2019年11月27日 報道ステーション

2019年11月27日 報道ステーション

11月27日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・様々な論点を提示した放送がなされていたか

まずは放送内容から見ていきます。
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【スタジオ】
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):(原発再稼働の話題を受けて)その原発に関しましてフランシスコ教皇が踏み込んだ内容の発言をしたんですね。日本を離れてバチカンに戻る際の機内で記者団に対しまして原発は利用すべきではないと強い言葉で語りました。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):記者からの質問を受けての発言でした。

フランシスコ教皇『核エネルギーの使用には大きな限界があります。なぜなら我々はまだ全面的な安全を持ち得ていないからです。電気でも安全に使われていないと事故が起こるという人もいるでしょう。しかしそれは小さな惨事です。核エネルギーの使用で起こる事故は大惨事になります』

ナレ:教皇は、日本滞在中東日本大震災の被災者と交流した際将来のエネルギー源に関して勇気ある重大な決断をする必要があると述べていました。直接、被災者の話を聞いたことが影響したのでしょうか。今回は、更に踏み込んだ形で原発についての意見を述べました。

フランシスコ教皇『個人的な意見ですが私は全面的な安全が保障されない限りは核エネルギーを使うことはないでしょう。大惨事が起こらない保障はありません。実際に数十年に一度起きています。神の創造物に惨事がもたらされるのです』

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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー:核廃絶だけではなく原発への強いメッセージも残されましたね。

富川アナ:滞在中も含めてフランシスコ教皇は抽象的ではなくて具体的な発言ばかりでしたのでそれだけ国際社会に訴えたいという強い思いを我々も感じましたね。

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【検証部分】
この日の放送では原発を利用すべきではないというフランシスコ教皇の発言を放送し、様々な論点を提示することなく、フランシスコ教皇の発言をすべて肯定するような放送でした。

もちろんフランシスコ教皇のような影響力のある人物の発言を報道するのは当然のことではあります。
しかし、原発のような様々な意見がある問題について一面的に報道するということは放送法4条に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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そして、今回の放送で取り上げるべきだった論点はやはり原発のメリット・デメリットの比較でしょう。

原発はフランシスコ教皇が述べているように、事故が発生したときの安全性は考えて行く必要があるのは間違いありません。
しかし、原子力発電には様々なメリットがあるというのも真実です。

例えば日本のエネルギー自給率という観点から原発を見てみます。
日本のエネルギー自給率はわずか8%と大変低くなっています。オイルショックなどで電力の供給が不安定になったことがありましたが、エネルギー自給率が低いことは国民の生活生命に関わる問題です。
また石油や天然ガスなどのエネルギー資源は有限で残り50年で枯渇する可能性もありますが、ウランは
エネルギー源が豊富です。
つまり安定したエネルギー供給を行なえるのです。

このほかにも発電のコストが低いことやCO2が従来の発電方法よりも発生しないことといったメリットがあります。
このようなメリットとデメリットを紹介、比較し、公正な放送を行うことがテレビ放送に求められている報道であるはずです。

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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