2019年3月3日 サンデーモーニング(後編)

2019年3月3日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年3月3日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
「統計不正」問題と沖縄の県民投票について報道された部分
ドナルド・キーン氏が亡くなった件について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
「統計不正」問題と沖縄の県民投票について報道された部分
における、
検証4「パネル説明の内容が視聴者に事実と異なる認識を与える恐れがある」

ならびに、
ドナルド・キーン氏が亡くなった件について報道された部分
となります。

では、さっそく①の検証4をみてみましょう。

4、パネル説明の内容が視聴者に事実と異なる認識を与える恐れがある
今回の報道で、パネルには以下の年表が記載されていました。

辺野古移設をめぐる主な出来事について
1995年 米兵による少女暴行事件
1996年 普天間基地返還で日米合意、第1回沖縄県民投票
1999年 移設先を辺野古へ閣議決定
2017年 埋め立て開始

しかしながら、この年表には民主党政権の鳩山元首相時代に起きた「最低でも県外」発言(09年)とその顛末が記載されていません。
この発言は辺野古移設問題を語るうえで欠かせないものです。この発言とその後の動きが普天間基地移設問題を大きく混乱させたのは紛れもない事実であり、これを記載しないことは視聴者に事実と異なる認識を与える極めて悪質な行為であるだけでなく、民主党政権の失政を意図的に隠そうとする政治的に公平性を欠く行為です。

以上のことから、今回の報道での当該パネル説明は政治的に公平性を欠き、かつ事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、ならびに同第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
② 官邸が特定記者の質問に注意し、新聞労連が抗議した件について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
・アメリカ出身の日本文学研究科ドナルド・キーンさんが96歳で亡くなった
・1922年ニューヨーク生まれで、18歳で「源氏物語」と出会ってから日本文学を翻訳
・東日本大震災後に日本国籍を取得した
・米軍通訳として沖縄戦に従軍し、平和や憲法について積極的な発言があった
・キーン氏「今の(日本国)憲法は世界のモデルのようなものです。憲法第9条がある間に一人も戦死したことはないです。一人も外国人を殺したことはないです。日本人は非常に誇りに考えるべき」

【コメンテーターの発言】
青木理氏(全文):日本文学を世界に紹介してくれた、まあ日本文化にとっての恩人ですよね。僕はお目にかかれなくて本当に残念だったんですけれども、いろんなものを書かれて発言とかを呼んでたらですね、日本に帰化して日本国籍を取った以上、これからは日本の問題点を大いに言わせてもらうっていうふうに書かれてたんですね。つまり、最近そのね。隣国を罵倒して日本素晴らしいっていうようなのが愛国だっていう妙な風潮が広がってるんですけれども、むしろやっぱり、自分の国だからこそ、自分の国のことをきちんと指摘をして批判をするっていうようなことをおっしゃってたキーンさんの発言っていうのを、今の時代の我々は本当になんかこう学ばなくちゃいけないなと思いつつ、亡くなったのは残念ですけどね。ご冥福をお祈りしたいなというふうに思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の1点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

では、順を追って解説します。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):つまり、最近そのね。隣国を罵倒して日本素晴らしいっていうようなのが愛国だっていう妙な風潮が広がってるんですけれども、むしろやっぱり、自分の国だからこそ、自分の国のことをきちんと指摘をして批判をするっていうようなことをおっしゃってたキーンさんの発言っていうのを、今の時代の我々は本当になんかこう学ばなくちゃいけないなと思いつつ、亡くなったのは残念ですけどね。ご冥福をお祈りしたいなというふうに思います。

要旨をまとめると、
・隣国を罵倒し、日本を賛美する風潮が広がっている
・自分の国だからこそ自分の国のことをきちんと批判できるようになるべき
・これは故ドナルド・キーン氏の発言で、こういう姿勢から学ぶべき
というものです。

しかしながら、
・「隣国への罵倒、自国の賛美」という風潮が広がっているという主張、自分の国を批判する風潮がないという主張それぞれに根拠がない
・隣国への批判と自国の賛美は別個の主張で、これを一緒くたにして批判するのは視聴者に「隣国を批判する人は自国を賛美する」という事実と異なる認識を与える恐れがある
・ドナルド・キーン氏が発言したのは「日本国籍を取ったから日本の問題点を語る」という内容で、青木氏の言うような「隣国罵倒、自国賛美」についてではない。このようにあたかもキーン氏の発言に関連するかのように自身の主張を発言するのはドナルド・キーン氏という故人を利用して自らの主張に説得力を持たせようとしたもので、手法として極めて悪質かつ卑劣と言わざるを得ない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

「統計不正」問題と沖縄の県民投票について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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