2019年11月3日 サンデーモーニング(後編)

2019年11月3日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年11月3日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて緒方貞子氏の逝去について報道された部分
② イスラム国指導者の死亡について報道された部分
③ 徴用工判決の影響について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② イスラム国指導者の死亡について報道された部分における
検証3「竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ 徴用工判決の影響について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
竹下氏は今回の報道で、以下のように述べています。

竹下氏(抜粋):そうですね、今回まあトランプ大統領は、「映画のようだ」と言ったりですね、犬の合成写真を使ったり、あるいはTwitterでちょっとはしゃいで見せたり、なんかゲームのように思ってるんじゃないかと思いましたね。あの今回そのイラクをめぐる状況の複雑さを理解してないというか(中略)まあ非常にこれでもう一件落着というのは、まあ本当に単純だなと思いました。現にですね、新しい指導者はもう既に出てきていますし、インターネット上ではですね、あの反米の思想というのも隅々まで広がっていますので、1人が亡くなったからといって解決できるって問題でなくて、今後のその複雑な状況をまずは大統領自ら理解して、それを発信しないと何も解決できないんじゃないかなと思いました。

要旨をまとめると、
・トランプ米大統領は今回「映画のようだ」と言ったり犬の合成写真を使ったりと、まるで物事をゲームのように捉えている。イラクを巡る状況の複雑さを理解していない。
・これで一件落着というのは単純な思考だ。新しい指導者が出てきたりネットで反米思想が広がったりと、1人が亡くなって解決する問題ではないので、まずはトランプ米大統領がこれを理解して発信しないと何も解決しない。
というものです。

しかしながら、
・トランプ米大統領が物事をゲームのように捉えているという主張は竹下氏の主観に過ぎない。またイラクを巡る状況の複雑さを理解していないとする主張には何ら根拠がない。
・米国政府がバグダディ排除を以てイスラム国の問題が解決したと考えているという主張は明らかに事実に反している。また、トランプ米大統領の言動はこの問題の解決に影響を与えるものではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での竹下氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 徴用工判決の影響について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

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【VTR要約】
 10月30日、元徴用工訴訟で韓国最高裁が日本企業に賠償を命じてからこの日で1年。原告団が会見し、差し押さえた日本製鉄の資産の現金化が早くても来年2月以降にずれ込むという見通しを示した。手続が遅れているためというが、現金化されれば日韓関係は破綻しかねないとの見方も出ている。
一方9月、韓国向けの日本産ビールの輸出額が前年同月比99.9%減少し、わずか58万8000円だったということが分かった。清涼飲料水も軒並み減少しており、日本製品の不買運動が影響しているものとみられる。

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【コメンテーターの発言】
浜田敬子氏(全文):一方でですね、私今回、私たちのメディアに韓国人ジャーナリストにちょっと記事を書いてもらったんですね。で、まあ彼はその韓国の政権に対して取材して書いてくれたんですが、かなり文在寅政権が日韓関係の修復に対してすごく積極的になっていると。そして3つの要素があって、それはやっぱりアメリカがGSOMIAの問題の解決を強く迫っているということと、やっぱり韓国経済が非常に低迷を始めているということと、やっぱりその中でそのこのままでいけないというような要素が強くなってきていると言ってるんですが、一方で、この現金化の問題がやはり来年どうなるかによって、まあ徴用工のこの資産ですね。現金化の問題が、実際に本当に現金化されるかどうかで、されてしまったらもう本当に修復へのこう、道が絶たれてしまうんじゃないかと。でも韓国の政権内ではそのお司法判断について、政権が何か言えるわけでもないしということで、どういうふうにこれもまあ修復していくんだということを書いてもらったんですが、もう一つは、その国民感情ですよね。その私がちょっと印象的だったこの記事がですね、まあ私たちが出したときに500万PVぐらいとれたんですね。日本の読者も非常にこの日韓関係には強い関心を持っているんですが、そこについたコメントが、ほとんどやっぱり韓国に対する、まあ本当にこう厳しい意見という以上の、ディスるという表現が一番いいんですか、ネット上の誹謗中傷だったんですね。その日本側も、まあ韓国がその関係を修復したいときたときに、政権内も安倍政権内もこの世論を非常に気にすると思いますので、多分そのなかなか文在寅政権がこう、近づいてきても、「はい」というふうにはならないのかなとは思ってます。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、浜田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、浜田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
浜田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

浜田氏(抜粋):私たちのメディアに韓国人ジャーナリストにちょっと記事を書いてもらったんですね。で、まあ彼はその韓国の政権に対して取材して書いてくれたんですが、かなり文在寅政権が日韓関係の修復に対してすごく積極的になっていると。そして3つの要素があって、それはやっぱりアメリカがGSOMIAの問題の解決を強く迫っているということと、やっぱり韓国経済が非常に低迷を始めているということと、やっぱりその中でそのこのままでいけないというような要素が強くなってきていると言ってるんですが、一方で、この現金化の問題がやはり来年どうなるかによって、まあ徴用工のこの資産ですね。現金化の問題が、実際に本当に現金化されるかどうかで、されてしまったらもう本当に修復へのこう、道が絶たれてしまうんじゃないかと。でも韓国の政権内ではそのお司法判断について、政権が何か言えるわけでもないしということで、どういうふうにこれもまあ修復していくんだということを書いてもらったんですが、もう一つは、その国民感情ですよね。その私がちょっと印象的だったこの記事がですね、まあ私たちが出したときに500万PVぐらいとれたんですね。日本の読者も非常にこの日韓関係には強い関心を持っているんですが、そこについたコメントが、ほとんどやっぱり韓国に対する、まあ本当にこう厳しい意見という以上の、ディスるという表現が一番いいんですか、ネット上の誹謗中傷だったんですね。その日本側も、まあ韓国がその関係を修復したいときたときに、政権内も安倍政権内もこの世論を非常に気にすると思いますので、多分そのなかなか文在寅政権がこう、近づいてきても、「はい」というふうにはならないのかなとは思ってます。

要旨をまとめると、
・韓国人ジャーナリストに韓国政府の動向について記事を書いてもらったが、アメリカによるGSOMIA問題解決の要求と韓国経済の低迷などにより、文在寅政権は日韓関係の修復に積極的である。
・徴用工判決による日本企業の資産現金化が実現されれば修復への道が絶たれてしまうが、かといって韓国政府は司法判断に口出しできないので困っている。
・国民感情も日韓関係修復の妨げになっている。この記事を出したときに500万PVほどの反響があり、日本国民も日韓関係に強い関心があるが、記事へのコメントのほとんどが韓国に対する厳しい意見、あるいは「ディスる」ような「ネット上の誹謗中傷」だった。日本側が韓国との関係を修復したいとき、あるいは文政権が歩み寄ってきたときにこの世論が邪魔になるだろう。

というものです。

しかしながら、
・文在寅政権は依然として徴用工問題や輸出管理適正化、GSOMIA破棄などの問題に対して取り組む姿勢を見せておらず、したがって日韓関係修復に積極的であるという主張は事実に即しているとは言えない。
・徴用工判決を下した韓国の最高裁長官が高裁判事の経験がないにもかかわらず文政権の意向で任命された人物であることを踏まえれば、韓国政府が司法判断に口出しできないという主張は事実に即しているとは言えない。
・韓国に対して厳しい意見を一概に「ディスる」「ネット上の誹謗中傷」などと矮小化して扱うことは事実に即しておらず、また明らかに政治的公平性を欠く。
・日韓関係修復の妨げになっているのは韓国側の国際法違反である徴用工問題や韓国に対する懸念が原因となった輸出管理適正化、さらには韓国による一方的なGSOMIA破棄などすべて韓国側が引き起こした問題であり、日本の世論が関係修復の妨げになるという主張は事実に即していない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での浜田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本の世論が韓国に厳しいと日韓関係修復の妨げになる」「日本製品の不買運動も過激化しているので、日本は早急に韓国との関係を修復すべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「日韓関係修復の妨げになっているのは韓国側の対応だ」「日本製品の不買運動は日本企業に大きなダメージを与えていない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 「風を読む」にて緒方貞子氏の逝去について報道された部分
については前編の報告を、

② イスラム国指導者の死亡について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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