2019年7月24日 報道ステーション

2019年7月24日 報道ステーション

7月24日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・後藤氏による議員の質に関する解説

まずは放送内容から見ていきます。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:自民党の石崎徹衆議院議員です。この石崎議員から暴行を受けたとして、警察に被害届を出した秘書が、今日私たちの取材に応じました。暴行は日常茶飯事で、数え切れないほどだったと言います。

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【VTR】
石崎議員の秘書:会合とかが終わって気に入らないことがあって、(車に)乗り込んできた瞬間に顔を殴ることが多いんです。

ナレーション:自民党の石崎徹議員の秘書が、姿を映さないことを条件にANNの取材に応じました。最も多く暴行を受けたのは、車の中だったそうです。

石崎議員の秘書:赤から青に変わった瞬間に発進しないと怒るんです。黄色だから止まったら「何で止まってるんだ」と殴られたり、まっすぐ行くと「左の方が早かったんじゃないか」、それで殴ってくる。頭とか顔とか腹部とか腕とか足とか。

ナレーション:この秘書は警察に被害届を提出したと言います。石崎議員は財務省出身で、2012年に28歳で初当選し、現在3期目です。最近は児童虐待の問題にも取り組んでいました。

自民党 石崎徹衆院議員:本当に痛ましいことでございます。児童虐待罪というものを私は創設すべきでないかと。全国からほとんど賛同の声が私のところに届いているところ。

ナレーション:しかし、自らの秘書に対しては。

石崎議員の秘書:地元にいるときは随行すれば基本的には殴られる、蹴られるのが当たり前なんです。殴られないことの方が珍しいですね。

ナレーション:問題を最初に報じた週刊新潮が公開した音声データです。

自民党石崎徹衆院議員:お前よく見とけバカが。死ねお前。逆じゃねえかよ。死ねお前ほんとに。死んだ方がいいぞおい。ふざけんじゃねえよお前。俺の大事な時間どう思ってんの? お前今月何日休んでる? お前返上してやれよ、じゃあ。ふざけた仕事してんだったら。頭下げろお前。

ナレーション:この音声は、ANNが取材した秘書によると、また別の秘書への暴言だといい、石崎議員は「音声を冷静に聞いてみて、感情的な表現があることに大変反省し、恥ずかしい気持ちでいっぱいです」とコメントを出しています。自民党新潟県連は、きのう石崎議員本人からヒアリングをし、今日記者会見をしました。

自民党新潟県連 高鳥修一会長:職務上の地位を利用して「バカ・死ね」と言うのは一般論としてパワハラだという認識はありますか(と聞くと)、「ミスが続いたため感情的な言葉になった。パワハラだと思う」ということです。暴力を振るった事実はないと断言できるか(と聞くと)、これに対しては「捜査に影響があり、弁護士と相談したい。コメントできない」

ナレーション:県連は、石崎議員に対し、離党の意思があるかどうかを確認したと言います。

自民党新潟県連 柄沢正三筆頭副会長:自民党を離れる意向はあるのかどうか、率直に聞いてみました。これも「すぐ即答はできない」とのことであります。

自民党新潟県連 小野峯生幹事長:立候補して当選できる状態にあるとは厳しいよとは話してあります。

ナレーション:石崎議員は公の場に姿を見せていませんが、今週中に会見を開きたいと話しているそうです。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:本当に信用を失うようなひどい内容だと思うんですけれども、どうしてこういうことが起こってしまうんでしょうか。

後藤謙次氏:そうですね。この番組で何人こういうニュースを伝えたか。それくらいの頻度で起きてますよね。他山の石という言葉がありますけども、全く他人がいろんな失敗をしたこと、それに学んでいないんですよね。この石崎議員も含めて2012年の、安倍総理が第二次政権を樹立したときの衆議院選挙で、大量当選した。いわゆる魔の三回生と呼ばれる人たちですね。そのときの勢いだけで、しかも党本部自体が候補者擁立を急ぐあまり、人選にあたってさしたる吟味もしないまま、経歴とか見栄えだとか、そういうものだけでどんどん公認を決めてしまった。そのツケが今出てきてるんですが。衆議院の選挙制度という構造上の問題がありますよね。そのときの風で当選してしまう。当選すると現職優先という慣例上どんな議員であろうと次の選挙では必ず公認される。この繰り返しによって、またこういう石崎議員のようなものが生まれてしまう。ですから途中でどういうふるいにかけるのか、議員の質はどうなのか、そういう吟味も絶えずやっていくと。つまり政党にはそういう国民の代表足る議員を選ぶ。その前段の大きな責任があるんですね。それをきちっと果たさないと、再びこの問題が出てくる。何か目に見えるような気がしますね。

徳永有美アナ:そうですね。私たちとしても大事な一票を投じて皆さん選ばれた方々な訳ですから、こういうことがあると本当にがっかりしますよね。

後藤謙次氏:そうですね。

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【検証部分】

今回検証する発言は以下の部分です。

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後藤謙次氏:そうですね。この番組で何人こういうニュースを伝えたか。それくらいの頻度で起きてますよね。他山の石という言葉がありますけども、全く他人がいろんな失敗をしたこと、それに学んでいないんですよね。この石崎議員も含めて2012年の、安倍総理が第二次政権を樹立したときの衆議院選挙で、大量当選した。いわゆる魔の三回生と呼ばれる人たちですね。そのときの勢いだけで、しかも党本部自体が候補者擁立を急ぐあまり、人選にあたってさしたる吟味もしないまま、経歴とか見栄えだとか、そういうものだけでどんどん公認を決めてしまった。そのツケが今出てきてるんですが。衆議院の選挙制度という構造上の問題がありますよね。そのときの風で当選してしまう。当選すると現職優先という慣例上どんな議員であろうと次の選挙では必ず公認される。この繰り返しによって、またこういう石崎議員のようなものが生まれてしまう。ですから途中でどういうふるいにかけるのか、議員の質はどうなのか、そういう吟味も絶えずやっていくと。つまり政党にはそういう国民の代表足る議員を選ぶ。その前段の大きな責任があるんですね。それをきちっと果たさないと、再びこの問題が出てくる。何か目に見えるような気がしますね。
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この発言の問題点は以下の2点です。

・印象操作と思われる発言があった可能性がある
・事実と異なる発言があった可能性がある

1点目、2点目まとめて検証していきます。
今回の石崎議員のパワハラ・暴行問題についての後藤氏の解説をまとめます。

後藤氏によると、自民党が公認を急ぐあまり議員の質について吟味することができずに、質の悪い議員が当選してしまった、そのためこういった問題が起きるのである、といった解説がなされていました。

この発言は誤解や誤った印象を与えかねる可能性がある発言です。
議員はそれぞれがそれぞれの活動を行っているのであり、自民党が質を吟味しなかったからこういった問題が起きるとは必ずしも言えません。
もちろん石崎議員のような議員が出てしまったのは問題であり、政治家は国民の負託にこたえるようにしなければなりません。
これは自民党議員に限った話ではありません。そもそも党が議員の質を吟味する実際の方法など確立することはできるはずもなく、肝心なのは選挙で当選できるかどうか、国民の信用を得られるかどうかなのです。

しかし、後藤氏の解説では自民党が議員の質を吟味しないためにこういった問題が起きてしまうことになっています。

これは適切な解説とは言えません。
視聴者に誤った印象を与えるばかりか、事実と異なる発言である可能性があります。
このような発言は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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