから夏に向かってだんだん下がっていくかなとは思います。ただ、秋冬になりますと上がってくるかなと思います、11月くらいから。

関口氏(要約):第二波なんですか、これは絶対起こるんですか?

岡田氏(全文):まあ、十中八九起こると思います。秋の方が大きいかなと。ですからそれまでに医療だとかお薬だとかを夏に気を緩めずに用意していくことが大事なんだと思います。

関口氏(要約):夏にちょっと下がったときに少しは自由にしてもいいですか?

岡田氏(全文):それは規制が緩まると思うんですけれども、経済活動が再開されても、秋冬には流行が来るかもしれないということで医療や準備をしていくことが行政も大事だし、私たちはメンタル的にも精神的にもそれを覚悟しながら準備していくことが大事だと思います。

橋谷アナ(全文):政府、緊急事態宣言延長したんですけれども、赤い色の特定警戒都道府県以外の34県では経済活動などの再開が一部容認されました。ただし、自治体によって対応が異なっているんですね。全面会所を決めたのは感染者が出ていない岩手県など、青い8県ですね。一部解除が水色の県、20県です。ピンク色の4県、こちらは引き続き休業要請を続けます。岡山、徳島はそもそも要請がしていませんでした。一方で特定警戒都道府県は引き続き8割の接触削減などが求められているんですが、その中で独自の出口戦略を示したのが大阪府なんですね。 大阪モデルと言われているものなんですが、感染経路の不明者が10人未満、PCR検査の陽性率が7%未満、そして重症者の病床使用率が60%未満この3つの条件を8日から7日連続、つまり、あと5日間連続でクリアすると、段階的な解除を判断していく、このように決めています。

関口氏(要約):この解除についてはどうご覧になりますか?

岡田氏(全文):まず大阪モデルなんですけれども、大阪は広く検査をやって積極的に、そしてそのデータを見えるようにして府民に開示しているんですね、毎日でございます。感染経路不明というのはどこからかかってきた人か分からない人が10人未満だと。そして前週に比べて減っている、それから陽性率、新規に検査をした分の陽性だった人が7%未満、これは十分に検査をして対応できていることを示します。それから、病床のベッド、医療がちゃんと余裕があるよと。余裕があるよと、これをもってして解除をしていこうという明確なエビデンスを持って解除を示してるんですね。都道府県の中には感染者がゼロという都道府県もたくさんあります。そういうところはいいんですけれども、ほかの地域で緩めていくといった場合に大阪並みのちゃんとしたエビデンスを揃えて緩めていけるのか、そういうところが非常に大事なことになっていくんだと思います。首長さんの判断でということなんで経済優先ということで市中に感染者がまだたくさんというか、ある程度残っているうちに緩めるとすぐにまた感染者が上がってくることが懸念されます。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
橋谷氏は今回の報道で、以下のように述べています。

橋谷氏(抜粋):全国の新規感染者の推移なんですけれども、4月7日に緊急事態宣言が出まして減少傾向が続いているんですけれども、4日に緊急事態宣言が延長されました。2日連続で100人を切ることもあったんですが、昨日、僅かに増えまして114人となってますね。連休明けの人出の増加に懸念が高まっています。

要旨をまとめると、
・4/7に緊急事態宣言が発令されて以降、コロナウイルス発症者は減少傾向となっている。
・5/4に緊急事態宣言が延長され、2日連続で感染者が100人以下になることもあったが、昨日(5/3)114人と増えている。連休明けの増加に懸念がある。

というものです。

しかしながら、
・感染、検査、感染者数の集計には一定数の期間を要する。つまり、日ごとに発表される感染者数は一定期間前の感染状況を示している。
・その為、「前日に感染者数が増えたので連休明けに感染者数が増大する」という因果関係を示すことは困難であり、橋谷氏の主張は事実に反する恐れがある。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での氏の橋谷氏発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
岡田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

岡田氏(抜粋):自粛もかなり強制してやりましたので下がってきているだろうなと。週明け、ちょっと見なきゃいけないんですけれども、これから夏に向かってだんだん下がっていくかなとは思います。ただ、秋冬になりますと上がってくるかなと思います、11月くらいから。

関口氏(要約):第二波なんですか、これは絶対起こるんですか?

岡田氏(抜粋):まあ、十中八九起こると思います。秋の方が大きいかなと。ですからそれまでに医療だとかお薬だとかを夏に気を緩めずに用意していくことが大事なんだと思います。

要旨をまとめると、
・これからコロナウイルスの感染者数は夏に向かってだんだん下がっていくと思う。
・ただ、秋冬、11月ごろから感染の第2波が十中八九起こる、秋のほうが感染状況は悪くなる。
というものです。

しかしながら、
・「これから感染状況が減る」「秋ごろには感染がまた発生する」「第二波は第一波よりも感染が拡大する」という岡田氏の一連の主張には医学的・疫学的な根拠が提示されておらず、事実に反する恐れがある。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での橋谷氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「東京都はまだ経済活動を再開させることは難しい」「今後もコロナウイルスの感染は増大していく」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「長期的なスパンで見れば感染拡大のピークは越えている」「日本よりも感染が拡大している欧米諸国でさえ経済活動を再開しているのだから、東京をはじめとした日本も経済活動をいち早く再開すべきである」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 米国の失業率の増加と欧州の経済活動の再開について報道された部分
④ については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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