2020年1月6日 報道ステーション

2020年1月6日 報道ステーション

1月6日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・政治的に公平な放送ではなかった可能性がある

まずは放送内容を確認していきます。
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【スタジオ】
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):それでは最初のニュースにまいります。こちらはイランのテヘラン。首都の様子ですね。これだけ多くの人が集まっていたんですね。先日アメリカ軍によって殺害されました革命防衛隊の司令官の葬儀が行われていましてこれほど多くの人たちが悼んでいるという状況です。

徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):こうした中イランは核合意で定められた制限を撤廃し、無制限にウラン濃縮を進めると発表するなど中東情勢が一気に緊迫してきました。

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【VTR】
イラン民衆『我々が期待しているのは報復だ。アメリカに復讐を』

ナレーション(以下ナレ):報復の声が広がり威嚇の応酬が続いています。東京・板橋区で飲食店を営むマンスールさんは怒りと不安を抱えた年始を過ごしました。母親と妹は今もイランにいます。妹と連絡を取ろうとしますが…。

マンスールさん:(電話に)出ないね。家族すべてイランにいますので国民のことも心配です。これから戦争がはじまったら大変なことになりますのでそれはちょっと考えてほしいです。

森葉子記者:司令官というのはイランの中ではどういった人物なんですか?

マンスールさん:彼は国民的英雄でとても優しい人で、腰が低い人で人気がたくさんありました。

ナレ:そのイランの首都テヘランでは…。

ハメネイ師(イラン最高指導者)『アラーよ。彼らにはあなたの慈悲が必要です。崇拝する者を苦しみから遠ざけたまえ』

ナレ:殺害されたソレイマニ司令官の葬儀が続いています。車に載せられた棺が10kmもの道のりを移動しそれを見届ける人で道路が埋め尽くされました。ソレイマニ司令官はイラン革命防衛隊で海外のテロ組織支援などを専門とするコッズ部隊を指揮し最高指導者ハメネイ師も信頼を寄せるイランの実質ナンバー2です。

イランの民衆『アメリカに死を! アメリカに死を!』』

ナレ:司令官の殺害に報復の声は広がっています。イランの国会では議員も…。

議員たち『アメリカに死を! アメリカに死を!』
議長『トランプよ。これがイラン国民の声だ』

ナレ:新たにイラン政府は核合意で定められた制限を全て撤廃し、無制限にウラン濃縮を進めると発表。対立は激化する一方です。報復の声に対しトランプ大統領は…。

トランプ大統領『イランがアメリカの国民や資産を攻撃すればアメリカは即時かつ全力で反撃する(Twitterから)』

ナレ:と、譲りません。しかし、司令官殺害は当初、想定外だったとアメリカメディアが伝えています。

ニューヨーク・タイムズ紙『イランとの緊張が高まる中、トランプは極端な策を選択(1月4日の見出し)』

ナレ:緊張が一気に高まったのは去年12月27日米軍が駐留するイラク北部の基地が攻撃されアメリカ人が死傷したことです。その翌日の28日までには極端な案として司令官殺害が提案されていたそうですがトランプ大統領は拒否したそうです。しかし、31日イラクのアメリカ大使館が攻撃されるのを見ると一転。

ニューヨーク・タイムズ紙『大統領が極端な選択肢を選び国防総省高官はあぜんとした』

ナレ:そして、年が明けた1月3日イラクにいたソレイマニ司令官をドローンで空爆したのです。なぜ極端な選択をしたのでしょうか。

山下達也氏(テレビ朝日ワシントン支局長):トランプ大統領は「力による平和」を掲げてきたので、今回強力な軍事力を見せ、イランを抑え込む狙いがあると思えます。攻撃は最大の防御戦略ともいえます。大統領選挙の予備選開始までちょうど1か月。司令官殺害というわかりやすい成果を掲げて我こそは強いアメリカだと訴える狙いもあります

ナレ:支持者の集会ではこう強調しました。

トランプ大統領『私の指示でアメリカ軍は正確な攻撃を行いテロ首謀者を殺害した。皆さんは知らないだろうが、大規模な攻撃を企てていた奴を我々が仕留めた』

ナレ:更にツイッターで、イランが報復措置をとるならイランの52の施設を攻撃すると警告しました。52という数字は1979年にイランのアメリカ大使館が占拠された事件で人質になったアメリカ人の人数です。威嚇の応酬は続きます。

デフガン元国防相(イラン):もし52カ所というのであれば我々は300カ所だ。アメリカの軍も政府関連施設も基地も艦隊も――以後決して安全ではないと思うべきだ。

ナレ:中東の石油に依存する日本も無関係ではありません。

エネルギー関連会社社長:多少というかかなり心配はしています。(Q.司令官が殺害されたと聞いてどう思われましたか?)相当驚きましたね。そんなことやっちゃったんだって。

石油化学関連会社社長:不安な時期ですね。

ナレ:株式市場も波乱の幕開けとなりました。日経平均は一時500円以上値下がりし終値は去年末と比べ451円安い2万3204円でした。アメリカとイランの橋渡し役を自負する安倍総理は…。

安倍総理大臣:事態のさらなるエスカレーションは避けるべきであり、緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求めます。

ナレ:海上自衛隊の中東派遣については計画どおり進めていく考えを示しました。イランに母や妹がいるマンスールさん。その後、電話で妹の夫と話すことができました。

マンスールさんの妹の夫:ソレイマニ氏はイラン・イラク戦争でわたしが所属していた部隊の司令官でした。

マンスールさん:戦争になるのではと心配していますよ。

マンスールさんの妹の夫:戦争にはならないように祈っています。

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【パネル解説】(要約)
内藤正彦氏:ソレイマニ司令官が率いていたコッズ部隊は、イラクのバグダットを拠点として、シーア派を取り込む形でその影響力をイランの外へと広げていきました。ですから中東の各地域に軍を置くアメリカは彼の存在を非常に軍事的な脅威ととらえていたわけです。戦争へ突入することは両国とも望んではいないでしょうが、イランの外にある武装組織がアメリカの空軍基地ですとかあるいは大使館を攻撃する。つまり間接的に直接正面攻撃ではなくて脇から攻撃ができるものをソレイマニ司令官は残していますから、それを使った報復というのは考えられますね。

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【検証部分】

アメリカとイランの国際関係について、イラン革命防衛隊「クッズ部隊」のソレイマニ司令官がアメリカに殺害された事件をきっかけに報道がなされています。

そして報道の中でソレイマニ司令官を英雄的な人物として紹介し、彼を殺害したトランプ大統領やアメリカを批判する論調で放送されていました。

これらの放送は公正な視点に立ったものであるのか、検証していきます。

まず、革命防衛隊とソレイマニ司令官の人物ついて見ていきます。

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ソレイマニを英雄とたたえるのは、イランの体制派のみである。イランには国内外に自由化・民主化を求める分厚い層の反体制派がいる。彼らにとってソレイマニは、抑圧的独裁政権の暴力的側面の象徴だ。

イラン・イスラム共和国は1979年、「イスラム革命」で親米政権を打倒することにより誕生した。共和制を取りつつも基本的にはイスラム教シーア派のイデオロギーに立脚した統治を行っており、西洋的な自由・人権・民主主義を認めていない。反体制デモは弾圧され、女性は頭髪を隠すヒジャーブを取り外しただけで拘束され、同性愛者が毎年多数処刑されている。

イスラム革命の成就後、革命体制を防衛するため正規軍とは別に設立された武装組織が革命防衛隊であり、その傘下に国外での工作活動に従事するクッズ部隊が創設された。98年頃からその司令官を務めていたのがソレイマニである。
≪引用 飯山陽 最恐テロリストのソレイマニを「イランの英雄」と報じるメディアの無知
Newsweek日本版 https://www.newsweekjapan.jp/iiyama/2020/01/post-2.php≫
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ソレイマニ司令官は体制維持のために作られた革命防衛隊の工作活動部隊のトップでした。
工作活動とは中東のシーア派への資金や武器提供のことで、中東諸国への影響力を強めるためのテロ活動です。

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イランは正規軍を動員するのではなく、クッズ部隊の工作活動を通じて主にシーア派勢力に資金や武器を提供・支援することで影響を強化し、次第に他国全体を実質的支配下に収める戦略を取った。ソレイマニは20年にわたって中東各地でその活動を展開し、イラクとレバノンをほぼ手中に収めた。アラブ諸国において彼は反対者をことごとく虐殺し、国家を分裂させイランの属国化する最恐テロリストとして知られてきた。

クッズ部隊には1万人ほどの兵士がおり、破壊工作や要人暗殺だけでなく戦闘にも直接従事する。2011年に始まったシリア内戦ではアサド政権側に付き、反体制派住民を包囲して餓死させる残忍な戦術を実行した。毒ガス使用を指示したのも彼だとされる。19年10月からイラクで発生している反体制デモの参加者を殺害しているのも、クッズ部隊の指揮下にあるシーア派民兵組織だ。
≪引用 飯山陽 最恐テロリストのソレイマニを「イランの英雄」と報じるメディアの無知
Newsweek日本版 https://www.newsweekjapan.jp/iiyama/2020/01/post-2.php≫
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このように、破壊活動や暗殺をしてきた人物が、ソレイマニ司令官なのです。
そして反米派、つまり体制側の主張のみを取り上げて放送を行っていました。

ソレイマニ司令官の人物像にほとんど触れずに放送を行うことは政治的に公正な報道とは言えず、以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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