12月24日報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・事実に基づかない発言があった可能性がある
まずは放送内容を見ていきます。
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【放送内容】
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):ここからは最前線でコロナ治療に当たっていらっしゃいます国立国際医療研究センター忽那賢志先生にお話を伺ってまいります。忽那先生よろしくお願い致します。
国立国際医療研究センター忽那賢志(以下忽那氏):よろしくお願いします。
富川アナ:まずは全国の感染状況です。今日の感染者数は3739人と過去最多を更新しています。重症者数も過去最多を更新しました。地域ごとに見てみましても赤く塗られた地域は過去最多を更新しているんですね。東京に神奈川、埼玉、千葉、愛知に岐阜といったように都市部とその隣接する地域でも感染が拡大しているのが目立っています。一方で北海道を見てみますと今日は123人の感染が確認されました。北海道のこれまでの感染者数の推移を見てみますと11月に入りましてぐーっと伸びていきまして、304人、感染者が確認された日もありました。ただ北海道に関しましてはいち早くGoToの停止や時短要請などを行ったということもあったんでしょうか、どんどん減ってきまして今日の123人ということになりますね。先生、北海道の現状はどのようにご覧になりますか。
忽那氏:北海道は集中対策期間というかなり強い対策を打ってクラスター対策班も協力に入って地域の人もそれに協力してそれが今うまくいっているところかと思います。
富川アナ:こうやって北海道のような感染者のグラフに全国がなれるかどうかといったところで全国的に見てますと、28日来週の月曜日からGoToトラベルが一斉に停止が実施されるわけですが、このようにグラフになっていきますかね。
忽那氏:GoToの停止によってもちろん感染者がそれによって増える方向に動くことはないと思うんですけど、そもそも年末年始というのは人が移動しやすい状況にありますので、ここは今一度、今年は帰省も初詣もオンラインで済ますなどなるべく人との接触をできる限り減らしてほしいと思います。
富川アナ:一人ひとりが意識することによってこのようなグラフになるかもしれない。この赤が減っていくかもしれないということになりますね。今、深刻な状況にあるのが東京ですよね。12月に入って日ごとの感染者数を見てみますと、12月15日から10日連続で曜日ごとの最多人数を更新しているんですね。今日は過去最多を更新して888人でした。これだけ増えてきますと先生年末年始の医療体制、心配になってきます。大丈夫なんでしょうか?
忽那氏:東京都からも年末年始の更なるベッドの確保の依頼が各病院にきている状況です。ですので、多くの医療機関は今まさにその対応に追われていると思いますが今年は人手を増やしての年末年始の対応にならざるを得ないのかなと思います。コロナの潜伏期は大体5日で診断するまで大体4日くらいかかっていることが多いので、今の皆さんの感染対策が、そのまま年末年始の症例数に関わってきますので、今まさに感染対策に注意が必要だと思います。
富川アナ:今日明日あさって、注意しないと年末年始の医療体制はかなり心配な状況になってくる、ということですね。
【検証部分】
今回の放送では新型コロナウイルスの感染状況に関する報道を取り上げます。
検証のポイントとしてはGo Toトラベルと感染状況の関係についてです。
放送では次のような発言がありました。
○「北海道に関しましてはいち早くGoToの停止や時短要請などを行ったということもあったんでしょうか、どんどん減ってきまして今日の123人ということになりますね。」
○「GoToの停止によってもちろん感染者がそれによって増える方向に動くことはないと思う」
このようにGo Toトラベルの有無が新型コロナウイルスの感染状況と大きく関係しているかのような発言がありました。
しかし、Go Toトラベルが新型コロナウイルスの感染と関係しているという証拠・エビデンスはありません。
高橋洋一氏はGo toトラベルと新型コロナウイルスの感染について次のように述べています。
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国民の願いは、新型コロナの押さえ込みと政府による説明だ。GoToトラベルによる移動者は、日本全体から見ればごくわずかにすぎない。
国土交通省の鉄道輸送統計と航空輸送統計によれば、GoToトラベルの行われていた8~10月の旅客輸送数は50億人弱だ。一方、同じく国土交通省によるGoToトラベル事業における利用実績は、7/22~10/31で3976万人だ。
これは鉄道・航空輸送の1%程度しかない。このGoToトラベルを停止したところで、人の移動に対する影響はたいしたことがないのは明らかだろう。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長もエビデンスはないと公言しているほどだ。
それでも、マスコミはGoToトラベルをやり玉に挙げて政府を批判し、政府は一律一時停止を決めると、マッチポンプのように手のひらを返して、旅行飲食事業者はどうするかとの逆の批判に転じた。
こうした時には、政府による筋の通った上で、丁寧かつ責任ある説明が必要だった。GoToトラベルの一律一時停止について、筆者は「よくわからないけど、止めてみる」と考えた。政府の説明はちょっと歯切れが悪かった。
《高橋洋一 2021年、日本が決めるべき「コロナ対策」は、単純明快だった…!
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78982?imp
》より
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高橋氏の説明にさらに加えると、Go Toトラベルの利用者のうち感染者は200人程度とされています。
各国の感染状況を比較してみても、Go Toトラベルを実施していた日本だけ感染者数が多いという訳ではありません。
各国で感染者数は同様の形で推移しています。つまり、Go Toトラベルは新型コロナウイルスの感染拡大と関係しているとは言えず、放送での発言は事実に基づかない可能性があるのです。
このような放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。