2018年5月14日

2018年5月14日

報道ステーション、2018年5月14日の報告です。
今回の放送で最も多くの時間を割かれた話題は「新潟小2女児殺害」についてです。
このコーナーでは、新潟市で女の子が殺害された事件を取り扱っていました。具体的には、速報で20代の容疑者が逮捕されたことなどをVTRを用いて伝えていましたが、特に放送法違反に抵触するような箇所は見られませんでした。

今回は「加計学園関連」の話題について検証します。
詳しく見ていきましょう。

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小川アナ「加計学園をめぐって、柳瀬元総理秘書官の参考人招致が行われましてから初めての、安倍総理が出席する国会となったんですけれども、官邸の関与はなかったのか、未だ募る疑問に総理はどう答えたんでしょうか」
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冒頭、小川アナが当日行われた審議に安倍総理が出席したことなどを伝えた後、VTRがスタートしました。【VTR】
VTRは国民民主党の玉木雄一郎共同代表が安倍首相に質問をしているときに、麻生太郎財務大臣が野次を飛ばす場面から始まりました。
玉木共同代表「総理、あえてわかってるとは言わないでください。私が申しあげているのはね…」
麻生大臣「自分がしゃべりたいんですよ(くぐもった声で)」
この一言で野党が騒然となります。
野党(誰かは明言せず)「議長いまの不規則発言は許されないですよ!麻生さんいまのはちょっと撤回してお詫びしてくださいよ!」
ナレーター「麻生大臣のやじにより、一時ストップした今日の国会…」
続いて安倍首相の野次も取りざたされました。
玉木共同代表「総理もうね、私は残念でなりません…」
安倍首相「私も残念です(くぐもった声で)」
玉木共同代表「いや、どういうことですか総理!こっちが残念ですよ!」

場面が変わり、先月19日に自宅玄関前でマスコミに囲まれる福田前次官が映されます。
ナレーター「麻生大臣に対しては当時の福田次官によるセクハラ問題について、未だ謝罪がないことが問われました…」
その質問に対して麻生大臣が答える様子と、それに対して野党議員が野次を飛ばす様子が映されます。
麻生大臣「テレビ朝日…日本テレビ?テレビ朝日でしたね。文書をもってお詫びという形を申し上げておりまして、役所としてきちんと致していますんで、それできちんと申し上げたと思っています。 改めて口頭で言えということを言っておられるんですか?おわびを申し上げるということは最初から申し上げたと思いますけど。そう思っております、お詫びを申し上げます、はい。」
野党議員(誰かは明言せず)「ちゃんと謝ろうよ、謝るときは」

先月10日に柳瀬元総理秘書官が国会招致で答弁する様子が映されながら、加計問題へと話は移ります。
ナレーター「加計問題をめぐっては、柳瀬元総理秘書官は先週、加計関係者と3回官邸で面会していた、と説明。ただ総理には報告せず、総理も今日、このゴールデンウィーク中に聞いた、としました」

安倍首相が衆院予算委員会でこの件について言及する様子が映されます。
安倍首相「私自身が毎日刻みのスケジュールをこなすなかで、秘書官への来客についてまで私が報告を受けることはありません」
本多議員「総理秘書官が、外部の業者やそれから自治体の課長クラス、こういうものと会うということ自体が私は異常なので、こういうことがたくさんあったんですか。」
安倍首相「あまり大きな意味はないんだろうと思われますが…(野党がぽつぽつ野次を飛ばす)、私は大きな意味はないと思いますよ」
「様々な方と会っていたと述べていると承知しているわけでございます」

ナレーター「これまで、選定プロセスに一点の曇りもない、と主張してきた総理…」
無所属の会の江田憲司衆院議員が、安倍首相に質問する様子が映されます。
江田議員「どこが選定プロセスに一点の曇りもないんですか。公正なんですか」
安倍首相「『プロセスに一点の曇りもない』というのはですね、私が申しあげたわけではなくて、主導してこられた八田座長がそのように答弁されているわけでございます」「まさに民間議員が主導していると」
江田議員「またおかしなことを聞きましたねぇ。『国家戦略特区っていうのは、総理主導の仕組みです』と、ホームページ資料に乗ってるじゃないですか。そして最終的には総理が決断するって。明確ですよ、これこそあなたの責任逃れじゃありませんか」
安倍首相「民間議員がまさにワーキンググループを形成していて、そこでいわば主導して進めていく、という意味で申し上げている。その主導の中で、いわば選定等も事実上行われているわけでございます」
ここで、去年6月の国家戦略特区ワーキンググループの八田達夫座長の発言が取り上げられます。
ナレーター「ただ1校に限ると決めたことについて、去年民間委員からは」
八田座長「まあ最終的には政治決断ですから。私も相談受けましたけれども、これ山本大臣が決断されたんです」

場面は国会に戻ります。共産党の田村智子参院議員が質問する様子が映されます。
ナレーター「加計ありきだったのかどうか、新たな文書の存在が問われました」
田村参院議員「面談についての文章を、私たち入手いたしました」
ナレーター「共産党の田村議員が指摘したのは、2016年10月24日、京都府の山内修一副知事が当時の山本大臣を訪ねた際の面談記録です」
田村参院議員「山本大臣の発言としてこう記されています。『経過もあり、1校しか認められない難しい状況なので、理解してほしい』」
ナレーター「そもそも政府が一向に限るとしたのは、2016年12月。つまりまだ一校に絞ることが決まる2ヶ月も前に、京都産業大学での新設は難しいと伝えていたと言います」
田村参院議員「つまりね、加計学園ありきで、山本大臣が当時強力なライバルとして登場した京都府を退けようとしたのではありませんか」
梶山弘志地方創生担当大臣「そのやりとりについては承知していません」
ナレーター「内閣府は、やり取りの記録はないとしています」

ここで、話題に上っている面談に同席していた自民党の西田昌司参院議員の写真が写されます。
ナレーター「この面談に同席していた、京都選出の西田参院議員は今夜…」
西田議員への取材の様子が流れます。
記者「大臣の方から一校に限るという発言はなかったという…」
西田議員「なかったですね。少なくとも私はそういう記憶はしてませんね。渋い反応だったのは事実ですよ。これ非常に難しいんだなと。具体的に1校だからどうだとかそういう話はなかったです」
ナレーター「西田氏によると、山本大臣が難しいと言ったのは獣医師会の要望が背景にあったからだとしました。また、京都府は『面会記録は残されていない』としています」
このナレーターの発言を最後にVTRが終了します。

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【スタジオ】
富川アナ「また自治体のメモが出てきました」
小川アナ「またですね。疑惑が深まりましたね」
富川アナ「ですね。1校に絞る前に京都を退けていたのかどうか、ということですね。(後藤氏の方を向きながら)今日の集中審議はどうご覧になられましたか」
後藤氏「私、今日午前中だったんですが、衆議院側の集中審議。委員会室で取材をしてたんですが、一言で言うと非常に不愉快な委員会だったと。と言いますのは、安倍総理はこの問題について膿を出し切る、と。こう言ってたんですが、委員会全体を通してですね、あまりにも真摯な姿勢が感じられなかった、と。特にVTRにもありますけど、あれっと思ったのはあの柳瀬元総理秘書官からですね、3回加計学園側と会ったという話を、この連休中に今井秘書官から聞いたと。この加計問題で去年からずっと大きな政治問題になっていて、その間にやはり一言もなかったと。これ、いかにも不自然ですね。逆に安倍総理は自ら無関係だということを主張するあまりに、逆に防御のハードルを上げてしまったんじゃないかな。そんな感じがしましたね。それから麻生副総理の野次ですね。あの、玉木共同代表の非常に米朝首脳会談をめぐっていい質問だったんですね。で、総理のその答えは我々は固唾をのんで見守ってたら、野次が飛んでですね、結局質問の腰がおられてしまって。もう委員会そのものが台無しになってしまった。こういう責任も非常に大きいと思うんですね」
富川アナ「この人は喋りたいだけなんだから、っていう言葉の内容もね、ちょっと…」
後藤氏「でね、副総理自身もセクハラ発言問題、今日おわびをしてましたけども、あのおわびの仕方が、いかにもおわびすりゃあいいんだろうっていう空気が非常に出ていてですね。ただ、安倍総理と副総理両方見てますと、この集中審議を越えたらですね、大きな部分は超えるんだという空気がひしひしと伝わってきてしまってですね。ですが実は、こういうことを繰り返していると、この加計問題はエンドレスで安倍総理のもとを襲っていくって自覚がないんですね」
富川アナ「やっぱり支持率が下がってないっていうのも一因なんですかね」
後藤氏「この支持率もですね、結局安倍総理に変わるべき人がいないというところが下支えをしてるような気がするんですね。本当は外交のアベですから、ぐんぐん上がってもおかしくない局面なんですが、こういう問題に対する向き合い方、これに対して国民の多くがイエローカードを出しているのかな、という気がしますね」
この後藤氏の発言を最後にこのコーナーが終了します。

【検証内容】
今回の放送の問題点は、大きく分けて2点あります。
1点目は、加計学園の獣医学部新設の選定プロセスにおいて、いくつかの事実を報道していないこと。
2点目は、スタジオでの富川アナと後藤氏の発言が公平性を欠いているように感じられること。
以上の2点です。詳しく説明いたします。
まず1点目についてですが、VTRの中盤、共産党の田村議員の質疑を放映。
田村議員は、2016年10月に京都府知事と当時の山本幸三地方創生担当大臣の面会をしていたことを取り上げ、当時の面会記録などを政府に質問。その際に山本元大臣が政府の「獣医学部開設は1校に限る」という方針を正式発表の2か月前に伝え、意図的に京都産業大学に獣医学部開設を断念させたのではないか、と問いただしました。
では、実際、京都産業大学は獣医学部の新設に向けてどんな活動をしていたのでしょうか。実は昨年の7月、京都産業大学は獣医学部新設を断念したことを明らかにし、その理由として「国際水準に資する教員を確保することが困難である」ことを挙げていました。
つまり、2016年10月時点で山本元大臣がその経緯を把握していたかは不明ですが、少なくとも実際に獣医学部を新設した加計学園に比べ、京都産業大学は教育の質で劣っていた可能性があるのです。
このような事実を報道しないままに「選定の経緯が不明瞭」と伝えるのは、視聴者に対してできるだけ多くの情報を伝えるという報道機関として重要な任務を放棄しているように感じられます。このことから、今回の放送は放送法第4条第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。

また、2点目についてですが、後藤氏はスタジオにて
後藤氏「でね、副総理自身もセクハラ発言問題、今日おわびをしてましたけども、あのおわびの仕方が、いかにもおわびすりゃあいいんだろうっていう空気が非常に出ていてですね。ただ、安倍総理と副総理両方見てますと、この集中審議を越えたらですね、大きな部分は超えるんだという空気がひしひしと伝わってきてしまってですね。ですが実は、こういうことを繰り返していると、この加計問題はエンドレスで安倍総理のもとを襲っていくって自覚がないんですね」
と発言。後藤氏は安倍総理と麻生副総理の姿勢に対して「集中審議を早く乗り越えたいという空気」を感じたと非難した上で、このままでは加計問題がエンドレスで安倍総理を襲う、と発言しています。
もし、上で指摘したように、事実ではない可能性がある問題で安倍総理が糾弾されているという現実を見れば、視聴者に誤った考え方を提供し、エンドレスで問題を作っているのは、後藤氏自身であると言われても仕方がありません。
したがって今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます。

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