2020年1月19日 サンデーモーニング(後編)

2020年1月19日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年1月19日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① オーストラリアの森林火災について報道された部分
② 相次ぐ国会議員の不祥事について報道された部分
③ 「風を読む」にて世界のリスクについて報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 「風を読む」にて世界のリスクについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 ユーラシアグループは、1998年以来世界の事情を調査分析し「10大リスク」を発表した。今年の10大リスク第10位はトルコ。エルドアン大統領の政治力衰えにより経済がさらに低迷すると予想。9位は経済低迷や汚職が渦巻く中南米の混乱。8位はアメリカによる司令官殺害に反発するシーア派の高揚。7位は気候変動に関するリスク。政治家と市民社会との間で温暖化対策に関し対立していることを危惧している。6位は揺れるヨーロッパ。5位はインドの変貌。インドでは宗教観、宗派間の対立が危惧される。4位は多国籍企業のリスク。国家が存在感を増すことで、企業の資本や資産が脅威にさらされるという。3位は米中関係。中国は香港の人権問題に対するアメリカの介入を内政干渉だと反発。衝突が生まれる危険性を警告している。2位は超大国のデカップリング。米中間でテクノロジー分野での覇権争いが危惧される。1位は米大統領選。アメリカの政治制度が厳しい試練にさらされ、正当性が疑われる選挙になると予想。その結果、政治空白が生じ大きな混乱が起きる可能性があるという。
 2020年に日本が直面するリスクについて寺島実郎氏は、「日本はよくやってるんじゃないかという“いいんじゃないかシンドローム”に引きずられることが一番危険」と指摘している。「世界で金融不安が起こり始めたら、日本の金融だけが肥大化して実体経済が動かなくなるというギャップが大きなリスクとなる」「台湾と中国との間で高まる緊張感により、米軍基地のある沖縄が向き合うことになり、日本人が巻き込まれる可能性がある」とも述べた。

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【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(要約):オリンピックで地球温暖化問題をテーマにできないだろうか。踏み込んだ方が良い。小泉大臣の発言もそうだが、自分はこういう方向にもっていきたいと方向性を示すことはしてほしい。

元村有希子氏(要約):リスクは分かった地点で半分くらい成功。リスクが分かれば対策を取ればいい。今後の動きが大切になるが、人々が向き合う態度として、①積極的に取り組みリスクを減らしていく努力。②先送りにする。③見て見ぬふりをする、の3つがある。見て見ぬふりをするのが一番子孫にツケを残すので、先送りできそうだけど今やることも大切。皆がわかっていれば解は見つかるはず。

谷口真由美氏(全文):民主主義が始まったとされるのが、アメリカのまあ、独立宣言以降だというふうに言われるんですけど、それ1776年なんですね。今年244年なんです。そこから。で、そこから民主主義が始まったとするならば、実は有史以来でいうと、すごい短い期間しか私たちまだ民主主義ってやってないんですよ。あの、江戸時代は265年続いたという意味で言うと、江戸時代よりまだ短いわけですよね。民主主義というのを体験しだして。そしたらいろんなことが起こって過渡期であるって見方もできれば、なんかその、発展途上って見方もあって、それをまあリスクと考えるか、これまだ発展途上なんでどういうふうになっていくかちょっとわかんないよねっていうかリスクしかないっていうか、見えないことしかないって。王様がいるわけじゃないし。私たちはその、アメリカの独立宣言って、アメリカの自由平等とか、基本的人権とかを宣言して、それから人民が圧政に対する革命権をもつっていうことがすごい大事だったわけですよね。だから、気候変動なんかもある種の革命権を行使しないと、変わらないっていうところにきてるっていうふうに考えると、やっぱり、私たちが主役であるっていうことが、私たちが正当性を与えた政府なんだっていうことを自覚しなきゃいけないなと思いますね。

荻上チキ氏(要約):見て見ぬふりする以上に、「実は問題は存在しないんだ」と否定することが問題。トランプ氏は気候変動を否定し、森友加計問題はフェイクだと否定した人達もいる。桜を見る会もつまらない問題だと言う人達もたくさんいた。でも実際に起こっている問題を矮小化してなかったことにしようとする力が働く中で、オリンピックなどのイベントで議論する機会が減り、それを許容する無関心がさらにリスクを増大させる。メディアがこうした問題を根強く取り上げ続けることが重要な一年になる。

青木理氏(全文):寺島さんはVTRの中で金融の問題とね、それから中国リスクの話されましたけど、でもチキさんおっしゃってたように、今年オリンピックで浮かれモードになるんだろうけど、他にもいっぱいあって。今日あったテーマで言うと、政治家が説明もしない、会見もしない、証拠も示さない。こんな政治、戦後なかったんじゃないかって秀征さんおっしゃいましたけれども、そういう状況でしょ。公文書だって隠蔽して廃棄をして、改ざんをして。果てはもう作らないというふうになってる。それけあら、各省庁人事を政権に握られて忖度が広がって、ある種、最近だけでも財務省で公文書改ざん。厚労省で杜撰統計。防衛省でイージスアショアのでたらめ調査。文科省で幹部の収賄。総務省で情報漏洩。こんなに、同時多発的に中央省庁で、こうなんていうかな、不祥事が起きたってことは、おそらく戦後ないんですね。つまり、どうもこの国の根本のところ、一見まさに寺島さんおっしゃるように、一件うまくやってるようだけれども、根本のところ腐ってきてんじゃないのっていうのに、真剣に向き合わないと、僕はこれ大変なことになると思いますよ。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):民主主義というのを体験しだして。そしたらいろんなことが起こって過渡期であるって見方もできれば、なんかその、発展途上って見方もあって、それをまあリスクと考えるか、これまだ発展途上なんでどういうふうになっていくかちょっとわかんないよねっていうかリスクしかないっていうか、見えないことしかないって。王様がいるわけじゃないし。私たちはその、アメリカの独立宣言って、アメリカの自由平等とか、基本的人権とかを宣言して、それから人民が圧政に対する革命権をもつっていうことがすごい大事だったわけですよね。だから、気候変動なんかもある種の革命権を行使しないと、変わらないっていうところにきてるっていうふうに考えると、やっぱり、私たちが主役であるっていうことが、私たちが正当性を与えた政府なんだっていうことを自覚しなきゃいけないなと思いますね。

要旨をまとめると、
・民主主義は発展途上でリスクだらけだが、アメリカ独立宣言のように人民が圧政に対する革命権を持つことが大事だ。気候変動についても革命権を行使しないと変わらないところに来ている。私たちが主役だということを自覚すべきだ。

というものです。

しかしながら、
・民主主義のリスクが抵抗権(革命権)によって解決されるという主張には一切の根拠がなく、事実に即しているとは言えない。
・仮に谷口氏の主張に賛同する人々が政府や国等に対して抵抗権を行使したところで、現実的で有効な環境問題の解決策が実施されるわけではないため、抵抗権の行使は気候変動の解決につながらない。したがってこの事実に即しておらず、政治的に公平とは言えない。
・「気候変動に対して革命権を行使すべき」という主張は現在政府や民間で実施されている環境保護への取組を無視し、あたかも政府が環境問題の元凶で打倒されるべき対象かのように扱うもので明らかに事実に反している。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):寺島さんはVTRの中で金融の問題とね、それから中国リスクの話されましたけど、でもチキさんおっしゃってたように、今年オリンピックで浮かれモードになるんだろうけど、他にもいっぱいあって。今日あったテーマで言うと、政治家が説明もしない、会見もしない、証拠も示さない。こんな政治、戦後なかったんじゃないかって秀征さんおっしゃいましたけれども、そういう状況でしょ。公文書だって隠蔽して廃棄をして、改ざんをして。果てはもう作らないというふうになってる。それけあら、各省庁人事を政権に握られて忖度が広がって、ある種、最近だけでも財務省で公文書改ざん。厚労省で杜撰統計。防衛省でイージスアショアのでたらめ調査。文科省で幹部の収賄。総務省で情報漏洩。こんなに、同時多発的に中央省庁で、こうなんていうかな、不祥事が起きたってことは、おそらく戦後ないんですね。つまり、どうもこの国の根本のところ、一見まさに寺島さんおっしゃるように、一件うまくやってるようだけれども、根本のところ腐ってきてんじゃないのっていうのに、真剣に向き合わないと、僕はこれ大変なことになると思いますよ。

要旨をまとめると、
・政治家が説明も会見もせず証拠も残さない政治は戦後なかった。公文書を改ざん、隠ぺい、破棄し、果ては作らないという風になっている。
・各省庁人事を政権に握られて忖度が広がり、厚労省の統計や防衛省でイージスアショアの調査、文科省で幹部の収賄、総務省で情報漏洩と問題が相次いでいる。
・この国の根本の部分が腐っているので真剣に向き合うべきだ。

というものです。

しかしながら、
・政治家が説明も会見もせず証拠も残さない傾向にあるという主張は青木氏の主観によるもので客観的根拠がない。
・公文書に関する問題については公文書管理法のもとで合法的に作成・処理されたものであり、隠ぺい、破棄、作らないといった指摘は事実に即していない。
・厚労省の統計や防衛省のイージスアショアに関する調査、文科省の幹部の収賄や総務省の情報漏えいはそれぞれ異なる要因によるものであり、各省庁人事に政権が影響力を持ったことが理由だとする主張は事実に即していない。
・この国の根元が腐っているという主張は青木氏の主観に基づく感想に過ぎず、事実に即していない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本はよくやっているんじゃないかという『いいんじゃないかシンドローム』に陥ってはいけない、実体経済や沖縄問題などは火種になる」「昨今の政治の問題を見て見ぬふりをするのではなくきちんと声を上げるべきだ」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「日本の経済や安全保障は比較的順調である」「違法性のない問題などを政権批判ありきでスキャンダル化するのではなく本当に重要な問題に取り組むべきだ」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① オーストラリアの森林火災について報道された部分
については前編の報告を、

② 相次ぐ国会議員の不祥事について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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